公開日:2021/05/28
更新日:2024/05/29

モラルハラスメントとは|事例や企業が実施すべき防止策などを紹介

モラルハラスメントとは|事例や企業が実施すべき防止策などを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

モラルハラスメントは、現代の企業が抱える課題のひとつです。本記事はどのような行為をハラスメントと呼ぶのか、モラハラの概要について紹介します。また、モラハラの特徴や実際の事例、企業として講じておくべき対策について詳しく解説していきます。

 

01モラルハラスメント(モラハラ)とは

モラルハラスメントとは、「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」のことです。

モラルハラスメントの特徴は2点あり、1つは物理的な暴力行為は含まれないという点。もう1つは、相手に精神的な被害をもたらす行為であるという点です。

▶︎参考:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」厚生労働省 用語解説|モラルハラスメント

 

02パワハラとモラルハラスメントの違い

モラハラと似た言葉にパワーハラスメント、通称「パワハラ」があります。両者を同義で述べている記事も散見されますが、両者には以下のような明確な違いが3点あります。

  • ・1.優越的な関係の有無
  • ・2.暴力行為の有無
  • ・3.発生環境

この章では、パワハラとモラルハラスメントの違いについて紹介します。

1.優越的な関係の有無

まず、パワハラとモラルハラスメントの違いとして挙げられるのは、優越的な関係があるか無いかです。パワハラは、職務上の地位が上位の者による、業務上必要かつ相当な範囲を超えた精神的・身体的苦痛を与える、または労働者の就業環境が害される行為を差します。つまり、パワハラの加害者は上司に限定されます。一方で、モラルハラスメントの加害者は、上司だけでなく部下ということもあり得ます。

▶︎参考:あかるい職場応援団 厚生労働省|ハラスメントの定義

2.暴力行為の有無

モラルハラスメントは、言葉や態度、身振りなどによって人を不安に陥らせたり、巧妙に支配したり、人格や尊厳を傷つけるなどの精神的な暴力や虐待の総称を意味します。そのため、パワハラに該当される殴る・蹴るなどの肉体的にダメージを与える直接的な暴力行為は該当しません。

3.発生環境

モラルハラスメントは職場以外でも発生しますが、パワハラは基本的に職場で発生するハラスメントです。モラルハラスメントに該当する「無視するなどの嫌がらせ」や「人格を否定する暴言」は、家庭や学校といった場でも発生しています。一方で、パワハラは上下関係を背景とした嫌がらせや攻撃なので、職場でしか基本的には発生しないのです。

 

03モラルハラスメントの具体例

では、職場で実際に起こっているモラハラに該当する態度や言葉には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。近年、よく聞くモラハラの事例について紹介していきます。モラハラの具体的な事例を知ることで、モラハラへの理解を深めることができます。

精神的に追い詰める

職場で行われているモラハラのなかでも比較的多いのが、「挨拶をしても返事をしない」「話しかけても返事をしない」といったような無視による嫌がらせです。相手を精神的に追い詰める行為を繰り返し行い、ダメージを与えます。この精神的に追い詰めるといった項目のなかには、バカにする、わざと嫌味や陰口を言う、馬鹿にしたような視線・見下したような視線を送る、本人が嫌がるあだ名をつけるなども含まれ、個人の尊厳を深く傷つける言動です。

集団の中に入れないよう仕向ける

特定の相手だけを集団から切り離し、孤立させる行為もモラハラに該当します。こういった行為を行う原因のほとんどは、「気に入らない」「嫌い」といった個人的な理由が圧倒的です。また、過去のトラブルがきっかけになったケースも少なくありません。一人で相手を孤立させるように仕向けることもありますが、集団で孤立させるように仕向けることもあります。 具体的には、行事・会議・ミーティングなどに誘わないといった、いわゆる「仲間外れ状態」を意図的につくった事例があります。

業務妨害をする

職場で行われるモラハラは、指導の中で嫌がらせを受けることも多く、業務に対する嫌がらせも存在しています。明らかにこなしきれない業務を与える、一人だけ不用意な残業を与えるといった過重な労働、反対に仕事を与えない、もしくは雑務しか与えない、業務に必要な情報を与えない、必要な報告や連絡を共有しないといった業務の妨げになる行為が該当します。

プライベートへの過度な干渉

業務を遂行する上でプライベートへの干渉は必要ありません。また、近年はそういったプライベートへの過度な干渉が強く、問題視されるようになってきています。恋人やパートナーのことをしつこく聞き出す、終業後や休日などのプライベートの時間の行動を把握しようとするといった内容が挙げられます。業務上必要がないにも関わらず、執拗にプライベートに干渉する行為は、悪意のある・なしに関わらず、モラハラに該当します。

会話や連絡を無視する

会話や連絡の無視は、モラハラの一形態であり、被害者を無視することで彼らの存在を無視し、排除する試みです。これは、会話や電子メール、電話などのコミュニケーション手段を使って行われる場合があります。被害者は自分の声や存在が無視されることによる孤独感や無力感を感じ、心理的苦痛を受けることがあります。


 

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04モラルハラスメントをする人の特徴

モラハラをする人の特徴として、次のようなものが挙げられます。

  • 自己中心的な考え方をする
  • プライドが高い
  • 感情の起伏が激しい
  • 他責思考

これらの特徴は、モラハラをする人の行動や態度に共通して見られるものです。ただし、すべてのモラハラ加害者がこれらの特徴を持っているわけではなく、個々の事例によって異なる場合があります。ここでは、それぞれについて具体的に解説していきます。

自己中心的な考え方をする

モラハラをする人は、他人の感情やニーズを無視し、自己中心的な行動を取りがちです。彼らは自分の欲求や利益を最優先し、他人の感情や権利を軽視する傾向があります。その結果、他者を傷つけることを避けず、モラルや倫理観を無視して自己中心的な行動をとります。

プライドが高い

モラハラをする人はしばしばプライドが高く、自己評価が非常に重要です。自己評価を保つために、他者を支配したり、威圧したりすることがあります。彼らは自分の間違いや弱点を認めることを拒絶し、自己防衛のために攻撃的な態度をとることがあります。

感情の起伏が激しい

モラハラをする人はしばしば他責思考に陥ります。つまり、自分の行動や問題の責任を他人や環境のせいにする傾向があります。彼らは自己の責任を逃れるために他者を非難し、自己正当化を図ります。このような思考パターンは、他者に対する攻撃や嫌がらせの正当性を見出そうとする動機につながることがあります。

他責思考

モラハラをする人は感情の起伏が激しく、短絡的な行動や反応を示すことがあります。彼らは怒りや嫉妬、不安などの感情をコントロールできず、その感情が他者に向けられる場合があります。このような感情の乱れは、モラハラ行動の原因となることがあります。

 

05モラルハラスメントの防止策

職場内で起こる「モラハラ」は社員を追い込むだけでなく、職場の環境悪化や人材流失リスクにつながりかねません。ではモラハラを未然に防ぐには、どのような施策を施したらいいのでしょうか。ここからは、職場でのモラハラを防ぐための対策をご紹介します。

上司からモラハラ社員本人に指導する

モラハラが発覚した際は、モラハラ社員本人に上の立場の人間から直接注意することが求められます。この注意を、適当なかたちで終わらせてしまうと、モラハラを行った本人は問題の重さに気づかず、同じようにモラハラを繰り返してしまうおそれがあります。

複数人で協力しモラハラ社員本人と距離を置く

被害者となった人と周りの人の信頼関係を強固にすることで、モラハラの勢いを抑制することができます。そのため、モラハラの事実を把握している複数人で協力し合い、モラハラ社員本人と距離を置くことも時にモラハラ終息へ有効な手法となり得ます。ただし、距離を置くことと仲間外れや無視することは異なるため、やりすぎて逆に自分たちが加害者となってしまわないように注意しましょう。

社員がいつでも相談できる窓口を設置しておく

社員が一人で抱え込むことなく、いつでも相談できるように窓口を設置しておきましょう。この際、モラルハラスメントに関する相談のみに特化せず、仕事上の悩み、制度に関する相談など、対応できる事柄を広く設定しておくことで、社員がより気兼ねなく、悩みや相談を打ち明けやすい環境をつくれます。

モラハラが犯罪になりかねないことを社内に周知する

ハラスメント行為は働く人の尊厳を傷つける、許されざる行為だということを、企業は従業員に周知徹底しなければなりません。また、度を超えたモラハラは刑法の名誉毀損罪や、侮辱罪に当たる可能性があります。つまり、加害者は法的責任を問われることがあるのです。「知らなかった」では済まされない、大きな問題へと発展することもあるため、日頃から、従業員への啓発・教育を怠らないようにしましょう。

ハラスメント防止方針の策定と明確化

モラハラを含むあらゆる形態のハラスメントを防止するために、組織内でハラスメント防止方針を策定し、明確化することも重要です。この方針には、ハラスメントの定義、適切な行動規範、報告手順、および処罰措置に関する情報が含まれるべきです。方針の周知と従業員の教育を通じて、ハラスメント防止の文化を醸成することが不可欠です。

 

06ハラスメント防止研修|Schoo for Business

Schoo for Business

Schoo for Businessでは、約8,500本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。ハラスメント防止研修に関するコンテンツはもちろんのこと、管理職向けのコミュニケーション研修に活用できるコンテンツも多く揃っています。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 8,500本
※2023年3月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,500円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております

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ハラスメント防止研修のカリキュラム例

この章では、Schooが保有する8,500の授業の中から、ハラスメント防止研修におすすめの授業を3つ紹介します。

「ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け」

ハラスメントを正しく知る- 全ビジネスパーソン向け

第1回 ハラスメント対策の必要性/パワハラの要件と判断基準
時間 30分
研修内容
  • ・ハラスメント対策の必要性
  • ・ハラスメントに適用されうる措置
  • ・パワハラの要件と判断基準
第2回 セクハラ、SOGIハラ、マタハラ、その他のハラスメント
時間 30分
研修内容
  • ・ハラスメント行為の全体像を知る
  • ・セクハラ
  • ・SOGIハラ
  • ・マタハラ
  • ・その他のハラスメント
第3回 ハラスメントのない職場を目指す 一人ひとり違うことを理解する
時間 20分
研修内容
  • ・無意識のハラスメントに注意する
  • ・様々な違いを認識して受け入れる
  • ・人にはそれぞれ個性がある
  • ・皆がイキイキ働いている職場とは
 

このコースでは主に職場で問題になるパワーハラスメント、セクシャルハラスメント、SOGIハラスメント、マタニティハラスメントについて、その内容とどういった言動がハラスメントに当てはまるかについて、法令や判例にそって解説しています。 また、ハラスメントの原因になり得る無意識の偏見や価値観の違いについても取り上げ、予防のために心がけるべきポイントについても紹介しています。

  • 社会保険労務士法人グラース 代表

    特定社会保険労務士、ハラスメント防止コンサルタント。ダイバーシティ(仕事と育児・介護の両立、多様な働き方、テレワーク導入、女性活躍、ハラスメント防止等)を専門領域としてコンサルティング、研修を多数実施。厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル作成事業」検討会委員をはじめ、多くの公的委員、調査に加わる。

「ハラスメントの対処法 - 管理職向け」

ハラスメントの対処法 - 管理職向け

第1回 ハラスメントへの管理職としての関わり方
時間 25分
研修内容
  • ・職場トラブルの相談件数の推移と「いじめ・嫌がらせ」が増えた背景
  • ・管理職とハラスメント
  • ・安全配慮義務
  • ・パワハラ防止法
  • ・ハラスメントが与える影響
第2回 パワハラの判断基準と相談を受ける際のポイント:ケーススタディ
時間 20分
研修内容
  • ・事例:パワハラの現場
  • ・パワハラの類型、判断基準
  • ・事例:相談を受けたときの対応
  • ・相談を受けたときに心がけるポイント
第3回 ハラスメントが起きたときの対応方法
時間 30分
研修内容
  • ・相談された場合の初期対応(傾聴・分解・確認)
  • ・自分が当事者だと言われた場合の初期対応のポイント
  • ・問題が大きくなる切り返し、収束する切り返し
第4回 ハラスメントが起きやすい職場の特徴と対策
時間 25分
研修内容
  • ・なぜハラスメントが起きるのか
  • ・ハラスメントが起きやすい職場の特徴
  • ・ハラスメントが起きない職場づくりのポイント
 

このコースでは、組織、チームの管理職やリーダーとして知っておくべき、ハラスメントが発生した際のメンバーへの対処方法とその防止策について解説しています。

  • 株式会社Niesul(ニースル)代表取締役/社会保険労務士

    大学卒業後、機械メーカー、コンサルティング会社を経て2010年にニースル社労士事務所を立ち上げ。以来、200社を超える社内制度づくり・働き方改善に関わる。 本音を言える場づくりを大切に、経営者・社員と「ともに」社内制度を作る参加型プロジェクト「みんなでつくる就業規則づくり」、ハラスメント防止のための研修など多数実施。 著書に『「社会人になるのが怖い」と思ったら読む 会社の超基本』がある。YOUTUBE「世界一わかりやすい就業規則」チャンネルを発信中。

「改正パワハラ防止法の対応 - 人事向け」

改正パワハラ防止法の対応 - 人事向け

第1回 企業に科せられた10項目の措置義務への対応(前半)
時間 25分
研修内容
  • ・パワハラ防止法の制定経緯、概要
  • ・パワハラ防止指針で企業に義務付けられた10項目の措置義務
  • ・各措置義務の解説 〜事業主の方針の明確化及びその周知・啓発〜
  • ・①パワハラの内容及びパワハラ禁止の方針明確化と周知
  • ・②パワハラ行為者への厳正な対処の方針明確化と周知
第2回 企業に科せられた10項目の措置義務への対応(後半)
時間 30分
研修内容
  • ・各措置義務の解説〜相談(苦情を含む)への適切な対応に必要な体制の整備〜
  • ③相談窓口の設置・周知
  • ④相談窓口担当者が適切に対応できる体制整備
  • ⑤事実関係の迅速かつ正確な調査
  • ⑥被害者への配慮
  • ⑦行為者(加害者)への適正な措置
  • ⑧再発防止措置
  • ⑨申告者・行為者のプライバシーの保護等
  • ⑩申告・調査協力を理由とした解雇等の不利益取扱いの禁止
 

このコースでは2020年に施行された「改正 労働施策総合推進法」(パワハラ防止法)に基づき、2022年4月1日からすべての企業に科せられた10項目の措置義務への対応について2コマに分けて解説しています。

  • 高井・岡芹法律事務所 弁護士

    2004年早稲田大学卒業。2007年東京弁護士会登録。2011年経営法曹会議会員。企業側弁護士として、労働問題の解決に取り組む。中でもハラスメント等の問題社員対応、職場のLGBTの問題を専門とする。単著として『1冊でわかる!改正早わかりシリーズ パワハラ防止の実務対応』(労務行政)、共著として『知らないでは済まされない!LGBT実務対応Q&A―職場・企業、社会生活、学校、家庭での解決指針―』(民事法研究会)などがある。

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07まとめ

モラハラは、役職や立場、雇用形態に関係なく、職場における全員が加害者・被害者となる可能性のあるハラスメントです。 また、モラハラはその特質上、周囲が気づきづらく、問題が発覚しにくいハラスメントです。そのため、どのような行為や態度がモラハラとなるのかを全社員がきちんと理解することが発生防止の第一歩となります。会社側は従業員が安心して働ける環境を整える必要があるため、モラハラを起こさない、起こさせない体制作りを整えましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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