ロジカルシンキングに欠かせない「MECE」とは?考え方と特徴について解説する

本記事では、ロジカルシンキングに欠かせない「MECE」について解説しています。フレームワークの代表とも言われるMECEについての特徴や考え方を理解し、ビジネスシーンで活用してください。その他にも利用できるフレームワークを紹介していますので、それらについての理解も深めていきましょう。
- 01.ロジカルシンキングには欠かせない「MECE」とは
- 02.MECEを活用するメリット
- 03.meceの具体例
- 04.MECEのアプローチ方法
- 05.MECEを活用するフレームワークとは
- 06.MECEを用いて考えるうえで注意点
- 07.まとめ
01ロジカルシンキングには欠かせない「MECE」とは
まずMECEについての定義や使い方などについて解説していきます。MECEとは何を目的としているのか、なぜロジカルシンキングには欠かせないか、そして活用メリットについて押さえておきましょう。
MECEの定義
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)とは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する用語です。ビジネスにおいては「 漏れなく・ダブりなく 」と定義され利用されています 。
MECEの使い方
MECEは、物事の整理において事実を洗い出し、事実に漏れがないかどうかを確認した後にその事実にダブリがないかどうかを調べる方法で使われます。大切なのは、事実を全て洗い出すことです。事実の洗い出しが不足していれば、ダブリの確認に意味を持たなくなります。そのため、事実の洗い出しは慎重に行い漏れなく洗い出せているかを繰り返し確認する必要があります。
02MECEを活用するメリット
MECEを活用することでのメリットには、どの様なものがあるのでしょうか。MECEがビジネスシーンで欠かせない概念である理由を含めてMECEを活用するメリットについて考えていきましょう。
問題解決力の強化
ビジネスシーンで発生する問題は複雑で本質的な原因にたどりつけない場合が多くあります。しかし、MECEを活用することで複雑な問題を「モレなく、ダブりなく」分解して整理することで複雑に見える問題も全体像を把握してシンプルに整理することが出来ます。全体像が把握出来れば、真の原因にたどり着ける可能性が高くなりることから、MECEを意識することは問題解決力の強化になります。
議論の有効性を高める
議論をする際、出発点を誤っていた場合には結論も誤ったものになります。その点、MECE を利用することで議論の背景による事実を洗い出し、ダブリなく整理することで正しい結論に近づくことができます。結果的に、議論の有効性を高めることが期待できます。
03meceの具体例
MECEはビジネスにおいてどのような場面で活用されているのでしょうか。ここでは、ある商品の顧客アンケートを例に「漏れなく・ダブりなし」、「漏れなく・ダブりあり」、「漏れなく・ダブりなし」の3つの具体例を解説します。
漏れなく・ダブりがない例
職業をヒアリングするとき、選択項目が「会社員、主婦、OL、学生」だけだとすると、OLは会社員に含まれますし、経営者や無職などが含まれていないといった、漏れがありダブりも存在する状態です。漏れなくダブりがない状態にするには以下のような状態にする必要があります。
- 経営者・役員
- 会社員
- 公務員
- 自営業
- 団体職員
- パート・アルバイト
- 専業主婦・主夫
- 学生
- 無職
上記の様に細分化することで適切な調査ができるようになります。
もれありダブりがない例
年齢層のヒアリングにおいて、「10代、20代、30代」のみを選択項目としていると、10代未満や40代以降が漏れている状態です。 そのため、「10代未満、10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代以上」というように全ての年齢を含めている状態にしておく必要があります。
漏れなく・ダブりがある例
漏れはないがダブりがある状態というのは、例えば「男」「女」「60歳以上」「60歳未満」」で分類するとした時のように、当てはまる項目が0とはならないが2以上に該当するものが発生するようなケースです。こういう場合に漏れはないものの、各年齢層での中には男性も女性も含まれるというような重複が発生します。その場合には、男女・年齢での分類の仕方は適切な分析ができていないということになり、MECEとは言えません。重複なく分類したい場合は方法を再考する必要が出てきます。
04MECEのアプローチ方法
物事や問題点をMECEに考えるための方法として、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチの2つがあります。MECEの基本はトップダウンアプローチですが、未知の分野の場合はボトムアップアプローチを試すこともあります。
- ・トップダウンアプローチ:全体から詳細にブレークダウンする手法
- ・ボトムアップアプローチ:詳細を集めてから全体像を描く手法
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、物事の全体像を捉え、全体を構成する要素を目的や課題に沿った切り口で分類する方法です。全体像が明確に定義することができるときに有効となるアプローチです。 トップダウンアプローチのメリットは「体系的、俯瞰的に物事を考えられる」「 ゴールを意識しやすい」であり、デメリットは「 全体像に誤りがあると漏れやダブりが発生する可能性がある」となります。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチは、要素をひととおり洗いだし、グループ化することで全体像を導き出す手法です。全体像が不明瞭な場合や、要素分解の見当がつかないときに役立ちます。 メリットは、あらかじめ適切な分類方法がわからないケースで有効と未知な領域でも思考を始められる点にあり、デメリットは、全体像がわからないため要素に抜けや漏れが生じやすくなることです。
05MECEを活用するフレームワークとは
次にMECEを活用するフレームワークについて紹介していきます。フレームワークには、何種類もの種類があり、それぞれに特徴があります。ここでは、MECEを活用するフレームワークにしぼり紹介していきますので、MECEと一緒に活用できるようにしていきましょう。
3C分析
3つのCで問題を客観視するフレームワーク。3Cとは、「顧客」(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字で3つの視点から課題点を見つけ出して、自社の戦略を立案するための定番的なフレームワークです。
4P分析
4つのPで分類し、施策立案の過程で用いられるフレームワーク。4Pとは「Product:どのような製品・サービスを提供するのか」「Price:その製品・サービスをいくらで提供するのか、どのようなチャージ方法か」「Place(Channel):その製品・サービスをどのように提供するのか」「Promotion:その製品・サービスをどのように販促するのか」。
SWOT分析
自社と競合の強みを分析する際に利用するフレームワーク。自社の目標達成のために「強み」(Strength)、「弱み」(Weakness)、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」 の4つの要因を軸に、事業の評価や目標達成のための戦略を練るツール。
PDCA
好循環の作業サイクルを確立するフレームワーク。タスクを達成の流れの4段階の頭文字を表す。「Plan (計画) 仮説に基づいて計画を策定します」「Do (実施・実行) まずは計画を実行します」「Check (点検・評価) 実施した計画の結果が仮説と合致しているか検証します」「Act (処置・改善) 仮説通りに行かなかった部分を調べて仮説の見直しを図ります。
ロジックツリー
論理的に整理して相手に納得してもらうためのフレームワーク。問題をツリー(樹木)状に分解して整理し、その原因や解決策を探る方法。 代表的なロジッククツリーには、「なぜ?」を繰り返すWhyツリーと「どうやって」を繰り返すHowツリーがある。
バリューチェーン
どのビジネスプロセスが優れているか見極めるフレームワーク。バリューチェーン「価値(value) の連鎖」の分析で事業プロセスのすべての段階でどのプロセスがどのような価値を生んでいるのか、競争力はどこにあるのかを分析するためのフレームワーク。
06MECEを用いて考えるうえで注意点
ビジネスシーンにおいてMECEは多用されています。そのMECEを利用する際に注意しておきたい事とは何かあるのでしょうか。次に、MECEを利用する上で注意しておきたいポイントについて解説していきます。MECEを使用する場面は多いため、特に注意しておきましょう。
手法に依存しない
どのフレームワークにおいても言えることですが、MECEを使うことが目的ではありません。利便性の高いMECEという手法に依存することなく、あくまで1つの手段として捉え活用していくことが大事です。手法に依存してしまうと、その手法から抜け出せなくなり他の手法での検証ができなくなる可能性があります。手法に拘り過ぎることは避け、適切な手法を用いるように心掛けましょう。フレームワークを利用する際には、フレームワークを利用することが目的となってしまう場合が多々あります。MECEも同様に目的が何であるかを常に意識して利用することが大事です。
分類できない事象に注意する
MECEを用いた場合に必ず全ての情報が分類できるとは限りません。情報全てを分類しなければいけないということではなく、分類できない情報があることを理解し分類を行う必要があり、注意しておきたいポイントです。事象により必ずしも分類できないものがあるということを失念していると、全ての分類をしなければいけないと思い無理な分類を行ってしまいます。こうした分類がおきると、誤った結果を生むことになります。こうしたことを防ぐためにも、できるだけの分類は行うが分類できない事象もあるという点を覚えておきMECEを活用するようにしましょう。
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07まとめ
本記事では、ロジカルシンキングで利用するMECEをテーマに解説しています。MECEは様々な場面で利用される概念であり、日常生活でも利用可能です。普段の生活でMECEを必要とすることはあまりありませんが、MECEを理解する上では、日常生活の事象をMECEで分解、整理する方法もあります。ロジカルシンキングにおいては、MECEと同様にビジネスシーンでは多用される考え方であるため、2つの関係性とともに理解し、他のフレームワークを含めた習得を実施していきましょう。フレームワークを使いこなせるようになれば、ロジカルシンキングも容易に利用できるようになり、効率的な分析などが実現できるようになります。ぜひ、紹介している内容をビジネスに活かしロジカルシンキングや、MECEを活用してください。