公開日:2022/01/21
更新日:2024/06/26

批判的思考(クリティカルシンキング)とは?類似用語の違いや導入のメリットについて解説する

批判的思考(クリティカルシンキング)とは?類似用語の違いや導入のメリットについて解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

批判的思考と訳されるクリティカルシンキングは、今やビジネスにおいてロジカルシンキングと並んで欠かすことのできない思考方法となっています。ビジネスシーンにおいても、多用される思考法ですが、活用することで物事の本質を理解し業務に役立てることができます。本記事では、批判的思考に関するメリットや基本となる3つの考え方について解説しています。

 

01批判的思考とは

批判的思考とは、「ある考えについて前提となる事実を明らかにしながら、多角的・論理的に考える思考法」のことを指します。「クリティカル = 批判的」というと否定的な印象を受ける用語ですが、実際にはそうではありません。「論理を支える事実」「矛盾する事実はないか」などの事実ベースの思考法となります。矛盾する事実などを意識した論点整理や新たな論理の構築を行うことでより物事の本質に近づこうという概念になります。

ロジカルシンキングとの違い

類似している用語に、ロジカルシンキングがあります。ロジカルシンキングとは、物事を結論と根拠に分け、その論理的なつながりを捉えながら物事を理解する思考法です。「論理的思考法」とも呼ばれています。物事を論理的に捉えながら話すことで、聞き手にもわかりやすく伝えることができる概念です。その他にも問題解決に必要な原因の特定や解決策の立案に効果的です。

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02批判的思考が重要な理由

昨今、テクノロジーの発達により、私たちの身の回りは情報で溢れかえり、自分自身で判断し、情報を取捨選択していく必要が出てきました。そのため、目の前の情報に対して、「なぜ」「今必要なのか」「やるべきものなのか」という判断を個々人がしていく必要があるのです。ですが、ただ批判的になるだけでは意味がありません。重要な情報や実施しなければいけないことを見落としてしまいます。したがって、適切に情報を取捨選択し、アクションプランに落とし込むためには、批判的思考が重要なのです。

 

03批判的思考3つの基本

次に、批判的思考を行う際に基本となる3つの観点について解説します。批判的思考に関して、意識しておくべきポイントになる3つの基本をおさえることで、思考方法のスムーズな理解と浸透を促進することができます。また、批判的思考における注意点ともなるため、取り入れる前には、その対応策についても検討を行う材料にしていきましょう。

目的の定義が重要

思考している最中に目的を見失うことは誰にでもある経験ではないでしょうか。思考における最大の問題はここにあります。目の前の問題を解決しようとすることで、根本的(本質的)な目的を見失ってしまうことを避けることっが必要です。そのためには、「そもそも」という考え方を常に意識しておくことが必要です。そもそもの目的はなんであったかを意識して思考していくことで、論点がぶらない仕組み作りが必要です。

思い込みは誰にでもある前提を理解する

前提として、誰もが思い込みや思考グセがあるということを常に念頭におくことが必要です。相手の意見をそのまま鵜呑みにするのではなく、客観的事実と比較して何が正しいかを見極める必要があります。具体的な数字などを参考に判断する方法のその一つです。ただし、数字であっても人の手による誤りが生じる可能性があることを念頭に事実確認を行うことこそが必要だと理解しておきましょう。

問い続ける必要がある

次に、問い続ける必要があるということです。考えきれない人は、少し考えて壁にぶち当たるとすぐ思考をやめてしまったり、結論が出た時点で思考を止める傾向があります。しかし、そうではなくそれが何を意味しえいるのか、どうしてそうなるかの問いを止めず考え続けることで、本質にたどり着くと考えておきましょう。

 

04批判的思考の実施方法

批判的思考は段階を踏んで進めていく必要があります。段階を踏むことで抜け漏れなく、ゴールに到達することができるからです。ここでは具体的な方法について解説していくのでぜひ参考にしてみてくださいね。

目的/ゴールの明確化

批判的思考を実施する上での、まず実施するべきことが「目指すゴールや目標とそのレベル」と「達成期限」の明確化です。「何をしたいのか」「どんな課題を解決したいのか」「どんな状態であれば理想なのか」を明確にしましょう。目標が明確であれば、その達成に向けてより効果的な戦略や手段を考えることができます。

前提条件の整理をおこなう

次に、解決策や判断の前提条件を整理する必要があります。前提条件は、問題や目標に関連する情報や制約、仮定などです。前提条件を整理することで、議論の基礎となる情報を明らかにし、誤解や誤った仮定を排除することができます。また、すでに前提条件が定まっている場合は、前提条件に不備がないか、など条件の正当性を確かめるようにしましょう。

現状の課題分析

目標と現状のギャップが課題です。目標の設定ができたら、目標に対して現状を洗い出し、目標までにどのような差分があるのかを精査しましょう。現状の課題分析では、問題の根本原因や関連する要素を特定し、その影響や重要度を評価します。この段階では客観的なデータや情報を活用し、主観的な意見や先入観に左右されないようにします。

アクションプランの策定

課題が分析できたら、具体的な方法を考えて、課題をどのように埋めていくか、アクションプランを策定していきましょう。アクションプランは、問題解決のための手順や行動計画を指します。アクションプランの策定時は5W1Hで考えていくことがおすすめです。問題の解決に向けて、誰が何をいつ行うのか、必要なリソースやスケジュールを明確にすることで、抜け漏れのないアクションプランを策定することができ、効果的な実行が可能になります。

 

05批判的思考のメリット

次に、批判的思考を取り入れるメリットについて解説していきます。批判的思考を取り入れることで、自社に期待できることとは何かを理解していきましょう。メリットを理解することで、自社に批判的思考を浸透させる目的を整理し、人材育成にも反映できる仕組みつくりを行うことができます。

物事の本質を見極めることができる

批判的思考は、どうしてこうなるのか、本当にこの考え方でいいのかという批判的、客観的な視点で物事を考え続けることを意味しています。思考を続けることで余計なものが取り除かれ、最終的に物事の本質部分に最も近いものになります。繰り返し、問い続けることで答えを導いていくことで、本質の理解を促すことは、業務における課題解決などにも活かしていくことができます。

矛盾や漏れを抑制することができる

疑問を持つ姿勢は、矛盾点の洗い出しを可能にします。洗い出された矛盾点を一つ一つ解決していけば、矛盾だけでなく漏れも発見できるなどの効果を発揮します。また、検討しつくした内容は適正なものである可能性も高くなり正しい情報に基づいた結論を導き出すことも可能になります。検討を行う上で、矛盾や漏れを抑制することは大きな課題の1つになります。批判的思考を行うことで、こうした課題を解決することができるようになります。

意思決定の効果を高めることができる

物事を懐疑的に捉えることで、物事の矛盾や漏れを低減するだけでなく、検討課題を掘り下げることが可能になります。検討が本質に近づくことで、自分たちが取り組むべき課題や解決方法が明らかになっていきます。その結果、意思決定までの時間と労力を無駄に使うことなくビジネスを展開できる環境を構築することができます。

 

06批判的思考の活用方法

批判的思考を活用することで、新規事業の立案、業務プロセスの改善、組織再構築などの様々な課題に対処し、効果的な解決策を見出すことができます。ここでは、それぞれの場面での活用方法を解説します。

新規事業の立案

ビジネスにおける批判的思考の活用シーンの一つ目は新規事業の企画立案においてです。新規に事業を起こす場合は、まだ解決されていない市場の課題を見つけ、その解決法を考える場面が想定されます。そういった場面では表面的な事象ではなく、なぜその課題が発生していくのかを深く掘り下げることが必要になります。こうした深堀に批判的思考を活用することができます。

業務プロセスの改善

ビジネスにおける批判的思考の活用シーン業務プロセスの改善があります。目先の見直しではなく、抜本的な改革を行う必要がある場合、課題の定義や深掘りし、それに対応するソリューション案を導く必要があります。こうした課題の定義や深堀においても、批判的思考を活用することで、より精度の高い課題解決を実現することができます。

組織再構築の実施

組織の再構築を行うシーンでも批判的思考は役立ちます。組織の目標や課題を深堀し、目指すべき組織の定義を行うことで、企業にとって必要な組織作りとは何かを見出すことができます。組織作りや再構築には、それぞれに目的を持っているのが通常です。この目的についても、本当にそれでいいかという問いかけを絶えず行うことで、本当に必要な組織の定義を行うことが可能になります。

 

07批判的思考力を身につけるための方法

次に、批判的思考を身に付けるための方法について解説していきます。自社の中で、批判的思考力をもった人材が多くいれば、その分、物事の本質を見極める力が高まります。人材育成の視点において、どのような育成が批判的思考力を高める方法として有効であるかを検討し、育成計画に盛り込んでいきましょう。

ロジカルシンキングを用いた現状分析スキルを養う

批判的思考力を高める方法の一つにロジカルシンキング(論理的思考)を養う方法があります。ロジカルシンキングを高めることは、現状分析力を高めることにつながります。また、ロジカルシンキングを用いることで、物事を単純化し検討や吟味をしやすく行えるメリットも発生します。このように、ロジカルシンキングと併用することで、より課題などの深堀りが促進され、物事の本質を見極める力を養うことが可能になります。

<ロジカルシンキングについてのSchooおすすめ授業>

ロジカルシンキングは、ビジネスのあらゆる場面で求められるスキルの1つですが、前項で解説したように、批判的思考を高めるためのスキルとして、ロジカルシンキングは重要です。
本授業では、「相手の困りごとを可視化する」という題材を通じて、超入門スキルとしての第一歩を学びます。

「すぐに使える ロジカルシンキング超入門」

すぐに使える ロジカルシンキング超入門

  • 天平株式会社 代表取締役

    日体大卒。脳みそまで筋肉!と言われていた学生時代から、会社経営&コンサルができるまでに成長。その秘訣は「ロジカルシンキング」です。ロジカルシンキングのことを「苦手だな~」「自分なんかが受けても大丈夫?」と不安な方にこそ学んでほしい。安心して学べる場をご用意しています☆彡

仮説思考プロセスで問題解決案を立案スキルを養う

問題解決案の立案スキルを高める仮説思考プロセスを理解し実践するスキルを高める方法も有効です。物事の本質を理解しても、それを解決する施策立案ができなければ効果を低くしてしまいます。例えば、問題の定義や否定をしても、それを改善させる提案などができなければ、意味が半減してしまうということです。この仮説思考プロセスの力が高ければ、問題の本質を理解した後の対応スピードが向上し、より課題解決を短期化することが可能になります。

<仮説思考についてのSchooおすすめ授業>

仮説思考を身につけることで、課題の発見や施策の精度をあげることができます。
本授業では、正しい仮説立てをするための視点や手法について学んでいきます。

「仮説こそ最強のソリューション」

仮説こそ最強のソリューション

  • リサーチャー

    リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、株式会社マクロミルで月次500問以上を運用する定量調査ディレクター業務に従事。現在は国内有数規模の総合ECサイト・アプリを運営する企業でUX戦略・リサーチ全般を担当する。 個人でリサーチに関する著作を持ち、デザイン・マーケティング・経営を横断するリサーチのトレンドウォッチャーとしてニュースレターの発行を行うほか、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして各種リサーチプロジェクトの監修も行う。 X|https://twitter.com/diisuket note|https://note.com/diisuket ニュースレター|https://diisuket.theletter.jp

論点に立ち返り考え抜く力を養う

批判的思考のためには、そもそもの前提が正しいのかを見る必要があるため、「論点思考」に立ち返ることが重要となります。論点思考を用いることで、検討に必要な客観的事実を明確に定義し、その内容をもとに正しく判断することができるようになります。こうした論点を正しく理解していく力も批判的思考力を高める要素になります。

思考の偏りに気づく力を身につける

批判的思考をおこなうためには、個人やチーム感で偏った思考を用いて解決策を導き出していないかなど、思考の癖に着目する必要があります。そういった慣習や癖にとらわれずに適切な解を出すためにも、スキルやトレーニングが必要となります。習慣や癖については、知らず知らずに身についていることも多くあるため、そうした特徴を理解し、影響を受けないための方法について習得することも必要だと理解しておきましょう。

 

08批判的思考を身につけるならSchooのオンライン研修

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クリティカルシンキング実践演習

クリティカルシンキング実践演習

  • YouTuber/外資系コンサルタント

    大阪府出身。ITソフトウェア企業に入社後、プロジェクト管理業務に従事。経済産業省プロジェクトマネージャ試験、国際資格PMP(Project Management Professional)などを取得。プロジェクトマネジメントの専門家として 大手メーカーのプロジェクトマネジメント業務に携わる。その後外資系コンサルティングファームに転職しIT・会計を中心とした経営コンサルタントとして従事。副業ではプレゼンテーション・思考法の専門家として、コンサル・セミナー・執筆などで活動。YouTubeチャンネル『マナビジネス』では「学び」+「ビジネス」をテーマに仕事の現場で使える仕事術についての情報を発信している。【YouTube】https://www.youtube.com/c/manabusiness

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09まとめ

本記事は、批判的思考をテーマに特徴やメリットについて解説しています。批判的思考を身に付けることができれば、深堀により物事の本質を理解し、問題などの解決に役立てることができます。企業においても、批判的思考力を持つ人材が増えることで、業務の改善にやくだてることができます。批判的思考力は、継続した育成によりスキルアップできるため、今後の人材育成カリキュラムへも反映し自社の業務改善に役立てていきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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