要員管理とは|具体的な方法や無料で利用できるツールを紹介

要員管理とは、プロジェクトなどにおいて必要なスキルを保有している人材を管理していることを意味しています。要員管理を行うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。本記事では、要員管理の概要やメリット、その実施方法について解説しています。
- 01.要員管理とは
- 02.要員管理のメリット
- 03.要員管理の注意点
- 04.要員管理の具体的な方法
- 05.要員管理ツールの紹介
- 06.まとめ
01要員管理とは
要員管理とは、プロジェクトや事業に必要な人員を管理・配置することを意味しています。ある仕事のために必要な人員という意味を持つ「要員」と、マネジメントという意味を持つ「管理」を併せた言葉です。
要員管理は「管理」という言葉から要員を把握することに焦点が集まりがちですが、それは要員管理の一端に過ぎません。要員を把握した上で、要員計画に対しての差分を埋めるために採用を行なったり、人材開発でスキルを付与したりといった取り組みを含めて、要員管理と呼びます。
人員計画との違い
要員管理と似た用語として、要員計画(人員計画)があります。
要員計画は「事業を進めるために必要な人材の採用や異動の計画」を意味するのに対して、要員管理は「事業に必要なスキルを持つ人材の把握・採用・育成」を意味します。
つまり、要員計画はプランニングで、要員管理は具体的なアクションと考えると違いがわかりやすいかもしれません。
02要員管理のメリット
要員管理を行うことで期待できるメリットには、どのような項目があるのでしょうか。ここでは、そのメリットについて解説しています。事前に理解しておくことで、導入の目的などを整理することが可能になります。
効果的な人員配置が可能になる
要員管理の最大のメリットは、効果的な人員配置を実現することです。要員が持つスキル・経験などを基に、個々人のパフォーマンスを最大限に発揮できる組織構築が可能になります。その結果、生産性を向上させたり、新サービスを開発したりといった好循環を組織にもたらすことができるようになるでしょう。
生産性や精度の向上に期待できる
適切な要員管理ができることで、生産性や精度の向上にも期待できます。要員が持つスキルや経験を適切に管理し、効果的な組織作りによることができれば、個々人の能力が発揮できる環境が構築されます。こうした環境の構築することによって、相互間での能力発揮による相乗効果も期待でき、継続的な業務の生産性が向上します。
無駄な人件費を削減できる
適切な要員管理ができれば、必要な人材のみで業務を効果的に実施可能となります。このような人員配置が可能になれば、人件費の削減についても期待できます。人件費は企業の経費の中でも大きな割合を占めます。こうした費用を最適に維持できるようになれば、新たな商品開発への投資などの準備も可能になるなど、リソースとコストの両面から会社全体にレバレッジを効かせることができるでしょう。
従業員のモチベーション向上につながる
能力を発揮できる場所に配置されることは、個々人の能力を発揮しストレスを軽減することにつながります。こうした環境に身をおくことは、従業員のモチベーションの向上にもつながります。従業員のモチベーションがアップすることは、従業員にとって働き続けたいと思わせる環境があることも意味します。高いモチベーションを維持することは、簡単ではないものの、実現すれば職場への定着率の向上、生産性の向上を期待することができるでしょう。
03要員管理の注意点
次に、要員管理における注意点について解説していきます。要員管理で得られるメリットは複数ありますが、注意すべき点もあることを忘れてはいけません。こうした注意点については、あらかじめその対策を講じることで要員管理の疎外要因になる事象を避けられるようにしましょう。
要員計画の実施には個々人の理解が必要
要員管理を行うには、従業員の理解が必要です。いくら良い仕組みを構築しても、従業員に理解されなければ、効果的な運用はできません。要員管理をなぜ実施するのかについて、丁寧な説明を実施するようにしましょう。
そのためには、経営者や役員から導入の目的、背景について発信してもらうと効果的です。会社全体で取り組みを促進しすれば、各部署や個人での理解を得やすくなります。その上で、具体的な疑問や懸念については個々人と対話して解消していく必要があります。
個々人の能力を把握することが重要
次に行うのが、個々人の能力の把握です。この能力の把握を適切に行わなければ、有効な要員管理ができません。また、適切な能力管理が行えず有効な人員配置も難しくなってしまいます。能力の把握については、適性検査などの情報、日常の業務におけるスキルの調査などを複合的に実施して整理すると良いでしょう。その他にも、自己申請によってスキルの調査を実施していきます。それによって、各個々人が所有するスキルの整理や特徴を把握して要員管理に利用します。
定期的な見直しによる再配置を計画する
要員管理については、実施をしたら終わるということではありません。要員管理に不備がないか、適切な配置を実施できているかについて定期的な確認を実施します。また、不具合が生じている場合については、見直しを行い人材の再配置を行っていくことを意識しておきましょう。ただし、短期的な視点で繰り返し再配置を行ってしまうと、その効果の見極めなどが難しくなります。そうならないためには、一定期間の様子を把握し見直しをしていくサイクルについても予め計画に盛り込んでおくことが重要です。
04要員管理の具体的な方法
要員管理を実際に行う際には、どのような手順を追って実施したらいいのでしょうか。次に、要員管理の具体的な方法について解説していきます。正しい手順を知ることは、実際の要員管理の計画立案時にも役立つと同時に、適切な効果を生む期待を持つことができるでしょう。
必要要員のスキルと人員数の把握
プロジェクトなどの発足時には、プロジェクト推進に必要なスキルとは何か、どうったスキルを持った人材が何人必要であるかを整理します。このスキル、人員数の把握を誤ってしまうと、プロジェクトの進行に遅れや問題を生じさせてしまいます。こうしたことを避けるためには、どこのポジション(役割)に対して、どんなスキルが必要なのかなど、リソースの配置を適切におこないましょう。特に現場で経験があるなど、実務にかかる工数を適切に見込める人材が策定することが重要です。
要員計画の立案
次に具体的な要員計画を立案します。ここで指す要員計画とは、具体的に従業員の誰を配置するかということです。この計画には、既存の業務の引継ぎ先などについても検討をしなければいけません。単純に人を異動させることが方法ではなく、適切な人事異動をすることが必要であることを念頭に、既存業務と新しい業務への影響を考えた対応を実施していきましょう。
人材の配置と稼動
次に、実際の人材配置を行います。この人材配置には、本人への動機付けも必要です。この動機付けは特に丁寧に実施する必要があります。時には、人材配置に納得しにくい場合もあります。こうした場合には、その目的や背景についても説明を行い納得し、モチベーション高い人材配置になるように心掛けましょう。また、大きな要員計画立案時には実施前に自社内の従業員全体への説明を行い、理解を促進するといった対応も必要となります。
計画の成果分析と見直しの実施
要員配置を行った後には、計画の成果を見極める分析や必要に応じての見直しを実施していきます。要員管理によって配置を変更後、すぐに結果が出るものではありません。実際の進捗や、実務での状況を見て判断する必要があります。見直しや効果の測定については、プロジェクトの期間によるものの、計画時に設定したマイルストーンごと、また都度進捗の確認をする場合はプロジェクトオーナーやディレクターが短期間ごとに評価するといったケースもあるでしょう。そのため、事前に要員計画の中に盛り込んでおくことをおすすめします。
ツール導入の検討
要員計画については、Excelやプロジェクト管理ツールなどを利用して立案する方法も検討していきます。Excelであれば、テンプレートから作成することもできます。また、プロジェクト管理ツールは無料のサービスもあるものの、一定の費用が発生します。ただし、管理工数や、管理上のミスも減らせるため、大規模なプロジェクトや関わるメンバーが多い際は導入を検討してみるといいでしょう。
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05要員管理ツールの紹介
要員管理ツールには、無料で使えるものから有料で機能が豊富なものもあります。Excelやスプレッドシートのように、工夫は必要ですが無料で使用できるツールを使うこともできれば、タレントマネジメントシステムを導入するのも1つの手でしょう。この章では、要員管理ツールの代表例を紹介します。
Excel
Microsoftが提供しているExcelは、要員管理のツールとしても使用することができます。社員を一覧化した上で、誰がどのようなスキルを持っていて、どの程度のレベルなのかなどを手作業で入力していくことで、要因管理表を作成することができます。
Excelを要員管理ツールとして利用するメリットは、Windowsであれば無料で使用できることも多く、社会人の多くが馴染みのあるツールである点です。一方、デメリットとしては、手作業で工数もかかり、人的ミスも考慮する必要があること。さらには、更新者やファイルの共有・管理の煩雑さが発生する点にあります。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートは、Excelと同様の使い方ができるクラウド型の表計算ツールです。出来ることはExcelとほぼ変わりませんが、クラウド型なのでWeb上で不特定多数の人が同時に編集できるなどの強みがあります。
Googleスプレッドシートを要員管理ツールとして利用するメリットは、Googleアカウントを作成すれば誰でも無料で使用できることと、同時編集ができるという点にあります。一方で、デメリットはセキュリティリスクです。要因管理は個人情報なので、アクセス管理などを徹底しないと個人情報漏洩というインシデントになりかねないので注意が必要です。
タレントマネジメントツール
タレントマネジメントツールとは、組織が従業員の能力や成長を効果的に管理するためのツールです。誰がいつ入社して、どのような部署に配属され、どのような経験を積み、どのようなスキルを保有しているかなどのデータを溜め込んでおくことができます。 タレントマネジメントツールの代表例は主に以下の4つです。
- ・タレントパレット
- ・カオナビ
- ・HR Brain
- ・SmartHR
タレントマネジメントツールを要員管理ツールとして利用するメリットは、機能性です。要因管理をするためのツールとも言えるので、Excelやスプレッドシートのように手間や工数を大幅にかける必要があります。一方、デメリットとしては、導入の手間と費用です。特に費用はそれなりにかかってしまうので、経営者の理解が必要となるでしょう。
06まとめ
本記事では、要員管理をテーマにメリットや注意点などについて解説しています。要員管理は、単純に従業員の人数を管理することではありません。そのスキルや能力についても把握し適切な配置を行う概念であり、全ての部署や業務で必要な管理方法です。業務を行う際には、必ず要員管理を行い適切な人材配置、スキルの整理により円滑な業務運営、成果のあがる組織作りを実施していきましょう。