キャリアチェンジする転職者の特徴は?採用するうえでの注意点を解説
キャリアチェンジとは、未経験の職種・業種に転職することです。本記事では、キャリアチェンジする転職者の年齢や職種、採用するメリット・デメリット、キャリアチェンジ転職者を採用する際の注意点を解説します。
- 01.キャリアチェンジとは
- 02.キャリアチェンジの転職者を採用するメリット
- 03.キャリアチェンジの転職者を採用するデメリット
- 04.キャリアチェンジ採用をする際の注意点
- 05.まとめ
01キャリアチェンジとは
キャリアチェンジとは、今までしてきた仕事とは異なる職種、業種に転職することです。例えば、職種であれば接客業から事務職へ転職する、業種であれば飲食業界からIT業界へ転職するといった流れを意味します。以前はひとつの企業にずっと勤めることが一般的でしたが、最近では異業種への転職でキャリアチェンジを図る人が少なくありません。 ただし、キャリアチェンジは職種や業種、年齢などによっては難しいケースもあります。そこでここからは、キャリアチェンジ希望者に多い年齢や職種、またキャリアチェンジとキャリアアップとの違いを解説します。
キャリアチェンジ希望者に多い年齢や職種
キャリアチェンジ希望者が最も多い年代は20代と言われています。。ただし、30代や40代でも活発にキャリアチェンジを図る人も珍しくありません。特に旅行・レジャー関係、小売・外食業界、商社・流通関係の仕事に就いていた方は、近年のコロナウイルスの影響で打撃を受けています。回復の見込みがなく、廃業を余儀なくされたり、生活に支障が出たりしたことでキャリアチェンジを試みている現状です。 職種別に言えば、販売・接客、建築・土木、医療関係の多くはキャリアチェンジを望んでいることがわかっています。これらの職種の共通点は体力的にきつい、長時間労働や不規則勤務が多いところです。若いうちは良くても、年齢を重ねてくるとどうしても体力の衰えから無理が効かなくなり、転職するケースが出てきます。 収入や体力面、また結婚・出産などでライフプランが変わったとき、新しい職種・業界で可能性を広げたいとき、興味のある分野に挑戦したいと思ったときなど、キャリアチェンジを考えるタイミングは人それぞれです。ただし、いずれも将来を考えたうえで、キャリアチェンジを図っているという点では共通しています。
キャリアアップとの違い
「キャリアチェンジ」と「キャリアアップ」は、似ているようで意味が少し異なります。キャリアチェンジは、未経験の職種や業種に転職することです。一方のキャリアアップは、同じ職種や業種に転職してさらに高度な知識や技術を身につけ、ステップアップする行為を意味します。また、転職せずに社内で昇進・昇給することもキャリアアップの一種です。昇進にともなって仕事の幅が広がったというパターンは、キャリアアップの成功事例と言えます。
02キャリアチェンジの転職者を採用するメリット
キャリアチェンジの転職者を採用するメリットは、4つあります。それは、自社にないスキルを持った人材の獲得、研修の短縮、即戦力の確保、そして既存従業員のモチベーションアップです。 転職者が今までの経験で得てきたことが、自社への貢献や即戦力につながります。新人とは違って社会人経験もあるため、丁寧な研修を省くこともできます。他にも在籍している従業員への刺激となるなど、メリットは大きいものです。
自社にないスキルを持った人材を獲得できる
採用する際に最も期待したいのは、転職者が持つスキルです。採用側としては、自社にはないスキルを有している人材が入社することで、仕事の効率が改善され、会社の業績の向上を期待できます。 例えば、ITに詳しい人がいない企業にエンジニアやプログラマーのキャリアを持つ転職者が入社すれば、エラー発生時もスムーズに解決できるでしょう。また、ITを駆使した効率の良い作業方法を提案してもらえるかもしれません。このように、自社にはないスキルを持った人材は、会社を良い方向に導いてくれます。
社会人経験があり研修を短縮できる
キャリアチェンジの転職者は社会人経験があるため、基本的な研修を短縮することができます。新人であれば挨拶や電話対応、来客対応など、基礎的な部分から研修をしなければいけませんが、転職者はこの部分の教育を省けます。こういった点からも、新卒社員を採用するよりも、キャリアチェンジの転職者を採用したほうが効率的です。
即戦力を期待できる
転職者の採用は、即戦力として期待できます。求人募集に実務経験やスキルなどの条件を提示することで、それを満たす転職者が応募してくるためです。社会人経験とスキルを有する人材が入社すれば、ゼロから教える必要がなく、即戦力になってもらえます。ただし、スキルさえあれば良いのではなく、人間性や職場の雰囲気に合うかどうかも見極める必要があります。
既存の従業員のモチベーションが上がる可能性がある
既存の従業員は日々の業務に慣れているため、社内の雰囲気もマンネリ化しがちです。そこに転職者が入社すれば既存の従業員にとっての刺激となり、モチベーションアップにつながります。転職者がそれまでになかった技術やノウハウを披露することで、職場が活性化されるようになります。
03キャリアチェンジの転職者を採用するデメリット
キャリアチェンジ転職者の採用には、メリットばかりではなく、デメリットもあります。短期での離職の可能性、スキルのレベルが低い、転職者と社風が合わないなどが主な欠点です。面接や経歴だけで見た時と、実際に働きだしてからとで、ギャップが生じることがあります。時間やコストがかかる採用活動では、転職者が本当に自社に貢献してくれるのかを慎重に見極める必要があります。
短期で離職される可能性がある
キャリアチェンジの転職者は、短期で離職する可能性があります。経歴を見て転職回数が多 ければ、また転職を繰り返すかもしれません。そうならないように、面接時には転職が多い理由を尋ねたり、自社に応募した理由を聞いたりしましょう。転職希望者が自社に転職する目的を明確にすることで、本気度を測ることができます。
期待していたスキルのレベルが低いことも
履歴書の内容や、面接で応募者が口にしていたスキルが、求めていたレベルよりも低いケースがあります。採用されたいばかりに、自身の経歴を誇張する応募者は少なくありません。選考ミスが起きないように面接の際には、実績やスキルについて細かく質問したり、スキルチェックのテストを行ったりして、レベルの把握に努めましょう。
社内風土とのミスマッチが生じることも
転職者のスキルが申し分なくても、社風が合わない可能性があります。例えば、転職者が「前職ではこうだった」という自我を貫き通す性格であれば、仕事がスムーズに進行しません。今までの経験があるからこそ、自分の考えに固執してしまい、新卒よりも柔軟性が低い思考になっているのです。このような人材はスキルが高くても社風に馴染めず、結果的に再転職してしまうかもしれません。スキル以外にも、社風に合う人材かどうかを見極めるようにしてください。
04キャリアチェンジ採用をする際の注意点
キャリアチェンジ採用をする際の注意点は、5つあります。採用条件の明確化、未経験者向けの研修、スピーディーなレスポンス、適切な給与の設定、転職経緯の確認です。これらに配慮することで、採用側と応募者側それぞれのニーズを明確化でき、ミスマッチを防ぎやすくなります。
採用条件を明確化する
キャリアチェンジ採用で最も重要な点は、採用条件を明確化することです。条件を明確にしなければ、自社に合わない応募者ばかりが集まり、採用に手間取ります。業務に必須となるスキルの有無や実務経験、資格の有無など、採用条件を絞りこむことで自社が必要としている人材が集まりやすくなります。
未経験者向けの研修を実施する
新卒採用時だけではなく、キャリアチェンジ採用時も未経験者向けの研修をすると、従業員が定着しやすくなります。即戦力として期待されていても、新しい仕事内容や方法が異なると、転職者側は戸惑いを覚えるはずです。そこで未経験者向けの研修を実施することで、新入社員は業務に必要な知識や職場でのルールを会得しやすくなります。
スピーディーなレスポンスを心がける
転職者側に限らず、採用者側もスピーディーなレスポンスが重要です。転職者が他社の面接を受けている場合、連絡が遅れてしまうと、そちらへ流れてしまうおそれがあります。また、連絡が遅い企業には不安感が募り、信用が失われてしまうことも。合否の連絡だけではなく、応募受付後のファーストコンタクト、また面接日時決定のやりとりもマメに行いましょう。スムーズな連絡のやり取りを継続することで、転職者は自社に信頼感を抱くはずです。
適切な給与を設定する
キャリアチェンジ希望者に対しては、適切な給与を設定しましょう。企業側が考えた給与額が、希望者の想定額よりも低ければ、不満が出て離職につながりかねません。こうしたミスマッチをなくすために、前職の給与と比較しつつ、過去の成果や業績を考慮して算出することをおすすめします。ただし、給与を高く設定しすぎると、既存の従業員から反発を招くおそれがあるため要注意です。
転職の経緯を確認する
面接の際にはキャリアチェンジ希望者の転職の経緯を確認しましょう。退職の理由が不透明であれば、入社しても長期的に務められない可能性があります。数か月や数年おきに転職が繰り返されているようであれば、なおさら慎重に確認しましょう。応募者はネガティブな退職理由をポジティブに言い換えることが多いため、回答を鵜呑みにしないようにしてください。
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05まとめ
キャリアチェンジ希望者は20代を中心に、30代・40代と幅広い層に存在します。希望者の経歴やスキルは人によって大きく異なるため、人事側は採用する際には慎重になる必要があります。メリットとデメリットを認識しつつ、今回ご紹介したポイントを押さえて採用活動を進行するようにしてください。
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登壇者:田中 研之輔 様法政大学キャリアデザイン学部 教授
一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数