公開日:2022/09/16
更新日:2023/02/02

技術力とは?その定義や持続的な企業・人材の技術向上方法を解説

技術力とは?その定義や持続的な企業・人材の技術向上方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

かつて日本は技術力が高い、と言われていた時代もありました。では、企業がもつ技術力とは何でしょうか。ここでは、企業の技術力の定義から、いかに継続して技術力を向上させるかについて解説していきます。

 

01企業の技術力とは何か

かつて日本は技術力が高いと言われた時代がありました。工業分野などにおいてはまだ技術力の高さを維持しているかもしれませんが、もはやすべての工業製品やIT技術において、技術力が高いとは言えなくなっているでしょう。 ですがここで一つ疑問が浮かびます。企業がもつ技術力とはそもそもいったい何かご存知でしょうか。 個人の技術力と言えば、例えば「熟練の職人の技術」などのように、経験や勘、応用して何かを生み出す能力、あるいはそれらの総合力だと考えることもできるでしょう。 一方「企業の技術力」とは、特定の技術に関する知見をもった社員が発揮する個人の力による技術力と、その個人の技術を活かせるだけの会社の固有資源やケイパビリティ、新しい技術を取り入れ続けられる会社の社風、それらが複雑に絡み合ったものではないでしょうか。 この記事では、漠然とした「技術力とは何か」という問いに対して、前述した「企業の技術力」についての定義を踏まえつつ、企業の技術力を向上させるための手法についてもご紹介していきます。

 

02場面により技術力が意味するところは異なる

一口に「技術力」といっても、それが意味するところはまちまちです。場面によって、それが意味することが変わると考えてもいいでしょう。 ここでは、そもそも技術力とはどのような要素をもった能力なのか、確認していきます。

開発力

「あの会社は技術力が高い」と言う場合、一般的にイメージされるのが開発力の高さではないでしょうか。企業における開発力とは、製品を生み出す人材や体制、固有ノウハウなどを総合した力を指します。 IT製品やアイデア商品など、さまざまな企画を商品という生産物に落とし込むには、優れた開発力が必要となります。 そしてもちろん、その開発力を活かして商品展開に挑戦できるだけの、会社の地力も必要になります。 また、プログラミングやシステム構築など、IT的な分野におけるプログラミング力の高さもここで示す「開発力」のなかに含めて考えて問題ありません。

生産能力や生産性

「あの工場は技術力が高い」と言う場合、多くは生産性の高さが評価されている場合があります。 いかに素早くプロダクトを生み出せるか、早くかつ、低コストで大量に作れるか、といった生産性の高さも、技術力を構成する要素です。 大規模な工場を抱えている場合は生産性が高そうですが、規模が小さいからといって生産性が低いとは限りません。生産性とはそもそも、投下する資源(ヒト・モノ・カネ)に対してどれだけの価値を生み出せたかで測ります。そのため小さな町工場だったとしても、熟練工のスキル継承や効率化によって、その規模からは考えられないほどの生産能力を発揮する場合もあります。

課題解決力

何かしらの問題に対する課題解決力も、技術力の一つとして認識されやすいでしょう。 プログラミングやコードでのバグや工場での不良品発生、製品異常などをすぐに直せるか、といった視点だと理解しやすいのではないでしょうか。 あるいは、物ではない無形サービスなどのプロダクトだったとしても、課題解決力は技術力と結びついて考えられます。 この場合は、アドバイザーやコンサルタントなどの課題解決技術をイメージすると分かりやすいと思います。

 

03企業の技術力を上げるメリット

企業の技術力を上げることには多くのメリットがあります。主な3つのメリットについて、解説します。

  • ・1.新しいイノベーションで市場をリードできる
  • ・2.高い技術がさらに高い技術の呼び水になる
  • ・3.長期的な存続につながる

1.新しいイノベーションで市場をリードできる

これは、前述した「開発力」や「課題解決力」に関連する技術力による成果です。 まだ世の中にない、しかし求められていたイノベーションを提供することで、市場で優位に立つことができるようになるでしょう。 自社がパイオニアとなり新たな道を切り開いていくことは、ブルーオーシャン戦略と合致しています。 まだ開拓され切っていない市場であれば、先行者の優位を活かしてシェアを独占できる可能性もあります。 「この部品では、日本の町工場が世界シェアトップ」といった事例のいくつかは、こういった過去のイノベーションを維持してきた結果なのではないでしょうか。

2.高い技術がさらに高い技術の呼び水になる

高い技術力が、さらに高い技術を生み出す場合があります。 自社の技術力の高さを魅力としてアピールできれば、それだけ高い技術力に関心をもった人材が集まりやすくなります。 また、IT技術の進歩が次のIT技術の誕生を促進したように、イノベーションがイノベーションを生むというケースは頻繁に見られます。 高度な技術は複雑に絡み合い、これまでの常識では作れなかったような素材やシステムを生み出し、より新しい価値を生むのです。 そしてこのような好循環を作れれば、最先端の技術カンパニーとして市場で確固たる地位を築くことが可能かもしれません。

3.長期的な存続につながる

いまや、一つの技術や特許だけで生き残り続けられるような状況ではありません。 すさまじい速度で技術革新が起こっているため、あっという間に既存技術が陳腐化してしまうためです。 新技術の根幹になるような特許技術や、自社の一社しか製造できないような製品を作れれば、あるいは一つの技術で生き残れる可能性も生まれるでしょう。ですが、それがあまり現実的でないことは感じられるはずです。 いつかは自社内で何らかのイノベーションを起こさなければ、企業として存続できなくなってしまうのです。 技術力があるということは、当然新しいモノや仕組みを開発できることを意味しています。 市場に受け入れられる新製品を開発し続け、システムのバージョンアップを続けることで生き残るのも良いでしょう。 ですが、必ずしも新製品を開発して生き残れ、というわけではありません。技術力の高さは、開発力だけでなく、前述した生産能力や課題解決能力にも及んでいます。 他社に先んじて新製品市場に参入する、生産性の高さで効率よく利益を上げるといった手法もあります。 あるいは誰も解決できない困難な課題にあえて挑み、解決策を生み出せればその分野で先行することも可能になるでしょう。 自社の技術力を磨くことは、生き残る企業基盤を作ることにもつながっているのです。

 

04企業の技術力を上げる方法

企業の技術力を向上させるには、どのような方法が有効なのでしょうか。 この項では、自社の技術力を上げるためにできる施策について確認していきましょう。

  • ・1.研修や勉強会の実施
  • ・2.技術を評価し投資する
  • ・3.多様性への対応

1.研修や勉強会の実施

研修や勉強会など、社内で技術力を上げられるような場を設けるのは効果的です。 特に、技術者が主導する自主的な勉強会の実施は、ほとんどコストやリスクが不要で、すぐにでも始められるためおすすめです。 会社側は、勉強会そのものへの補助金(資料購入、運営への補助など)の支給や、その後の懇親会への補助などを行うと開催を促進できます。 また、講師を招いてのセミナーも有効です。その場合、まず外部講師に依頼するのではなく、自社の技術者で教えられる人材にまずは講師をしてもらうのも良いでしょう。 IT系エンジニアであれば、ハッカソンやもくもく会と呼ばれる形式での勉強会も盛んです。 これらによって技術を継承したり全体の底上げを図ることも目的の一つですが、もう一つの目的として、「技術力を向上させる社風を根づかせる」というものがあります。 全社的な雰囲気として、技術力を重視し技術力を磨いていくと内外に示すことは、継続的に技術力を向上するために有効なのです。

2.技術を評価し投資する

日本は技術者への評価が低いと言われています。例えば一エンジニアであれば、日本では年収1,000万円でも高い水準に該当します。 ですが例えばグーグルやアップルでは、最上位エンジニアは日本円にして9,000万円~1億円程度の年収になります。それは一部の上位層だとしても、1,000万円級の年収も到達点ではなく、それほど珍しいものではないのです。 このような現状のため、英語ができる優秀なエンジニアは技術職への投資を惜しまない外資系企業への流出が激しいのです。 勉強会や研修の開催に代表されるように、技術を学びたい者が学ぶことができ、なおかつ技術力を身につけたことで評価され、給与が上がり、モチベーションが高まって会社へ残り、彼ら既存社員の高い技術力が評判を呼び、さらに技術力が高い人が入社してくる、という好循環を生めるとよいでしょう。 ですが今の旧来の日本企業は、完全にこの真逆の悪循環に陥り、技術力が失われているのです。 この現状に対して行えることは、技術者の技術を評価し、資金を投資するということです。前述の好循環を生むことができれば市場優位を獲得できるため、投機的な判断にはなりますが、取り組んでいかなければならないことなのではないでしょうか。

3.多様性への対応

技術者のなかでも特にITエンジニアは、扱っているプロダクトにもよりますが、基本的にどこでも働けます。 前述のように外資系企業に日本のエンジニアも流出しているという話がありました。働く場所が外資系企業の本国である必要はないため、日本に居ながらにして海外企業でも働けます。 また、そういったリモートワークなどに対して俊敏に動くことができたIT系ベンチャーも、ITエンジニアを獲得できています。 働き方の多様化はすでに起こっており、逆行することは難しいでしょう。なにより、働き方改革は政府も推進しているのです。 すでに状況に対して自社の制度を変化させている企業は、優秀な人材を勝ち取っています。こういった変化は、なにも働き方改革に留まりません。どのような変化であれ、社会の多様化にも対応していかなければ、技術力を向上させ続けるのは難しいでしょう。


 

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05まとめ

企業の技術力とはすなわち、技術力を向上させやすい会社の社風と高いスキルをもち技術更新ができる人材の両方を合わせた総合力のことではないでしょうか。 今後ますます、企業間の技術力による差別化が顕著になっていくでしょう。 ぜひこの機会に、自社がもつ技術力はどの程度か、考えてみてください。

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