ワールドカフェとは?実施する効果や方式からテーマについて解説
ワールドカフェとは、社内の会議を和やかにし、効果的な会議を行うための手法として用いられます。ビジネスシーンにおける企画会議や、通常の会議では、どうしても発言や議論が活発にならず、生産的な議論ができていないと感じる方も少なくないのではないでしょうか。本記事では、ワールドカフェの概要や特徴、さらに実際の導入方法について紹介します。
- 01.ワールドカフェとは
- 02.ワールドカフェの目的とは
- 03.ワールドカフェを行うメリットとは
- 04.ワールドカフェのお題・テーマの作り方
- 05.ワールドカフェのやり方・方式
- 06.まとめ
01ワールドカフェとは
ワールドカフェとは、Juanita Brown(アニータ・ブラウン)氏とDavid Isaacs(デイビッド・アイザックス)氏によって、1995年に開発・提唱された対話手法の一つです。カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、 少人数に分かれ自由な対話を行い参加した全員の意見や知識を集めることができる対話手法の一つです。 ビジネスの現場では、どのように使われているのか詳しく解説していきます。
ワールドカフェの概要
ワールドカフェは、堅苦しい会議ではなく、カフェのようにオープンでリラックスした空間でこそ知識やイノベーションが生まれる手法として、注目を浴びました。地位や年齢に関係なく誰もがフラットな立ち位置で、全員が自分の意見を言い相手の意見を聞くことが重要となります。
実施する際は、参加者を4〜5人ずつに分け、テーブルごとにテーマを決めて対話を進めていきます。一定時間が過ぎれば、テーブルのメンバーを入れ替え、対話することを繰り返し行います。最低十数人から1,000人以上でも実施することができるので、大企業でも導入しやすいのが特徴です。
ワールドカフェとワークショップの違い
ワールドカフェはワークショップの一種ですが、一般的なワークショップとは異なる部分がいくつかあります。
まず進行役について、会場全体の進行・説明を行うファシリテーターはいますが、各グループの司会をすることはありません。また、ワールドカフェは、対話のみの活動です。何かチームで作りあげたり、座学を受けたりということは行わないので運営側も特別な準備は必要ないのが特徴です。
ワールドカフェはテーマに沿った対話を促し、意見やアイデアを発散しやすいようにするため、司会や細かな進め方などの規定を設けない意図があります。また、多様な意見を取り入れた対話が可能となるように、話し合うメンバーを固定するのではなく都度入れ替えるといった工夫がなされています。
02ワールドカフェの目的とは
ワールドカフェの目的は、ひとつの答えや結論を出したり課題を解決したりすることではありません。参加者全員が意見を言い合い、お互いの認識を深め新たな気付きを得たり、参加者同士の理解を深めることが主な目的です。
少人数のグループで行われるため、お互いの意思疎通もしやすく、肩肘張らない雰囲気の中で自分と異なる考えに触れたり、興味のあるグループに移動することで気軽に新たな意見を取り入れることができます。
03ワールドカフェを行うメリットとは
通常の会議形式ではなく、ワールドカフェを実施するメリットとして、次の2点が挙げられます。それぞれの詳細について確認していきましょう。
- ・1.会議での発言が活発になる
- ・2.参加者同士の理解が深まる
1.会議での発言が活発になる
カフェのような雰囲気で意見を交換するため、自分の意見を人に伝えやすく活発になります。ワールド・カフェは4人1組程度の少人数での交流のため、一人ひとりが発言の機会を多く得ることができます。全体の参加人数が増えてもテーブル数が増える一方なので、発言の量が減ることはないです。
また、毎ラウンドごとにテーブルのメンバーをシャッフルすることで、同じテーマでも他のテーブルででた新しい意見の共有を行い、さまざまな意見が集まります。
2.参加者同士の理解が深まる
社内でワールドカフェを行う場合、他部署と連携して行うことでより効果を発揮することができます。ワールド・カフェで行う対話を通じて、参加者同士で同一性を見いだしたり共感を得たりすることができます。また、1テーブルが少人数であるためお互いの業務やプライベートのことなど深いところまで交流することができ、お互いに信頼感を感じたりする機会をもたらします。
04ワールドカフェのお題・テーマの作り方
ワールドカフェを行う時、話しやすい・カフェのようなリラックスできるといった雰囲気作りは大切ですが、参加者の対話を促すために「考えるきっかけを提供する」ことも重要になります。ワールドカフェを実施するうえで、お題やテーマをどのように選ぶべきかを見ていきましょう。
力強い問いであること
ワールドカフェでテーマを選ぶ際には、「力強い問いであるか」という点が重要です。
力強い問いとは、「シンプルで明確」「発想を促す」「理想の状態・新しい可能性を導く」など、誰もが意見を持ち共有しやすい問いのことを指します。そして「参加者が当事者意識を持てる内容」であることも大切になります。参加する人々が、提示されるテーマを自分のこととして考えてこそ、ワールドカフェが持つ効果を生み出すことができるからです。
社内でワールドカフェを開催する場合は、今抱えている課題を念頭に問いを考えることもいいでしょう。
オープンな問いであること
オープンの問いとは、イエス・ノーで答えられない問い」です。二者択一となるような問いかけは、どちらか一方を選択した時点で会話が終わってしまいます。そのため、「社内の福利厚生はいいか、悪いか」ではなく「福利厚生をどのように捉えているか」や「なぜ必要なのか」など、「なぜ」で始まる問いを設定できるように心がけましょう。
ポジティブな問いであること
対話をしていると参加者は否定的な面に目を向けてしまいがちです。そのため、「〇〇の問題は何か」という問いでは、より会話の中心が問題が起こったきっかけなど、過去のことに意識が集中しやすくなってしまいます。
そのため「〇〇をどうすれば改善できるか」や「〇〇を良くするために何が必要か」など、未来のことやポジティブな側面を考える問いを設定しましょう。
05ワールドカフェのやり方・方式
実際に社内にワールドカフェを導入する際は、問い作りだけでなく雰囲気や出てきたアイデアのまとめ方など準備することがいくつかあります。まず必要な準備から、実際のワールドカフェの流れについて解説します。
運営側でおこなう準備について
ワールドカフェは対話をするワークショップのため、運営側は目的の理解と会場の手配が重要になります。
まず目的の理解について、社内で行う場合はワールドカフェを行いどのような結果を望むのかを明確にします。社内の交流が目的の場合は、自由に意見を出し合ったり相互の理解を深めたりすることに焦点を絞り、参加者が話しやすいテーマを設定します。この目的を間違えてしまうと、形式上ではワールドカフェの話し合いでも、参加者はリラックスして交流ができない・自分の意見を伝えられないなど、効果は望ましいものにならないでしょう。
また、ワールドカフェでは会場が大きな意味を持ちます。参加者がリラックスできるような雰囲気を作らなければならないため、「どの会場にするか」「どのような準備をするか」を明確にしましょう。参加者が多く、会場が小さい場合は声が聞き取りづらく会話が活発にならない可能性もあります。また、飲食の可否などのルールに関しても、参加者に明確に提示しておくことが重要です。運営側がコーヒーやお菓子を用意して、よりカフェのような雰囲気に近づけることも効果的です。
第一ラウンド(テーマについて自由に話す)
第一ラウンドでは、参加者を4〜5名の少人数グループに分けます。そして、テーブルに模造紙とペンを用意し、発表された1つのテーマについて、模造紙に自由にメモをしながら話し合います。参加者それぞれが持つアイデアを自由に話し、出せるように話合う前にアイスブレイクを行い、グループ内の緊張を溶かすのも大切です。
第二ラウンド(アイディアについて深掘り)
第二ラウンドでは、自由に他のテーブルへ移動します。その際テーブルには、テーブルホストとなった人だけが残り、他のメンバーは第一ラウンドとかぶらないよう他のテーブルに移動するのです。それぞれのテーブルに残ったテーブルホストは、新しいメンバーを迎えて簡単な自己紹介をした後、そのテーブルで話し合われた内容を説明し、その後同じテーマについて話し合いを続けます。
この時出てきた新しい意見は、否定せずに受け入れることが重要です。また、「なぜそう考えたのか」という会話を行うことでブレインストーミングを行うことができます。
第三ラウンド(検出した新しい気づきをまとめる)
第三ラウンドでは、他のテーブルに散ったメンバーが最初のテーブルに戻り、移動先で話し合った内容や得た情報などとともに、さまざまな意見やアイデアを出し合います。行き詰まった時は、メンバーに「なぜこのアイデアが出たのか」などを聞いてみることで、新たな気づきや意見を見つけることができるでしょう。
また、各テーブルで出てきたアイデアを全体で共有しましょう。ここでポイントとなるのが、意見を一つにまとめたり優劣をつけたり、結論を導いたりしないようにしましょう。
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06まとめ
ワールドカフェは社内の交流を深めるためだけでなく、自身の知識や新しい発想を取り入れることができる対話手法です。今回の記事では、ワールドカフェについてや目的・実際のやり方などを紹介しました。社内で交流が薄いと思った場合や、新しいアイデアが欲しいと感じた時に是非実践してみてください。