公開日:2022/10/20
更新日:2024/06/25

アルファ世代とは?特徴やZ世代の違いからみるZ世代の人材育成ポイント

アルファ世代とは?特徴やZ世代の違いからみるZ世代の人材育成ポイント | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

アルファ世代は、その多くが2030年代以降に就業する世代です。少子高齢化による労働人口の減少という観点から、アルファ世代を見据えたZ世代の人材育成を進めておかなければなりません。本記事では、アルファ世代の特徴やZ世代とのデジタル環境や就業観の違い、Z時代の人材育成ポイントについて解説します。

 

01アルファ世代とは

アルファ世代とは、2010年台〜2020年台(中盤または終盤)頃に生まれる世代を指す言葉です。この世代は、21世紀生まれの初めての世代であり、2022年現在において最年長は小学6年生で、2028年には成年に達します。このことから、就業するのは早ければ2028年頃となります。

この世代名は、2008年にマーク・マクリンドルによって提唱された言葉で、ギリシャ文字の最初である「α」を採用し、新たな時代の始まりをイメージして考案されました。アルファ世代の始まりを2010年とする背景には、この年にInstagramとiPadが登場したことにあります。

なお、世代の年齢区分は諸説あり、厳密な定義はありません。世代の前後に重複が見られる場合があります。

 

02アルファ世代の特徴

アルファー世代には、どのような特徴があるのでしょうか。現段階ではその多くが子どもであるため、特徴や傾向については未知な部分があるのも事実です。しかし、Z世代に見られる特徴の多くはアルファ世代にも共通し、時代の流れとともに顕著になると考えることができます。 その点を踏まえて、アルファ世代の特徴について解説します。

アルファ世代の特徴として考えられるのは、以下の4点です。

  • 1.デジタルネイティブである
  • 2.情報リテラシーが高い
  • 3.多様な学びの手段を経験している
  • 4.自分らしさや多様性を重視する

1.デジタルネイティブである

アルファ世代の特徴として、デジタルネイティブが挙げられます。デジタルネイティブとは、インターネットやパソコンなどの電子デバイスがある環境で育ってきた世代のことです。アルファ世代は、家族もデジタルネイティブであり、InstagramなどSNSのアカウントをもち運営している小学校もあります。

また、2019年12月に文部科学省より発表され、GIGAスクール構想が進められる中、児童生徒が「ひとり1台」の状況でパソコンやタブレット型端末を使える環境の整備もほぼ完了している状況です。さらに、2020年から小学校でプログラミングが必修化していることもあり、アルファ世代の電子デバイスがある環境は、日常生活においてスタンダードになっているといえます。

2.情報リテラシーが高い

アルファ世代は、情報リテラシーが高いという特徴があります。現在、小学校低学年から中学校まで情報リテラシーの教育が行われ、「コンピュータの基本操作」「情報手段を適切に活用するための学習」「情報モラル」の3項目について、段階的に学んでいます。

具体的には、キーボードでの文字入力やインターネットの閲覧方法、電子メールの送受信に加えて、得られた情報の比較などです。また、情報には間違ったものもあることや、発信した情報は他者に影響を与えることも教育されています。ただ、アルファ世代は、2022年現在では最長で12歳と年齢層が低く、現実との境目がつかずネットリテラシーが問題視されることもあるため、教育の浸透には時間がかかるでしょう。

▶︎参考:第4章 情報教育|文部科学省

3.多様な学びの手段を経験している

アルファ世代がデジタルネイティブであることに関連して、GIGAスクール構想が進められ中、デジタル教科書や端末を利用した遠隔授業、オンデマンドの動画教材などが導入されています。従来の対面授業のほかにも、遠隔・オンライン授業とのハイブリッド化など多様な学びの手段を経験していることが、アルファ世代の特徴です。

遠隔・オンライン授業は以前から実施されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、急速に普及しました。将来的には、間違いなくICTが学校の中で当たり前に使われるようになり、学びの手段がさらに多様化していくでしょう。

自分らしさや多様性を重視する

アルファ世代は、生まれた時からテクノロジーが身近にあり、スマートフォンやタブレットを使用することが当たり前の世界で育っています。彼ら・彼女らはデジタルネイティブであり、幼い頃からインターネットを介して多様な人種・性別・文化に触れているのです。そのため、多様性やインクルージョンに対する関心が自然と高くなり、違いを尊重することが当然であると考えている人が多いという特長があります。

さらに、アルファ世代は個性や自己表現に大きな価値を置いている人が多くいます。自分自身を表現するために、インターネットやソーシャルメディアを活用し、創造的な活動や自分らしいライフスタイルを追求する傾向があるのです。例えば、YoutubeやTik Tokのような動画投稿に対しての経験も、この自分らしさの重視に繋がっているのかもしれません。

 

03アルファ世代とZ世代の違い

Z世代は、1990年代中盤~2000年代終盤(または2010年代序盤)頃に生まれた世代のことです。令和のスタートとともに社会人になった世代であり、2022年現在では大体10歳から26歳前後の人が該当します。世代年齢の下の区切りをどこまでとするかは確定的ではありませんが、おおよそ10代前半と捉えておくと良いでしょう。

アルファ世代とZ世代の違い
 

アルファ世代とひとつ前のZ世代には、どのような違いがあるのでしょうか。以下の2つの観点で解説します。

  • 1.世代を取り巻くデジタル環境が大きく変化している
  • 2.時代の流れとともに就業観が変化している

世代を取り巻くデジタル環境が大きく変化している

Z世代は、デジタルネイティブであり、ソーシャルネイティブ、さらにスマホネイティブでもあるといった特徴があります。1998年には米マイクロソフトの「ウィンドウズ98」が一般家庭に普及し始めました。さらに2000年がITバブルといわれ、ITが職場だけではなく、一般家庭にも浸透したのです。したがって、Z世代は、物心ついた頃にはITが身近になりつつあったといえます。

一方で、アルファ世代は、生まれた時点で、すでにInstagramといったSNSやタブレット端末が発展している環境にあります。乳幼児期から、ハイテク玩具でAIや音声コマンド、ロボットにも親しんでいます。加えて、小学校からプログラミング教育がなされ、タブレットを通じたオンライン授業も行われるようになるなど、Z世代と比較しても、アルファ世代を取り巻くデジタル環境は大きく変化しているといえるでしょう。

時代の流れとともに就業観が変化している

松井証券株式会社が2021年に行った「初任給と理想的な働き方に関する世代別の実態調査」によると、Z世代における上位の回答は以下の通りです。

  • 1位:副業からも収入を得る(54.3%)
  • 2位:お金を貯めて独立(26.6%)
  • 3位:終身雇用(21.8%)

この結果から、Z世代は会社に依存せず、副業、転職、起業など幅広い選択肢を持ちたいと考える傾向にあるといえます。アルファー世代が社会人になる頃には、終身雇用は理想ではなく、転職へのハードルもさらに低くなるでしょう。更にアルファー世代は、親がミレニアル世代にあたる人が多いという特徴もあります。ミレニアル世代は、それより以前の世代と比べても価値観の多様性を受け入れたり、社会問題への関心が高いという特徴があります。そのため家族からの影響もあり、より世代の常識にとらわれない、今までにない就業観を持つようになると考えることができます。

▶︎参考:「初任給」と「理想的な働き方」に関する世代別の実態を発表|松井証券株式会社

 

04アルファ世代を見据えたZ世代の人材育成ポイント

アルファ世代が就業する頃には、Z世代が上司や管理職になる可能性があります。そのため、アルファ世代を見据えたZ世代の人材育成が重要になるでしょう。

主な人材育成ポイントは、以下の通りです。

  • 1.過去の成功体験に固執し過ぎない
  • 2.企業の育成観を継承しつつ環境に合わせて変える
  • 3.個性や強みを尊重する

過去の成功体験に固執し過ぎない

Z世代を育成するためには、過去の成功体験に固執し過ぎないことがポイントです。過去に成功した人ほど、今までのやり方に固執する傾向にあります。もちろん、それも1つの育成の在り方であり、Z世代にマッチする方法がある可能性は否定できません。しかし、変化の多い時代において、過去のやり方が通用しないことも少なくないでしょう。Z世代から見ると、理解できない恐れもあります。

Z世代それぞれに応じて、異なる育成方法を実施することが大切になります。実践を通してスキルや経験を積み重ねる方が良いケースもあれば、座学を中心にスキルを学ぶ方が理解が深まるケースもあるためです。過去の成功体験に依らず、どのような方法が、仕事への意欲が高まるかという視点を持つ必要があるといえます。

企業の育成観を継承しつつ環境に合わせて変える

Z世代を育成するには、企業の育成観を継承しつつ、柔軟に環境に合わせて変えることが重要なポイントです。時代は変わり、社員の意識も今までとはずいぶん変わっています。前項で触れたように、社員に適した育成法を実施しなければ、企業の将来を担っていくコア人材へ成長させることはできないでしょう。

ただ、自社の理想とする人材の育成観は継承すべきです。それが自社にとって、競合他社にはない強みにもつながります。すなわち、どのような人材に育てたいかといった根幹を大切にし、外部環境や内部資源を踏まえて、自社の育成を考えていくと良いでしょう。

個性や強みを尊重する

Z世代の個性や強みを尊重することも、育成のポイントです。Z世代には、終身雇用を理想としない、本業とは別に副業がしたいといった就業観があります。それは、自分らしい働き方や生き方などの価値観の表れといえるでしょう。教育する立場に立てば、世代間の異なる価値観はネガティブに感じがちですが、視点を変えると、自分たちにないものを持つ存在ともいえます。

上司にあたる世代は、業界知識・経験やリーダーシップなどのスキルを持ち合わせています。一方、Z世代は上司世代よりデジタルネイティブであり、情報リテラシーが高いことが強みです。お互いに学び、補い合うという考えのもと育成すると、より良い個と組織をアップデートしていくことができるでしょう。

 

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    特定非営利活動法人しごとのみらい理事長の竹内義晴です。「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマにコミュニケーションや組織づくりに関わる企業研修や講義に従事しています。また2017年よりサイボウズ株式会社で複業を開始。複業や2拠点ワーク、テレワークなど今後の仕事の在り方を自ら実践し、地域を跨いだ活動経験からワーケーションや地域活性化のための事業開発にも関わっています。新潟県在住。 著書『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』(翔泳社)"

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06まとめ

本記事では、アルファ世代の特徴やZ世代との違い、アルファ世代を見据えたZ時代の人材育成ポイントについて解説しました。アルファー世代の特徴は、年齢的にも未知な部分があるとはいえ、Z世代と重なり合う部分も多く、Z世代の特徴をより顕著にしていくと考えられます。Z世代は、アルファ世代が社会人になる頃には、間違いなく社会の中心となる世代です。企業の将来をを担う若い世代の特徴や傾向を理解し、それらを活かせる環境の整備が求められています。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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