リモート時代に求められるリアルワークの価値とは?その重要性や効果の上げ方を解説
リモートワークが普及してきた現在、今までの物理的に自社に出社していた姿を「リアルワーク」と呼ぶ機会が増えています。現代におけるリアルワークには、どんな意味があるのでしょうか。その重要性について確認していきましょう。
- 01.リアルワークとはオフィスなどへ出社していた従来の働き方のこと
- 02.リアルワークのメリット
- 03.リアルワークのデメリット
- 04.リアルワークの効果を高める方法
- 05.まとめ
01リアルワークとはオフィスなどへ出社していた従来の働き方のこと
近年、IT系を中心にPC上で作業を完結できる多くの職種でリモートワークやテレワークが取り入れられるようになりました。リモートワークという言葉の登場と浸透によって、今までオフィスに出社して物理的に顔を合わせていた働き方のことを「リアルワーク」と呼ぶようになっています。社会全体でリモートワークが取り入れられてからしばらく経過したことで、リアルワークとリモートワークのメリットやデメリットが明確化され、共通認識として知られるようになってきました。
リアルとリモートを組み合わせたハイブリッドワークも登場
リアルワークとリモートワークのどちらか片方だけを採用するのではなく、出社して業務を行う日と在宅勤務を組み合わせる働き方であるハイブリッドワークという概念も生まれています。中には、リモートワークに対応した際にオフィスの床面積を縮小したため、全員出社をすると物理的に場所が足りなくなるため、場所的な意味合いでハイブリッドワークを導入している企業もあります。また、シェアオフィスやコワーキングスペースを借り切って、「近いエリアに住む社員が5人くらい集まって顔を合わせる」「〇〇というプロジェクトの人だけがここに集まる」という場所を作るというパターンもあります。こういった、リアルで集まりはするが本社に出社するわけではないというタイプのハイブリッドワークや疑似的なリモートワークも存在しています。
01リアルワークのメリット
リモートワークが増えたことで、従来の一緒の空間で仕事をするということがもっていたメリットが、よりはっきりと見えてきました。リアルワークの主なメリットについて解説します。
- ・1.感情などの非言語情報を獲得しやすい
- ・2.雑談などにより関係性を深めやすい
- ・3.教育や指導がしやすい
1.感情などの非言語情報を獲得しやすい
人は会話する際、実は会話の端々や動作などから、多くの非言語情報を得ながら意思疎通を図っています。身振り手振りや表情、目線などがそれにあたります。リモート会議でも、声の調子や間の取り方など非言語情報を得ることはできますが、実際に対面での会話に比べると得られる情報は少なくなってしまいます。これら、非言語情報を得ながらコミュニケーションをとれることは、リアルワークがもつ大きなメリットです。特に、数名のチームが密着して進めるタイプのプロジェクトでは、こういった親密なコミュニケーションが重要となります。
2.雑談などにより関係性を深めやすい
リアルワークとリモートワークの違いを比べた場合、業務外の休憩中などにほかの社員が周りにいる、というのが大きな特徴です。自分以外の人がいるため雑談ができますし、ちょっとした息抜きや小休憩なども周囲の雰囲気を見てやりやすくなります。雑談からは思わぬイノベーションが生まれたり、問題解決の糸口が見えたりすることもありますし、部署外のつながりもできたりします。
また、リモートワークでは真面目な人ほど息抜きができず、長時間労働をしてしまう傾向があるといわれています。また最近では、上司やメンバーの顔が見えないため必要以上に自分の存在感を示さなければならないと感じてしまい、チャットなどにすぐに返信しなくてはならない、というストレスを抱くこともある、という指摘もあります。そのような反応をせずとも、リアルワークでは顔を見ての関係性構築が容易であるという点は大きなメリットです。
3.教育や指導がしやすい
実際に現場に行ったり、実際に手元で現物を操作したりできた方が、OJTをはじめとした指導がしやすいものです。反対に、リモートワークにおいて言葉だけでPC操作や機材の操作を教えるのは非常に困難です。また、リアルワークでは非言語情報を得られるため、部下やメンバーのコンディションを普段のコミュニケーションを通して知ることができます。 部下が見せる言外の様子から疲れや悩みを察知できるため、「ちょっと一緒に休憩に行くか」「1on1でもするか」といったフォローを入れやすいのも特徴です。リアルワークはこうした教育・指導がしやすいという点もメリットの一つです。
03リアルワークのデメリット
リモートワークが増えたことで、メリットだけでなく、反対に今までリアルワークがもっていたデメリットについて再度考えられるようになりました。次に、リアルワークがもつデメリットについて確認していきましょう。
- ・1.時間的・物理的な制約に縛られる
- ・2.オフィスコストの負荷がかかる
- ・3.採用や人材の確保に影響する
1.時間的・物理的な制約に縛られる
リアルワークの場合、時間的・物理的な制約に大きく縛られてしまいます。これは、リモートワークが生まれたことで見えてきた「気づかれなかったが、実は存在していたデメリット」です。例えば、会議を行うためには会議室を予約する必要があり、参加人数は会場のキャパシティに影響されます。あるいは、災害や事故による電車遅延などの物理的影響を受けて、多くの社員が遅刻してしまうこともあり得ます。そういった制約は、リモートワークではありません。むしろ事業継続性という点ではリモートワークは災害に強いとされ、また会議はオンライン会議の方が望ましいとされる風潮も生まれているほどです。
2.オフィスコストの負荷がかかる
リアルワークが中心で出社ありきの会社の場合、自社ビルや自社の社屋を構えていないのならオフィスの固定費が必ず発生します。加えて、オフィス費用だけでなく社員の交通費やオフィスの備品をそろえたりメンテナンスするなどの副次的なコストも必要となります。そのため、リアルワークが中心の会社はリモートワークやハイブリットワークと比較すると固定費が高くなる傾向にあるのです。リモートワークに対応した際にオフィスの床面積を縮小した企業も少なくありません。そういった企業がオフィスを再度拡張してもとの規模に戻さないのには、コスト削減という意味合いも含まれています。リモートワークであれば、それらの費用を最小限に抑えられるのです。
3.採用や人材の確保に影響する
リモートワークが普及することによって、職種によってはリモートワークが前提だと考える人が増えてきました。現在の業務がリモートワーク中心のため、地方や郊外に移住したという人も少なくありません。また介護や育児に時間を取られるため出社して業務を行うことは難しい、という人も、リモートワークならば働けるというケースもあります。すでにリモートワークで上記のような状況にある人の場合、「リアルワークに戻すと働けなくなるので、その場合は辞めます」という人もいるほどです。地理的・時間的な制約から、出社が前提だと採用しづらく、人材が流出してしまう傾向が生まれてきているのです。
04リアルワークの効果を高める方法
リモートワークと対比して考えられるようになってきた現在、従業員に納得感をもってリアルワークを行ってもらうためには、その効果を高めていく必要があります。その方法について、確認していきましょう。
- ・1.リアルワークでしかできない仕事を明確にする
- ・2.コミュニケーションを活性化させる仕組みを導入する
- ・3.ハイブリットワークを推奨する
1.リアルワークでしかできない仕事を明確にする
「なんとなく出社」するのではなく、「なぜ出社するのか、ここでは何をするのか」という明確な意味をもたせましょう。例えば、細かい要件のすり合わせや、プロダクトなどの現物を手に取って議論をするなどの場合、リアルワークの方が良い結果になりやすいとされています。
メリットで紹介したように、リアルワークは非言語情報が重要になるコミュニケーションが得意です。そういったコミュニケーションが求められるのなら、可能な限り対面で顔を合わせて行うようにすると、情報が欠如することによって業務効率が下がることを防げます。 リアルワークでしかできない仕事は何かを明確に定義し、それを行うための必要不可欠な出社である、と社員に理解してもらうようにしましょう。
2.コミュニケーションを活性化させる仕組みを導入する
リアルワークでは、何気ない雑談なども重要です。これらの社員コミュニケーションを活性化させるような仕組みを、会社側が提供するというのもリアルワークの価値を高める手段の一つです。例えば、休憩所にある自販機に「2人で買えばタダになる(費用は会社が負担)」という機能をつけて、2人以上で休憩しコミュニケーションを促す、という取り組みが話題になったことがあります。そのほか、ランチミーティングへの補助などリアルワークをした人たちが部署を超えて集まり、なにかしらのコミュニケーションを行いやすくなるような仕組みを作ってみましょう。これを行うことで、「雑談などにより関係性を深めやすい」というリアルワークのメリットをより強化することができます。
3.ハイブリットワークを推奨する
ハイブリッドワークを取り入れるのも、リアルワークの効果を高める手段の一つです。リアルワークの価値について解説するだけでなく、実際にリモートワークと合わせて行うことで従業員にとっても腹落ちしやすくなるでしょう。そのために必要なのが、リアルワークですべきこととリモートワークでもできることを明確にすることです。「この業務の場合は出社した方が好ましい」「この業務は在宅で行っても問題ない」といった指標を、会社側から提示するのも良いでしょう。これによって、時間的・物理的制約を解消できるというリモートワークのメリットを享受しつつ、必要な場面でリアルワークがもつメリットも享受できるようになります。
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05まとめ
リアルワークやリモートワークの話をする際、どうしてもどちらが良いかという論になってしまいがちです。しかし、最も効果的であるのは、両方のメリットとデメリットを理解したうえで、どちらも選べるハイブリッドワークができる姿なのではないでしょうか。 ぜひこの記事をきっかけに、自社内で今一度リアルワークがもつ意義を再定義してみてください。