テレワークにおけるマネジメントとは?その重要性や効果的な方法を解説
テレワークでの効果的なマネジメント方法を知っていますか?互いの状況がわかりにくいテレワーク下では、メンバーの育成や管理に悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、テレワークでマネジメントを行う重要性や課題・効果的に進める方法・成功のコツを徹底解説します。
01テレワークの現状とマネジメントの必要性
2020年5月に緊急事態宣言が出され、大都市を中心にテレワークを余儀なくされました。新型コロナウイルスの猛威が落ち着いた今でも、テレワークを許容する企業は一定数います。この章では、テレワークの現状とそれに伴うマネジメントの必要性について紹介します。
テレワークの現状
野村総合研究所の発表によると、2022年12月時点で日本のテレワーク対象者率は、25.5%でした。一方で、都道府県別に見てみると東京、神奈川ではテレワーク対象者率は40%以上(東京は51.2%)、また千葉、埼玉、大阪も30~40%未満と大都市部ではテレワーク対象者率は未だに高い傾向が続いています。
▶︎参考:2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望|野村総合研究所
東京都が2023年4月に実施した調査でも、テレワーク実施率は未だ50%程度を維持しているという結果になりました。また、1週間単位でのテレワークの実施回数も週3回以上が41.5%となっており、テレワークを中心とした働き方が定着しつつあるように思えます。
▶︎参考:テレワーク実施率調査結果 4月|東京都
テレワークに適したマネジメントの必要性は強まる
テレワークが徐々に定着している中で、マネジメントもこれまで以上にテレワークに適応していく必要があります。一定の企業がテレワークも選択できるハイブリッドワークを推進する中で、完全出社に戻す企業も中にはいます。しかし、テレワークから出社回帰を進めることによって、転職意欲が向上したという調査データも見受けられます。特に出社せずとも仕事に支障のないエンジニアやプログラマーなどの職種を中心に、この傾向が強いようです。
そのため、エンジニアだけはテレワークを完全に許容し、それ以外の職種は週3日以上の出社などと業種に切り分ける企業も出てきています。このような流れが続くとなると、その他の職種でも平等性を求めてテレワークを希望する人が増えてくるかもしれません。急激な人口減少が確実な未来となっている日本において、社員の離職は経営に大きく関わる問題であり、テレワークを選択できる企業は増えてくる可能性が高いでしょう。
このような社会背景の中で、テレワークだとマネジメントができないという言い訳は通用せず、テレワークでも出社でもマネジメントできる人材はさらに市場価値が高まっていくはずです。
02テレワークで発生するマネジメントの課題
テレワークが普及したことにより、以下のような4つのマネジメント課題が浮き彫りになりました。
- 1.評価が納得されにくい
- 2.自律しない
- 3.メンタルケアが難しい
- 4.関係構築の機会が少ない
しかし、これらの課題はテレワークによって生じたものではありません。テレワークが普及するコロナ禍以前から存在し、何年も前から多くの企業が試行錯誤を繰り返してきたのです。
テレワークでなければ、これらの課題を解決せずとも組織運営はなんとなくうまく行っているように見えていました。しかし、テレワークを今後も継続するのであれば、これらの課題に本腰を入れて解決する必要があります。
1.評価が納得されにくい
テレワークには、プロセスが見えにくいというデメリットがあります。これによって評価に対しての納得感を得られにくいという課題も発生しています。
管理職がメンバーの仕事ぶりを全て把握することは不可能に近く、テレワークによって更に把握が難しくなりました。このような状況では、正しく評価されていないという感情を抱くメンバーが増えてもおかしくないでしょう。一方で管理職も正しく評価できているという自信を持てない状況かもしれません。
2.自律しない
社員が自律しないという課題は、テレワークで顕著に注目されました。在宅勤務で何をしているかわからない。実際は仕事をせずにサボっているのかもしれない。
出社していた時は、意図せずにも周りの眼が監視の役割を担っていましたが、テレワークでは監視されることがないため、自律していない社員の生産性は極端に下がることもあります。
3.メンタルケアが難しい
テレワークでは、丸一日話したり、顔を合わせたりしないメンバーも出てきます。そのため、メンバーの健康状態や心理状態の変化をリアルタイムで把握することが難しいという課題も発生しているのが現状です。
また、顔を合わせて話をしていても、画面越しでは伝わらず、メンタルヘルスが悪化。気づいた時には休職が必須の状態ということも起こっています。
4.関係構築の機会が少ない
テレワークで発生するマネジメントの課題として、関係構築の機会が少ないというものもあります。これはコミュニケーション機会の不足も大きく影響しているでしょう。
先述した評価への納得度やメンタルケアに関しても関係構築が良好にできていれば、解決しやすい課題と言えます。つまり、関係構築がテレワークにおけるマネジメント課題の本質なのかもしれません。
03テレワークにおけるマネジメントのスタンス
テレワークにおけるマネジメントのスタンスについて、「リモート時代のマネジメントと信頼構築」というSchooの授業で、株式会社キャスター取締役COOの石倉秀明氏は以下のように述べています。
テレワーク時代のマネジメントに求められるのは、「邪魔しないこと」だと思っています。各メンバーがどのような理由で働いているか、どのようなモチベーションで働いているかをコントロールすることは不可能であり、それを1つに固定しようとする行為は、メンバーの邪魔をすることに繋がっているのです。マネージャーの仕事はチームミッションの達成なので、そのミッションを達成するための手段として関与するという方法もありますが、それが達成できているのであれば、できる限り邪魔をしないことが重要だと思っています。
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株式会社キャスター取締役CRO
株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。
つまり、チームミッションの達成がマネージャーの仕事なので、そのミッション達成に必要であれば、伴走もしなければならない時もあれば、メンバーの育成もしなければならないということです。あくまでも、邪魔をしない=放置すると捉えてはいけません。これまでメンバーの価値観を固定したり、矯正したりしていたものを止めて、メンバーの多様性を重視しながら、チームミッションの達成に必要なことだけに注力するということが、テレワーク時代のマネジメントに求められるスタンスということでしょう。
04テレワークにおけるマネジメントの方法
テレワークでどのようにマネジメントをしたら良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。テレワークと対面でのマネジメントの違いを知ることで、テレワークに適したマネジメント方法を抑えましょう。 本パートでは、通常のマネジメントとの違いやテレワークのマネジメントで気をつける点を解説します。
テレワークでのマネジメントは評価基準や目標を明確にする
テレワークと通常のマネジメントの大きな違いは部下を直接管理できるかどうかです。通常のマネジメントでは、部下の仕事の取り組み状況を見ながら必要に応じて1on1を設定したり、フィードバックをすることができます。しかし、テレワークでは部下のタスク進捗状況や仕事への取り組む姿勢が見えません。そのため、対面でのマネジメント以上に、部下のタスク進捗状況や心理状態に気を配る必要が出てきます。メンバーとの定期的な面談を実施しましょう。また、テレワーク下でのマネジメントでは評価基準や目標を明確にしておくことが重要です。メンバーとの間で認識に差が生じてしまうと、「不当な評価をされた」と思われてしまう可能性があります。評価基準や目標は、あらかじめ明確にしておきましょう。
業務アサインを適切に行う
テレワーク環境に限らず、管理職がメンバーの業務内容を完全に把握することは不可能に近いでしょう。テレワーク環境であれば尚のこと難しいです。そのため、業務アサインは丁寧かつ計画的に行わなければなりません。
例えば、メンバーの業務に対するスキルと業務の重要度を指標にして、任せられるものと一緒に実施するものなどで分類していくと良いでしょう。マネジメントする人数によって、この配分を調整して共同で進めていくものが過剰に増えないように注意することが重要です。
業務の仕組み化
適切なアサインを行った上で、業務の仕組み化を実施しましょう。例えば、メンバーに任せられるもので業務優先度が低いものは、週に1回のレポート報告で把握をする。業務優先度が低く、メンバーのスキルが不十分なものは細かく業務を細分化する伴奏は行い、日報で進捗を確認する。
このように、誰のどの業務はマネジメントとして、どのように関わるのかを仕組み化しておくことで、テレワーク環境下でもマネジメントすることは十分に可能です。
05テレワークでマネジメントを成功させるポイント
テレワークは組織の生産性を向上できる働き方ですが、マネジメントがうまくいかなければ、生産性を大きく下げてしまいます。本パートでは、テレワークでマネジメントを受ける側の意識や視点を解説します。マネージャーの方は、メンバーの考えや意識を知ることで、マネジメントの改善に活かしましょう。
メンバーにかける時間を確保する
プレイングマネージャーが増えている昨今で、マネジメントにかける時間の確保を十分に行えていない人は多いでしょう。テレワーク環境において、メンバーに対して適切な時間を割くことは必要不可欠であるため、タイムマネジメントは重視する必要があります。
例えば、絶対に1on1の時間は週に30分確保する。進捗を確認する時間を毎日朝30分抑えておく。このように、カレンダーに予定を入れてしまうのが確実な方法です。それでも時間が足りなければ無駄な会議を欠席したり、自律しているメンバーとの時間を限定的に減らして、手厚くフォローしなければいけないメンバーとの時間にあてがうなど、調整しなければなりません。
業務の見える化を行う
業務の見える化はマネジメントとメンバー間だけのことではありません。チーム・他部署も含めて業務を見える化することが重要です。
誰がどのような業務を担っているのか。その進捗はどのような状態なのか。結果はどうだったのか。これらを組織として見える化することで、チーム間や部署間の連携もスムーズになるだけでなく、監視という効果も得ることができます。誰が何をいつまでにしなければいけないのかを見える化して、メンバーだけでなく他部署の目にも触れるようにすることで、サボりにくい環境を作ることができるのです。
また、見える化することで評価への納得度も上げることができ、また査定会議のような場でもマネジメントとしてメンバーの状況を経営に正しくプレゼンテーションすることが可能になります。
コミュニケーション機会を意図的に増やす
テレワークでは、コミュニケーション機会が急激に減少します。そのため、マネジメントは意図的にメンバーと対話する機会を作らなければなりません。
例えば、slackやTeams、Chatworkのようなツールを導入している場合、タメになったWeb記事や本を投稿してみたり、メンバーの発信にコメントをすることを徹底したりすることも効果的でしょう。大事なことは、業務に関係のない投稿も推奨するということです。業務に関する内容だけしか投稿できないと、コミュニケーション機会を増やすことは難しく、投稿の頻度も減ります。まずはなんでも良いから投稿する・してもらうという機会を増やすことが重要です。
06Schooのテレワークマネジメント研修
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級8,500本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実
テレワークマネジメントに役立つSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、テレワークマネジメントに役立つ授業を紹介いたします。
テレワーク下でのラインケア - メンタルヘルスマネジメント
この授業はチームをまとめる管理職層に向けて、「テレワーク環境下」をテーマにした部下の心の健康づくりのためのマネジメント(ラインケア)のコツを解説します。 テレワーク環境下ではどんな事象が部下のメンタルダウンにつながるのかや、チャットや1on1など、オンラインで社内コミュニケーションをとる際にどのようなところをポイントとして捉えなければいけないのかを全三回に渡りお届けしていきます。 働き方が新しく変化していく今、部下の管理もこれまでの手法から時代にあった新しいやり方へと、常にアップデートし続ける必要があります。 この授業を通し、テレワーク下ならではのポイント、注意点を学び、心身ともに健全なチームづくりの実践ができるようにしていきましょう。
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株式会社カイラボ 代表取締役
大学卒業後、(株)日本能率協会コンサルティングにて企業の業務効率化などに従事。ストレスが原因で入社2年で退職。 2011年に社会人教育のベンチャー企業でマネージャーを務める。 2012年株式会社カイラボを設立。新卒入社後3年以内で辞めた若者100人インタビューをおこない、その内容をまとめた「早期離職白書」を発行。 現在は多くの企業の若手社員定着率向上支援を行うほか、 講演、管理職・OJT担当者向け研修、採用コンサルティングなどを行っている。
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リモートワークで若手の心理的安全性を高めるには
皆さんの周りの若手新入社員は、リモートワークで悩みを抱えていませんか? 入社からリモートワークを余儀なくされた彼らは、特有の悩みを持ち業務にあたっています。 この授業では、入社したばかりの若手社員をサポートするために、彼らがどんな悩みを抱え、リモート環境下でなぜ心理的安全性が薄れてしまうのかなど視点を変えて、視点を変えて考えることができます。 若手新入社員が職場でチームや組織に貢献できるようにするためには、 まずは、彼らの悩みを理解をして、どのようなサポートができるのか考えていきましょう。
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若者と組織コミュニケーションの研究家
リクルートにて、FromA、タウンワーク、とらばーゆ、ガテン、はたらいくなど、主要求人メディア編集長を歴任、メディアプロデュース統括部門執行役員を経て、人と組織のコミュニケーション研究家に転身。人材コンサルティング会社のシンクタンク「ツナグ働き方研究所」主宰。専門は人材採用、人材開発、組織開発領域。特に「職場の若者」研究に関して造詣が深い。最近では、ウィズコロナでの働き方(リモートワークや副業志向)をテーマに活動中。関西大学のゼミと「リモートネイティブ」に関する共同研究にも従事。近著に「パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド」(かんき出版)「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)がある。
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リモート時代のマネジメントと信頼構築
皆さんは、リモートワークの働き方について、思考をめぐらしアップデートに努めているでしょうか。 昨年3月頃から、新型コロナウイルス感染の影響により、リモートワークを余儀なくされ、新入社員の育成や部下のマネジメント、査定などリモートワーク下での業務に難しさを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そもそも、なぜそうした業務が難しくなったのでしょうか。 今回は、そんなリモートワークを6年以上も続けている株式会社キャスター取締役COOの石倉秀明さんをお迎えして、 リモートワークという働き方になって難易度が上がったマネジメントやコミュニケーションを本質的に考える授業を行っていきます。
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株式会社キャスター取締役CRO
株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
07まとめ
働き方の多様化や新型コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する企業が増加しています。 テレワークは時間や場所にとらわれずに働けるため、チームの生産性向上につなげることができます。しかし、互いの顔が見えずコミュニケーションが取りにくいテレワークでは、マネジメントがうまくいかないとチームの生産性を大きく下げてしまいます。 テレワークを成功させるために、テレワークに適したマネジメントを実施しましょう。