キャリアシフトとは?求められる理由やメリットについて解説
キャリアシフトは、従来の職業や業界から異なる職種や業界に転職することを指します。この記事では、キャリアシフトの定義から、なぜキャリアシフトが求められるのか、そしてそのメリットについて詳しく解説します。
- 01.キャリアシフトとは
- 02.キャリアシフトが求められる理由
- 03.キャリアシフトのメリット
- 04.キャリアシフトを促進する方法
- 05.キャリアシフト推進の企業事例
- 06.まとめ
01キャリアシフトとは
キャリアシフトとは、新しい領域にチャレンジしながら、これまでのキャリアと類似性がある仕事を選ぶ方法です。つまり、ある職業から派生した関連する職種への移行です。例えば、看護師から医療管理者に転職することがキャリアシフトの一例です。この場合、基本的な業界や専門知識は共通していますが、役割や責任が異なります。 これまでのキャリアを軸にしつつ新たな領域にチャレンジする方法であれば、報酬が下がるリスクを軽減することができ、市場価値を高めることも可能です。
キャリアチェンジとの違い
キャリアシフトは、従来の職業から大きな転換を図ることを指します。一方でキャリアチェンジは、完全に異なる職業や分野に転身することを指します。 これは、以前の職業とは関連性が低い新しい職業への移行です。例えば、営業職から教育分野に転職することがキャリアチェンジの一例となります。この場合、専門知識やスキルが異なり、完全に新しい職業を始めることになるでしょう。 簡単に言えば、キャリアシフトは同じ業界内でのポジション変更であり、キャリアチェンジは異なる業界や職種への完全な転向です。
キャリアアップとの違い
キャリアアップは、既存の職種や業界内で昇進やスキル向上を追求することを指します。つまり、以前と同じ職業や分野で、より高いポジションや責任を持つために努力することです。例えば、エンジニアがシニアエンジニアに昇進することはキャリアアップの一例です。この場合、既存のスキルや経験をさらに発展させ、職場での影響力を増大させます。 要するに、キャリアシフトは職種や業界の完全な変更を意味し、新しいスキルや知識の獲得が必要です。一方、キャリアアップは同じ職種や業界内での昇進やスキル向上を追求することで、既存のスキルを強化し、キャリアの成長を図ることを指します。
02キャリアシフトが求められる理由
なぜキャリアシフトが求められるのでしょうか?以下にその理由を説明します。
- ・リスキリングが推進されるため
- ・新しい技術やデジタルツールに適応するため
- ・人生100年時代といわれるため
- ・産業構造は変化し続けているため
リスキリングが推進されるため
キャリアシフトが求められる理由として、リスキリングが推進されることが挙げられます。これは近年の少子高齢化によって慢性的に続いている人手不足や、急速な技術の進歩や産業の変化に対応するためです。 現代の職業環境では、古いスキルが陳腐化しやすく、新しいスキルや知識が求められます。したがって、個人や組織が競争力を維持し、成長するためには、新たなスキルを習得し、現代の要求に適応する必要があります。 そのため、リスキリングを通じて新しい分野に挑戦し、新しいスキルを獲得するためにキャリアシフトが必要とされています。このようなキャリアシフトによって、個人は市場価値を高め、組織は競争力を強化し、現代のビジネス環境に適応できるのです。
新しい技術やデジタルツールに適応するため
現代社会では、デジタル化が急速に進展しており、新しい技術やデジタルツールの使用がますます必須となっています。キャリアシフトを通じてこれらの新しい要素に適応することができるでしょう。これにより、私たちのスキルセットを向上させ、自己成長を促進するだけでなく、競争力を高めることもできます。 さらに、新しい技術やデジタルツールのスキルを習得することで、より効率的に業務を行い、生産性を向上させることも可能です。したがって、この新しい時代において、新しい技術やデジタルツールへの適応は重要な要素となっています。
人生100年時代といわれるため
平均寿命が延び、人々が長期間にわたってキャリアを積むことが期待されています。そのため、一つの職業にとどまるだけでなく、新しい挑戦に取り組むことが必要です。 人生100年時代においては、単一の職業に固執せず、多様な経験や挑戦を通じて自己成長を図ることが重要です。長い人生を有意義に過ごすために、柔軟性と積極性を持ちながら、新たな可能性に挑戦していくことが求められます。
産業構造は変化し続けているため
現代の社会では、産業構造は絶えず変化しています。時代とともに需要の高い分野や職種が変わっていく傾向があります。このような変化に対応するためには、キャリアシフトを考えることが重要です。キャリアシフトを通じて、変化に適応し、新たな成功の機会を掴むことができるかもしれません。
03キャリアシフトのメリット
キャリアシフトを行うことには多くのメリットがあります。以下でそれらを詳しく説明します。
- ・新たな成長機会を得られる
- ・生産性の向上につながる
- ・時代に応じた多様な価値観に対応することができる
新たな成長機会を得られる
キャリアシフトは、新しい分野での成長機会を提供します。これにより、個人のスキルや経験が多様化し、キャリアの発展が可能となります。キャリアシフトによる成長は、新たな挑戦と学びの機会をもたらします。異なる分野での経験は、自己成長や能力向上につながるでしょう。さらに、新しい分野でのスキル獲得により、自己の市場価値を高めることも可能です。
生産性の向上につながる
キャリアシフトによって、以前の仕事や環境から離れ、新たな分野での仕事に挑戦することができます。この変化は新たな刺激とモチベーションを提供し、日々の業務に対する熱意を高めます。新しい分野での仕事に対する情熱が高まることで、仕事に集中しやすくなり、生産性が向上します。
時代に応じた多様な価値観に対応することができる
キャリアシフトを経験することで、異なる分野や文化に触れ、多様な価値観や考え方に対する感受性が高まります。異なる背景や経験を持つ人々と協力し、異なる視点からの洞察を受け入れることができるようになります。異なる分野や業界での経験は、コミュニケーション能力を向上させます。異なるバックグラウンドを持つ人々と協力し、意思疎通が円滑に行えるようになります。これは、ビジネスやプロジェクトの成功に不可欠なスキルです。
04キャリアシフトを促進する方法
キャリアシフトを促進するために、企業は以下の方法を採用することがあります。
- ・キャリアオーナーシップを持つ機会を設ける
- ・自己啓発(SD)や研修など社員が学べる環境を作る
キャリアオーナーシップを持つ機会を設ける
1on1セッションやキャリアデザイン研修、メンター精度など、キャリアオーナーシップをもっていただくための機会を設けると良いでしょう。例えば、1on1セッションでは、社員一人ひとりに対して、キャリアの目標設定や進捗状況の確認、必要なスキルや知識の習得に向けたアドバイスやサポートを行います。メンター制度では、経験豊富なメンターが社員の成長をサポートし、キャリアにおける課題や悩みに対して指導やアドバイスを提供します。 これらの取り組みを通じて、社員が自身のキャリアに責任を持ち、成長する機会を提供します。社員一人ひとりがキャリアシフトを考える際には、自己啓発の機会を与える重要な手段となります。
自己啓発(SD)や研修など社員が学べる環境を作る
企業は、社員が新しいスキルや知識を習得するための機会を積極的に提供することが重要です。社員の成長とキャリアの発展を支援するために、さまざまな自己啓発プログラムや専門的な研修を用意することが求められます。 例えば、新しい技術や業界のトレンドに関する研修を提供することで、社員が最新の情報にアクセスし、自身のスキルを向上させることができます。また、社内外のエキスパートとの交流の機会やコラボレーションプロジェクトの参加など、幅広いリソースを活用することで、社員のキャリアシフトに必要なスキルや知識を獲得することができます。
05キャリアシフト推進の企業事例
ここからは、キャリアシフトを積極的に推進している企業の事例を紹介します。
- ・デジタル人材育成プログラム(株式会社双日)
- ・専門性認定制度(株式会社SCSK)
デジタル人材育成プログラム(株式会社双日)
大手商社の双日では、デジタル化に向けた取り組みとして、デジタル人材育成プログラムを展開しています。このプログラムでは、全社員に対してITパスポート取得を必修化するなど、ITリテラシーの向上を図っています。 プログラムは、オンラインで学習することができます。ITリテラシー、情報セキュリティマネジメント、データサイエンス、デジタルマーケティングの4つのテーマで学習し、総合職約2,000人全員が50時間近くのプログラムを履修することを目標としています。 双日のデジタル人材育成プログラムは、旧来型の商社のビジネスモデルにデジタル技術を取り入れ、新たな付加価値を創出することを目指しています。プログラムの目的は、全社員がデジタルの共通言語を持ち、外部のパートナーとのコミュニケーションにおいても適切に対応できるような知識を習得することです。
▶︎参考:DX・GX時代の「企業の人的資本投資」のあり方 第3回:3つのキャリアシフト類型実践例 ①ワンノッチ型キャリアシフト
専門性認定制度(株式会社SCSK)
大手システムインテグレーターであるSCSKは「専門性認定制度」と呼ばれるプログラムを運用しており、これは経産省が定めたITスキル標準を基にしています。このプログラムでは、職種・専門分野ごとにレベルが設けられ、資格や実務実績などの要件を満たす社員が認定を申請することができます。認定審査では、専門性の可否だけでなく、個々の社員の強みや弱み、今後必要なスキルについてのフィードバックも行われます。 この「専門性認定制度」は、SCSKの経営戦略や事業戦略に合わせて常に見直されており、新たな職種の特定や専門性レベルの設計も行われています。現在、同社が注力しているのは、「サービス・マネージャー」「ビジネス・デザイナー」「フルスタック・エンジニア」という3つの職種です。これらの職種に対しては、集中的なリスキリングのプログラムが用意されており、実務経験とオンライン研修・演習を組み合わせたブートキャンプ形式のプログラムを通じて、社員のリスキル・アップスキルが図られています。
▶︎参考:X・GX時代の「企業の人的資本投資」のあり方 第5回:3つのキャリアシフト類型実践例 ③創造人材育成型キャリアシフト
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
06まとめ
キャリアシフトは、現代社会で重要なキャリア選択の一つです。技術の進化や社会の変化に対応し、新たな成長機会を追求するためにキャリアシフトを検討することは、個人と企業の双方に多くのメリットをもたらします。 キャリアシフトを行うことで、新たな成長機会を得ることや生産性の向上、時代に応じた多様な価値観に対応することができるようになります。また、キャリアシフトを促進するために、企業はキャリアオーナーシップを持ってもらうための機会を設ける、自己啓発や研修など社員が学べる環境を作るなどの方法があります。 キャリアシフトを積極的に推進している企業事例として、株式会社双日と株式会社SCSKを紹介しました。双日ではデジタル人材育成プログラムを展開し、SCSKでは専門性認定制度を運用しています。 キャリアシフトは、個人の成長と企業の競争力向上に貢献する重要な要素です。キャリアシフトを支援し、促進する方法を採用することで、社員の成長と企業の発展を実現していきましょう。