更新日:2026/05/13

AI人材とは?不足している理由や必要なスキルを解説

AI人材とは?不足している理由や必要なスキルを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

AIの活用が業種・職種を問わず広がるなか、「AI人材をどう確保・育成するか」は多くの企業にとって重要な経営課題となっています。しかし、そもそも「AI人材」とは何を指すのか、どのようなスキルが必要なのかを体系的に整理できている企業はまだ多くありません。本稿では、AI人材の定義や類型、求められるスキル、育成に向けた具体的な施策までを整理し、自社の採用・育成戦略を考えるうえでの指針を解説します。

 

01AI人材とは

AI活用の普及が進む現代において、「AI人材」という言葉を耳にする機会が増えています。ただし、「AI人材」という言葉には、現時点で一義的に確立された定義があるわけではありません。企業や政府機関、研究機関によってその範囲や解釈は異なり、使われる文脈によって指し示す人物像も変わるのが実情です。

そのため本稿では、国立国会図書館調査及び立法考査局が2025年3月に公表した『AI人材をめぐる状況と政策課題―EUの取組を参考に―』の定義を踏まえ、「AI人材」をAIの開発・導入・利活用に関与する人材として広く捉えます。

この定義のもとでは、AI人材は特定の職種や技術職に限定されるものではありません。AIシステムを研究・構築するエンジニアやデータサイエンティストだけでなく、現場でAIツールを業務に活用する担当者や、AIの導入戦略を立案する経営層・意思決定者なども広く含まれます。

▼参考:調査と情報―ISSUE BRIEF― No.1310 AI人材をめぐる状況と政策課題 ―EUの取組を参考に―|国立国会図書館 調査及び立法考査局

IT人材との違い

IT人材は、AIに限らず情報技術全般を扱う人材です。システム開発・運用、データベース管理、ネットワーク、セキュリティ、クラウド活用など、企業のIT基盤やシステムの構築・運用に関わる領域を中心に、幅広い役割を担います。

一方、AI人材は、AIの開発・導入・利活用に関わる知識やスキルを持つ人材を指します。IT人材と重なる部分は大きいものの、必ずしも技術職に限定されるわけではありません。AIを業務にどう組み込むかを考える現場担当者や、AI活用の方針・リスクを判断する管理職・経営層も含まれます。

近年は多くの業務でAI活用が進んでいるため、IT人材だけでなく、幅広い職種においてAIに関する基礎理解や活用スキルが求められるようになっています。

 

02AI人材の需要が高まっている背景

AI人材への需要が高まっている背景には、「生成AI市場の成長」「企業におけるDX推進の加速」「生産性向上や人材・スキル変化への対応」などの構造的な変化があります。それぞれの背景について整理します。

▼参考:生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方 2024 ~変革のための生成AIへの向き合い方~(令和6年6月 デジタル時代の人材政策に関する検討会)|経済産業省

AI・生成AI市場の急拡大

経済産業省の検討会資料におけるJEITAの予測によると、日本の生成AI市場の需要額は2030年に1兆7,774億円へ拡大し、2023年から2030年にかけて年平均47.2%で成長する見込みです。McKinsey & Companyの試算でも、生成AIは、同社が分析したさまざまな業務での活用例を通じて、年間2.6〜4.4兆ドル規模に上る経済価値を生む可能性があるとされています。特に効果が見込まれる領域は、マーケティング&セールス、ソフトウェアエンジニアリング、研究開発(R&D)です。

さらに、企業内等で既に活用されている各種ソフトウェアに生成AI機能が加わることで、その経済効果はさらに大きくなることが予想されます。こうした市場の急拡大は、AIを開発・導入・活用できる人材へのニーズを世界的に押し上げる要因となっています。

▼参考:JEITA、生成AI市場の世界需要額見通しを発表

▼参考:McKinsey & Company「生成AIがもたらす潜在的な経済効果」

企業のDX推進とAI活用の加速

生成AIの普及は、企業のDX戦略にも大きな変化をもたらしています。PwC Japanグループの「生成AIに関する実態調査2025春 5カ国比較」によると、日本企業のうち「社内で生成AIを活用中」または「社外に生成AIサービスを提供中」と回答した割合は、前回調査から13ポイント増の56%となり、過半数を超えました。

一方で、日本における実務での活用はまだ十分に進んでいません。Microsoft・LinkedInの調査では、知的労働者の生成AI業務利用率は世界平均75%に対し日本は32%にとどまっています。しかし、「競争力を保つためにAIが必要」と考える経営者の割合は、日本でも67%に上っており、多くの経営者がAI活用の必要性を認識しています。

こうした数字は、経営者がAI活用の必要性を認識しながらも、現場での活用が十分に広がっていない現状を示しています。その背景には、業務に即してAIを使いこなせる人材の不足や、活用を定着させるための教育・運用体制の未整備があると考えられます。AI人材を戦略的に獲得・育成し、現場で活用できる体制を整えることは、日本企業にとって重要な課題になっています。

▼参考:生成AIに関する実態調査 2025春 5カ国比較 ―進まない変革グローバル比較から読み解く日本企業の活路―|PwC Japanグループ

▼参考:2024 Work Trend Index Annual Report from Microsoft and LinkedIn

生産性向上と人材・スキル変化への対応

日本の就業者1人当たり労働生産性は主要先進7カ国で最も低い状況が続いており、生産性向上は長年の課題とされています。そのため、限られた人員でいかに高い成果を生み出すかは、企業にとっても日本経済全体にとっても重要なテーマです。生成AIは、こうした課題を打開する手段として大きな期待を集めています。

さらに生成AIの普及は、単に業務を効率化するだけでなく、働く人に求められるスキルそのものを変えつつあることも指摘されています。これまで人が担ってきた知的業務の一部がAIに代替・補完されることで、社員には「AIを使いこなす力」や「AIでは代替しにくい判断・創造・対人スキル」がより強く求められるようになっているのです。

つまり、生成AIの導入が進むほど、AIを適切に活用できる人材とそうでない人材の差は広がっていきます。企業には、ツールを導入するだけでなく、社員がAIを実務で使いこなし、新たな価値創出に取り組めるよう、学習環境や育成の仕組みを整えることが求められています。

▼参考:労働生産性の国際比較 2025|公益財団法人 日本生産性本部

 

03AI人材の類型

一口に「AI人材」といっても、その役割は多岐にわたります。ここでは、AIの開発・導入・利活用への関わり方をもとに、3つの観点から整理します。

AIの研究者

AI研究者は、機械学習や深層学習(ディープラーニング)、自然言語処理といったAI技術そのものを探求し、新たなアルゴリズムや手法の開発に取り組む人材です。大学や研究機関、企業の研究開発部門などに所属し、AIの理論的な基盤を築く役割を担います。高度な数学・統計学の知識に加え、論文を読み解き、自ら研究成果を発信する能力など、専門的な学術素養が求められる領域です。

AIの開発者

AI開発者は、研究によって生まれたAI技術を実際のシステムやサービスとして実装・構築する人材です。AIモデルの設計・学習・チューニングを行うAIエンジニアや、データを分析・モデル化して意思決定や業務改善を支援するデータサイエンティストなどが含まれます。プログラミングスキルはもちろん、業務要件をAIシステムに落とし込む設計力や、モデルの精度・運用性を継続的に改善する力も重要な素養となります。

AI活用の推進者

AI活用推進者は、AIを自ら開発するのではなく、既存のAIツールやシステムを業務に取り入れ、組織全体の生産性向上や新たな価値創出を主導する人材です。現場でAIツールを使いこなす実務担当者から、AI導入の戦略立案や社内調整を担うDX推進リーダー、経営判断にAIの知見を活かす意思決定者まで幅広く含まれます。高度な開発スキルそのものよりも、AIの可能性と限界を正しく理解し、業務課題に結びつけて活用を設計する力が求められます。また、AI活用に伴う情報管理やリスクを理解し、社内ルールやガバナンスを整える視点も重要です。

 

04AI人材に求められるスキル

AI人材に必要なスキルは、技術的な専門知識だけにとどまりません。国立国会図書館調査及び立法考査局の調査資料『AI人材をめぐる状況と政策課題―EUの取組を参考に―』では、OECDによる整理として、「AIスキル」には以下の3つの領域があると紹介しています。

  • ・専門的なスキル
  • ・一般的なスキル
  • ・補完的なスキル

専門的なスキル

専門的なスキルとは、AIアプリケーションのプログラミングや開発に直接必要となる技術的な知識・能力を指します。具体的には、機械学習・深層学習(ディープラーニング)の理論と実装、データの整備・加工・分析、AIモデルの設計と評価、プログラミング言語(PythonやRなど)の習熟などが該当します。主にAIの研究者や開発者に求められる領域であり、特にAIモデルの研究や高度な開発に携わる場合は、数学・統計学の素養も求められます。

一般的なスキル

一般的なスキルとは、AIを実際の業務や現場で活用するうえで必要となる実践的な能力です。例えば、AIと人間が協働する現場でのチーム運営、AI導入後の精度や業務成果の確認、AIツールを用いた業務プロセスの設計・改善などがこれにあたります。

この領域で特に重視されるのが、自身の専門領域にAIや機械学習を応用できる人材の育成です。高度な開発技術を持つエンジニアでなくとも、業務知識とAI活用力を掛け合わせられる人材を組織内に増やしていくことが重要とされています。

補完的なスキル

補完的なスキル

補完的なスキルとは、批判的思考、創造性、イノベーション、起業家精神、共感といった、特定の職種や技術領域を超えて横断的に求められる能力です。AIが高度化するほど、人間ならではの判断力・倫理観・創造力がAI活用の質を左右する要素となります。

技術的なスキルとは異なり、テストや試験で測定しにくい側面もありますが、OECDはこの領域の強化に向けて、学習到達度調査に思考スキルを測るテストを導入することなど、教育制度レベルでの取り組みの必要性を示しています。

またSchoo授業『AI時代に選ばれる「アウトプット型人材」になる方法』でも、AI時代に求められるスキルとして、単にAIを使うだけでなく、自分で考え、決断し、行動する力の重要性が解説されています。こうした力を発揮するうえで重要になるのが、自分の考えや課題を言葉にする「言語化力」です。AIは適切な指示(プロンプト)があって初めて機能するため、自分の考えや課題を言葉にして伝える力は、AI活用の質を高めるうえでも重要です。読解力や思考力といった補完的なスキルは、まさにこの言語化力の土台となるものです。

補完的スキルは、特定のAIツールの操作スキルにとどまらず、AIを活用して価値を生み出すための基盤といえるでしょう。

 

05AI人材を育成するための主な施策

最後に、AI人材の育成を進めるうえで有効な施策について紹介します。

eラーニングを活用してAIリテラシーを高める

AI人材育成の第一歩は、社員のAIリテラシーを底上げすることです。AIの基本的な仕組み、できること・できないこと、業務での活用例、情報管理・個人情報保護・著作権・セキュリティ上の注意点を理解することで、社員がAIを適切に活用しやすくなります。

その際に有効な手段の一つがeラーニングです。パソコンやタブレット、スマートフォンから受講できるため、社員が自分のペースで学習を進めやすい利点があります。全社員向けの基礎講座、管理職向けのAI活用講座、エンジニアやデータ分析担当者向けの専門講座など、役割に応じて学習内容を分けると、より効果的にスキルを高められるでしょう。

ただし、学習を社員の自己学習にのみ委ねるのは避けたいところです。例えば、「生成AIを使って文書作成を効率化できる」「AI活用時のリスクを説明できる」「自部門の業務でAI活用の可能性を考えられる」といった目標を設定することで、社員が学習の目的を理解しやすくなり、学習への納得度を高めるうえでも有効です。

職種・役割に応じたAI・DX研修を実施する

役割に応じたAI・DX研修を実施する

組織におけるAI活用を進めるには、AIやDXに関する研修プログラムを実施することも有効です。基礎的なAIリテラシーに加え、職種や役割に応じた専門的な研修を設計することで、実務に直結するスキルを育成しやすくなります。

例えば、企画部門や管理職には、AIを活用した業務改善や事業変革の考え方を学ぶ研修が有効でしょう。エンジニアやデータ分析担当者には、機械学習、データ分析、AIシステム開発、生成AIの実装など、より専門性の高い内容が求められます。また、情報システム部門や法務・管理部門には、セキュリティ、個人情報保護、著作権、AIガバナンスに関する研修も重要です。

さらに、AI活用が採用・評価・配置といった人事領域をはじめ、医療や金融などの社会インフラにも広がるなかでは、AI倫理やガバナンスに関する研修も必要性を増しています。Schoo授業『なぜ今「責任あるAI」なのか?』に登壇する鈴木博和先生は、AIの公平性・透明性を担保する考え方を「責任あるAI」と定義し、技術そのものだけでなく、AIの作り方や使い方という方法論全体を見直すことの重要性を解説しています。

AIの活用範囲が広がるなか、組織としてAIを適切に扱う視点は、管理職や意思決定者にとっても重要なテーマとなっています。


 

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06まとめ

AI人材は、AIの開発・導入・利活用に関わる人材の総称です。生成AIの普及やDX推進を背景にAI人材の重要性は高まっており、その確保・育成は多くの企業にとって重要な課題となっています。

AI人材の育成では、技術的な専門知識だけでなく、現場での活用力や批判的思考力など、幅広いスキルを意識することが重要です。eラーニングで全社のAIリテラシーを底上げしつつ、職種・役割別の研修で実務に直結するスキルを伸ばすなど、段階的に取り組むことが有効でしょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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