更新日:2025/12/29

業務属人化が起こる理由とは?解消のための方法も紹介

業務属人化が起こる理由とは?解消のための方法も紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

業務の属人化とは、特定の社員だけが業務の進め方や判断基準などを把握しており、他の人が代替できない状態を指します。属人化が進むと、業務の停滞や品質のばらつき、ノウハウの喪失といったリスクが高まり、生産性や継続性が大きく損なわれます。特に、担当者の退職や休職時には影響が顕著で、企業の成長や人材育成にも悪影響を及ぼします。本記事では、業務属人化の具体的なリスクやその要因を整理しながら、属人化を防ぐための対策や手法、組織として取り組むべきポイントについて詳しく解説します。

 

01業務属人化とは?

業務の属人化とは、ある特定の個人しかその手順や判断基準、例外対応の勘所といった業務遂行に必要な情報を把握していない状態を指します。これは業務の「ブラックボックス化」とも呼ばれ、発生すると担当者の不在によって業務が停滞するリスクが高まります。

また属人化が長期間継続すると、担当者の経験に依存する情報が積み上がり、業務の再現性が低下して品質管理が困難になるという課題もあります。さらに、その担当者が引き継ぎを十分に行わないまま離職や異動をすると、知識やノウハウの喪失や、サービス品質の低下を引き起こす可能性もあります。こうしたリスクを避けるため、多くの企業が業務属人化を問題視し、予防と解消を目指しています。

 

02業務属人化が企業にもたらす具体的なリスク

業務属人化が発生すると、組織として業務の遂行やサービスの品質を担保できない状態に陥るという点で、大きな問題があります。ここでは属人化によって発生し得るさまざまなリスクについて、次の観点から解説します。

  • ・生産性の低下と業務停滞
  • ・品質の不安定化とミスの発生
  • ・退職や休職によるノウハウの喪失
  • ・社員のモチベーション低下や成長機会の減少
  • ・不正や情報漏洩のリスク増大

生産性の低下と業務停滞

属人化が発生すると、他の社員が同じ品質で業務遂行できないため、担当者の離職や異動、繁忙による対応の遅れなどによって業務が停滞するリスクが高まります。属人化している業務の性質によっては、プロジェクト全体の遅延や、関係する他の業務にまで影響を及ぼす可能性もあるでしょう。これらのリスクが顕在化すると、結果として業務効率が低下し、生産性向上が阻害されます。

品質の不安定化とミスの発生

属人化が進むと、業務の品質が担当者個人に依存してしまい、組織としてサービスなどの品質が担保できない状態になる可能性があります。またマネジメント層も業務内容や進捗を正確に把握できず、管理職によるモニタリングも困難になります。加えて属人化した業務はマニュアルが存在しないケースもあり、この場合他の担当者が成果物の良し悪しを判断したり、ミスの指摘をしたりすることも難しいでしょう。これにより、ミスやトラブルが発生しても組織的な予防措置が取れず、見過ごされるリスクが高まります。

退職・休職によるノウハウ消失

担当者が急に休職したり、退職したりすると、その人物が長期間にわたって積み上げてきた知識や技術が組織から失われる深刻なリスクがあります。これによって業務の再現性が保てなくなると、事業の継続に大きな支障をきたす恐れすらあります。一度失われたノウハウを取り戻すのは困難であり、新しい担当者が再度ノウハウを構築する必要に迫られるでしょう。これには時間と労力がかかるため、競争力の低下や販売機会損失、顧客離反にもつながりかねません。

社員のモチベーション低下や成長機会の減少

業務が属人化して特定の社員に集中すると、本来であればその業務やスキルを身につけるべき他の社員にとって、成長するための機会が減少する可能性があります。また属人化した業務の担当者本人にとっても、「この仕事は他の人はできないから」という理由で同じ業務領域を担当し続けることは、スキルの幅を広げる機会の損失につながります。業務のマンネリ化は成長実感を感じにくくさせる一因です。この状態が続くと、関連する社員のモチベーション低下や、キャリアの頭打ち感にもつながる可能性があります。

不正や情報漏洩のリスク増大

特定の個人に業務や情報が集中している状態では、組織としてのチェック体制が機能しにくくなります。この状況は、場合によっては不正行為のリスクを高めることにつながります。たとえば管理職も属人化した業務の詳細を把握していない場合には、故意または過失によるミスがあっても、本人が自ら申告しない限りは発見されにくくなるでしょう。また仮に担当者が機密情報を持ち出すといった不正を行った場合も、その情報を他の社員が把握していなければ、早期に検知できないことがあります。近年はガバナンスやコンプライアンスへの社会的な関心が高まっており、このようなトラブルは企業の信用問題に発展する危険性もあり、注意が必要です。


 

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03業務属人化が発生する主な原因

業務属人化は、多くの企業で「防ぐべき課題」として認識されながらも、業務の複雑化や人材配置の影響などで意図せず発生してしまう現象です。ここではその発生要因について、業務の見える化不足や人材配置の偏り、評価制度、組織文化などの観点から解説します。

業務の見える化・マニュアル化不足

業務属人化が発生する一つの要因として、情報共有の仕組みが不十分であることが挙げられます。具体的には、社内でナレッジマネジメントの仕組みが整っていないことや、仕組みはあっても担当者が業務過多で、ノウハウの言語化に手が回らないことなどがあります。組織内でノウハウが共有されにくい状況が続くと、時間の経過とともに属人化している業務の暗黙知が蓄積し、状況が固定化されてしまうリスクが高まります。

人材配置・ローテーションの問題

業務のローテーションが少なく、特定の従業員が同じ業務を長期間担当する環境にあると、その業務は属人化しやすくなります。特に、高度なスキルや専門知識が必要な業務では、人材の採用難易度の高さや育成・引き継ぎに必要な時間の多さから、特定の人に業務が固定化されがちです。この状況に陥らないためには、属人化の解消を念頭に戦略的な人材採用や配置、育成を実行することが重要です。

評価制度の問題

業務の属人化は、従業員が「自分しかできない仕事がある」という状態を自身の評価や存在価値を高めるものだと認識し、業務を手放しにくくなることによっても生じます。たとえば個人単位での成果に着目して評価する制度の下では、有益な知識を共有するよりも独占したほうが、本人にとって合理性が高いケースもあるでしょう。また、属人化解消に向けた引き継ぎやナレッジ共有といった行動が適切に評価されない環境では、従業員は積極的に取り組むインセンティブが失われ、結果として属人化が継続・悪化する要因となります。

組織文化や風土の問題

属人化は組織構造やルールなどの目に見える要素だけでなく、組織文化や風土を要因として発生することがあります。具体的には、社員同士の協力やチームとしての成果よりも、個人としての成果を追求したり、社員同士をライバルとして競わせたりする環境などが挙げられます。このような環境では、従業員は知識やノウハウの共有を後回しにしやすく、属人化が助長されやすくなります。また社員同士の協力意識が低いと、情報共有やナレッジマネジメントの取り組みも浸透しにくくなります。

 

04実はメリットも?業務属人化の「良い側面」

業務の属人化は、多くのリスクがある一方で、特定の状況下では利点をもたらすこともあります。たとえば特定の業務を長期間一人が担うことで、従業員は専門性を磨き込み、それを発展させて独自のノウハウを構築できるかもしれません。デザイナーやエンジニアのように個人の技術やセンスが価値となる業種では、そのプロセスが外部に知られないことで、他社が真似できない独自の強みになることがあります。

また、業務を自分の裁量で進められることは、従業員のモチベーションを高める要因にもなり得ます。「この仕事は自分にしかできない」というやりがいや使命感を感じることで、仕事への積極性や自発的な行動が促され、主体的に貢献しようという意欲につながる可能性もあります。

 

05業務属人化解消を妨げる要因

業務属人化の解消には、担当者の協力や業務の標準化が大切です。しかし実際には、担当者の心理的な抵抗や、マニュアル作成の負担、組織全体での意識の低さが障壁となることがあります。ここでは、属人化解消を妨げる主な要因について詳しく解説します。

担当者本人の抵抗・協力不足

業務属人化は、評価制度や組織文化を背景として「その状態が担当者本人にとってメリットがある」場合に発生しやすくなることを解説しました。このような状況で業務の属人化を解消しようとすると、担当者本人からの抵抗や情報共有への協力不足によって、スムーズに進行できない場合があります。

マニュアル作成・更新の手間と時間の不足

業務の標準化に不可欠なマニュアル作成や更新に必要なリソースの不足も、属人化解消を妨げる大きな要因です。目の前の業務や目標の達成にいっぱいいっぱいの状態では、ノウハウの言語化や情報共有といった長期的な目線のタスクは優先度が低くなりがちです。また、人手不足で担当者が一人で業務を回している場合、情報共有すべき相手が見当たらず、業務標準化の必要性や意義を感じにくくなる場合もあります。

組織全体の標準化に対する無関心

業務属人化の解消は、組織全体の情報共有やナレッジマネジメントに対する意識の不足によっても妨げられる可能性があります。情報共有を促す組織文化や評価制度などの仕組みが十分に整備されていない場合、属人化が進行していてもそれが課題として認識されないこともあるでしょう。また、情報を他人にも分かるように整理して発信する行動には時間と労力がかかります。そのため情報共有の取り組みが歓迎される雰囲気にない場合、わざわざ取り組む価値がないものとして、優先度を下げられる可能性も高まります。


 

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06業務属人化を解消するための効果的な対策

業務属人化を解消するためには、個人に依存する業務を可視化し、組織全体で共有・運用できる仕組みづくりが重要です。ここでは、属人化業務の洗い出しから情報共有の強化、評価制度の見直しに至るまで、具体的な対策を解説します。

属人化業務の洗い出しと標準化

属人化を解消するには、まず各業務の担当者や進行状況を可視化し、業務内容と手順を明確にすることが重要です。タスクの全体像を洗い出し、業務フローチャートを作成することで、プロセスの抜け漏れや属人性の高い部分が見えてきます。その上で、タスク管理ツールを活用し、進捗や担当を一元管理すると共有がスムーズになります。さらに、業務マニュアルを整備し、誰が担当しても一定の成果が出せる状態に標準化することが重要です。これにより、業務の引き継ぎや人員交代がスムーズになり、特定の人に依存しない体制が構築できます。

情報共有の促進とナレッジマネジメントの導入

ナレッジ管理

業務属人化を防ぐには、業務に関する知識やノウハウを組織全体で共有・活用するためのナレッジマネジメントの導入が有効です。たとえば、Schoo授業『ナレッジ管理』では、業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士として活躍する沢渡あまね先生が、SECIモデルを紹介しています。

SECIモデルとは、個人が持つ知識や経験を組織全体で共有し、新しい知識を生み出すためのプロセスを理論化したフレームワークです。Socialization、Externalization、Combination、Internalizationの頭文字を取って命名されており、それぞれ以下のような意味があります。

  • ・Socialization(共同化):経験の共有を通じて、暗黙知を人から人へ移転する
  • ・Externalization(表出化):言語化やマニュアル化で、暗黙知を形式知化する
  • ・Combination(連結化):既存の形式知を収集・統合・編集し、新たな形式知を構成する
  • ・Internalization(内面化):形式知を実践を通じて体得、暗黙知として活用する

この4つのサイクルを循環させることで、知識が共有・更新され、属人化しやすいノウハウも組織の資産として蓄積されやすくなると考えられてます。

評価制度の見直しとインセンティブ設計

属人化解消を進めるには、知識共有の取り組みを適切に評価し、従業員が行動しやすくなるよう人事評価制度やインセンティブを設計することが重要です。具体的には、知識共有や業務標準化(マニュアル整備、レビュー、引き継ぎ完了など)の取り組みにKPIや目標を設定し、進捗を可視化して推進する方法が挙げられます。加えて、行動規範・コンピテンシーとして「周囲の成果創出への貢献(ナレッジ共有、育成、標準化)」を評価対象に組み込み、短期の数字合わせに偏らないよう質の観点(レビューや再利用状況など)も併せて見ることが有効です。

 

07業務属人化の解消におすすめの講座

ここでは業務属人化の解消に役立つSchooのおすすめ講座をご紹介します。講座ごとに学べる内容や特徴を解説していますので、参考にしてみてください。

業務の「属人化」を「標準化」に変える 情報共有仕組み化のコツ

本講座では、業務が特定の個人に依存してしまう「属人化」の問題を解決し、誰もが再現できる標準化された業務に変えていく方法を学びます。情報共有の仕組みを整えるうえで必要な、業務の可視化・マニュアル化・ドキュメント整備のコツや、関係者の協力を得るためのコミュニケーション方法など、実務に直結するノウハウが豊富に紹介されます。現場での再現性と継続性を高めるための考え方や、組織全体での共有文化の醸成までを視野に入れた実践的な講座です。

  • プライズ株式会社 代表取締役CEO

    2004年早稲田大学政治経済学部卒業後、アクセンチュア経営コンサルティング本部等にて多数の戦略・業務改革コンサルティング業務に従事。 その後、カカクコム食べログ本部等3社にて新規事業の立ち上げおよび事業経営に従事した後、株式会社iettyにて取締役COOとして業務改革、オペレーション組織立ち上げを中心とした幅広い企業経営に携わる。 営業から経理まで幅広い領域における業務変革をコンサルタント・事業経営者としてリードした経験を有する業務変革のプロフェッショナル。\

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ITサービスマネジメントの基礎

この講座では、顧客のビジネスニーズに合ったITサービスのマネジメント方法を学びます。本記事で扱った「属人化」に最も関連するのは、第4回授業の「ナレッジ管理」の授業です。組織内に蓄積されているノウハウや経験(ナレッジ)を共有し、業務の効率化や価値創出につなげる「ナレッジマネジメント」の基礎から実践までを体系的に学べます。

  • 作家、業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士企業顧問

    1975年生まれ。あまねキャリア工房 代表(フリーランス)、株式会社NOKIOO顧問、株式会社なないろのはな取締役。作家、業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士。浜松/東京二重生活。 日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社を経て2014年秋より現業。経験職種は、ITと広報(情報システム部門/ネットワークソリューション事業部門/インターナルコミュニケーション)。 『人事経験ゼロの働き方改革パートナー』を謡い、ITやコミュニケーションの観点から組織改革を進める。 300以上の企業/自治体/官公庁などで、働き方改革、マネジメント改革、業務プロセス改善の支援・講演・執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。 著書に、『仕事ごっこ』『職場の問題地図』『職場の問題地図』『業務デザインの発想法』(技術評論社)、『新人ガールITIL使って業務プロセス改善します!』『運用☆ちゃんと学ぶシステム運用の基本』(C&R研究所)、『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)他多数。

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08まとめ

業務が属人化して特定の社員に依存すると、組織としての提供サービスの品質低下や、ノウハウの喪失といった問題が起きやすくなります。また、本人ならびに周囲の社員の成長機会の損失や、組織としてのリスクマネジメントにかかるインシデントの発生要因になる可能性もあります。こうした属人化が起きる背景には、情報共有を促進する文化がないといった組織としての問題が隠れていることが多いです。対策としては、業務を見える化して標準化すること、ナレッジを組織で蓄積・共有する仕組みを作ること、そしてそれらを進めやすくする評価制度を整えることが有効です。組織全体で「属人化はリスクだ」という共通認識を持ち、仕組みとして知識が受け渡される状態を作ることが、安定した経営につながります。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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