人事評価研修とは?評価者を育成する目的とコツを紹介
人事評価制度を設けている企業の多くが、評価者研修を実施しています。では、評価者研修とはどのような意味をもつのでしょうか。本記事では、評価研修の必要性や目的、効果的な実施方法まで詳しく解説します。これから人事評価研修を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.人事評価研修とは
- 02.人事評価研修が必要な理由
- 03.人事評価研修の目的
- 04.人事評価研修の対象者
- 05.人事評価研修の内容
- 06.人事評価研修の実施方法
- 07.人事評価研修のポイント
- 08.人事評価研修ならSchoo for Business
- 09.まとめ
01人事評価研修とは
人事評価研修とは、評価担当者が適切かつ人材育成につながる評価方法を身につけるために行われる研修のことです。
人事評価の納得度は、社員のエンゲージメントやモチベーション、離職率にも影響します。そのため、人手不足かつ人材流動性が高まった現代において、人事評価研修の重要度は高まっていると言えるでしょう。
人事評価研修の実施率
産労総合研究所の調査によると、人事評価研修の実施率は71.4%という結果となっています。
この結果からみても、人事評価を管理職が適切に行えているかどうかは、組織にとって重要な指標となっていることが読み取れます。
02人事評価研修が必要な理由
人事評価研修が必要な理由は、社員(批評家者)が提示された評価に納得し、業務へのモチベーションを高め、成長を促進させるためです。
人事評価に不満がある状態を続けていると、従業員エンゲージメントが低下し、業績の悪化を招くだけでなく、離職者の増加にも繋がります。
アデコグループが実施した調査によると、人事評価に「どちらかというと不満」 ・「不満」と回答した人の合計は62.3%という結果となっています。
一方で、自分が適切に評価を行えていると思うかという問いに対して、「そう思う」・「どちらかというとそう思う」と回答した人の合計は77.8%という結果となっています。一方で、「そう思う」と回答した人が16.8%に留まっている結果から、評価者が自身の評価に対して不安な部分を抱いているということが読み取れます。
つまり、評価者は適切に評価できていると思っているが、批評家者の視点では不満な評価となっており、両者の間に認識のズレが生じていることがわかります。また、評価者自身も自信を持って「適切な評価」ができているとは言えない状態とは言えないようです。そのため、人事評価研修を実施する理由は、評価者が自信を持って評価を適切に行い、この認識のズレを解消することとも言えるでしょう。
03人事評価研修の目的
人事評価研修の目的は、公平な人事評価を行うことにあります。人事評価を誤った方法で行っていると、さまざまなエラーが起きやすく、被評価者が納得しないおそれがあります。そのため、評価者研修を導入し、正しい評価を下せるようになることが評価者の責務です。
人事評価に必要な知識を養うため
公平で納得性の高い評価を実施するためには、少なからずノウハウが必要です。被評価者のどのような点に着目し、評価をするべきなのか、そのリサーチ方法や面談時のコミュニケーションの取り方などを学びます。
正しく従業員を評価するため
現在、企業の人事評価制度について、程度の差はあれ、何らかの不満や疑問を抱いている従業員は少なくありません。その理由は、評価制度そのものに納得をしていない部分があるからです。組織の生産性を高め、皆が働きやすい環境を作るためには、正しく従業員を評価する評価制度が必要不可欠です。
評価者の役割を自覚するため
評価者自身に、人事評価をする理由や目的、どのような変化が予想できるのかなど、人事評価そのものに関する理解を深めてもらいます。さらに、人事評価制度研修を通じて、評価者として公正・公平な評価をするための意識や行動、評価者としての役割の自覚を促します。
評価のフィードバックを正しく行うため
評価とは、ただ相手に伝えて終わりではありません。企業の経営方針あるいは部署の目標などと比較して、どのような部分が評価されたのか、もしくはされなかったのかなどを具体的にフィードバックしなければなりません。 被評価者に、結果を踏まえて今後どのようになっていってほしいのかを、伝えられる存在になれるよう評価者も努力することが重要です。
04人事評価研修の対象者
人事評価者研修の主な対象者は、管理者をはじめとした、一般従業員を評価する立場にある人です。管理職だけが参加すれば良いわけではありませんので、注意しておきましょう。ここからは、研修を受けるべき対象者とその理由について見ていきます。
管理職
第一に挙げられる対象者は、管理職です。ただし、一口に管理職といっても、経験歴によって必要な研修の内容は異なります。新任管理職者の場合は、人事評価制度について目的や手段、フィードバックの流れなどを取り入れます。上級管理職には、これまでの評価業務のなかで感じた疑問点の解消、評価者同士のブラッシュアップなど、評価制度をより良いものにするための、応用的な内容を組み込むといいでしょう。
人事担当者
続いて挙げられるのが人事担当者です。人事担当は、従業員の処遇を決定する重要な役割を担う仕事です。人事評価制度の基本や、運用方法を正確に理解していなければなりません。変化の多い現代社会のなかでは、人事評価制度の更新も人事担当者の重要な業務です。現状の制度に改善点はないか、今一度確認するためにも、人事評価研修への参加をおすすめします。
経営者・役員
経営者や役員が人事評価制度に参加すると、より経営戦略に沿った人事評価制度を構築できます。また、経営層が社内の最新の評価制度を把握しておくことで、社内の人員に関する強みや弱みを改めて把握でき、次期マネージャーの育成にも役立ちます。
05人事評価研修の内容
研修は、ただやみくもに行えばいいわけではありません。研修を通じて評価対象者に学んでほしいことや、知っておいてほしい知識をきちんと伝えなければ、期待通りの結果を得ることは難しいでしょう。理想的な人事評価研修の内容は以下の通りです。
人事評価の重要性・基礎知識
まずは、人事評価ですべきことや、人事評価の意義・重要性、人事評価の流れを学びます。評価の基本を受講生全員で再確認することで、人によって評価基準が異なるなどの事態を防止できます。 「目標管理」「育成」「評価」「面談」の4つを軸に、人事評価そのものについて理解を深めましょう。
目標の立て方
業績評価のポイントや業績評価で目指すべきこと、個人の定量、定性目標など、目標設定の立て方を学びます。目標に必要な要素や、避けるべき目標の表現を学ぶことで、評価者と被評価者の双方が納得のいく目標の立て方を理解します。
正しい評価の方法
評価の精度をより高めるため、適切な評価能力を身に付けます。評価者により被評価者への評価にバラつきがあると、それが本当に正しい評価であるか、信ぴょう性が疑われてしまいかねません。自身の評価が正しいかを客観的に捉え、揺るぎない、公正な評価をつける方法を学びます。
評価の伝え方
評価は、ただ淡々と伝えれば良いとは限りません。評価への納得感を高めるためにも、なぜその評価となったのか、そして今後どのような点に期待しているのかまで、しっかり伝えるべきです。被評価者のモチベーションを落とさないためにも、伝え方にまで気を配るのは評価担当者の役目だといえます。
06人事評価研修の実施方法
評価研修の実施方法は、主に以下の3つがあります。
- ・ロールプレイング研修
- ・集合研修
- ・eラーニング
それぞれの研修方法に一長一短があるため、自社の運用に適したものを選択するといいでしょう。今回は、人事評価研修のなかでも特に有効な3つの研修方法を紹介します。
ロールプレイング研修
被評価者との評価面談力を鍛えたい場合は、ロールプレイングを用いた研修が有用です。実際の面談を想像し、再現性をもたせて研修を行うことで、面談のための心構えやコミュニケーション能力、そして実践力を養えます。実際の評価面談をスムーズに行うためにも、一度は経験しておきたい研修方法です。
集合研修
受講者がまとまった時間を取れる場合は、集合研修もおすすめです。セミナー会場などに評価者(管理職)が一同に介して、同じ研修を受講し、その場で意見交換ができるので、人事評価に対する疑問や不安を管理職同士で共有し、学び合うことができるでしょう。
一方で、集合研修は時間と場所を揃える必要があるため、人事が忙しい管理職の時間調整に難航する可能性は高いです。
eラーニング
eラーニングは、忙しい管理職が多い企業におすすめです。特にプレイヤーも管理職が兼ねている場合には、eラーニングで時間と場所を選ばず、研修を受講してもらうと良いでしょう。
一方で、eラーニングは座学のインプットのみしか行えません。そのため、eラーニングで人事評価に関する知識を身につけた後に、ロールプレイングを行なったり、グループディスカッションを行なったりすることで、アウトプットの機会も提供してあげると、効果の高い研修となります。
07人事評価研修のポイント
人事評価研修を行う際には主に2つのポイントがありますので、ここで詳しく解説します。
実践的な内容を盛り込む
人事評価研修では、理論だけでなく実践的な内容を重視することが重要です。参加者が学んだ理論を実際の業務にどう活かすかを具体的に示し、役立つスキルやツールを提供します。具体的なケーススタディやロールプレイ、実際の評価システムを使った演習などを通じて、参加者が理解を深め、実践できるスキルを身につけることが重要です。実践的なトレーニングは、受講者の学習効果を最大化し、業務への即応性を高めます。
定期的に研修効果のフィードバックを行う
人事評価研修では、定期的な研修効果のフィードバックを行うことが必要です。研修終了後や一定期間経過した後に、参加者や上司からのフィードバックを収集し、研修の成果や課題を把握します。フィードバックを通じて、参加者の理解度やスキル習得の度合い、実際の業務への適用状況を評価し、研修プログラムの改善点を把握します。定期的なフィードバックは、研修の効果測定や継続的な改善につながります。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
08人事評価研修ならSchoo for Business
Schooでは約8,000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。人事評価研修に活用できる授業も多く、人事評価の基本を学べる授業から、フィードバックや関係構築、目標設定に関する授業まであり、幅広く研修を実施することが可能です。また、eラーニングによる研修のため、日々の業務で忙しいプレイングマネージャーでも隙間時間で研修を受講できます。
Schoo for Business |
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受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Shcooの人事評価研修の特長
schoo for Businessの人事評価研修の特長としては3点あります。
1.隙間時間でインプットできる
Schoo for Businessは、倍速再生や中断地点からの再生もできるので、隙間時間で研修を受講することができます。普段は業務で忙しいマネジメント層に、短時間で質の高いインプットをしてほしいという企業におすすめのサービスです。
また、スマートフォンのアプリからも視聴できるので、通勤時間やお昼休憩などの時間を活用して、研修を受講することもできます。
2.何度でも復習可能
Schooは、eラーニングによる研修であるため、何度でも同じ動画を見返すことができます。インプットした内容を実務でアウトプットしてみて、上手くいかなかったところを再度試聴して復習するといった使い方ができるのも、eラーニング形式であるSchooのメリットと言えます。
3.第一線で活躍するビジネスパーソンが講師
通常、研修は研修講師という職業の人が、講師を務めます。もちろん、教えることに関しては研修講師は専門家で秀でていますが、実際の実務で得た経験や知見といった内容が欠けており、教科書どおりの内容となってしまうことも珍しくありません。
しかし、Schooの講師は第一線のビジネスパーソンにお願いしております。GoogleやYahoo、リクルートやサイバーエージェントでマネジメント業務を担ってきた一流のビジネスパーソンから、血の通ったマネジメントを学ぶことができるという点はSchoo最大の特長と言えるでしょう。
人事評価研修のカリキュラム例
Schooには8,000本以上の動画コンテンツがあります。この章では、人事評価研修のカリキュラム例として「人事評価 部下の評価を正しく行うポイント」というコンテンツを詳しく紹介します。
第1回 | 評価者としての心得と評価の留意点 |
時間 | 20分 |
研修内容 |
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第2回 | 評価面談の手順とポイント |
時間 | 20分 |
研修内容 |
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このカリキュラムでは管理職、上司として公正な評価を行うための、考え方や基準、評価面談の進め方に2回に分けて解説します。ゴールとしては、「適切、かつ自身を持った評価行為ができるようになる」・「被評価者からの不満に対して、自立的に対処ができている」といった状態を目指し、作成されている授業です。
研修講師
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コンサルタントマネージャー
株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン コンサルタントマネージャー。
<経歴>小売業 統轄エリアマネージャー(22店舗担当)人事部部長、不動産業 人事課課長、大手販社 人材開発部マネージャー
<得意分野>新入社員の接客・接遇・ビジネスマナーから上層階層のマネジメントスキルまで幅広く対応。クライアントの現状を細かくお伺いし、目指すべき姿を明確にし教育プログラムを構築します。
Schooの導入企業事例
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
Schooの人事評価研修の費用
Schoo for Businessは1ID/1,500円から利用可能で、20名より申し込みができます。ご契約のID数が多ければ多いほどボリュームディスカウントもあるので、人事評価研修だけでなく、マネジメント研修や非評価者研修などを組み合わせると費用を抑えて研修を実施することが可能です。詳しい費用はお問い合わせをいただくことで、お見積もりを出させていただきます。
Schoo for Businessを導入するまでの流れ
まずは資料請求・お問い合わせをお願いいたします。担当がお電話・メールにて詳細をお伺いして、お客様が抱えている課題やどのような研修を希望されているかをヒアリングさせていただきます。ご契約からは数週間で利用開始いただくことが可能ですが、ご希望に合わせて導入開始日は調整可能でございます。
09まとめ
人事評価は円滑に運用することで、従業員のモチベーションや企業の生産性が向上するという大きなメリットを期待できます。一方、評価者が下した評価が公平かつ客観的なものでないと、従業員の不満を募らせてしまうおそれもあります。 そのため、評価担当者には研修を行い、人事評価の重要性や目的を理解してもらったうえで、適正な評価ができるようサポートすることが重要です。 ぜひ本記事を参考に、人事評価研修を行い、正しく公平な評価を行える人材を育成しましょう。
▼【無料】MBO・OKR・KPI~働きがいと成果を同時に実現する人材マネジメントの原則|ウェビナー見逃し配信中
組織マネジメントや目標設計、人事評価についてのウェビナーアーカイブです。20年以上、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、書籍、人事塾などによって、企業の人事を支援している、株式会社壺中天の代表である坪谷氏をお招きし、働きがいと成果を同時に実現する人材マネジメントについてお話しを伺います。
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登壇者:坪谷 邦生 様株式会社壺中天 代表取締役
立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。その後、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げ、2020年「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し代表と塾長を務める。