人事評価研修とは?評価者を育成する目的とコツを紹介

人事評価制度を設けている企業の多くが、評価者研修を実施しています。では、評価者研修とはどのような意味をもつのでしょうか。本記事では、評価研修の必要性や目的、効果的な実施方法まで詳しく解説します。これから人事評価研修を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.人事評価研修とは
- 02.人事評価研修の目的
- 03.人事評価研修を取り入れた方が良い企業の特徴
- 04.人事評価研修の対象となる人材とは
- 05.主な人事評価研修の内容
- 06.人事評価研修の実施方法とは
- 07.評価者研修を人事評価に活用するポイント
- 08.まとめ
01人事評価研修とは
人事評価研修とは、評価担当者が適切かつ人材育成につながる評価方法を身につけるために行われる研修制度です。社員一人ひとりのモチベーション向上や、組織の更なる成長を目指し、目標設定から成果、その過程までの正しい評価方法を理解することが目的です。
人事評価研修が必要な理由
企業の発展には、人材は欠かせない要素のひとつです。その人材を確保・維持・育成するためには適切な人事評価制度が必須です。せっかくの人材、そして人事評価制度を無駄にしないためにも、まずは人事評価研修が必要な理由について理解を深めておきましょう。
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02人事評価研修の目的
人事評価研修の目的は、公平な人事評価を行うことにあります。人事評価を誤った方法で行っていると、さまざまなエラーが起きやすく、被評価者が納得しないおそれがあります。そのため、評価者研修を導入し、正しい評価を下せるようになることが評価者の責務です。
人事評価に必要な知識を養うため
公平で納得性の高い評価を実施するためには、少なからずノウハウが必要です。被評価者のどのような点に着目し、評価をするべきなのか、そのリサーチ方法や面談時のコミュニケーションの取り方などを学びます。
正しく従業員を評価するため
現在、企業の人事評価制度について、程度の差はあれ、何らかの不満や疑問を抱いている従業員は少なくありません。その理由は、評価制度そのものに納得をしていない部分があるからです。組織の生産性を高め、皆が働きやすい環境を作るためには、正しく従業員を評価する評価制度が必要不可欠です。
評価者の役割を自覚するため
評価者自身に、人事評価をする理由や目的、どのような変化が予想できるのかなど、人事評価そのものに関する理解を深めてもらいます。さらに、人事評価制度研修を通じて、評価者として公正・公平な評価をするための意識や行動、評価者としての役割の自覚を促します。
評価のフィードバックを正しく行うため
評価とは、ただ相手に伝えて終わりではありません。企業の経営方針あるいは部署の目標などと比較して、どのような部分が評価されたのか、もしくはされなかったのかなどを具体的にフィードバックしなければなりません。 被評価者に、結果を踏まえて今後どのようになっていってほしいのかを、伝えられる存在になれるよう評価者も努力することが重要です。
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国際エグゼクティブコーチ
株式会社グローバル・キャリアデザイン 代表取締役。 東京生まれ。ミラノ在住。コロンビア大学、INSEAD(インシアード・欧州経営大学院)MBA卒業後、国内外10カ国で、外資系の戦略コンサルタント、多国籍企業のマーケティング、新規事業の立ち上げ等、様々なキャリアを積む。 結婚後もプロジェクトリーダーを務めるなど、精力的に働いていたが、子どもが障がいを持って生まれたのを機に、自力だけではどうにもならないことがあると知り、働き方、あり方を見直す。様々な文化、考え方、事情を持つメンバーが一緒に仕事をし、結果を出すには、個々の良さを引き出し、最大限活用できる環境を作ることが必要だと考え、ポジティブフィードバックを実践しはじめる。 現在は、独立し、国際エグゼクティブコーチ、企業研修講師、コンサルタントとして活動。ポジティブフィードバックを活用したコーチングが好評を博し、法人、個人問わず、グループ面談やセミナーなどを提供。最近は、企業から依頼を受け、経営者、リーダー等にポジティブフィードバックを始めとするビジネススキルを伝承している。3児の母でもある。 また、HPやメルマガ、SNS等で、キャリアについて悩む人々に情報発信をしている。
03人事評価研修を取り入れた方が良い企業の特徴
人事評価研修の概要を解説しましたが、自社に取り入れるべきかどうかの判断はどのようにすればいいのでしょうか。ここでは、取り入れた方が良い企業の特徴について解説します。
人事評価制度が機能していない
時代の変化や企業の成長やしているのに、人事評価制度は従来のままでは適切な評価ができません。そして、人事制度が機能していない状態は、管理者の評価スキルが不十分であるということでもあります。 評価スキルが未熟のままだと、評価結果を部下の育成に繋げられず、モチベーションの低下を招いてしまいます。 こういった場合には、人事評価研修を導入する必要があるでしょう。
人事評価制度に不満を持つ社員が多い
評価や給与に不満を持っている社員やそれらを理由とした離職者が多いケースで、人事評価を見直したいという場合にも導入が必要です。 評価に不満を抱くのは、適切に評価できていないだけでなく、被評価者も何をすれば評価が上がるのかが分からないことが挙げられます。 そのため、社員が適切な評価を受けられるよう、人事評価研修を行う必要があるでしょう。
04人事評価研修の対象となる人材とは
人事評価者研修の主な対象者は、管理者をはじめとした、一般従業員を評価する立場にある人です。管理職だけが参加すれば良いわけではありませんので、注意しておきましょう。ここからは、研修を受けるべき対象者とその理由について見ていきます。
管理職
第一に挙げられる対象者は、管理職です。ただし、一口に管理職といっても、経験歴によって必要な研修の内容は異なります。新任管理職者の場合は、人事評価制度について目的や手段、フィードバックの流れなどを取り入れます。上級管理職には、これまでの評価業務のなかで感じた疑問点の解消、評価者同士のブラッシュアップなど、評価制度をより良いものにするための、応用的な内容を組み込むといいでしょう。
人事担当者
続いて挙げられるのが人事担当者です。人事担当は、従業員の処遇を決定する重要な役割を担う仕事です。人事評価制度の基本や、運用方法を正確に理解していなければなりません。変化の多い現代社会のなかでは、人事評価制度の更新も人事担当者の重要な業務です。現状の制度に改善点はないか、今一度確認するためにも、人事評価研修への参加をおすすめします。
経営者・役員
経営者や役員が人事評価制度に参加すると、より経営戦略に沿った人事評価制度を構築できます。また、経営層が社内の最新の評価制度を把握しておくことで、社内の人員に関する強みや弱みを改めて把握でき、次期マネージャーの育成にも役立ちます。
05主な人事評価研修の内容
研修は、ただやみくもに行えばいいわけではありません。研修を通じて評価対象者に学んでほしいことや、知っておいてほしい知識をきちんと伝えなければ、期待通りの結果を得ることは難しいでしょう。理想的な人事評価研修の内容は以下の通りです。
人事評価の重要性・基礎知識
まずは、人事評価ですべきことや、人事評価の意義・重要性、人事評価の流れを学びます。評価の基本を受講生全員で再確認することで、人によって評価基準が異なるなどの事態を防止できます。 「目標管理」「育成」「評価」「面談」の4つを軸に、人事評価そのものについて理解を深めましょう。
目標の立て方
業績評価のポイントや業績評価で目指すべきこと、個人の定量、定性目標など、目標設定の立て方を学びます。目標に必要な要素や、避けるべき目標の表現を学ぶことで、評価者と被評価者の双方が納得のいく目標の立て方を理解します。 目標設定と管理の方法については以下の授業も参考にしてみてください。
「目標設定と管理への基礎理解」
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㈱LEBEN CAREER CEO ㈱MEXUS CCO
秋田県は男鹿市の生まれ。 秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 株式会社MEXUSでは、CCOとしてパーソナルコーチングサービス『REEED』を企画運営。専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
正しい評価の方法
評価の精度をより高めるため、適切な評価能力を身に付けます。評価者により被評価者への評価にバラつきがあると、それが本当に正しい評価であるか、信ぴょう性が疑われてしまいかねません。自身の評価が正しいかを客観的に捉え、揺るぎない、公正な評価をつける方法を学びます。
評価の伝え方
評価は、ただ淡々と伝えれば良いとは限りません。評価への納得感を高めるためにも、なぜその評価となったのか、そして今後どのような点に期待しているのかまで、しっかり伝えるべきです。被評価者のモチベーションを落とさないためにも、伝え方にまで気を配るのは評価担当者の役目だといえます。 フィードバックの方法については以下の授業も参考にしてみてください。
「人事考課とフィードバックの方法」
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パーソルキャリア株式会社/IT領域法人営業部 部長
パーソルキャリア株式会社(旧:株式会社インテリジェンス)にてキャリアアドバイザーとして約2000名のエンジニアに転職支援サービスを提供。 2010年よりマネジャーとしてキャリアアドバイザー育成、面接力UP講座の講師、各企業の採用イベントでの講演等に従事。 現在は法人営業としてIT・インターネット業界の法人のお客様に向け、採用競争力向上に貢献すべく奮闘中。 所有資格:国家資格キャリアコンサルタント/米国CCE.Inc認定 GCDF-japanキャリアカウンセラー
06人事評価研修の実施方法とは
評価研修の実施は、いくつかの方法を用いて行います。それぞれの研修方法に一長一短があるため、自社の運用に適したものを選択するといいでしょう。今回は、人事評価研修のなかでも特に有効な3つの研修方法を紹介します。
ロールプレイング研修
被評価者との評価面談力を鍛えたい場合は、ロールプレイングを用いた研修が有用です。実際の面談を想像し、再現性をもたせて研修を行うことで、面談のための心構えやコミュニケーション能力、そして実践力を養えます。実際の評価面談をスムーズに行うためにも、一度は経験しておきたい研修方法です。
オンライン研修
全員がまとまった時間を取りづらい管理職や経営者には、効率的に学べるオンライン研修もおすすめです。オンライン研修は、場所や時間に制限されることがないうえ、わからない箇所を繰り返し確認できたり、自分の都合に合わせて研修を受講できたりといった点がメリットといえます。
eラーニング研修
コンピューターとインターネットを利用した、双方向コミュニケーションが可能な学習方法、eラーニング研修も人事評価研修に適しています。 評価対象者にはパソコンや、スマートフォンなどのモバイル端末を用いて、業務の合間や通勤時間などの隙間時間を使って学習してもらいます。これにより、スケジュール調整や、研修準備など手間を削減できるため、コストを抑えつつ学習の質の均質化が狙えます。
07評価者研修を人事評価に活用するポイント
いくら立派な人事評価研修を行っても、実際の人事評価で学んだ内容をきちんと活用できていなければ、せっかくの研修も意味のないものとなってしまいます。下記でご紹介する評価者研修を人事評価に活用するポイントを押さえ、会社の更なる発展を目指しましょう。
研修内容を基に人事評価基準を見直す
研修内容を基に、被評価者の職務内容に合わせて、人事評価基準を見直すことも重要です。人事評価の問題点や課題に合わせて定期的に評価者研修を行うことで、適切な人事評価基準を設けられるでしょう。一度人事考課者担当者同士で意見をすり合わせてみてください。
公正な評価を下す仕組みを作る
研修を通して浮き彫りになった評価の問題を都度解決しながら、より公正な評価をくだす仕組みを作ることも重要な人事評価業務の一環です。現行の人事評価制度に不足点はないか、研修参加者全員で今一度確認すると良いでしょう。
日常のマネジメントに活用する
人事評価は、定期的に部下の成果や能力、情意を評価することで、良い点、改善すべき点を明確にし、今後の教育につなげるためのものでもあります。研修で学んだ知識と手法を日常のマネジメントに活用することは、評価者自身の管理スキル向上にもつながります。
フィードバック面談を実施する
部下の成果に対して、上司から評価とその根拠を具体的に伝え、今後の課題や効果的な行動計画を練るフィードバック面談の実施もおすすめです。1対1の密なコミュニケーションを通じて、上司と部下、双方向の信頼関係を深められます。また、上司が部下の人柄を理解することで、次第に部下も上司に相談しやすくなり、結果的に風通しの良いチームがつくれます。
「人事評価に”自社の基準”はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える」
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株式会社キャスター取締役CRO
株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。
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08まとめ
人事評価は円滑に運用することで、従業員のモチベーションや企業の生産性が向上するという大きなメリットを期待できます。一方、評価者が下した評価が公平かつ客観的なものでないと、従業員の不満を募らせてしまうおそれもあります。 そのため、評価担当者には研修を行い、人事評価の重要性や目的を理解してもらったうえで、適正な評価ができるようサポートすることが重要です。 ぜひ本記事を参考に、人事評価研修を行い、正しく公平な評価を行える人材を育成しましょう。
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組織マネジメントや目標設計、人事評価についてのウェビナーアーカイブです。20年以上、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、書籍、人事塾などによって、企業の人事を支援している、株式会社壺中天の代表である坪谷氏をお招きし、働きがいと成果を同時に実現する人材マネジメントについてお話しを伺います。
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登壇者:坪谷 邦生 様株式会社壺中天 代表取締役
立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。その後、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げ、2020年「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し代表と塾長を務める。
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