公開日:2022/10/05
更新日:2023/01/19

セクショナリズムはなぜ批判されるのか?要因と改善方法とは

セクショナリズムはなぜ批判されるのか?要因と改善方法とは | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

セクショナリズムは会社や組織を運営する上で生じる問題です。このような問題はセクショナリズムに限らずある一方で、セクショナリズムが生じると組織が強く批判される理由になりかねません。 では、なぜセクショナリズムが生じるのでしょうか。また、その改善方法にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

01セクショナリズムとは?

セクショナリズムとは、部分的、局部的を意味する「sectional」と、主義を意味する「ism」が組み合わさってできた言葉で、企業や組織における機能障害のうち、部局割拠主義を指します。

「部局」すなわち事業や役割分担の兼ね合い上、区分された組織において「割拠主義」すなわち権力者が自身の縄張りを拠り所とし、権力を行使することを指します。分かりやすく「派閥主義」と言い換えられることもあります。

一般的には横断型の組織ではなく、縦型組織で生じやすいとされていますが、いくつか種類があります。なお、セクショナリズムは全ての部署で共通と限らず、部署によってセクショナリズムが異なる場合があるため、その種類を詳しくご紹介しましょう。

無関心型・非協力型セクショナリズム

他部署への無関心や非協力的な姿勢が目立つ場合を「無関心型・非協力型セクショナリズム」と呼びます。自身の所属部署の業務や人間関係には関心があるものの、他部署には全く関心がなく、極端に協力することを嫌います。

他部署との連携における連結役となることを極端に嫌うため、横断的なつながりが生まれにくい状態になります。また、現状に固執する傾向があるため、新規事業の創出のみならず、既存事業の付加価値の創出も生まれにくくなります。

部署を超えた協力体制がないため、トラブルなどが生じた際は解決まで時間を要しお客様へ迷惑を掛けてしまう事態が起こってしまうかもしれません。

批判的・排他型セクショナリズム

他部署への批判的な姿勢や排他的な姿勢が目立つ場合を「批判的・排他型セクショナリズム」と呼びます。先ほどの「無関心型・非協力型セクショナリズム」が他部署に対して関りを一切持とうとしない一方で、「批判的・排他型セクショナリズム」は他部署に対して攻撃的になるという特徴があります。

「批判的・排他型セクショナリズム」は、自部署の優位性を示すためにライバルとなる部署の批判や排除を始めます。これが組織内に多い場合には、他部署の攻撃をそれぞれが行っているため、部署間で全くもって協力体制を構築することができません。

また、一方が「無関心型・非協力型セクショナリズム」、もう一方が「批判的・排他型セクショナリズム」の場合は、「批判的・排他型セクショナリズム」による一方的な攻撃で、「無関心型・非協力型セクショナリズム」との対立を深めてしまう可能性があります。

互いの利益や損出はもちろんのこと、優秀人材の流出やトラブルへの発展など、様々な危険因子があるため早急に解決する必要があります。

 

02セクショナリズムが批判される要因とは?

ここまでのセクショナリズムに関する紹介を通し、企業や組織においてメリットが少ないことを理解いただけたのではないでしょうか。ここからは、さらに具体的にセクショナリズムが批判される要因を見ていきましょう。

組織が停滞する

セクショナリズムが批判される最も大きな要因は、組織が停滞することです。組織が停滞することによって、所属部署の機能はもちろんのこと、他部署との連携機能も著しく低下してしまいます。

組織が停滞することは、一見すると企業運営に直接的な影響を与えないように感じるかもしれません。しかし、情報連携不足が起こりやすくなったり、トラブル対応の初動に時間を要したりなど、組織にとってはデメリットしかありません。したがって、組織が停滞することは大きな問題と言えるでしょう。

生産性が低下する

生産性が低下することもセクショナリズムが批判される要因のひとつです。部署内の生産性をはじめ、会社全体の生産性が低下します。

生産性が低下することで、事業進捗が格段に遅くなります。また、業務効率が格段に遅くなるため、既存事業の運営に手いっぱいで、新規事業の検討などを進めることも難しくなるでしょう。また、業務のしにくさによって、精神的なストレスを抱える社員も少なくありません。

結果的に従業員個人単位、組織単位、会社単位全てにおいて、メリットはほぼないと言えることができます。

同調圧力が生まれる

セクショナリズムは部署、組織、またそれらを構築する人間関係において、同調圧力を生みやすくなります。同調圧力があることで、自由に仕事ができなくなるだけではなく、意見を発言することも難しくなります。

その結果、軍隊のような組織ができあがります。権力者の意見に立ち向かうことが難しいため、右を向けと言われたら右を向き、左を向けと言われたら左を向くような組織になってしまうでしょう。

これにより、従業員は心理的安全性を感じにくくなるため、心地よく働くことができる環境ではなくなってしまいます。結果として組織としての停滞はもちろん、生産性低下によってトラブルや、売上や利益の減少につながる可能性があります。

新たなチャレンジを創出しにくくなる

セクショナリズムが加速することで、新たなチャレンジを創出しにくくなります。同調圧力によって新たなアイディアが生まれない、もしくは生まれていても声に出すことが難しい場合や、生産低下によって新しいチャレンジを創出する時間を生み出すことができないという可能性もあります。

既存事業の運営が上手くいっていれば、大きな問題ではないと捉える人がいるかもしれません。しかし、新たなチャレンジは新規事業の開発のみを指しているわけではありません。日々の業務改善や人間関係の構築など、企業生活における様々な場面を指しています。企業の売上や利益拡大につながるチャレンジを創出しにくくなることは、結果的に企業としての成長機会損失を指します。

このように、セクショナリズムはメリットはほぼなく、企業の成長を大きく妨げる要因となるのです。

 

03セクショナリズムの発生要因

では、なぜセクショナリズムは発生してしまうのでしょうか。セクショナリズムの代表的な発生要因を2点をご紹介します。

偏見がある

他部署や他チームとの関わりがなかったり、コミュニケーションが不足したりすると、自身が持つイメージのみで相手を判断してしまう可能性があります。自身が所属する部署やチームとの常識が異なれば、考え方は異なって当然ですが、そのような考え方ができない場合にセクショナリズムが発生します。

年功序列型の組織

実力主義ではなく、年功序列型の組織の場合、上下関係が厳しい傾向にあります。そうすると組織は閉鎖的になり、自分の意見ではなく上司の意見のみを重視してしまう傾向があります。その結果、気付いた時にはすでにセクショナリズムが発生してしまっている可能性があります。

 

04セクショナリズムを打破するためには?

では、このようなセクショナリズムを打破するためにはどのようにすると良いのでしょうか。セクショナリズムは時間の経過とともに、自然に改善していくことはほぼ考えられません。したがって、企業が課題感を感じた場合には、積極的に打ち手を講じる必要があります。

こちらでは、セクショナリズム打破するための工夫を3点ご紹介します。

横断型組織編成になるよう工夫する

まず取り組むべきは、横断型組織に編成することです。

セクショナリズムは縦型組織に起こりやすいとされており、業務や取り扱う商材など、内容が近い仕事を行っている従業員同士で組織化されます。その結果、業務ノウハウを共有しやすいため、生産性向上につながりやすいとされています。

一方で、縦型組織は他部署との連携がなくても業務を完結させることができるため、業務効率が向上しているように見えるのもまた事実です。しかし、それは一時のメリットにしか過ぎず、結果的にセクショナリズムの道筋が立ちやすいと言うことができます。

そこで有効なのは、横断型組織に編成することです。業務や担当サービスに限定せず、組織を横断化することで、異なる観点で業務に当たる人と組織を共にすることができます。その結果、業務の垣根を超えたノウハウを共有できることはもちろん、縦型組織とは異なる人とのコミュニケーションを生むことができ、セクショナリズムを打破しやすくなります。

ジョブローテーション制度を導入する

縦型組織からの変更が難しい場合には、ジョブローテーション制度を導入するのがおすすめです。

ジョブローテーション制度とは、その名の通りジョブ、すなわち仕事をローテーションさせることを指します。同じ会社であっても、担当する業務が異なれば部署の文化や雰囲気などが大きく異なります。

数年単位でジョブローテーションが実施されることで、様々な業務を経験できるだけでなく、同じ会社内で異なる雰囲気を体験することができるため、部署別の垣根を感じにくくなるという特徴があります。

また、異なる仕事に携わる機会を提供することで、優秀人材が流出する可能性を最小限に抑えることも可能です。組織構造を大きく変更することは、企業としても組織としても大きな負担になります。したがって他の施策を検討したい場合にはジョブローテーション制度がおすすめです。

他部署と交流できる施策を実施する

組織構造の変更や、新たな制度設計が難しいという場合には、他部署と交流できる施策を実施してみてはいかがでしょうか。セクショナリズム打破において、最も手軽な方法だと言うことができます。

セクショナリズムが生じる大きな理由のひとつに、他部署の価値観やコミュニケーションスタイル、業務を進めるスピード感の違いなどを挙げることができます。言い換えれば、部署によって異なる実態を知ることで、互いに許容できるチャンスを生み出すことができます。

制度化しなくとも気軽に取り組むことができるため、取り急ぎできる施策を実行したい場合におすすめの方法です。

 

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アンコンシャス・バイアス - 無意識の偏見

誰もが持つ「アンコンシャス・バイアス=無意識の偏見」について、その正体と対応策について学びます。

 
  • 株式会社アパショナータ 代表&コンサルタント

    日本生まれ,韓国籍。 米国ペンシルバニア大学経済学部BA(学士)、シカゴ大学MBA(経営学修士)取得。 米国と日本で米国系企業に勤務後、日本に戻り米国系運輸企業に入社。同社にて日本・香港・シンガポール・中国など,太平洋地区での人事,スペシャリストおよび管理職研修企画・実施を手がける。 2000年に退社し、日本で最初にワークライフバランスを推進するコンサルタントとして独立。 同時に米国とアジアに精通したグローバルな経験を活かし、多様化が進む人材マネジメントと受容的環境構築(インクルージョン)へのコンサルティング、講演、研修、執筆、等に携わる。 近年ではダイバーシティ推進を阻むアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)及び「女性特有の自信のなさ」への意識と行動変革にも向け力を注ぐ。 著書: 「アンコンシャス・バイアス—無意識の偏見— とは何か」(ICE新書) 「アジアで稼ぐ『アジア人材』になれ」(朝日新聞出版) 「会社人間が会社をつぶす-ワークライフバランスの提案」(朝日選書)

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チームワークの教科書

この授業は、自らの起業を通して部下のやる気を引き出し、組織を伸ばしながら業績を好転させた経験を持つ早川さんをお招きして、やる気ゼロのメンバーでも心を動かし行動を変え、信頼関係を築き上げるリーダーシップについて実体験を解説いただきながら学んで行きます。

 
  • 株式会社AHGS代表取締役/グローバル起業家

    最終学歴は中卒。15歳から社会人として働き始め、22歳で東証一部上場企業に入社し、27歳で子会社の代表に就任。その後、英語力ゼロで海を渡り30歳でセブ島にて自己資本で起業。立上げ当初は部下のやる気を全く引き出すことができずに赤字続き。半年後には全財産を失うが、リーダーシップとマネージメントの型を一から学びなおした結果、組織を伸ばし業績が好転。現在は250名を超えるスタッフを抱えるベンチャー企業へと急拡大。 日本とセブとオーストラリアの3ヶ国で「英語学校」「日本語学校」「IT開発」「コールセンター」などのサービスを展開する。 また、講演家としても全国で活動中で、2020年2月には東京都庁にて400人を超える聴衆に講演を行う。

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多様なバックグラウンドのメンバーとの仕事がうまくいくチームビルディング

この授業では、チームビルディングの理論の観点で問題を認識し、対応策をご紹介する授業を実施します。 バックグラウンドの異なるメンバーと仕事を円滑に進めるにあたっての根本的に生じる問題や解消するための行動を学んでいきましょう。

 
  • 組織開発ファシリテーター

    日本福祉大学卒業後、東京学芸大学にて野外教育学を研究後、冒険教育研修会社、玩具メーカー、人事コンサルティング会社を経て独立。 企業、団体、教育、スポーツの現場など、約20年にわたって3000回を超えるチームビルディングを実施、現在は複数の法人で「エア社員」の肩書のもと、事業開発やサービス開発、社内外との横断プロジェクトを通じた組織づくりをファシリテーションする。 株式会社ナガオ考務店代表取締役、一般社団法人プロジェクト結コンソーシアム理事長、学校法人茂来学園大日向小学校の理事を兼任する。 著書に『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』(学研プラス)がある。

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06セクショナリズムの予防と対策で健全な組織へ

セクショナリズムは、組織が拡大成長していく上で避けて通れない課題かもしれません。しかし打ち手を把握しておけば、その被害を最小限に抑えることは可能です。セクショナリズムは組織の成長において、大きな足かせになりかねません。気付いた場合には早めに対処し、健全な組織運営へと進路を変更することが大切です。

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