ゼークトの組織論とは|無能な働き者の特徴、4分類についてわかりやすく解説
「無能な働き者は組織にもっとも害を与える」と、説いたのはドイツの軍人であるゼークト氏です。無能な働き者とは、正しい判断力や行動力がともなっていないにもかかわらず、自身の判断で(よかれと思って)仕事を進めてしまい、周囲を混乱させる困った人材のことです。 この記事ではゼークトの組織論から、人材の4分類と無能な働き者の特徴とアプローチの方法を解説します。
- 01.ゼークトの組織論とは
- 02.ゼークトの組織論の4分類
- 03.無能な働き者の特徴
- 04.無能な働き者へのアプローチ方法
- 05.まとめ
01ゼークトの組織論とは
ゼークトの組織論とは、組織内の人材を4つのタイプに分類し、どのような役割を与えると能力に応じた活躍ができるかを示した理論です。ゼークトの組織論では、人材を「利口・愚鈍」と「勤勉・怠慢」の切り口でかけ合わせ、4つのタイプに分類します。 提唱者とされる、ハンス・フォン・ゼークト氏は、ドイツ軍の軍人で上級大将まで努めた実力者です。軍人を4つのタイプに分類したジョークが、このゼークトの組織論の元になっていますが、他の軍人の発言によるものとする説もあるようです。
02ゼークトの組織論の4分類
ゼークトの組織論における、人材を以下の4つに分類します。
- ・有能な怠け者(利口・怠慢)
- ・有能な働き者(利口・勤勉)
- ・無能な怠け者(愚鈍・怠慢)
- ・無能な働き者(愚鈍・勤勉)
一見すると、この4つのなかでは、無能な怠け者(愚鈍・怠慢)タイプが、組織に取って悪影響を及ぼす存在に思えます。しかし、ゼークトの組織論の鋭いところは、無能な働き者(愚鈍・勤勉)タイプこそが、組織に害を与えるとした点にあります。 それぞれのタイプの特徴を見ていきましょう。
有能な怠け者(利口・怠慢)
有能な怠け者は、軍隊においては「指揮官」の役割を担うとよいとされます。いわゆるマネジメントに秀でているタイプです。判断力と行動力に優れており、自分が動かずとも的確に周囲に指示を出し、集団を統率し成果を出していきます。 組織全体を俯瞰し、適材適所に人材を配置し役割を与えることで、大きな成果を上げることができるのです。
有能な働き者(利口・勤勉)
有能な働き者は「参謀」の役割が適しています。判断力や行動力に優れている点は有能な怠け者タイプと同様ですが、勤勉であるがゆえに自分で仕事をこなしてしまう傾向が強いのです。 このタイプがリーダーになると、ある程度の成果は出せるが、人に仕事を任せることが苦手なため、部下の成長を鈍化させてしまうことがあります。 有能な働き者は、人に指示を出し動かすよりも、リーダーのサポート役に徹したほうが力を発揮するようです。
無能な怠け者(愚鈍・怠慢)
無能な怠け者タイプは軍隊における「兵卒」の役割が適しているとされます。いわゆる「自分で考えて動くことはないが、指示されたことはやる」タイプの人材です。判断力や行動力は備わっていないものの、職務を与えるときちんとこなしてくれるのです。 組織においては、大半がこのタイプの人材で占められる場合が多いでしょう。指示を忠実に実行できるため、ルーティンワークにおいて力を発揮し貢献してくれる人材です。
無能な働き者(愚鈍・勤勉)
ゼークトの組織論において、もっとも害のある存在とされるのが、無能な働き者(愚鈍:勤勉)タイプの人材です。正しい判断力や行動力が備わっていないにもかかわらず、自身の判断で行動してしまう特徴を持っています。いわゆる「余計なことをしてくれる」タイプの人材です。 無能な働き者が動くことで間違った判断により損害が出たり、周囲が後始末に追われたりといった混乱を招きます。しかも、本人は「よかれと思って動いている」点が、大きな問題となるのです。
03無能な働き者の特徴
ここではゼークトの組織論における、無能な働き者の特徴について解説します。組織に害を与える存在とされる無能な働き者は、高い意欲の持ち主ではあります。しかし成果がともなわず、問題のある仕事の進め方で周囲を困惑させトラブルを引き起こすのです。 分析すると以下のような特徴があてはまります。
- ・自己判断で仕事を進める
- ・同じミスを繰り返す
- ・仕事を抱え込む
- ・報告・連絡・相談に問題がある
- ・効率を考えず長時間働く
- ・自己評価が高く傲慢
- ・不満を持ちやすい
- ・責任感が希薄
自己判断で仕事を進める
無能な働き者タイプの人材は、上司や先輩社員に相談することなく、勝手な判断で仕事を進めてしまう傾向があります。そして、その多くは誤った判断であることが多く、損害を出してしまうのです。 このタイプの人材は、仕事の責任範囲に関する認識が欠如しているようです。自身の能力を過信しているため、必要な確認・質問をせずに権限を超えて仕事を進めてしまうのでしょう。
同じミスを繰り返す
同じミスを繰り返すのも、無能な働き者の特徴です。ミスをしても反省をしないため繰り返してしまいます。目的や本質を理解しておらず、自身の考えや方法にこだわり仕事を進めることが原因です。 上司が注意しても本人は「このやり方のほうが正しいのに」と反省をしません。結果同じミスを繰り返し、余計な仕事を増やしてしまう悪循環に陥るのです。
仕事を抱え込む
もともとの能力が高くないため、仕事がはかどらずため込んでしまう傾向があります。しかも、プライドの高さからピンチであっても、周囲に手助けを求めることはしません。そのため、納期ギリギリになって慌てて同僚が分担し、フォローするといったことが起きます。 本人は仕事がたまっている状態を「自身の有能さゆえ仕事を多く振られている」と、勘違いしている節もあります。そのため、また仕事を抱え込み、周囲に迷惑をかけることを繰り返してしまうのです。
報告・連絡・相談に問題がある
報告・連絡・相談の内容やタイミングに問題があることも特徴の一つです。自身の能力を過信しているため、問題が生じても「これくらいは大丈夫だろう」と誤った判断で報告を怠ります。情報共有に対する意識が低く、重要な情報を抱え込んでしまう傾向もあるようです。 判断に迷ってもプライドが邪魔して適切な相談ができないため、事が大きくなってから発覚し、周囲がトラブル対応に追われてしまうのでしょう。
効率を考えず長時間働く
仕事の能力が高くないために、一つの仕事に時間がかかり、結果として長時間労働になってしまうことも多いようです。作業効率を改善しようという考えも持てないため、ひたすら目の前の仕事を時間をかけてこなしていきます。 また、長時間働くことで「自分は仕事をこんなに頑張っている」という意識が働きます。長時間働くわりには、成果が出ていないことに気が付けないのです。
自己評価が高く傲慢
無能な働き者の特徴として、自身の能力を過大評価している点が挙げられます。そのため報告・連絡・相談を怠り、自己判断で仕事を進めてしまうのです。 こうした勘違いが周囲に迷惑をかけているとは気が付かずに「自分は有能で特別だ」という意識が高く、指摘されても改善しようとはしません。反対に、自己評価とプライドが高いため、傲慢な振舞いをしてしまうこともあるようです。
不満を持ちやすい
自己に対する評価が高く、周囲の評価と一致しないことが不満の原因となります。「長時間仕事をしているのに評価されない」「能力に見合った仕事を任されていない」と考えてしまうのです。 また、自身の能力を過大評価しているため、仕事で成果が出ないことの原因を自身に求めることはしません。そのため、成果が出ないことを同僚のせいにするなど、不満を募らせるのです。
責任感が希薄
成果が出ないことやミスやトラブルの原因は、すべて周囲にあると思い込んでいるため、責任感が希薄になっています。自身を有能であると勘違いしているために起こる現象です。 プライドの高さからミスを認められずに、指摘に対しても反発を覚え、責任転嫁をすることもあります。そのため、ますます周囲の信頼を損ない、自己評価と周囲の評価のギャップに苦しむようになるのです。
04無能な働き者へのアプローチ方法
無能な働き者タイプの人材は放置しておくと、いずれ取り返しのつかない大きなトラブルを起こすリスクをもたらします。組織として放置せず、適切な関わりを持つことで軌道修正を図らなくてはなりません。しっかりと向き合い、チェックと改善をしていきましょう。 具体的には、以下に挙げる3つの方法が効果的と考えられます。
- ・情報共有の仕組みを構築する
- ・コミュニケーションと教育の機会を増やす
- ・目標管理制度を導入する
情報共有の仕組みを構築する
自己判断で仕事を進めてしまうことがないように、情報共有の仕組みをしっかりと作り上げることです。仕事の責任範囲を明確にして、どのレベルであれば伺いが必要なのか、明確な線引きが必要になるでしょう。 また、報告・連絡・相談を漏れなく行える仕組み作りも有効です。モバイル端末を利用した情報共有ツールを導入することもよい方法かもしれません。
コミュニケーションと教育の機会を増やす
上司や同僚とのコミュニケーション機会を意識して増やすことにより、細かなチェックと相互理解ができるようになります。1on1ミーティングなど定期的な面談の機会を設け、困りごとや進捗の確認をするとよいでしょう。 また、研修を実施するなどして、正しい仕事の進め方を教える機会を設けることも必要です。特に若年層の人材に対しては、仕事の責任範囲や正しい報告・連絡・相談の方法を教育し、浸透させましょう。
目標管理制度を導入する
無能な働き者は、頑張ることのベクトルが間違っていることが多いようです。そのため、人事評価に目標管理制度を導入して、何を頑張れば評価されるのかを明確にしてあげることが有効な対処となります。 チームの目標と仕事の目的を理解させ、目標達成のための行動を個人レベルにまで落とし込みます。そうすることで、どのように行動すれば成果が上がり、評価されるのかが理解できるでしょう。
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05まとめ
無能な働き者は放置しておくことで、組織にとって大きな損害をもたらすリスクとなります。しかし、努力や判断のベクトルが間違っているだけで、意欲的な人材であることは間違いありません。適切に関わり軌道修正を図れば、組織に貢献してくれる人材になってくれるはずです。 無能な働き者の「組織の役に立ちたい」「貢献したい」という気持ちを、無駄にしないことが大切です。