現場力とは?高い組織に共通する要素と向上させる方法を解説

現場力とは、業務推進の場において問題を発見し、解決策を見つけ出し、価値を生み出す能力を指します。価値観が多様化し、市場環境がめまぐるしく変化する現代において、現場が自律的に問題を解決することは、企業成長を支える上で重要な要素です。本記事では、現場力の意味と意義、組織で獲得していくための方法について解説します。
- 01.現場力とは
- 02.高い現場力を持つ組織に共通する要素
- 03.現場力を向上させるための方法
- 04.現場力を向上させる際のポイント
- 05.Schooの講座が現場力向上をサポート
- 06.まとめ
01現場力とは
現場力とは、「現場における課題解決力」を指す言葉です。そして日本企業における現場とは、トップ・経営層や企画・管理部門を除いた、中間管理職を含む組織の一部分であり、顧客価値(付加価値)を生む業務が行われる最前線の部門やチームを指します。
例えば目標達成に向けて何か問題が生じたときに、現場でそれを感知し、上からの指示を待たずに改善策を策定・実行し、解決につなげられる組織は現場力が高いと考えられます。これは基本的に、ミドルアップまたはボトムアップ型の改善行動であり、現場力が上手く機能すると環境変化に対して迅速かつ柔軟に対応できるようになります。
▶︎参考:現場力と日本企業の競争力優位|神戸夙川学院大学観光文化学部教授 内藤 敏樹
現場力が重要視される理由
現代は環境変化やテクノロジーの進歩が著しく、先の見通しが立ちづらいことから「VUCA時代」とも呼ばれています。このような状況下で、現場力は企業の競争優位性と社会からの信頼を築く上で重要な役割を持ちます。
現場力が高い組織は、各事業やチームのリーダーシップが強い組織であるとも言えます。変化が緩やかな状況であれば、情報を経営層に集約し、その判断をもって行動することで対応ができますが、環境変化が激しい状況では遅れを取ることがあります。顧客や市場の変化、競合の状況、サービスに対するフィードバックといった重要な情報を、最も早く獲得できるのは前線で実務を担う「現場」です。現場が自主的・自発的・自律的に問題を発見し、迅速かつ柔軟に解決する力は、組織が変化に対応する上で重要な要素として認識されています。
02高い現場力を持つ組織に共通する要素
高い現場力を持つ組織に共通する要素は、主に以下の3つがあります。
- ・自律性
- ・柔軟な課題解決力
- ・チームワークと連携
ここでは、それぞれの要素について詳しく紹介します。
自律性
自律性とは、現場のメンバーが指示待ちではなく、自ら考えて問題を発見し、解決策を導き出し、行動する能力を指します。現場力の特性は一般に「ボトムアップの改善行動」であるため、自律性は現場力の核心を成す要素の一つです。そしてこれは、個人やチームの「身勝手な行動」を意味するものではありません。自律性とは、あくまで企業方針や戦略を土台として、それに沿う形で発揮されるものです。高い自律性は、顧客ニーズに対する迅速かつ柔軟な価値提供に役立ちます。
柔軟な課題解決力
現場力の高い組織は、日常業務で発生する問題や予期せぬトラブルへの対応力が高い傾向にあります。マニュアルに載っていない事象が発生しても、自ら問題を整理し、解決策を提示することで、早期の解決が実現できます。仮に最終的な意思決定は上の判断を仰ぐ必要があったとしても、現場主導で練られた対応策があれば、最終的な意思決定スピードも上がります。このような柔軟な課題解決力は、企業の競争優位性となり得ます。
チームワークと連携
現場力は集団・組織として発揮される力です。個々人がどれだけ改善行動に注力しても、その方向性がバラバラであれば期待できる効果も限定的です。メンバー間で共通の目標を持ち、目指す方向性や求められる基準について認識が揃っているからこそ、機動的な課題解決ができるのです。そのため現場のメンバーが互いに協力し、情報を共有しながら、一つの目標に向かうという姿勢や風土は、高い現場力をもつ組織に共通する要素と考えられます。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

03現場力を向上させるための方法
現場力を向上させるための方法は、主に以下の5つがあります。
- ・目標の明確化と共有
- ・裁量権の割譲
- ・社員の課題解決スキル向上
- ・正確な情報を吸い上げる仕組み作り
- ・部門内・外のコミュニケーションの促進
ここでは、それぞれの方法について詳しく紹介します。
目標の明確化と共有
現場のメンバーが細かな指示なしに自律的に動き、成果につなげるためには組織やチームの目標が明確であることが必要です。また、ただ文言として目標を理解しているだけでなく、その背景を含めて理解し、納得することが、行動の質につながります。目標が「自分ごと」となることで、「やらされ感」ではなく、主体性を持った一貫性のある行動が促され、モチベーションと一体感の向上にもつながります。
裁量権の割譲
「裁量権の割譲」とは、現場のメンバーに、課題設定から問題解決までの一連の業務プロセスを自律的に行い、意思決定する権限を与えることを指します。現場に提案や判断の権限がない状態では、対応の「正解」を常に上層部が持っていることになり、指示待ちや受け身の姿勢につながりやすくなります。
また現代では市場変化が速いことから、トップが現場の全てを把握してから判断するフローでは、迅速な対応が困難となる場合もあります。裁量権を現場に委譲することで、メンバーは自ら問題を発見し、解決策を導き出す「自律型人材」へと成長し、当事者意識とモチベーションの向上も期待できます。
社員の課題解決スキル向上
現場主導で問題発見、課題定義、解決を進めるには、社員それぞれの課題解決スキルも求められます。問題が起きたときに、それを構造的に捉えて要素分解し、何が本質的な課題なのかを見定め、それに対して実効性のある解決策を考える力です。これらを身につけるには、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった思考の型を学ぶだけでなく、日々の業務の中で実践と振り返り、改善行動を重ねることが大切です。
正確な情報を吸い上げる仕組み作り
いくら現場力が高かったとしても、情報が「現場」でのみ流通して上層部が把握できない状況では、経営者は適切な舵取りを行えません。そのため現場に権限を委譲して課題解決を推進する場合、その活動内容や結果がタイムリーかつスムーズに管理職・経営層に伝わる仕組みを作ることが重要です。
Schoo for Businessの授業『“強い”会社とは?〜人が自ら動き出す環境をつくる〜』に登壇する松岡保昌先生は、経営トップが全てを把握できない規模の企業においては、経営と現場双方のコミュニケーションが機能していることがとても重要であると解説しています。変化は現場で起きるため、その変化がスムーズかつタイムリーに経営へ共有されること、そして経営サイドは意思決定の背景を現場にしっかりと説明し納得を得ることが大切です。
部門内・外のコミュニケーションの促進
現場力が組織としての力である以上、それを高めるには社員同士のスムーズなコミュニケーションが求められます。一方、勤務形態や業務オペレーションによってはコミュニケーションがチーム内や部内にとどまることも少なくありません。そのため現場力向上の観点からは、部門内・外のコミュニケーションを意図的に促進することも大切です。心理的安全性と信頼関係が育つと、情報共有や協働が進み、モチベーションや一体感も高まりやすくなります。
04現場力を向上させる際のポイント
先述した現場力を向上させる方法を成功させるために、以下のような前提条件を抑えておく必要があります。
- ・経営層のグランドデザイン
- ・企業価値への共感の醸成
- ・「キャリア安全性」の確保
- ・育成システムの整備
- ・失敗を許容する文化の醸成
この章では、現場力を向上させる際のポイントについて詳しく紹介します。
経営層のグランドデザイン
高い現場力は組織の強みになり得る要素ですが、それだけで経営が成り立つわけではありません。現場の方針も企業目標やミッションに従う以上、経営層のグランドデザインや組織としてのリーダーシップがあってこそ真の強みを発揮できるものと言えるでしょう。また、現場力だけでは対応しきれない状況に直面した際には、経営陣の判断力や意思決定力が必須です。経営が明確な方針を示し、権限を委譲された現場が自律的に行動しつつ、スムーズに経営とコミュニケーションをとる環境を作ることが、変化に強い組織づくりにつながります。
企業価値への共感の醸成
Schoo for Businessの授業『“強い”会社とは?〜人が自ら動き出す環境をつくる〜』で講師の松岡先生は、変化に対応しながらやるべきことをやりぬく強い組織を作るためには、社員が会社の仕事を「自分ごと」として共感していることが重要だと解説しています。この共感には二軸あり、一つは「会社が世の中に提供している価値への共感」で、もう一つは「会社の社風や求められる働き方への共感」です。自身の仕事に意義を見出し、会社が目指すものに共鳴することで、社員は業務を「自分ごと」として捉え、主体的かつ自律的に動きやすくなります。
「キャリア安全性」の確保
現場力向上のためには、「キャリア安全性」の確保も重要です。「キャリア安全性」はリクルートワークス研究所の古屋星斗氏が提唱した概念であり、古屋氏が登壇するSchoo for Businessの授業『キャリアの現在地を知り、キャリア自律へ動き出そう』では、「自分がその職場にいて、キャリアの選択権を持ち続けられるという認識」と紹介されています。
近年は終身雇用が当たり前ではなくなっており、転職や独立といったさまざまな選択肢が存在する他、環境変化に伴って企業による早期退職の募集といったニュースも目にするようになりました。そのような環境下で、特に若手社員は将来のキャリア形成に不安を抱きやすく、職場で「選択肢が保てるか」を敏感に捉えがちです。
従業員が自身の会社におけるキャリアプランに不安を感じている状況では、自律的な改善行動や他の社員とのコミュニケーションに全力で向き合うことは困難です。キャリア安全性が確保されることで、仕事への打ち込み(エンゲージメント)や挑戦行動が促され、結果として現場の自主的・自律的な問題発見・解決(現場力)の発揮にもつながりやすくなります。
育成システムの整備
課題解決は目の前の事象を構造的に捉え、論理的思考や批判的思考を活用しながら筋のいい解決策を策定する取り組みであり、さまざまなスキルを総合的に用います。そのため現場力を高めて自律的な課題解決を推進するには、OJTやOFF-JTを通じた継続的な学びが重要です。
課題解決を率いる人材の層を厚くする設計として、ミドルマネジメント層の強化に加え、「任せて育てる」ジョブアサインによる「自律型人材」の育成が効果的です。その際は、期待水準や判断範囲を共有し、レビューと支援をセットにすることで育成効果が高まりやすくなります。また、技能認定制度などで能力を可視化し、自ら考え行動する「考える力」を系統的に訓練することも、現場力の強化に繋がります。
失敗を許容する文化の醸成
新しい挑戦や課題解決の試行錯誤には失敗がつきものです。この失敗に対して過度に責任を追求したり、査定を著しく下げたりすると、組織において「リスクを取らないこと」が合理的な行動となり、保守的になりがちです。そのため現場力を高める観点では、仮説検証や挑戦の過程で生じる意義のある失敗を「学びの機会」として捉える文化形成が重要です。
立場に関係のない率直な発信を否定せず、心理的安全性の高い環境を保ち、失敗を恐れずに意見や提案を共有することで、現場の自律的な問題解決力が高まります。この醸成には、ただ行動規範として示すだけでなく、特に現場のマネジメントにおいて思考と行動が徹底されることがポイントです。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

05Schooの講座が現場力向上をサポート
オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。
| 受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
| アーカイブ本数 | 9,000本 (新規講座も随時公開中) |
| 研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
| 費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
| 契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
現場力の向上におすすめの講座
この章では、オンライン研修サービスSchooの講座から、現場力の向上におすすめの講座を紹介します。
“強い”会社とは?〜人が自ら動き出す環境をつくる〜
この授業では、書籍『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)の著者で、株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長の松岡保昌さんに、どのようにすることで「強い会社」をつくれるのか、一社員として何を意識し行動していくべきなのかを解説いただいています。
-
株式会社モチベーションジャパン 代表取締役社長
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。リクルートでは、組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長を歴任。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役として球団立上げを行う。現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。
“強い”会社とは?〜人が自ら動き出す環境をつくる〜を詳しく見る
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
チームワークの教科書
この授業は、自らの起業を通して部下のやる気を引き出し、組織を伸ばしながら業績を好転させた経験を持つ早川さんをお招きして、やる気ゼロのメンバーでも心を動かし行動を変え、信頼関係を築き上げるリーダーシップについて実体験を解説いただきながら学んで行きます。
-
株式会社AHGS代表取締役/グローバル起業家
最終学歴は中卒。15歳から社会人として働き始め、22歳で東証一部上場企業に入社し、27歳で子会社の代表に就任。その後、英語力ゼロで海を渡り30歳でセブ島にて自己資本で起業。立上げ当初は部下のやる気を全く引き出すことができずに赤字続き。半年後には全財産を失うが、リーダーシップとマネージメントの型を一から学びなおした結果、組織を伸ばし業績が好転。現在は250名を超えるスタッフを抱えるベンチャー企業へと急拡大。 日本とセブとオーストラリアの3ヶ国で「英語学校」「日本語学校」「IT開発」「コールセンター」などのサービスを展開する。 また、講演家としても全国で活動中で、2020年2月には東京都庁にて400人を超える聴衆に講演を行う。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
人的資本の最大化に向けて必要なこと
この授業では、自律型組織を目指した人的資本の活かしかたについて学びます。「人的資本とは何か」「人的資本経営を進める上での課題」「人事部として行うべきこと」の3点について『人的資本の活かしかた』の著者でもある上林周平先生に解説いただいています。
-
株式会社NEWONE 代表取締役社長
大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者としてプログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。2015年、代表取締役に就任。2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメント向上を支援する株式会社NEWONEを設立。米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
06まとめ
現場力とは、日本企業の現場が自主的・自律的に問題を発見し解決する集合的な力で、変化の速い現代において企業の競争優位と社会からの信頼を築く鍵となり得ます。その向上には、目標共有、裁量権付与、課題解決スキルの強化が有効です。しかし、経営層のグランドデザイン、企業価値への共感、キャリア安全性、失敗を許容する文化が整って初めて、その真価が最大限に発揮されます。