キャリア迷子から抜け出すためには?原因から対策方法まで解説

キャリア迷子とは、自身の職業人生における方向性や将来の目標が定まらず、現在の仕事や今後のキャリアに対して迷いや不安を抱える状態を指します。価値観や働き方が多様化し変化の激しい現代では、若手からベテランまで幅広い層が直面しやすい課題です。この記事では、キャリア迷子が生まれる背景や原因を整理したうえで、個人が抜け出すための方法と、企業ができる支援策までを順に解説します。
01キャリア迷子とは
キャリア迷子とは、自分の人生やキャリアでどうしていきたいか分からなくなる状態を指します。具体的には、「このまま働いていても他社で通用するのか」といった漠然とした不安を抱えたり、「やりたいことが見つからない」と感じたりする状態です。リクルートワークス研究所の「働く人の共助・公助に関する意識調査(2021)」によると、「自分が人生やキャリアでどうしていきたいかわからない」という設問に対し、「あてはまらない」または「どちらかと言えばあてはまらない」と回答した人は合計で19.0%でした。この結果からも、自分の人生やキャリアの方向性を明確にできている人は、決して多くないことが想定されます。
▶︎参考:「働く人の共助・公助に関する意識調査(2021)」リクルートワークス研究所
キャリア迷子に陥る主な原因
キャリア迷子の背景には、社会構造の変化と個人の内面の両方にまたがる要因があります。ここでは、代表的な原因として次の5つを順に取り上げます。
- ・労働慣行の変化
- ・テクノロジーの進化
- ・価値観の多様化
- ・現職での不満足
- ・自己理解不足
労働慣行の変化
かつての日本では、終身雇用や年功序列を前提に、会社が個人のキャリアを長期的に支える仕組みが広く見られました。しかし現在は、雇用慣行の見直しが進み、経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」(2022年)でも「キャリアオーナーシップ」の重要性が示されるなど、個人が主体的にキャリアを設計する「キャリア自律」が重視されるようになっています。こうした変化は、「これが正解」と言えるキャリアモデルを見出しにくくし、迷いの一因になっていると考えられます。
テクノロジーの進化
産業構造そのものを変えるほどの技術革新も、キャリア迷子を生む土壌になっています。生成AIの急速な発展と普及が労働市場にも大きな影響を与えると見込まれており、「今のスキルや経験は、数年後に通用しないかもしれない」といった不安が個人の判断軸を揺らがせ、キャリア迷子に陥る一因となっています。
価値観の多様化
現代は多様な情報に触れやすくなり、キャリアや生き方に対する価値観も広がっています。学生時代から起業する、海外で働く、副業を持つなど、さまざまな選択肢があります。こうした選択肢の広がりは、自分の価値観に合った人生を選びやすくするというメリットがある一方で、かえって迷いを深める要因になることもあります。
現職での不満
今の仕事で成長実感や手応えを得られないことも、キャリア迷子の入口になりやすい要因です。リクルートワークス研究所の「大手企業における若手育成状況調査報告書」(2022年)では、2019年~2021年に就職した若手社員のうち、36.9%が「このまま所属する会社の仕事をしていても成長できないと感じる」に「強くそう思う」「そう思う」と回答しています。
▶︎参考:リクルートワークス研究所「大手企業における若手育成状況調査」(2022)
自己理解不足
キャリアデザインの出発点の一つは、自分の能力や価値観を知る自己分析です。自身の強みを理解し、それをどう活かしていくかを考えることは、将来の展望を描く手がかりになります。一方で、人の思考や感情は複雑であり、それを自己認識して言語化することは決して簡単ではありません。「自分の価値観や望む生き方が自分でもよく分からない」といった状況は、キャリアを考えるうえで迷いの一因になりやすいのです。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

02キャリア迷子から抜け出すために必要な要素
キャリア迷子を抜け出すとは、仕事や人生で進みたい方向性を明確にし、その実現に向けて自律的に行動をすることです。Schoo for Businessの授業『人生の軸から描く、これからのキャリアデザイン』に登壇する廣川進先生は、第1回授業において、キャリア自律を支える要素として次の3点を紹介しています。
- ・自律性
- ・関係性
- ・有能感
これらは、自己決定理論で示される「基本的心理欲求」にあたります。廣川先生は、これらの3要素を満たすことは、キャリア自律やひいてはその先のウェルビーイングの向上にも役立つと解説しています。
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自律性
キャリア自律を支える要素の1つ目は、自律性です。自律性とは「自分で自分の行動を選択しているという感覚」です。例えばキャリアにおいては、自分で目標を決めて段取りを行い、やり方を決めて行動していくことが、自律性の高いキャリア設計にあたります。反対に、「人から言われたので選ぶ」「周りと同じ道を進む」など、他者を基準にした意思決定では自律性は高まりにくいでしょう。キャリアを自分の意思に基づいて選択していくには、自分の価値観や信念といった内面的な基準を明確にすることが必要です。
関係性
「関係性」とは、周囲とのつながりや帰属意識を指します。自己決定理論では、他者とのあたたかなつながりや支えのある関係性が、価値観や行動の意味づけを自分のものとして内在化していくうえで重要だとされています。キャリアにおいては、例えば信頼できるメンターや上司、同僚などとの建設的な関係を通じて、自身の方向性を見出していくことなどが挙げられるでしょう。
有能感
有能感とは、自分が「うまく対処できている」「有効に働けている」「熟達している」という実感を持つことです。有能感は、キャリア設計においても重要です。新しいプロジェクトに挑戦して自信を深めることや、学びによって仕事の幅を広げることが、次のキャリア展望につながることがあります。また、「やればできる」という感覚は、目標に向けて環境を変えたり、新しい取り組みを始めたりする行動の下支えになります。
03キャリア迷子から抜け出すための方法
「やりたいことが見つけられない」や「自分の強みがわからない」などのキャリアの悩みは、多くの人が抱えています。ここからは、このような代表的なキャリアの悩みに対して、Schoo for Businessの授業『私、このままで大丈夫? 悩む人のキャリアの見つけ方』を参考に詳しく紹介します。
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4designs株式会社代表取締役社長
一般社団法人プロティアンキャリア協会代表理事。2000年に早稲田大学卒業、大手メーカーに就職後、経営コンサルティング会社を経て一部上場のIT企業、デジタル広告企業等での管理本部長や経営企画にて数多くのプロジェクトを推進。早稲田大学大学院MBA。2019年7月に経営コンサルティング、キャリア支援事業を行う4designs株式会社を設立。
やりたいことが見つけられない
視点を変える
「やりたいことが見つけられない」という悩みに対して、授業では「視点を変える」手法を紹介しています。一般に、キャリアの方向性や目標を考える時は「自分が何がしたいか」を自問することが多いでしょう。一方、その問いで答えがでない場合、視点を変えて他の誰かのために「何をしてあげたいか」を考えてみるのです。例えば、「妻に感謝を込めて世界一周旅行をしたい」や「チームのメンバーが楽しく働ける体制を整えたい」などです。このように対象(誰か)を具体的に設定することで、漠然としていた思いが明確なアイデアになりやすくなります。
目標設定を柔軟に考える
目標設定を柔軟に考えることも、「やりたいことが見つけられない」という悩みには効果的です。あまり厳密に「やりたいこと」を考えると、発想が狭まりやすいためです。授業において有山先生は、「やりたいこと」は1つに絞る必要はなく、複数あっても構わないと説明しています。また、変化の激しい現代では、自身の経験や周囲からの影響によって目標が変わっていくのは当然のことと捉えましょう。
小さなことから考える
「やりたいこと」が見つからないのは、「大きな目標を掲げなければいけない」という思い込みによるものかもしれません。授業において有山先生は、まず小さなことから考えるのが、一つの手段であると紹介しています。例えば「社会に影響を与える」のではなく、まず「身近な誰かに働きかける」ことを目標にする、といった内容です。最初の一歩は小さくても、行動を続けることでやりたいことは大きく育っていくことがあります。
強みが見つけられない
自己理解を深める
有山先生は、強みを「大多数の中で自分が秀でているもの」と捉えると、なかなか強みを見出すのは難しいことを紹介しています。強みを見つけるには、そのような視点から離れ、多角的に自己理解を深めることが大切です。例えば、性格やスキルに関するアセスメントを受けてみると、客観的なデータから自分の特性を知る手がかりが得られます。また、「強み」ではなく、「好きなこと」「興味があること」を考えてみるのも一つの手段です。自身が経験してきた業務を棚卸ししてみるなど、さまざまな視点で振り返りを行うことで、自身の傾向を掴みやすくなります。
未来洞察する
自身の強みを考える上では、未来を洞察し、自分がキャリアを築いていく環境を定義する視点も大切です。人のさまざまな特性は、どの環境でも必ず強みになるということはありません。例えば生成AIの発達やDXの広がり、少子高齢化の進行など、今後世の中がどのように変化していくのかを踏まえ、その中で自身の特性がどう活かせそうかを考えることが、キャリア設計のヒントになります。
04企業がキャリア迷子を減らすためにすべきこと
従業員のキャリア自律を支援することは、従業員が仕事に意義を見出し、主体的に取り組みやすい環境をつくるうえでも重要です。ここでは、企業が従業員のキャリア形成を支えるために取り組みたいことについて、以下の3つの観点から詳しく紹介します。
- ・1on1などでのキャリア支援
- ・キャリア相談窓口の設置
- ・継続的な学習機会の提供
1on1などでのキャリア支援
キャリア迷子を減らすうえで、身近な上司による1on1などによる支援は重要な取り組みです。部下一人ひとりと定期的に向き合い、業務上の課題だけでなく中長期的なキャリアの方向性についても対話を重ねることで、部下が自身のキャリアを安心して考える土台ができます。
ただし、1on1は実施するだけで効果が生まれるわけではありません。Schoo for Businessの授業『「1on1」に不可欠な心理的安全性と心理的柔軟性』に登壇する二ノ丸友幸先生は、1on1を適切に実施するにはティーチングとコーチング双方のスキルが求められることを紹介しています。上司と部下が信頼関係を築き、1on1の目的を共に理解するだけでなく、適切な問いかけや声掛けによって進行することが求められます。
キャリア相談窓口の設置
直属の上司は日々の業務やコミュニケーションを通じて部下の様子を把握しやすいため、部下にとってキャリアのアドバイスを受けられることはメリットになりえます。一方で、その関係性の近さゆえに、かえって本音でキャリア相談をしづらい局面もあります。そのため、上司とは別にキャリア相談ができる第三者的な窓口を設けることは、有効な打ち手の一つです。人事担当者や外部のキャリアコンサルタントといった専門人材が関与することで、支援の質を安定させやすくなります。
継続的な学習機会の提供
継続的な学習機会の提供は、企業がキャリア迷子を減らすために欠かせません。現代は変化が激しく、「挑戦しないことがリスク」の時代です。eラーニングや社内研修といった学習機会は、従業員が自身の新たな強みを発見し、未来の変化を踏まえてキャリアのポジショニングを考えるきっかけとなります。学習を通じて得られる知識は具体的な行動を起こすための自信となり、キャリア自律を促す上で企業による支援が求められます。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

05キャリア形成に役立つSchoo for Business
オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。
| 受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
| アーカイブ本数 | 9,000本 (新規講座も随時公開中) |
| 研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
| 費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
| 契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
キャリア迷子からの脱出に役立つ講座
ここでは、Schoo for Businessの講座から、キャリア迷子からの脱出に役立つ講座を紹介します。
自己認識力 〜キャリア開発のための自分の本質
この授業では、自分の価値観や願望を明確に持ち、自分のことをよく理解できている「内面的自己認識力」と、他者が自分のことをどのように見ているかを正確に掴んでいる「外面的自己認識力」の両方を高めることがいかに大切かを学ぶことができます。
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ブラックラムズ東京 クラブビジョナリーオフィサー
2002年明治大学政治経済学部卒 リクルートグループ2社を経て、2012年㈱ビジネス・ブレークスルー入社。大前研一と共に次世代リーダー育成プログラムの立ち上げに従事。2017年ビジネス・ブレークスルー大学事務局長として大学経営全般の業務と並行して、企業やスポーツチームの研修講師として活動。2022年より㈱En人 を設立。同年ブラックラムズ東京にてアドバイザーとしてスポーツチームのマネジメントに関わっている。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
私、このままで大丈夫? 悩む人のキャリアの見つけ方
この授業は、何が起こるかわからない「変化の時代」に、自分の経験を価値に変え、キャリアの可能性を広げていく方法を学びます。
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4designs株式会社代表取締役社長
一般社団法人プロティアンキャリア協会代表理事。2000年に早稲田大学卒業、大手メーカーに就職後、経営コンサルティング会社を経て一部上場のIT企業等の管理本部長や経営企画にて数多くのプロジェクトを推進。早稲田大学大学院MBA。2019年7月に経営コンサルティング、キャリア支援事業を行う4designs株式会社を設立。
私、このままで大丈夫? 悩む人のキャリアの見つけ方を詳しく見る
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
人生の軸から描く、これからのキャリアデザイン
この授業では、人生全体のライフステージを段階的に考えていく「ライフキャリアレインボー」や「キャリアアンカー」といったキャリア理論を軸に、自分の価値観や人生で大切にしたいことを整理し、人生とキャリアをつなぐ新しい視点を学ぶことができます。
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法政大学キャリアデザイン学部 教授
文学博士、臨床心理士、公認心理師、キャリアカウンセラー。ベネッセコーポレーション、大正大学臨床心理学科教授を経て現職。産業領域のメンタルヘルス、心理的援助全般、近年は中高年支援をテーマに研究。官民の企業研修なども行っている。著書に「失業のキャリアカウンセリング 再就職支援の現場から」(2006年金剛出版)など。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
06まとめ
キャリア迷子とは、雇用慣行の変化や価値観の多様化といった社会の変化を背景に、将来のキャリアが見えなくなる状態です。自己理解不足なども原因となり、多くの人が抱える悩みと言えます。この状態から抜け出すには、「自律性」「関係性」「有能感」を高め、視点を変えたり小さな行動を起こしたりすることが有効です。個人だけでなく、企業側もキャリア相談窓口の設置や学習機会の提供を通じて、従業員のキャリア自律を支援することが求められます。


