公開日:2021/05/28
更新日:2023/06/30

アンガーマネジメントとは|トレーニング方法や人材育成への活用について解説

アンガーマネジメントとは|トレーニング方法や人材育成への活用について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングのことです。怒らないことを目指すのではなく怒りをコントロールし、必要なときには上手に怒ることを目的としています。当記事ではアンガーマネジメントの概要と各種資格、人材育成への活用方法について解説します。

 

01アンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントは1970年代にアメリカから広まった、自分の中に生じる怒りの感情をコントロールし、問題解決を図るスキルのことです。通常、社会生活においては頻繁に人と関わらなくてはなりません。すべてが自分の思い通りにいくことはなく、怒りの感情を覚えることもあります。しかし、怒りにまかせて感情を相手にぶつけてばかりいては、さまざまな軋轢を生むことになります。適切に怒りの感情をマネジメントすれば、人間関係を円滑にでき、自分自身も穏やかな気持ちで過ごせるでしょう。

アンガーマネジメントが活用されている分野

アンガーマネジメントは企業研修、医療福祉、青少年教育、カウンセリング、アスリートのメンタルトレーニングなど幅広い分野で活用されています。特に、企業研修の分野において需要が高く、多くの企業でアンガーマネジメントの手法を活用した研修が実施されています。

怒りのメカニズム

怒りの感情は「こうあるべき」「こうしてほしい」という、自分が理想とする状態と現実のギャップにより生じます。そのギャップが埋まらないことが「なぜそうなんだ」「なぜしてくれない」という怒りの感情のもとになります。 また人間は、悲しみ、悔しさ、不安などを心の中に蓄積する仕組みをもっています。これらを一次感情といいます。怒りとは、その一次感情が許容範囲を超え、外にあふれ出てしまった状態(二次感情)を指します。ネガティブな一次感情を溜め込んだままにせず、発散させるという点において自己防衛反応であるといえます。

怒りのメカニズム

怒りのタイプ

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では、12の質問に答えることで怒りのタイプを分析し具体的なコントロール方法を考える手法をとっています。 それによると怒りのタイプは次に挙げる6種類に分類されます。 ・公明正大タイプ(ルールに従わない人に怒りを覚える) ・博学多才タイプ(完璧主義により他人に厳しい) ・威風堂々タイプ(プライドが高く自尊心を傷つけられることに怒りを覚える) ・天真爛漫タイプ(自分を抑えることにストレスと怒りを感じる) ・外柔内剛タイプ(周囲から頼りにされすぎてストレスを感じる) ・用心堅固タイプ(周りに頼れずストレスをためる) 自分自身の怒りのタイプを知ることで、対処法も見えてくるとしています。

アンガーマネジメントの対象者

怒りをぶつければ怒りが返ってくるというように、怒りの感情は周囲の人々に伝染します。特に、上司や指導的な立場にいる人は影響力が強く、そうした人のイライラや怒りは職場の雰囲気を極端に悪くして、生産性の低下を招きます。 怒りを感情的にぶつけてはいけませんが、職場では注意や指導が必要な場面もあります。怒りを抑え込むのではなく、上手に伝えて相手に理解してもらう必要があります。このようなときにアンガーマネジメントは大きな力を発揮します

管理職

多くの部下を持つ管理職にとって、アンガーマネージメントは不可欠なスキルであるといえます。管理職は日々、大きなストレスにさらされて業務を行なっています。そうしたなか、部下の不手際があるとつい大きな声を出したくなるかもしれません。しかしそれは百害あって一利なしです。 イライラし、怒っていると部下は距離を置くようになります。業務に必要な報告・連絡・相談が機能しないといった、致命的な状態に陥る可能性もあります。そうなると困るのは管理職本人です。必要な注意や指導は感情的に「怒る」のではなく、冷静に問題となっている事実だけに焦点を絞り相手に伝えることが重要です。

OJT担当者

後輩の育成を任されたOJT担当者にとっても、アンガーマネジメントスキルは有益なものです。新人や後輩はさまざまな個性をもっています。「教えた通りにできない」「何度も同じことを言わせる」というようにイライラがつのる場面があるかもしれません。しかしそこで怒りの感情をぶつけたり、冷たく接してしまうことは成長を妨げることになります。これは、裏を返せばOJT担当者としてのミッションが滞ることでもあります。怒り、イライラを上手にコントロールして接していくことが大切です。

 

02アンガーマネジメントのテクニック

怒りのコントロールにはさまざまなテクニックが存在します。そのなかでも代表的なものを3つ紹介します。

怒りのメカニズム

6秒ルール

「6秒ルール」とは怒りの衝動をコントロールするテクニックです。怒りが生じたとき、そのピークは6秒だといわれます。衝動的な怒りは暴力や暴言、物を壊すといった最悪の結果を招くこともあります。怒りを感じた瞬間から6秒の間をおくことで、衝動的な行動を制御するテクニックです。深呼吸して心を落ち着かせたり、一旦その場を離れるといった行動をとると良いとされます。

価値観の境界線を広げる

人は「〜であるべき」という理想や価値観をもっており、他人の考えが自分の価値観にそぐわない場合に怒りを覚えます。自分の価値観は他人の価値観とは違うことを認識します。このことを理解できれば他人に多くを求めようとしなくなるため、怒りを覚えることも少なくなります。

他人は思い通りにならないことを知る

自分以外の他人は、自分の思い通りにならないと知ることも大切です。自分の力でコントロールできないものがあることを知り、無駄なエネルギーを消費しないように心がけることです。それを理解すれば、どうにもならないことに対しては、割り切った考え方ができるようになります。

 

03アンガーマネジメントに関する資格とは

アンガーマネジメントに関する資格はさまざまな団体が認定しており、講座の受講や認定試験に合格することで取得できます。アンガーマネジメントの専門家として認められ、カウンセリングを実施できたり、セミナーや研修の講師として活躍できます。

アンガーマネジメントファシリテーター

日本アンガーマネジメント協会が認定する資格で、同協会が主催するアンガーマネジメントファシリテーター養成講座を受講し、試験に合格すると資格が取得できます。アンガーマネジメントの専門家として講座を開いたり、企業から協会に依頼があった研修講師の案件に応募できるなど活躍の場が広がっています。

アンガーカウンセラー

日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が認定する資格で、アンガーマネジメンの基礎知識を有していると証明されます。アンガーマネジメントの知識だけでなくカウンセリング技術の習得に重点を置いているため、取得後は「アンガーカウンセラー」として活躍できます。またカルチャースクール等での講師活動も可能です。

アンガーコントロール士

日本インストラクター技術協会(JIA)が認定する資格で、アンガーコントロール士認定試験に合格することで取得できます。アンガーマネジメントに関して広範な知識を有していると認められ、認定後はアンガーコントロール士として講師活動ができるようになります。

 

04怒りの感情が人材育成にもたらすデメリット

怒りの感情を相手にぶつけてしまうと、人間関係が悪化するだけでなく、状況によってはパワーハラスメントになる危険性もあります。特に管理職や新人・後輩を指導する立場の人は注意が必要です。人材育成、特にOJTにおいて、思い通りにいかず、育成対象者に怒りの感情を抱いてしまうかもしれません。人材育成において怒りの感情は、デメリットしかないことを肝に銘じておく必要があります。

モチベーションの低下

教えた通りにできない、指示通り動いてくれないといったことで、育成対象者に怒りを感じることがあるかもしれません。しかし、それをストレートにぶつけると育成対象者のモチベーションを低下させます。教えた内容や指示が理解できていないことも考えられます。よくわからない指示で動いて怒られる、これほどモチベーションを下げることはありません。

萎縮する

感情的に怒られてしまうと大抵の人は萎縮します。怒られないように動くことだけに気を取られ、育成担当者の顔色や周囲の動きを見て、自分も動くというような状態に陥ります。こうなると自発的な行動は望めません。よほど危険なことをしているとき以外は声を荒らげることはせず、行動が間違いであれば指摘し修正するにとどめましょう。そして間違ってはいたが、行動したことについては褒めるといった配慮もあると良いでしょう。

ストレスが増加する

感情的に怒られた側はストレスを感じます。しかし、それ以上に怒った側にもストレスが蓄積していきます。こうしたストレスから関係がギクシャクしてくると、スムーズにコミュニケーションがとれず、それによりまたストレスが蓄積するという悪循環に陥ります。必要な注意や指導はしなくてはなりませんが、そこに怒りの感情を混ぜてしまうとお互いのストレスを増加させていきます。

 

05アンガーマネジメントを活用し育成効果を上げる

アンガーマネジメントスキルを身につけると、常に穏やかな精神状態をキープできます。管理職や育成担当者がそのような状態であれば、部下や育成対象者も「接しやすい」と感じるでしょう。報告・連絡・相談や、質問が円滑にできる関係が構築されると、業務や育成もスムーズに進みます。注意・指導の場面でも怒るのではなく、冷静に問題点を指摘し改善を指導すれば、相手も理解しやすく納得感をもって話を聞くことができます。これが信頼関係です。アンガーマネジメントスキルは信頼関係構築に不可欠なスキルであるといえます。

 

06アンガーマネジメント研修の内容

ここまでアンガーマネジメントのテクニックや、怒りの感情によるデメリットなどを紹介しました。 では、アンガーマネジメントの研修を行う際にはどのような内容で行えば良いでしょうか。感情をコントロールする技術と、コミュニケーション面の側面からご紹介します。

感情の理解

怒りやイライラの感情がどのように発生し、どのように影響を与えるかを理解してもらいましょう。アンガーマネジメント研修では、怒りの原因や反応パターン、身体的・心理的な変化などについて学ぶことで、自己認識を高め、感情をより適切に認識できるようになります。

感情の管理

怒りやイライラと向き合い、それをコントロールするための具体的なスキルを学んでもらいます。ストレス管理技術やリラクゼーション法、感情の調整や冷静な思考を促すテクニックなどが含まれます。参加者は、怒りを積極的に解放する方法や対話力の向上など、自身の感情を適切に管理するための手法を習得します。

コミュニケーションスキルの開発

アンガーマネジメントは、怒りやイライラを管理するだけでなく、効果的なコミュニケーションと健全な対人関係の構築にも焦点を当てています。参加者は、感情をコントロールしながらも相手とのコミュニケーションを円滑に行う方法や、共感力や傾聴スキルの向上を目指します。また、コンフリクト解決や建設的なフィードバックの提供など、健全な対人関係を築くための研修も有効的です。


 

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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
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07アンガーマネジメント研修にはSchoo for Businessがおすすめ

Schoo for Businessでは約8000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

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1.研修と自己啓発を両方行うことができる

Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。

2.アンガーマネジメントを学びたい/学ばせたい方におすすめのアンガーマネジメント研修パッケージ

アンガーマネジメントを学びたい/学ばせたい方には、Schooのアンガーマネジメント研修カリキュラムがおすすめです。この研修カリキュラムでは、アンガーマネジメントの基礎からアンガーマネジメントを活かしたなコミュニケーションスキルまで、講座を組み合わせて網羅的に構成されており、アンガーマネジメントに必要なスキルやノウハウををおよそ3時間(各60分)で体系的に学ぶことができます。

さらに、社員に研修動画を受講してもらった後に、意見の共有会やディスカッションを行うことで、学んだことをより効果的に定着させることができます。

授業名 授業の内容 所要時間
いま必要とされるアンガーマネジメント
  • ・怒りの感情に良いも悪いもない
  • ・右に理性、左に感情
  • ・人はなぜ感情を満たされるのか
  • ・マイルールを見つけよう
  • ・成果の方式
60min
アンガーマネジメントを活用したコミュニケーション術 -前編-
  • ・アンガーマネマネジメントとは
  • ・怒りのメカニズムを知ろう
  • ・問題となる4つの怒り
60min
アンガーマネジメントを活用したコミュニケーション術 -後編-
  • ・怒られるとは
  • ・うまく怒られる5つのテクニック:「でも」「しかし」と言わない
  • ・うまく怒られる5つのテクニック:謝りすぎない
  • ・うまく怒られる5つのテクニック:いきなり怒りの理由を質問しない
  • ・うまく怒られる5つのテクニック:怒り爆発の前兆に早目に気付く
  • ・うまく怒られる5つのテクニック:怒られてもいいけど嫌われないこと
  • ・人は怒りをわかってほしい
60min

アンガーマネジメント研修の授業を紹介

アンガーマネジメントを活用したコミュニケーション術
 

この授業では、仕事で多国籍チームに配属、所属した際の、プロジェクトを成功させるためのコミュニケーションのコツについてを、【日本人の視点】と【外国人の視点】の2つの視点からお話しします。

担当講師:澤 円先生
日本マイクロソフト テクノロジーセンター センター長

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職。 情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。 競合対策専門営業チームマネージャ、ポータル&コラボレーショングループマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。 2011年7月、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長に就任。 2015年2月、サイバークライムセンター 日本サテライトのセンター長も兼任。 著書:「外資系エリートのシンプルな伝え方」

アンガーマネジメントを活用したコミュニケーション術を無料視聴する

3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる

Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方1

まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。

管理画面の使い方2

この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。

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08まとめ

上司と部下の関係、人材育成には相互の信頼関係が不可欠です。怒りの感情で信頼関係が崩れたり、構築できないようであれば業務においても人材育成においても成果は望めません。特に指導的な立場の人には、アンガーマネジメントスキルは必須のものとして身につけてもらいましょう。自社にあった教育方法をぜひ検討してみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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