公開日:2021/05/28
更新日:2022/12/21

クライシスマネジメントとは? 企業の危機管理について解説

クライシスマネジメントとは? 企業の危機管理について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

クライシスマネジメントという言葉は、「アメリカ同時多発テロ」や「東日本大震災」を機によく聞かれるようになりました。当記事ではクライシスマネジメントに焦点を当て企業の危機管理について解説していきます。

 

01企業の危機管理とは

地震や火山の噴火などの大規模な自然災害、あるいはテロや戦争などの武力行使といった重大な危機は、いつ起こるとも限りません。また自然災害や戦争だけでなく不祥事によるネットでの炎上など、事業活動を脅かす危機はいたるところに存在します。そうした危機が発生すると、企業活動は停止され最悪の場合、事業が継続できない状況に陥るかもしれません。予期せぬ事態が起きたとき、速やかに企業活動を復旧させ通常営業に戻すためには、危機管理の概念をもとに対策を練っておく必要があります。平常時から起こりうるリスクを想定、分析し対策を練る。そして有事の際にどのように行動するのかを決めておく。これが企業の危機管理といえます。

 

02リスク管理と危機管理との違い

危機管理とよく混同される言葉に、リスク管理があります。危機管理という言葉において同義に捉えられがちですが、両者には明確な違いがあります。平常時に機能するのがリスクマネジメントであり、実際に危機が発生した場合に機能するのが危機管理です。両者は「予防」と「対処」の関係といえます。

リスク管理とは

リスク管理とは、平常時に危機が発生しないように管理していくことをいいます。まず起こりうるリスクを洗い出します。そしてそのリスクをどのようにしたら最小化できるか考え、対策を練ることがリスク管理です。

リスク管理の例

リスク管理の例として代表的なものは、企業のコンプライアンス対策です。コンプライアンスには横領や異物混入、社員の不祥事など、様々なものがあります。コンプライアンス違反に対する目は厳しく、企業経営に深刻な影響を与える可能性も否定できません。違反をしないために、社員に対してコンプライアンスを意識するような研修を実施したり、品質管理を徹底する規則や仕組みを整備していきます。 また、他にもセキュリティ対策もリスク管理の対象として挙げられます。

危機管理とは

危機管理とは、事業の継続を脅かすような事態が発生したときに、もたらされる影響を最小限に食い止め、危機的な状況から正常な状態に早く復旧するための管理活動といえます。有事の際に取るべき対策や人員体制をあらかじめ決めておき、混乱を防ぎ冷静に対処することを目的としています。

危機管理の例

危機管理の例としては、危機対応組織を設置して、情報管理などの復旧活動に取り組むことなどが挙げられます。仮に情報漏洩により顧客データの流出が発覚した場合には、メディアへの回答を素早く用意し、対策本部を設置するなどの体制を早急に整備します。また、普段から危機的状況に陥った場合にどのようなプロセスで被害を最小限に留め、復旧させるかを計画します。

 

03危機管理が注目されるようになった背景

危機管理が注目されるようになったきっかけは、アメリカで起きた同時多発テロです。想定できない危機が思わぬ形で顕在化した衝撃的な事件でした。日本においては東日本大震災を機に注目されるようになりました。未曾有の大災害と同時に原発事故も合わせて発生するという、重大な危機でした。このようなことから防止策を講じるだけでなく実際に最悪の事態が起こってしまったとき、組織としてどう対応するかという点に注目が集まるようになりました。

危機の種類は多岐にわたる

企業活動の継続を不可能にするような危機(クライシス)は多岐に渡ります。地震などの自然災害を始めテロや戦争もいつ発生するか分かりません。あるいは世界的な金融危機もそうです。異物混入事故や個人情報の漏えいなど企業側の不手際が原因となる危機もあります。そうしたことがネットにおける炎上を招き企業活動を脅かします。また疫病も重大な危機です。現在の、新型コロナウイルスが感染拡大している状況は企業にとって、危機の真っ只中であるといえます。

 

04危機管理の目的

次に、危機管理の目的について見ていきます。不測の事態が発生したときに事業活動をいかに止めないか、被害を最小限に食い止め、いち早く通常営業を復旧させるかが、危機管理の目的です。以下の3点について具体的に解説していきます。

人命・安全の確保

大規模な自然災害が発生すると、社員は混乱し企業としての統制がとれなくなります。従業員の生命や安全が脅かされたときを想定し、生命と安全を確保するための対策を決めておく必要があります。やるべきことは安否確認をはじめ水や食料、ライフラインの確保など多岐にわたります。また事業を再開する際、社屋が被害を受け従業員の安全が確保できない事態も想定されます。そうした場合に代替となる場所の確保など、どういった対応をするのかあらかじめ、決めておけば速やかに事業を復旧できます。

早期回復を図る

危機管理は危機が発生した際に事業活動を止めないこと、万が一止まったとしても早期に回復させることが最大の目的です。迅速かつ的確な初期対応で被害の拡散を最小限に抑えることができます。そのためにはさまざまな危機を想定し、それぞれどのように対処するのか明確にしておく必要があります。

二次災害の防止

二次災害を防止することも重要な目的のひとつです。例えば、個人情報の流出など企業側の過失が原因でイメージダウンにつながる事態が発生したとします。消費者へ向け、速やかに情報を開示し、謝罪と説明といった初期対応を行うことで被害を最小限に食い止められます。しかし初期対応を誤り、隠蔽などを行うとさらなるイメージダウンにつながる二次災害へと発展します。初期対応を適切に行い、二次災害を発生させたり災害拡大に発展させたりしないことも危機管理の大きな目的であるといえます。

 

05危機管理の手法

次に危機管理の手法について見ていきます。CMP「危機管理プラン」とBCP「事業継続計画」の2種類が知られています。それぞれ違いを解説していきます。

CMP「危機管理プラン」

CMPとは実際に危機が発生した際に、被害を最小限に抑えるために事態の発生直後から混乱収束までの比較的長い時間軸で考える行動計画のことを指します。対策本部の設置から本部長の選任あるいは代行順位の決定、情報収集の担当者の人選など大まかにシンプルな方針だけを決めておくといったものです。特定の事象だけでなくあらゆる危機に対応すべく大まかな対応を計画しておくことをいいます。

BCP「事業継続計画」

BCPとは、特定の事象を想定し目標時間内に事業を復旧させる行動計画のことを指す被災シナリオといえます。例えば地震で本社社屋が使用不可になった場合、人員をどこに移動させ業務を再開させるかといった、比較的狭い範囲での計画のことです。BCPとCMPは事態が発生した際の対応策という点では同じですがカバーする範囲がCMPのほうがより広範囲にわたります。

 

06危機管理では体制づくりが重要

企業にとっての危機に対応するには、役割分担を明確にした体制づくりが重要となります。混乱を最小限にし、速やかに事態を収拾するには盤石の体制で臨む必要があります。

対策本部を組織化する

事前に危機管理委員会を組織するなど、有事の際の対策本部を組織化しておくことが重要です。対策本部長の人選から代行者の選任、あるいは安否確認等、情報収集担当者をあらかじめ決めておくなどで初期対応がスムーズに進みます。また対策の優先順位を規程に定めておくといったことも必要になります。

専任の担当者を決めておく

発生する危機に応じ専任の担当者を決めておくことも有効な手段となります。例えばネットでの炎上などの場合、事態が発生してから初期対応が早ければ早いほど受けるダメージも最小限に抑えられます。そのためには担当者を明確にしておくことが有効です。菓子メーカーにおいて異物混入事故が発生しTwitterで炎上したが、その3時間後、専門家の意見をふまえた公式の見解を発表し事態を収束に導いた事例もあります。

 

07危機管理教育とは

企業における危機管理教育は、リスク管理、危機管理両方の側面を包括して実施する必要があります。危機を想定し最小限に食い止める方法を練ることに加え、実際に起こるであろう危機への対応まで教育しなくてはなりません。そして危機管理教育は、対象者に応じさまざまなカリキュラムを設定するのが望ましいといえます。

管理職へ向けた教育

危機管理教育はそれぞれの立場に応じたカリキュラムで実施する必要があります。管理職に対してはBCPやCMP策定から、実行を想定したケーススタディの実施が効果的です。不測の事態が発生した際に慌てずに済むような、シミュレーション的な内容が良いでしょう。

一般社員へ向けた教育

一般社員向けの教育は、危機を発生させないことに主眼を置いてカリキュラムを作成すると良いでしょう。個人情報の取り扱いや製造業における異物混入の防止対策などが挙げられます。自分の不手際が不祥事の原因になることを十分に認識させ、決められたルールや手順を守ることを徹底させます。

危機管理担当者の育成

危機管理担当者を選任しておくことも重要です。自然災害から不祥事まであらゆる事態を想定し、日常から訓練することで有事の際の初期対応をスムーズに行えます。中小企業においては担当者を選任するに至っていない場合も多いため、危機管理担当者の育成はそういった企業にとっての今後の重要課題でもあります。

SNSに対する危機管理教育

小売や飲食といったサービス業においてSNSに対する危機管理教育は、昨今重要性を増しています。店舗で使用する食材や設備を使った悪ふざけの写真をSNSにアップし、企業イメージを損ねる事例が多発しているため、社員だけではなく店舗におけるアルバイトまで含めた教育をする必要があります。ネットにアップロードされると永久に拡散し続けることを認識させましょう。また、こうした事例を発生させた場合はアルバイト本人にも責任が及ぶことを十分に教育する必要があります。

 

08危機管理の研修ならSchooビジネスプラン

Schooビジネスプランでは約8,000本の授業をご用意しており、危機管理の研修にも対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooビジネスプランの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

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1.研修と自己啓発を両方行うことができる

schooビジネスプランは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。

2.自発的に学ぶ人材を育成できるSchooの講座

上記でも説明したように、Schooでは約8,000本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。

Schooビジネスプランの講座では、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。

ここでは、危機管理に関するSchooの講座をご紹介します。

リスクの時代に備える 事業継続計画(BCP)の作り方

リスクの時代に備える 事業継続計画(BCP)の作り方
 

自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態のために、企業としての対応をしっかりと準備しておく計画書、「BCP(事業継続計画)」は、震災など自然災害の多い日本では大企業を中心に取り入れられてきました。近年は新型コロナウイルスの流行により中小企業からも注目されるようになっています。 帝国データバンクが2021年に行った企業の意識調査によると、BCP策定率は過去最高となっています。しかし、対策の必要性を認識しながら具体的な対策に至っていない企業も多く、その策定率は17.6%と、依然として低い水準です。 変化の激しいリスクの時代に備えて、必要不可欠と言えるBCPの基本や、リスク対策を知り、企業が生き延びるための知識を身につけます。

  • MS&ADインターリスク総研株式会社

    MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第四部 事業継続マネジメント第一グループ所属。 2012年慶應義塾大学卒業後、大手建築設備会社を経て、2017年より現職。 BCP/BCM専門コンサルタントとして、東証一部上場企業から中小企業に至るまで幅広い規模・業種のBCP/BCMコンサルティング業務に従事する他、各種執筆活動、内閣府・内閣官房・中小企業庁・商工団体・自治体などの関連事業やセミナー講演などにも多数従事。 【保有資格】 ・ CBCP(国際的な災害復旧啓発団体「DRI」認定事業継続専門家) ・ BCAO(事業継続推進機構)認定事業継続管理者

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管理職のためのリスクマネジメント

リスクの時代に備える 事業継続計画(BCP)の作り方
 

リスクマネジメントの基本とその仕組みについて学びます。職場でよく発生する問題への予防管理ができるようになることが授業のゴールです。

  • 株式会社マネジメント21 代表取締役

    1972年早稲田大学法学部卒業。 San Francisco State College, Madrid University留学。米国と欧州にそれぞれ2年間 生活して交友と見聞を広める。 商社、メーカーなどでプロジェクトマネジャーなどを経験。「中小企業診断士」取得を機にコンサルティング・ファームで活動する機会を得る。伊藤忠ビジネスコンサルティング(株)の組織戦略推進部長を経て、1996年(社)中部産業連盟(トヨタグループ200社余などが会員企業)に入職し東京本部プロジェクト開発室長を歴任。 2010年1月に(株)マネジメント21を設立、代表取締役になる。 製造業、商社、販売業、損保代理店などの多数の国内外企業で、コンサルティング指導および教育研修をする。テーマは経営戦略、マーケティング戦略,新商品・新事業開発、現場改善と業務改善,管理職・コアマン育成、営業マン育成・営業幹部育成、CS・ES刷新、QC改善、ISO9001と14001の認証取得指導、リスクマネジメントなど多岐にわたる。 東京商工会議所や地方商工会議所、りそな総合研究所、ちばぎん総合研究所、浜銀総合研究所、日本政策金融公庫、職業能力開発協会及び県庁や市役所などで多く研修、公開セミナー、研修の講師を歴任する。 [主な著書]:「新商品・新事業開発大事典」(日刊工業新聞社、共著)「中小企業の生産マネジメント(中小企業金融公庫、共著)その他経営雑誌などに論文・記事あり。 コンサルティング・ファーム マネジメント21 mail:manabe@manegement21.net

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3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる

Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方2

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

管理画面の使い方1

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。

さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。

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09まとめ

変化が激しく不安定な現代ビジネスにおいて、危機管理はもっとも重要な経営課題といえます。予防としてのリスク管理から有事の際の危機管理まで一貫した管理の必要があります。従業員がそれぞれの立場で意識を高め、一丸となって取り組むことが望ましいといえます。意識を高めるための教育や研修を検討してみてはいかがでしょうか。

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