巻き込み力とは|高める方法や他者の協力を得るコツを紹介

巻き込み力を高めることによって、部下や顧客など多くの人から協力を得ることができ、事業の成功率を上げることが可能です。しかし、巻き込み力を高めるには具体的にどんなトレーニングが必要なのか、ご存知ない方が多いでしょう。本記事では巻き込み力とは何か、巻き込み力を高めるために必要なスキル、巻き込み力を高める具体的方法について解説します。
- 01.巻き込み力とは
- 02.巻き込み力が重視されている理由
- 03.巻き込み力が高い人の特徴
- 04.巻き込み力を高める方法
- 05.相手を巻き込むための具体的会話術
- 06.巻き込み力を向上させるSchooのオンライン研修
- 07.まとめ
01巻き込み力とは
巻き込み力とは、目標やビジョンに向けて、周囲の人々から自発的な協力を引き出しながら行動を促す力を指します。ただ指示を出すのではなく、「一緒にやりたい」と思わせることで、信頼関係に基づいた協働が生まれます。
この力は、コミュニケーション能力やリーダーシップとも似ていますが、決定的な違いは「相手の主体性を引き出す点」です。巻き込み力を持つ人は、相手にメリットを感じさせ、感情や価値観に寄り添いながら人を動かします。だからこそ、関係性づくりや影響力の土台となるスキルといえるのです。
02巻き込み力が重視されている理由
現在のビジネス環境では、社内外の多様なメンバーと協力しながら進めるプロジェクトが一般的です。完全に1人で完結できる仕事は少なく、部門を越えた連携や関係者との調整が求められる場面が増えています。
どれほど優秀な人でも、全領域を1人で網羅するのは難しく、他者との協力が欠かせません。だからこそ、信頼関係を築き、相手の強みを引き出しながら成果を生み出す「巻き込み力」が重視されているのです。この力は、チームで成果を上げる現代の働き方において、必要不可欠なスキルとなっています。
03巻き込み力が高い人の特徴
巻き込み力が高い人の特徴は、以下の通りです。
- 1:相手の懐に入るのが上手い
- 2:共感する力が強い
- 3:論理的思考力がある
- 4:自らが率先して行動する
- 5:奉仕の精神がある
巻き込み力の高い人は、相手との距離感を自然に縮めたり、共感力や論理性をバランスよく発揮したりしながら、人を動かす空気をつくります。行動力と信頼を兼ね備え、困ったときには自然と人が助けてくれるような関係性を築いています。
相手の懐に入るのが上手い
巻き込み力のある人は、人との距離感を見極めるのが上手で、自然と相手の懐に入ることができます。初対面でも壁をつくらず、フラットな姿勢で接することで、相手の警戒心を和らげます。打ち解けやすい雰囲気を持っているため、相談や協力を頼みやすい存在になり、結果的に人を動かす力につながります。
共感する力が強い
人は、自分の気持ちや考えを理解してくれる相手に心を開きやすいものです。巻き込み力が高い人は、相手の立場に立って物事を捉え、共感を示すことが得意です。相手の感情に丁寧に寄り添いながら言葉をかけることで、信頼関係が深まり、協力を得やすくなります。人間関係の土台として、共感力は非常に大切な要素です。
論理的思考力がある
巻き込み力を発揮するには、感情だけでなく、筋道の通った説明力も求められます。論理的思考がある人は、相手に納得感を与えながら、自分の意図や目的を明確に伝えることができます。「なぜ必要なのか」「何をすべきか」が論理的に整理されていることで、周囲は安心して協力しやすくなり、実行力のあるチームづくりにもつながります。
自らが率先して行動する
人を巻き込むには、まず自分自身が行動で示すことが欠かせません。巻き込み力が高い人は、言葉だけでなく自ら手を動かし、背中を見せることで、周囲の信頼を得ています。周囲から「この人がやるなら自分も」という気持ちを引き出すには、リーダーシップよりも、まず率先垂範の姿勢が求められます。実行力は最大の説得力になります。
奉仕の精神がある
巻き込み力がある人は、見返りを求めずに相手を助ける姿勢を持っています。誰かのために動いた経験は、信頼や感謝として蓄積され、いざ自分が助けを求める場面で自然と返ってきます。恩を売る、というよりも、日頃から周囲に“貸し”をつくっておけるような振る舞いが、結果として巻き込みやすい環境を生み出しているのです。
04巻き込み力を高める方法
巻き込み力を高めるための方法は、以下の通りです。
- 1:他人の能力や興味を理解する
- 2:正しい根回しを継続的に行う
- 3:信頼性を高めるスキル・実績を持つ
- 4:仕事への熱意を見せる
- 5:目標を明確にする
- 6:周囲の意見を尊重する
巻き込み力を磨くには、ただ会話や伝え方を工夫するだけでは足りません。相手の能力や価値観を理解し、信頼関係を築く姿勢や日々の振る舞いが鍵になります。根回しや熱意、そして目標の明確化といった行動が周囲の心を動かし、自発的な協力を得られる環境を整えるのです。
1.他人の能力や興味があることについて理解する
巻き込み力を高めるにも、他人の能力や興味があることについて理解することが大切です。特に部下に仕事を依頼する際は、部下の実力を適切に見極め、部下にどの程度の裁量を与えるか検討しなくてはいけません。そのためには、部下の今後のキャリアプランなどについて1to1ミーティングなどで深く知っておくことが重要になります。
2.正しい根回しを継続的に行う
正しい根回しを行うことも、巻き込み力を高めるうえで重要です。根回しとは、相手が逃げられないように追い詰めることではありません。いきなり仕事を振ってしまうと相手が戸惑ってしまうことがあるため、前もってそれとなく伝えるなどして、相手に与える衝撃を和らげる緩衝材としての役割を果たすのが、正しい根回しです。
3.信頼性を高めるためにスキル・実績を獲得する
巻き込み力を高めるには、その人自身のスキル・実績も重要になります。その人自身に確かな実力がないと周囲の人はついてきません。特に、管理職として他の会社に転職した場合、部下は「自分の方が仕事について詳しいのに」と内心思っている場合があります。そのため、リーダーとしてチームを引っ張れるだけの能力があることを、プレゼンなどを通じて上手く示す必要があるでしょう。
4.仕事に対する熱意を見せる
最後に大切なのが、仕事に対する熱意を見せることです。熱意がない人には、当然誰もついていこうとは思いません。部下は上司の背中を見て成長するものですし、プロジェクト推進者が情熱をもって取り組んでいればメンバーのやる気も刺激されます。
5.目標を明確にする
目標を具体的かつ明確に設定することは、チームや組織のメンバーに方向性を提供します。メンバーが理解しやすい目標は、彼らが働く意義や重要性を感じることができるようになります。また、明確な目標は、メンバーのモチベーション向上につながります。目標がはっきりしていると、メンバーは自分の責任範囲を理解しやすくなり、自身の仕事に対して責任感を持つことができたり、成果に対する自己満足感や成功体験が生まれ、積極的なエネルギーを生むことができるのです。
6.周囲の意見を尊重する
多様性は新しい視点や創造的な解決策の発見につながります。そのため、異なるバックグラウンドや経験を持つメンバーがいる場合、それぞれの意見を尊重し取り入れることで、より豊かなアイディアが生まれます。また、他のメンバーの意見を尊重する態度は、協力と効果的なコミュニケーションの基盤となります。コミュニケーションが円滑であれば、情報の共有や問題の解決が迅速かつ効果的に行えるのです。
05相手を巻き込むための具体的会話術
Schooの講座「仕事がデキる人はお願いがうまい」では、相手を巻き込むための具体的会話術として、以下の7つを紹介しています。
- 1:Iメッセージで伝える
- 2:二者択一法でお願いする
- 3:時間のフレーム暗示法
- 4:潜在意識に働きかける伝え方
- 5:最初は「大きく」頼む
- 6:相手に「スキ」を見せる
- 7:相手の性格タイプを見極めた上で頼む
巻き込み力の本質は「言葉の使い方」にも現れます。お願いの伝え方ひとつで、相手の反応や納得度は大きく変わります。自分の想いを素直に伝える、選択肢を与える、時間を区切る、相手の心理や性格に寄り添うなど、工夫しだいで巻き込みやすさは大きく変化します。日常の会話の中に、こうした技術を取り入れることが大切です。
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Iメッセージで伝える
相手にお願いをするときは、「私は〜と思う」「私にとって〜が大事」といった“自分”を主語にした表現が効果的です。これは「Iメッセージ」と呼ばれ、相手を否定せずに自分の想いを伝えることができます。「あなたが悪い」といった言い方を避けることで、防衛的な反応を引き起こさず、安心して聞いてもらえる空気が生まれます。結果として、巻き込みやすい関係性につながります。
二者択一法でお願いする
「やる・やらない」ではなく、「AとBならどちらがいい?」という形で選択肢を与える方法が二者択一法です。相手は主体的に選んだように感じつつ、どちらを選んでも協力につながる状況をつくることができます。選択肢を与えることで、依頼が押しつけに感じられず、心理的な抵抗感が減ります。巻き込みのハードルを下げる、スマートなテクニックです。
時間のフレーム暗示法
相手に動いてもらうためには、「いつまでに」「どれくらい」など時間の見通しを提示することが有効です。「10分だけお願い」「今日中に少しだけ」と伝えることで、相手の負担感を減らし、協力への心理的ハードルを下げられます。期限をつけることで、曖昧さが解消され、相手も判断しやすくなります。気軽に動きやすくする話し方の工夫です。
潜在意識に働きかける伝え方
人は論理よりも感情や雰囲気に影響されやすいもの。依頼時に少し声のトーンを落としたり、肯定的な言葉を繰り返したりするだけでも、潜在意識に働きかけることができます。「一緒に頑張りたいな」といった共感フレーズや、相手の価値を認める言葉を添えることで、気づかぬうちに心が動き、巻き込まれやすい心理状態をつくれます。
最初は「大きく」頼む
あえて最初に「大きめのお願い」をし、その後に本来の依頼をすると、相手はそれを「小さく感じて」受け入れやすくなる傾向があります。これは心理的な「対比効果」を活用したテクニックです。もちろん誠実さを前提としたうえでの使い方が重要ですが、お願いのハードルを下げたい場面では有効なアプローチです。
相手に「スキ」を見せる
完璧すぎる人よりも、少し抜けていて頼りたくなる人のほうが巻き込まれやすいことがあります。あえて弱さや苦手な部分を見せることで、「自分が支えてあげたい」と感じてもらえるのです。お願いする立場でも、親しみやすさや人間味を出すことが、信頼につながります。等身大の自分でいることが、巻き込む力を引き出す鍵になります。
相手の性格タイプを見極めた上で頼む
人によって、響く言葉やお願いの仕方は異なります。論理的な人には理由を、感情的な人には共感を重視して伝えることで、納得度が大きく変わります。相手の性格タイプに応じたコミュニケーションを心がけることで、より自然に巻き込むことができます。相手を理解しようとする姿勢そのものが、信頼関係の土台となります。
06巻き込み力を向上させるSchooのオンライン研修

Schoo for Businessは、国内最大級9,000本以上の講座を保有しており、巻き込み力を向上させるコンテンツも揃っております。
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受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
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巻き込み力を学べるコンテンツ一覧
授業 | 時間 |
仕事がデキる人はお願いがうまい | 30分 |
人を巻き込み、結果を出すプロジェクト成功術 | 1時間30分 |
関わる人が幸せなプロジェクト進行 | 1時間 |
プロジェクトマネジメント - 周囲を上手に巻き込む仕事術 | 3時間 |
協働的思考「コレクティブ・インパクト」 | 1時間 |
なぜか頼みを聞いてもらえる人の「ことば術」 | 50分 |
07まとめ
本記事では、巻き込み力の定義から重要視される背景、巻き込み力の高い人の特徴、育て方、具体的な会話術を紹介しました。巻き込み力は、リーダーだけでなく、あらゆるビジネスパーソンにとって欠かせない力です。
信頼関係の構築、言葉の使い方、自分自身の在り方を意識することで、相手の協力を無理なく引き出せるようになります。組織やチームの成果を最大化するためにも、自身の巻き込み力を見直し、実践的に磨いていくことが求められます。