公開日:2022/09/16
更新日:2024/09/29

ビジネスにおける正しい発信力とは|その重要性や身につける方法を解説

ビジネスにおける正しい発信力とは|その重要性や身につける方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

自分の意見を正しく発信する発信力は、コミュニケーションにおいて注目される能力の一つです。そしてそれは、働き方が多様化している現代のビジネスで非常に重要となっています。発信力について、それが意味するところや身につけ方について解説していきます。

 

01ビジネスにおける発信力とは

発信力とは、文字通り、自分の意見を発信する能力のことです。ことビジネスにおいては、「自分の意見を、分かりやすく正しく相手に伝える能力」と考えておけばいいでしょう。 発信力は、経済産業省が発表した「社会人基礎力」のなかでも、「チームで働く力」のなかで、傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性などと並んで挙げられている能力の一つでもあります。

▶︎参考:経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」

正しく情報や意見を発信することがビジネスにおいて不可欠であることは、もはや疑いようのないことでしょう。

ビジネスにおける発信力とはSNSのフォロワー数ではない

「発信力」と聞くと、SNS上での発信力のことと誤解する方もいるかもしれません。しかし、ビジネスにおいて発信力があるかないかは、SNSのフォロワー数などとは無関係です。また、SNSでの発信手法は、その他のメディアにおける発信手法とは異なるものであることもマーケティング的に明らかとなってきています。 ここでは、業務上のコミュニケーションにおける「発信力」を取り扱っていきます。

発言力との違い

発信力と似た言葉に発言力があります。発信力と発言力はコミュニケーションの側面から異なる側面を強調する概念です。発信力は情報やアイディアを効果的かつ広範に伝え、受け手に影響を与える能力を指します。 一方で、発言力は特定の瞬間や状況において、個々の発言がどれだけ説得力や影響力を持つかを示す概念です。これは議論、ディスカッション、交渉などで発言者がどれだけ説得力を発揮できるかに関連しています。発言力は単一の言葉や発言の中に集約され、その力が人々に印象を与え、意見を変えたり行動を促したりします。 簡潔に言えば、発信力は広範な情報伝達のスキルを指し、発言力は瞬間的な発言や意見が持つ影響の強さを強調しています。どちらも強化することで、より効果的で影響力のあるコミュニケーションが可能になります。

影響力との違い

発信力と影響力はビジネスにおいて重要な要素ですが、それぞれ異なる特性を持っています。発信力とは、自分の意見や情報を効果的に伝え、周囲に理解してもらう能力を指します。特にビジネスの場では、明確で説得力のある発信が求められ、発信力が高い人ほど、提案やプレゼンテーションで相手に納得してもらいやすくなります。一方、影響力は他者の行動や考え方に変化を与える能力を指します。影響力を持つ人は、自分の発信が周囲に与える影響を強くし、結果として他者の意思決定や行動を左右することができます。つまり、発信力は情報を伝える力であり、影響力はその結果として相手に変化を促す力です。

 

02発信力がビジネスにおいて重要である理由

ビジネスコミュニケーションにおける発言力は、多くの方が大切だと理解していることでしょう。しかし、その重要性については単にコミュニケーションを上手くやることではありません。実際のビジネスシーンの具体例を挙げながら、3つの理由について解説します。

  • ・1.「伝えた=伝わった」ではない
  • ・2.ステークホルダーの理解度が異なるため
  • ・3.リモートワークの普及でより発信力が重要に

1.「伝えた=伝わった」ではない

発信力とは、意見や情報を正しく伝える力でもあります。正しい発信ができないと、相手に誤解を招いてしまいます。そうなると、無駄な手間を生んでしまったり、無意味な軋轢が生じてしまったりするでしょう。 多くの人は、自分が「伝えた」ことが、相手に正しく「伝わった」と感じてしまいます。しかし、自分のなかでは当然であるため、あえて言わなかった細部が相手の常識と異なっているために誤解が生まれたり、用語の使い方が業界によって違っていたために関係会社と認識合わせができなかったり、というすれ違いは日常茶飯事です。 「伝えた」と「伝わった」はイコールではないのです。この違いを認識し、正しく伝えることができる発信力は重要なのです。

2.ステークホルダーの理解度が異なるため

会社では、新入社員、他業界から転職してきた人、別部署の人など、様々なステークホルダーと一緒に仕事をすることになります。そして何か仕事に関する事象があったとき、個々人で前提知識やスキルも異なるので、関係者たちの理解度はそれぞれ異なったものになっています。理解度が異なるステークホルダーたちに、必要なだけ、必要な情報を、正しく理解してもらうことが、仕事を円滑に進める上では重要です。多くの仕事は一人で完結するものでなく、関係者と協力の上で進める必要があります。そのために、ビジネスにおいて発信力は重要な力とされます。

3.リモートワークの普及でより発信力が重要に

働き方改革と新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、リモートワークや在宅勤務が増えています。また、こういった新しい勤務形態は社会に定着しつつあり、感染症の流行が落ち着いたあともある程度は残ると考えられています。このような環境下で対面での会話が減り、メールやチャットでの連絡が増えた昨今、特に発信力の重要性が増していると考えられます。 メールやチャットなどのオンラインコミュニケーションは、対面での会話によるコミュニケーションとは異なる点があります。我々は、身振り手振りや声のトーン、表情や目線、会話スピードや間の取り方などから、多くの情報を獲得しながら会話しているのです。言語化されていないこれらのコミュニケーションは、非言語(ノンバーバル)コミュニケーションとも呼ばれています。オンラインコミュニケーションでは多くの非言語コミュニケーションの手段が使えなくなってしまうため、「リアルよりも通じにくい」と感じる機会が増えてしまうのです。 リモートワークが普及している現在、発信力を高めてリアルコミュニケーションと変わらない情報連携精度を維持できるようにすることが重要となっています。

 

03発信力がある人の特徴

発信力があると言われる人には共通する特徴が見られます。ここでは、その特徴について3つ解説します。

  • ・1.発信の目的や根拠を明確化できる
  • ・2.相手に伝わりやすい表現を使える
  • ・3.傾聴力がある

発信の目的や根拠を明確化できる

発信力がある人は、自分の言葉や情報の背後にある目的や根拠を明確に理解し、的確に表現できる特徴があります。これは主張や意見を裏付け、信頼性を高める要素です。明確な目的や根拠を持つことで、相手に自分のメッセージが説得力を持って伝わりやすくなります。

相手に伝わりやすい表現を使える

発信力がある人は、適切でわかりやすい表現を用いて情報を伝える能力があります。適切な言葉や例えを用い、聴衆や読者が理解しやすい形でコミュニケーションを構築します。これにより、効果的なコミュニケーションが可能となり、情報の受け手がより深く理解しやすくなります。

傾聴力がある

発信力がある人は同時に優れた傾聴力も持っています。他者の意見やフィードバックに対して敏感であり、それを受け入れる柔軟性があります。傾聴力を発揮することで、相手の立場や感情を理解し、より適切なコミュニケーションが可能となります。傾聴力は双方向のコミュニケーションを促進し、発信者と受け手の関係を深めます。

 

04発信力を身につける方法

次に、ビジネスにおいて重要な発信力を身につける方法を見ていきましょう。代表的な手法を5つご紹介していきます。

  • ・1.相手が何を知りたいか想定しておく
  • ・2.相手の理解度に合わせる
  • ・3.伝え方や見せ方を工夫する
  • ・4.継続して発信の場に立つ
  • ・5.アウトプットだけでなくインプットも心がける

1.相手が何を知りたいか想定しておく

人は、「自分が言いたいことを言ってしまう」という性質があります。しかし、それは相手が知りたい情報ではない場合がほとんどです。 例えば、売上を上げた自分の成果を伝えたいと思っているときに、「売上の状況を報告してくれ」と上司に言われたら、上手くいっている箇所だけ報告してしまうでしょう。しかし、実際は上司が知りたいのは現状や進捗に加え、課題やその対処法ではないでしょうか。このように、自分が言いたいことではなく、相手が知りたいことを伝えることが重要です。 そのうえで発信力がついてきたら、相手が知りたい情報の中に自分が言いたいこともしっかり入れられるようになっていくはずです。

2.相手の理解度に合わせる

例えば、あなたが営業職だったとして、エンジニアの人と話す際、営業チームで使われている専門用語を多用して話をしたらどうでしょうか。エンジニアの人に、ほとんど内容が伝わらないのでは、ということが理解できると思います。これは人事でも、営業でも、デザイナーでも、マーケターでも、あるいはその他の職種でも同じことです。自分たちの常識が他の人や別チームの常識だと思わないことが重要なのですが、意外に忘れられがちです。 場合によっては、「そのくらい知っておいてほしい」と感じてしまうかもしれません。しかし、発信力とは「自分の意見を、分かりやすく正しく相手に伝える能力」であり、正しく理解してもらうためには相手目線のコミュニケーションが基本です。 このように、相手の理解度に合わせた言葉選びをすることが、発信力アップのためには必要となります。

3.伝え方や見せ方を工夫する

小手先の技術に感じるかもしれませんが、伝え方や見せ方を工夫するのも必要です。 様々な技法がありますが、ここでは代表的な3つをご紹介します。

  • ・1.話す順番を工夫する
  • ・2.図や絵を使ってみる
  • ・3.箇条書きを使う

1.話す順番を工夫する

人は提示された情報の順番によって、同じことを言われても受ける印象が変わると言われています。特に「最初に提示された情報」と「最後に提示された情報」の印象が強く残る傾向にあり、それぞれ初頭効果、近親効果と呼ばれます。 例えば、以下のAさんについての説明は、それぞれで受ける印象が変わるのではないでしょうか。

  • ・Aさんは優しいが、怒ると怖い
  • ・Aさんは怒ると怖いが、優しい

この性質を活用して、何を聞き手の印象に残したいか、発信の仕方で操作できるということでもあるのです。具体的には初頭効果や近親効果をうまく活用して、伝えたいことを最初に伝える、または伝えたいことを最後に繰り返す、などを行うと話のポイントが相手の印象に残りやすくなるでしょう。

2.図や絵を使ってみる

文字情報よりも視覚情報のほうが、直感的かつ多くの情報を伝えられます。 プレゼンや提案資料に関して図や絵の活用が有効であることは、良く言われることでしょう。しかし、図や絵を用いることはメールやチャットなどでも有効です。 例えば、上がってきたデザインに違和感があるとき、「右上の黒いぼんやりしたところが」などと、長々と文章で伝えてもなかなか伝わりません。 スクリーンショットを撮り、該当の箇所に赤マルまどをつけ、「添付の箇所ですが」と言えば、一回で伝わるでしょう。 文章のほうが伝わりやすいか、図や絵のほうが伝わりやすいか、考えてみるのも発信力を上げるためには有効です。

3.箇条書きを使う

並列して記載できることを伝える際、文章で説明するよりも、箇条書きを用いたほうが伝わりやすくなる場合もあります。 以下の例を二つ見てみましょう。

例1)
発信力をアップするためには、見せ方を工夫する必要があります。その手法の一つは、話す順番を工夫すること。もう一つは、図や絵を使ってみること。最後の一つは、箇条書きを使うことです。

例2)

  • <発信力をアップする見せ方の工夫3種>
  • ・話す順番を工夫する
  • ・図や絵を使ってみる
  • ・箇条書きを使う

上記の例1と例2では、例2のほうが何があるのかをパッと見て判断することが可能なはずです。もちろん、例2ではそれぞれの詳細を伝えることはできないため、補足説明も必要になるでしょう。 このように、箇条書きは何にでも使えるわけではないものの、状況に応じて使えると便利です。

4.継続して発信の場に立つ

社内プレゼンやチームでの発表など、自分から発信する場に立って練習していくことが大事です。 場数をこなせば、それだけ失敗もすることがありますが、いずれ上達していきます。理論を知った後は、実践が必要となるのです。 むしろ、社内で適度に軽い失敗をして学んでいくほうが良いでしょう。社内での小さな失敗であれば取り戻せたり、あるいはまったく問題にならなかったりします。加えて、社内であれば上長やチームメンバーから自身の発信内容について、理解しやすかったか、さらに工夫の余地がないのかなど率直なフィードバックを得ることもできるでしょう。 継続して、小さくてもいいので発信の場に立ちつづけることで、発信力を鍛え続けることができるのです。

5.アウトプットだけでなくインプットも心がける

何かを発信する際、インプットとアウトプットのバランスが大事というのはよく言われることです。 良質なアウトプット(=有用な情報が伝わる発信)をするには、同等のインプットが必要となります。そして、アウトプットを前提にインプットを行うと、ただ漫然とインプットをするのと比べて質も高まるという好循環が生まれます。 また、何かをインプットするというのは、誰かのアウトプットに触れるという行為でもあります。情報を積極的にインプットして知識や語彙を増やすだけではなく、分かりやすい説明の方法や見せ方、伝え方自体を学ぶこともできるのです。 発信力を高めるためには、様々なインプットに触れてみましょう。

 

05発信力を向上させるSchooのオンライン研修

Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。

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発信力に関するSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、発信力に関する授業を紹介いたします。

「発信力」が上がる文章教室

メール、レポート資料、SNSやブログ、メッセージアプリなど、多くの方が毎日文章を書きます。そこには自分の考えや発見を知ってもらいたい、そしてできれば「面白い」と思ってもらいたいという想いがあります。本授業では、読み手に「どうすれば楽しんでもらえるか?」という視点で、一流作家などの著名人のテクニックを例にして、文章の書き方を学びます。

 
  • 文筆家/書評家

    1994年生まれ。高知県出身。 京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。博士後期課程中途退学。大学院時代の専門は萬葉集。 大学院在学中に書籍執筆を開始。 現在は会社員の傍ら、文筆家・書評家として活動中。 著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』(サンクチュアリ出版)がある。

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相手に自信を持って伝えるノウハウリスト

このコースでは、 かつて皆さんと同じように発信や表現で悩みを抱えたことのある先生方をお招きして、 ビジネスシーンですぐにでも活用したくなる「伝える」ノウハウを学び、 仕事に活かしていくことを目的としています。

 
  • 株式会社TAM アートディレクター

    東京学芸大学卒業後、日本デザインセンターイラストカンプ部を経て、コーセー化粧品宣伝部、ワーナーミュージック・ジャパン編成デザイン部でグラフィックデザインに従事。現在、株式会社TAMにてアートディレクターを務める。並行して、描いて伝える「えがこう!」主宰。「地獄のお絵描き道場」をはじめ、セミナーや子供向けのイベントを開催する。多くの企業で可視化トレーニングを行う。
  • 博報堂 CMプランナー/コピーライター

    東京大学農学部卒。主なCMに、永谷園「Jリーグカレー」、日本コカ・コーラ「ファンタ」、コンデナストジャパン「GQ Japan」、エムティーアイ「ルナルナ」、UHA味覚糖「さけるグミ」、福島県庁「TOKIOは言うぞ」、花王「シュッシュデント」、他TVショートフイルムなどを手掛ける。

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心をつかむ超言葉術

相手に「伝わる」ということは「思い出せる」ということです。 小手先のテクニックではなく、「言葉を企画する」ことをベースに、自己紹介の仕方から言葉の正体を知ること、名付けの力、企画書の書き方と贈り方までワークショップを取り入れて学んでいきます。

 
  • コピーライター

    2008年、電通入社。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。「今でしょ!」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。

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06まとめ

発信力をもつことは、コミュニケーションを円滑にし、自分自身が仕事をしやすい環境を作ることにも直結しています。 そして適切な発信はチームや組織にとって好ましく働き、周囲の人々にも良い影響を与えていく好循環を生むでしょう。 ぜひこの機会に、自分の発信力はどうか、メンバーの発信力を上げるにはどうしたら良いか、考えてみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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