メンタルタフネスとは?メンタルが強い人材の特徴や鍛える方法を解説

職場での心の健康管理の取り組みが重要視される中、メンタルタフネスの概念が注目されています。企業においては、ストレスを力に変え、成果を上げられる人材の育成が喫緊の課題です。本記事では、メンタルタフネスの概要や重視される背景、メンタルが強い人材の特徴、メンタルタフネスを鍛える方法について解説します。
- 01.メンタルタフネスとは?
- 02.メンタルタフネスが重視される背景
- 03.メンタルタフネスが高い人の特徴
- 04.メンタルタフネスが低い人の特徴
- 05.メンタルタフネスの鍛え方
- 06.メンタルヘルス研修|Schoo for Business
- 07.まとめ
01メンタルタフネスとは?

Schooの講座 『メンタルが強い人になる -ストレスに負けない心の作り方-』 では、メンタルタフネスを「感情を適切にコントロールし、状況に応じて自分の行動を前向きに変えていく力」と定義しています。
ここでいう「感情のコントロール」とは、悲しみや悔しさといった健全なネガティブ感情を抑え込むことではありません。 そうした自然な感情は、きちんと味わい、受け入れることが重要です。
一方で、過剰に反応して自暴自棄になる、何も手につかなくなるといった不健全な感情や行動は、意識的に変えていく必要があります。 メンタルタフネスは、この「感情と行動の質を見極め、適切に対応する力」として、ビジネスやスポーツの現場で注目されています。
▶︎参考:メンタルタフネスに関する心理学的検討|日本社会心理学会
▶研修・人事育成担当者限定!『メンタルが強い人になる -ストレスに負けない心の作り方- 』を無料で視聴する
レジリエンスとの違い
レジリエンスが「困難からの回復力」であるのに対し、メンタルタフネスは「困難の最中でも適応的に行動を選ぶ力」と定義されます。 レジリエンスは時間をかけて立ち直る力に重点を置く一方で、メンタルタフネスはその場で感情を調整し、パフォーマンスを維持する力に焦点を当てています。
特に変化が激しくストレスの多いビジネス環境では、即時的な行動の切り替えを可能にするメンタルタフネスが求められています。
02メンタルタフネスが重視される背景
メンタルタフネスが重視される背景は、以下の通りです。
- ・社会人に必要な資質である
- ・現代のビジネスパーソンは強いストレスを抱えている
現代のビジネスパーソンは、仕事量や責任の重さなどから強いストレスにさらされています。 そのような環境でパフォーマンスを維持するためには、感情や行動を適切にコントロールできる「心の強さ」が不可欠です。 企業もこの点を重視しており、採用や育成の場で「精神力・忍耐力」=メンタルタフネスを求める傾向が高まっています。
社会人に必要な資質である
メンタルの強さは、企業が採用にあたって重視する資質の1つです。 経団連が実施した調査によると、採用の観点から、大卒者に特に期待する資質として、「精神力・忍耐力」が7位に挙げられています。
調査結果は以下の通りです。
- 1.主体性(84.0%)
- 2.チームワーク・リーダーシップ・協調性(76.9%)
- 3.実行力(48.1%)
- 4.学び続ける力(36.2%)
- 5.柔軟性(18.4%)
- 6.倫理観(10.9%)
- 7.精神力・忍耐力(10.4%)
- 8.社会性(8.2%)
「精神力・忍耐力」は「心の強さ」に置き換えることができ、これは職種や業種を問わず、仕事を遂行するうえで不可欠な能力といえます。
▶︎参考:採用と大学改革への期待に関するアンケート結果|日本経済団体連合会(2022)
現代のビジネスパーソンは強いストレスを抱えている
厚生労働省が実施した令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、 労働者の53.3%が仕事や職業生活に関することで強いストレスを感じていると回答しました。
特に多かったストレス要因は、「仕事の量」(43.2%)、「仕事の失敗や責任の発生」(33.7%)、 「仕事の質」(33.6%)などで、20代から50代のすべての年代で過半数が該当します。

このような強いストレス下で働くビジネスパーソンにとって、感情や行動を制御しながら力を発揮するメンタルタフネスは不可欠な力です。 実際に、社員研修の中でもメンタルタフネスに関するプログラムを導入する企業が増えており、ワークライフバランスの推進やメンタルヘルス対策の一環として重視されています。
個人のメンタルタフネスが高まることで、ストレスに強くなり、生産性の向上や組織の安定にもつながると期待されています。
03メンタルタフネスが高い人の特徴
メンタルが強い人材には、いくつかの共通した特徴があります。メンタルタフネスを鍛える上で、目指すべき姿ともいえるでしょう。ここでは、メンタルが強い人材の特徴を解説します。
- 1.ポジティブ思考である
- 2.自己評価ができる
- 3.自尊心が強い
1.ポジティブ思考である
メンタルが強い人材の特徴として、考え方がポジティブであることが挙げられます。困難な状況でも、自分なら乗り越えられると信じることができたり、仕方がないことだと気持ちを切り替えられます。物事の負の側面を理解しつつ認めることができ、考え方が前向きな人材は、メンタルが強いといえるのです。
2.自己評価ができる
自分自身についての評価ができるという点も、メンタルが強い人材の特徴です。メンタルの弱い人材は、他者からどう思われているかといった点を気にする人が多いです。ゆえに人との距離感が近くなり、メンタルが不安定になります。自分なりの評価基準をもち、他者との適切な距離感が保てる人材は、メンタルが強いといえます。
3.自尊心が高い
自尊心が高いことも、メンタルの強い人の特徴です。 自尊心とは、自分の存在そのものに価値があると感じ、今の自分をありのまま受け入れる感覚のことです。自尊心が弱い人材は、理想の自分を追求するため、現状に不安を抱きやすい傾向にあります。その点、メンタルの強い人材は、肯定的に自分を受け入れるため、精神的にも落ち着いています。
04メンタルタフネスが低い人の特徴
メンタルタフネスが低い人の特徴は、以下の通りです。
- ・自己肯定感が低い
- ・ネガティブ思考
- ・周囲の意見や評価を気にする
自己肯定感が低い、物事をネガティブに捉える、周囲の評価を過度に気にする、などの特徴を持つ人は、困難な状況で感情が不安定になりやすく、行動も消極的になりがちです。 これらはメンタルタフネスが低い状態のサインといえ、対人関係や仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼします。
1:自己肯定感が低い
メンタルタフネスが低い人の代表的な特徴として、自己肯定感の低さが挙げられます。 自分自身の存在や価値を受け入れられない状態では、自信を持って行動することが難しくなります。 小さな失敗や他人の言動を過度に気にし、自分を否定する思考に陥りやすくなります。 その結果として、挑戦を避けたり、自分を過小評価するなど、行動の幅が狭くなりがちです。
2:ネガティブ思考
常に物事の悪い面に目が向いてしまうのも、メンタルタフネスが低い人の傾向です。 問題が起こった際に「またダメだ」「どうせ自分にはできない」といった否定的な思考が先行し、前向きな行動に移せなくなります。 ネガティブ思考が続くと、自らストレスを増幅させ、精神的な安定を失いやすくなります。 結果的に、仕事や人間関係にも消極的な姿勢が表れやすくなります。
3:周囲の意見や評価を気にする
他人からどう見られているかを過剰に気にする人は、自分の軸を持ちづらくなり、メンタルが不安定になりやすい傾向にあります。 承認欲求が強くなると、ちょっとした評価の変化にも一喜一憂し、自律的な判断や行動が難しくなります。 周囲に合わせることを優先するあまり、自分の感情や価値観を抑え込み、結果としてストレスをため込みやすくなります。
04メンタルタフネスの鍛え方
Schooの講座「こころのメカニズムと対処法」 では、メンタルタフネスの鍛え方として、以下の4つの方法を紹介しています。

メンタルタフネスを鍛えるためには、自分のストレス状態を整理し、思考の柔軟性を高め、セルフケアで心身を整え、課題に向き合う力を育てることが重要です。 ストレスの可視化や認知の修正、リラクゼーションの習慣化、問題解決力の向上などを通じて、メンタルタフネスは日常の中で育てることができます。
▶研修・人事育成担当者限定!『こころのメカニズムと対処法』を無料で視聴する
1:ストレスの把握と原因の特定
自分の心身の状態を確認し、どのような場面でストレスを感じているのかを可視化することが出発点です。 日々の気分や体調の記録に加えて、「七つの領域(健康・人間関係・恋愛・仕事・学び・お金・未来の不安)」に分けて悩みを書き出す方法が有効です。 自分の感情やトラウマ、不安などを言語化することで、ストレスの要因を明確にし、対処への第一歩を踏み出せます。
2:認知の修正・変化を促す
ストレスを溜めやすい考え方に気づき、より柔軟でストレスを溜めにくい思考に変えていく力が求められます。 具体的には、多様性や他者との境界を理解すること、自分の限界を受け入れること、成長思考で目標を設定することなどが挙げられます。 楽観的な捉え方を身につけることは、感情のコントロールやストレス対処力の強化にもつながります。
3:ストレス軽減法・セルフケアの実施
感情の切り替えや休息、リラクゼーションの習慣を通じて、ストレスを和らげる方法を実践します。 マインドフルネスや適度な運動、健康的な食事、質の良い睡眠といった基本的な生活習慣の整備も含まれます。 また、他者と気持ちを共有し共感を得ることは、自己理解と安心感を高めるうえでも効果的です。
4:問題解決スキルの習得
ストレスの元となる問題に対処するためには、具体的なスキルの習得が欠かせません。 時間管理や自己主張の方法、傾聴やロジカルシンキング、対立の扱い方、味方や支援者の作り方などが挙げられます。 感情のコントロールも含めた問題解決力を高めることで、メンタルタフネスの基盤が強化され、前向きな行動につながります。
05メンタルヘルス研修|Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。メンタルヘルス研修はもちろんのこと、階層別研修からDX研修まで幅広いコンテンツで全てを支援できるのが強みです。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schooのメンタルヘルス研修の特長は、ストレス対処法やセルフケア、レジリエンスの強化から、職場でのメンタル不調への対応法まで、幅広いコンテンツが充実しているという点にあります。若手社員にはストレスマネジメント、管理職には部下のメンタルケアの手法といったように、各階層・各立場に適した研修を自由に選択することができるのです。
また、Schooはeラーニングによる研修受講となるので、社員1人ひとりが好きな時間や場所、タイミングで研修を受講することができ、業務で忙しくて時間を確保しにくいという人でも研修を受講してもらえます。
Schooのメンタルヘルス研修の特長
schoo for Businessのメンタルヘルス研修の特長としては3点あります。
1.隙間時間でインプットできる
Schoo for Businessは、倍速再生や中断地点からの再生もできるので、隙間時間で研修を受講することができます。短時間で質の高いインプットをしてほしいという企業におすすめのサービスです。
また、スマートフォンのアプリからも視聴できるので、通勤時間やお昼休憩などの時間を活用して、研修を受講することもできます。
2.メンタルヘルスの専門家が講師
通常、研修は研修講師という職業の人が、講師を務めます。もちろん、教えることに関しては研修講師は専門家で秀でていますが、実際の実務で得た経験や知見といった内容が欠けており、教科書どおりの内容となってしまうことも珍しくありません。
しかし、Schooの講師は精神科医などのメンタルヘルスの専門家にお願いしております。Schooのメンタルヘルス研修の講師例は以下のとおりです。
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精神科医YouTuber
防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニック院長。 精神保健指定医、精神科専門医・指導医
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産業医・精神科医/株式会社ウェルプラ/メディカルディレクター
東京女子医科大学病院精神科で助教・非常勤講師を歴任したのち、現在はメンタルクリニックの副院長を務めつつ、産業医としても幅広く活動している。また、ヘルスケア企業やHR領域の事業のメディカルディレクターも務めている。「健康問題を経営問題にしない」をミッションとし企業・ビジネスパーソン双方のサポートを専門としている。
3.研修管理が簡単
Schoo for Businessでは、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の受講進捗やレポート提出率なども簡単に可視化できます。ここでは研修管理機能の使い方を簡単に解説します。

まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
また、受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することもできます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいればリマインドメールを送ることができるので、研修受講率を向上させることができます。
メンタルヘルス研修に活用できるSchooの講座一覧
講座名 | 時間 |
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精神科医に聞くストレスとの向き合い方 | 1時間 |
ストレスの正体 不調のサイン | 1時間 |
怒りをコントロールするための「アンガーマネジメント」入門 | 2時間 |
自分でできる認知行動療法~レジリエンス力を高める | 2時間 |
元コンサルが教える ストレスに負けないためにできること | 1時間 |
日常の「もうムリ…」に効く科学的な方法 | 45分 |
人間関係のモヤモヤをなくす科学的な方法 | 45分 |
気分転換で仕事のストレスから強制リセット | 1時間 |
背伸びをしないメンタルトレーニング | 1時間 |
5万件のこころ相談に答えた漢方薬剤師・タクヤ先生のメンタル養生メソッド | 11時間 |
メンタルが強い人になる -ストレスに負けない心の作り方- | 17時間 |
06まとめ
本記事では、メンタルタフネスの概要や重視される背景、メンタルが強い人材の特徴、メンタルタフネスを鍛える方法について解説しました。メンタルタフネスは、ストレスに対する耐性のことで心の強さとも捉えることができ、社会人に必要な資質の1つです。高ストレスを抱える社員が多い現状では、メンタルタフネスはさらに重視されていくでしょう。本記事で紹介した方法を取り入れることで、社員のメンタルタフネスを鍛えることができます。メンタルタフネスを短期間で鍛えるには、社内研修の学びが最も有効になるため、ぜひ検討してみてください。