鈍感力とは?従業員をストレスから守る鈍感力の鍛え方を解説

ビジネスにおいてストレスへの対処は、パフォーマンスを維持するうえで不可欠なものです。精神的な疲弊を回避するためには、良い意味で「鈍感」になることが必要です。本記事では、ストレスから心身の健康を守る「鈍感力」の鍛え方を解説します。
- 01.鈍感力とは
- 02.ビジネスシーンで鈍感力が注目される理由
- 03.鈍感力を身につけるメリット
- 04.鈍感力を発揮するデメリット
- 05.鈍感力を鍛える方法とは
- 06.ビジネスシーンで鈍感力を発揮する際の注意点
- 07.鈍感力を向上させるSchooのオンライン研修
- 08.まとめ
01鈍感力とは
「鈍感力」とはストレス要因を正面から受け止めるのではなく、上手に受け流すスキルのことです。一般的に「鈍感」という言葉は、「気が利かない」「空気が読めない」といったネガティブなイメージで捉えられます。 スキルとしての鈍感力は、ストレス要因を「あえて気にしない」「意識して忘れる」ことでコントロールするものです。鈍感力はストレスフルな現代のビジネスシーンにおいて、心身の健康を守る重要なスキルであるといっても過言ではありません。
02ビジネスシーンで鈍感力が注目される理由
ビジネスシーンで鈍感力が注目される理由は、環境変化の激しさと多様な働き方に対応していかなければならないことが挙げられます。 ビジネスを取り巻く環境は日々変化しており、対応していくには相応のメンタルタフネスが要求されます。またグローバル化や働き方の多様化により、これまでとは違う層の人材と協力して仕事を進めていく機会も増えていくでしょう。価値観や考え方の違う人々と働くことで人間関係も複雑になっていくため、ストレスマネジメントのスキルが要求されるのです。
03鈍感力を身につけるメリット
鈍感力を自在に使えるようになれば、あらゆるストレスをコントロールでき、しなやかな強さを身につけられるでしょう。仕事のパフォーマンスにも良い影響をおよぼすことが考えられます。スキルとしての鈍感力を身につけるメリットは、以下の3つが挙げられます。
- ・1.ポジティブな思考で仕事に臨むことができる
- ・2.ストレス耐性が強くなる
- ・3.失敗に強くなる
1.ポジティブな思考で仕事に臨むことができる
鈍感力のある人は、マイナス思考に支配されることがありません。どのような状況においてもポジティブな思考で仕事を進めます。難易度の高い仕事を任された場合でも、尻込みするのではなく、「乗り越えることで自己成長につながる」と考えます。トラブルに見舞われても「起きてしまったことは仕方がない」と捉え、くよくよすることがありません。 厳しい経験であっても自身の糧として活かす精神的な余裕が、こうしたポジティブさの源にあるのです。
2.ストレス耐性が強くなる
ストレスに強くなることが、鈍感力を身につける最大のメリットです。ストレス要因を真正面から受け止めず、自身の中でコントロールできるため、常に良い精神状態を保てます。 鈍感力のある人は周囲の目をあまり気にしません。「自分は自分、他人は他人」と割り切ることができています。そのため無駄なストレスを受け取ることなく、仕事に集中できるのです。こうしたストレス耐性は、仕事のパフォーマンスを上げるために必要なスキルといえるでしょう。
3.失敗に強くなる
鈍感力の高い人は他人の目だけではなく、自身が抱く負の感情にも鈍感でいられます。そのため失敗に対しても、いつまでも悔やむのではなく、すぐに次の行動を起こせるのです。 失敗を引きずらず立ち直りが早いことは、ビジネスにおいては重要な資質といえます。失敗を恐れず、次々に新しい事柄にチャレンジできるので、やがて組織に高い成果をもたらす人材へと成長していけるでしょう。
04鈍感力を発揮するデメリット
一方で鈍感力を発揮しすぎることは、デメリットをもたらすため注意が必要です。以下に挙げる2つのデメリットが考えられます。スキルとしての鈍感力はある程度、周囲の状況を考慮して発揮する必要がありそうです。
- ・1.自己成長が止まる
- ・2.周囲を不快にするケースもある
1.自己成長が止まる
鈍感力を都合よく解釈した場合、自己成長を阻害する要因となるため注意しなくてはなりません。本来は、正面から向き合わなければならないようなこともスルーしてしまうためです。仕事でミスをした場合、失敗を引きずらないことと反省をしないことは違います。 また、周囲のアドバイス、とくに苦言に対して鈍感になりすぎることもデメリットです。「この人には何を言っても響かない」と思われてしまうと、周囲からの助言を得られなくなってしまいます。成長の機会を失ってしまうでしょう。
2.周囲を不快にするケースもある
鈍感力は発揮するシチュエーションを間違えると、「空気が読めない人」と周囲を不快にする危険があるため注意しなくてはなりません。例えば深刻なトラブルが起きて、真剣に話し合いをしているときに、鈍感力を発揮した「見通しの甘い発言」をするとどうでしょうか。おそらく周囲の「ひんしゅく」を買ってしまうでしょう。 ストレス回避の自己防衛スキルとしての鈍感力は必要ですが、周囲の状況を見極める能力もあわせて持つ必要がありそうです。
05鈍感力を鍛える方法とは
鈍感力を鍛える方法は、自身の心の持ち方のコントロールであるといえるでしょう。具体的には以下の5つが挙げられます。
- ・1.完璧主義をやめる
- ・2.「なんとかなる」と思うようにする
- ・3.コントロールできないものがあることを知る
- ・4.メタ思考・視点を身につける
- ・5.マインドフルネスを実践する
上述した5つについて、詳しく解説します。
1.完璧主義をやめる
何事にも完璧を目指すことをやめてみるのも一つの方法です。常に100%を目指す姿勢も大切ですが、自身の目指す100%が他者の100%であるとは限りません。 チームで仕事を進めていく場合、完璧主義が周囲に迷惑をかけることも考えられます。 100%の完成度を目指すあまり、仕事の提出が遅くなれば、後工程に影響を及ぼすことがあるためです。6割くらいの出来でも、いったん提出し周囲と協力しながら完成度を高めていくほうが、仕事の進め方としては効率が良い面もあります。 「6割の仕事でも良し」とする鈍感力は、結果として生産性を高めることにつながることもあるのです。
2.「なんとかなる」と思うようにする
トラブルに見舞われたとき、「なんとかなる」と思えることは、その後の対処に強い影響を及ぼします。トラブルの悪い面にばかり目を向けていては状況は改善しません。 いったん、「なんとかなる」と思うことで思考が止まってしまうことは避けられます。具体的な解決策を見つけるうえでは、このように気持ちを大きく持つことが必要です。気持ちがポジティブであることで、解決に向けた柔軟なアイデアが出てくるでしょう。
3.コントロールできないものがあることを知る
自分自身でコントロールできないことには、強いこだわりを持たないことも大切です。こうした考えを持てることで、とくに人間関係におけるストレスの多くは回避できるようになります。他人の気持ちは自分ではコントロールできないものです。変えられないものを無理に変えようとせず割り切ることも必要です。
4.メタ思考・視点を身につける
メタ思考・視点とは、問題を一つ上の視点から眺めたり、もう一人の自分が自分を観察したりするような思考や視点のことです。トラブルに直面している自分を、建物の2階の屋根から、もう一人の自分が見ているようなイメージといえばわかりやすいでしょう。 自分を客観視する手法として優れており、こうした思考と視点を身につけることで、常に冷静さを保てます。人間関係の問題を抱えているようなときは、こうした視点で周囲を見渡してみることも良い方法です。
5.マインドフルネスを実践する
「マインドフルネス」とは、自身の心の中で増幅したストレスをいったん手放し、「今」だけに集中する精神状態を意識的に作る方法です。ストレスマネジメントの手法として注目を集めており、ビジネスシーンにおいても活用が進んでいます。 心をマインドフルネスの状態に到達させる手段として行われるのが「瞑想」です。瞑想により脳を活性化させストレスを軽減させる効果が期待できます。結果として仕事のパフォーマンスを上げるため、組織開発や人材育成の分野でも積極的に取り入れられています。
06ビジネスシーンで鈍感力を発揮する際の注意点
ここまで述べてきた通り、鈍感力はストレスマネジメントに必要なスキルです。しかしビジネスシーンにおいては適切に発揮しなければ、信用を失うことにつながりかねません。以下に注意点を3つ挙げます。
- ・1.発揮する場面としない場面の見極めが必要
- ・2.直属の上司には使わない
- ・3.事前の信頼残高に左右される
1.発揮する場面としない場面の見極めが必要
鈍感力は自身のストレスになりそうな情報を、上手にスルーすることです。しかし、すべてをスルーすることは避けなくてはなりません。自身のことを思っての苦言やアドバイスには素直に耳を傾けるべきです。また部下や後輩が困っている状態に、気がつかないふりをするのも問題です。本当に向き合うべきことはスルーせず、真剣に向き合う姿勢を周囲に見せておかなくては、ただの「いい加減な人」と認識されてしまいます。発揮する場面とそうでない場面を理解し、自身でコントロールするのが鈍感力の正しい使い方です。
2.直属の上司には使わない
鈍感力は原則として、直属の上司には使わないほうが無難です。鈍感力の度が過ぎた場合、ただの「いい加減な人」と認識される恐れがあることは先に述べた通りです。直属の上司にこうしたマイナスの印象を与えてしまうと、その後の仕事に影響がおよびます。 大事な仕事を任されなくなり、成長の機会を自ら奪ってしまうことになるでしょう。
3.事前の信頼残高に左右されることも
鈍感力を発揮しても許されるかどうかは、それまでの信頼の積み重ねに左右される側面があります。本当に向き合うべき問題には、正面から向き合い解決に導く姿勢を周囲が認識しているか。困っている部下や同僚がいたらスルーせず、すぐに助け舟をだしているか。こうした普段の信頼の積み重ねがあることで、鈍感力を発揮しても信用を失わないのです。
07鈍感力を向上させるSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級7,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
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鈍感力に関するSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、7,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、鈍感力に関する授業を紹介いたします。
危機を乗り越えるマインドフルネス
「今、ここ」に生きることで、ネガティブ思考を客観視して手放し、ネガティブ思考を癒す効果のあるマインドフルネス。 今回は、昨今の現状を鑑み、コロナの時代を共に生き抜くためのメンタルのつくり方をマインドフルネスによって磨いていきます。
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精神科医・作家
1957年、神戸生まれ。1982年、鹿児島大学医学部卒業。 2011年、心のトリセツ研究所を設立。日本キネシオロジー学院 顧問。メールマガジン「3分で読める幸せになるコツ・365日のレッスン」を通じて、心理学・東洋医学・氣の知識や情報をわかりやすく発信している。40年の瞑想歴、25年以上のマインドフルネス瞑想の実践から、日常生活のなかで手軽にマインドフルネスを習得できる方法を提案。セミナーなどで指導、普及活動を実施してきた。そのわかりやすさと取り入れやすさに定評がある。長きにわたって多くの人のネガティブ思考による悩みを解決してきており、瞑想を説く精神科医として雑誌など、取材も数多い。 著書には『マインドフルネスの教科書』『マインドフルネス 「人間関係」の教科書』(ともにクローバー出版)『ビジネスマンのための「平常心」と「不動心」の鍛え方』(同文館出版)などがある。 公式ブログ:心のトリセツ.com 公式メルマガ:https://www.agentmail.jp/form/pg/1793/1/
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客観的認識で自己成長できる「メタ認知」入門
いま、まさに不安定な時代となり、どの方向が自分にとって価値ある道なのか。不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 この授業では、自分がどうなりたいのか、どう進むべきかなど解像度をあげ、よりよい仕事、生活、目標設定できるよう「メタ認知」の概念と方法を学んでいきます。
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にこフル
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ニフティ株式会社を経て、ヤフー株式会社へ入社。2016年以降、マインドフルネスの企画展開の先行事例として各メディアに注目され、講演やワークショップなど年100回ほど登壇。これまでに社内外に7000人以上に届けてきた。UPDATE mindfulnessを掲げて、2020年個人事業で独立し、ポートフォリオキャリアの働き方で、今に至る。
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マインドマップの教科書 応用編 -頭を使いこなす力、メンタルリテラシーを鍛える-
今回の授業ではメンタルリテラシーを高めるマインドマップの活用方法を学んでいきます。 情報を持っているだけではなく、どのように活用するかに大きな価値がある時代において、「メンタルリテラシー」が重要な能力になることは間違いありません。より効率的に学び、得た知識をより効果的に活用する方法を学んでいきましょう。
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株式会社ヒューマン・リスペクト 代表取締役
千葉県船橋市出身。 「マインドマップの学校」(https://www.mindmap-school.jp/)代表、人材・組織開発コンサルタント、中小企業診断士。 上智大学卒業後、メーカー勤務等を経て2004年に株式会社ヒューマン・リスペクトを創業。大手・中小企業等に、コンサルティング業務を展開。総登壇日数2,000回超、総計1万人超に対し講演・講義経験を持つ。 また、東京ビッグサイトにおける展示会メインステージ、全国の商工会議所、 経営者協会、ロータリークラブ等で、講演者としても多数指名を受けている。 著書に「マインドマップ戦略入門〜視覚で身につける35のフレームワーク」(ダイヤモンド社)がある。
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08まとめ
従業員の鈍感力を高めることは、ストレスマネジメントにおいて必要な取り組みです。しかし誤った解釈で鈍感力を発揮する従業員が増えてしまうことは、企業としては避けなくてはなりません。 そのためにも、正しいストレスマネジメントの手法を教育する必要があります。社内研修や自己啓発の取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。