キャリアゴールとは?設定のポイントや手順を解説

キャリアゴールは、今後どのようなスキルを身につけていきたいか、キャリアを積んでいきたいのかといった長期プランの最終地点をいいます。昨今はビジネス環境の変化が目まぐるしく、将来像が描けずに不安を感じている従業員は少なくありません。 本記事では、キャリアゴールの概要を確認し、なぜ重要になるのかその理由のほか設定の仕方、企業が支援する際のポイントを紹介します。
- 01.キャリアゴールとは
- 02.キャリアゴールが重要な理由
- 03.キャリアゴール設定の3つのステップ
- 04.企業におけるキャリアゴール設定のポイント
- 05.まとめ
01キャリアゴールとは
キャリアゴールとは、将来の理想像を明確にし、理想の実現を目指して構築されたプランの最終地点(目標)を指します。理想像とは、自身の人物像だけでなく、将来どのような仕事・働き方をしたいのか、ライフプランも含めた生き方と捉えるのが望ましいです。 一般的にキャリアは経歴や職歴を意味しますが、キャリアゴールを考える際はより広義に捉え、社内での昇進もあれば、独立といった選択肢も考えられるでしょう。
キャリアパスとは
キャリアパスとは、職務や職位に就くために必要な業務経験とその順序です。企業内での異動や昇進のルートともいえます。 また、それらのルートを従業員に対して明確に示したものがキャリアパス制度です。この制度により、従業員が目標とするポストに就くまでに、今後どのようなスキルを身につけるべきか、到達するまでのおおよその期間などを把握できます。キャリアパスとは、キャリアゴールの通過点といえるでしょう。
キャリアプランとは
キャリアプランとは、理想像を実現するための具体的な計画です。将来的な働き方を考えるうえでは、経歴や職歴のほかにも、プライベートとの両立も検討する必要があります。 働き方は、ライフステージによっても変化するものです。そのため、キャリアプランでは所属する企業での経験のほかにも、雇用形態の変更や転職、独立も含まれます。キャリアプランの理想像=キャリアゴールになるのです。
02キャリアゴールが重要な理由
なぜ、キャリアゴールが重視されているのでしょうか。 キャリアゴールが重要な理由として以下の3つが挙げられます。
- ・終身雇用が崩壊しつつあるため
- ・人生100年時代と言われるため
- ・VUCAの時代を生き抜くため
終身雇用が崩壊しつつあるため
日本の終身雇用は崩壊しつつあり、入社から定年まで1つの企業で勤めあげるのではなく、転職を視野に入れたキャリアを築く時代へとシフトしています。 年齢や経験年数に限らず、保有するスキルや知識、出された成果などを総合的に評価し、個人の成長を促進しなければなりません。 また、副業や兼業、フリーランスといった多様な働き方が選択できるようになる一方で、企業にキャリアを委ねるのではなく、個人が主体的にキャリアゴールを目指す考え方が必要になっているのです。
人生100年時代へと変わったため
人生100年時代といわれる昨今、長寿化により定年がゴールではなく、生涯現役が求められる社会となっています。 これまで60歳が一般的だった定年退職の年齢が、法改正により引き上げられる中、70歳もしくはそれ以上を前提としたプランニングが必要になるでしょう。個人が進んでスキルを磨き、主体的にキャリアを築いていく姿勢が欠かせません。 そのため、キャリアゴールを意識するといった「キャリアオーナーシップ」をもつ重要性が高まっているのです。
VUCAの時代を生き抜くため
あらゆるものを取り巻く環境が変化し、今後の予測が困難なVUCAの時代にあり、キャリアゴールが重要になっています。様々な外的要因によって不確実な事態が起こると、これまでの働き方のほか、積み上げたスキルが通用しない、もしくは必要とされない可能性があるためです。 そんな時代を生き抜くためにも、現在のスキルや知識がいずれ通用しなくなる状況を前提に、学び直しへの取り組みも大切になるでしょう。従業員一人ひとりが主体的にキャリアゴールを設定し、どうキャリアを積み重ねていくべきかを考える必要があります。
03キャリアゴール設定の3つのステップ
ステップ別にキャリアゴールの設定について解説します。 育成現場でキャリアゴールを設定する際は、10年後・20年後といった長期間にわたる計画よりも、スモールステップで道筋を設計しましょう。 キャリアゴールを設定する手順は、以下の3ステップです。
- ・自己分析を行う
- ・現状を把握する
- ・ゴールまでの道筋を計画する/li>
自己分析を行う
まず、過去の職務から得られた経験を振り返り、自己分析を行います。自分自身を客観視できなければ、過大あるいは過小評価につながり、適切なキャリアゴールを設置できません。 具体的には、これまでの職務を通して大事にしたいと感じている価値観、やりがい、強く関心を抱いている事柄を明確にします。 また、効率的に自己分析を行うにはフレームワークがおすすめです。マインドマップ、モチベーショングラフ、SWOT分析など、利用しやすいフレームワークを選ぶと良いでしょう。
現状を把握する
現状把握では、スキルや取得資格、得意分野といった強みを深掘りします。苦手分野にも着目し、現地点で不足している力もしっかり認識するのがポイントです。 キャリアゴールは、自分の視点だけで設定するのが最適とは限りません。第三者だからこそ分かる強み・弱みがあるものです。フィードバックを利用し、組織の方向性、組織が期待している役割を確認して、現状把握を深めると良いでしょう。
ゴールまでの道筋を計画する
理想像を具体化し、ゴールに到達するための道筋を整理し、計画に落とし込みます。 キャリアゴールは理想像だけでなく、期間の設定が必須です。最終地点から現在地までブレイクダウンし、短期目標を設置していくとより現実的な計画となるでしょう。 理想と現実との間にはギャップが存在するため、必要なスキルをどの段階で身につけると良いのか具体的に示さなければなりません。 企業におけるキャリアを目標とする場合、自社のキャリアパス制度を参考にするのも、達成までのイメージがしやすいでしょう。
04企業におけるキャリアゴール設定のポイント
キャリアゴールの設定は、基本的に従業員個人が行いますが、実現性を高めるには企業による支援が欠かせません。ここでは、企業におけるキャリアゴール設定のポイントを紹介します。
- ・キャリア開発支援に取り組む
- ・メンター制度の導入
- ・ジョブ型雇用の導入
- ・キャリアデザイン研修を実施する
キャリア開発支援に取り組む
従業員へのキャリア開発支援は、キャリアゴール設定に有効です。キャリア開発は、キャリアゴールに到達するために必要なスキル・知識の習得、自社での職務経験のプロセスを設計するものです。 具体的には、キャリアパスの提示、研修制度の充実、社内異動の申告制、社内公募制度、副業・兼業の許可といった施策が挙げられます。これらを一体的に取り組むことで、従業員のエンゲージメント・生産性の向上の効果に期待できるでしょう。従業員が理想とするキャリアゴールに役立つかどうかを重視し、主体的に取り組めるような仕組みの整備が大切です。
メンター制度の導入
メンター制度の導入により、キャリアプランの作成から実現可能な目標設定の策定などの機会を定期的に設けることができます。 上司とは別に先輩社員(メンター)が後輩社員(メンティ)に対して、サポートするのがメンター制度です。メンターには、社会人としての在り方やキャリアに対する考え方など、幅広い視点からメンティの成長を支援する役割が期待されています。 メンターの存在からキャリアプランを想像しやすくなる利点があります。結婚や出産などのライフイベントの際に仕事との両立をどうするのか、キャリアゴールをどのように実現していくのかといった点でロールモデルになり得るでしょう。
ジョブ型雇用の導入
ジョブ型雇用では、企業が求める人材を職務記述書で明確化して採用するため、専門性の高い人材を獲得できます。 従来からあるメンバーシップ型雇用は、企業主導でキャリアプランが決まります。対して ジョブ型雇用は、過去の実績や保持スキルで業務を振り分けて評価するため従業員が自らのキャリアを主体的に考える点が大きな特徴です。 ジョブ型雇用の従業員は、どうすればキャリアアップできるのかが明瞭になるので、キャリアゴールの設定がしやすくなります。
キャリアデザイン研修を実施する
キャリアデザイン研修とは、これまでの社会生活における経験を振り返りながら自己理解を深め、理想とする将来の自分像や目標を計画するための研修です。 自身のキャリアについて従業員に考えてもらう機会となり、仕事へのモチベーションを高め、自律的な行動の促進に期待できます。 研修後は通常業務で忙しくなり、学びが定着しないおそれがあります。フォローアップによって研修内容が実務に反映されているかのチェックが重要です。定期的なコミュニケーションを図り、研修効果を最大化しましょう。
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

05まとめ
本記事では、キャリアゴールの概要を確認し、なぜ重要になるのかその理由のほか設定の仕方、企業が支援する際のポイントを紹介しました。 キャリアゴールとは、将来の理想像を明確にし、理想の実現を目指して構築されたプランの最終地点(目標)を指します。終身雇用の崩壊、人生100年時代、VUCAの時代といった昨今を背景に、キャリアゴールの重要性はさらに高まることでしょう。 企業においては、キャリア開発支援や人事制度、キャリアデザイン研修が社員のキャリアゴール設定のポイントになります。自社にマッチする方法で、従業員にキャリアゴールの実現を後押しする環境整備に取り組んでみてはいかがでしょうか。