更新日:2026/05/23

集団意思決定とは?メリット・デメリットや手法、意思決定のポイントも解説

集団意思決定とは?メリット・デメリットや手法、意思決定のポイントも解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

集団意思決定とは、グループやチームなど複数の人が集まる場において、共同で意思決定を下すことを指します。ビジネスの現場では、関係者と協議しながら判断を下す場面は珍しくありません。一方で、最終的な決定に納得できなかったり、話し合いがうまく進まなかったりと、集団での意思決定に難しさを感じた経験がある人も少なくないでしょう。本稿では、集団意思決定のメリットやデメリットに加え、集団での意思決定の品質を高めるためのポイントについて解説します。

 

01集団意思決定とは

集団意思決定とは

集団意思決定とは、個人が集まり、複数の選択肢から共同で意思決定を行うことを指します。例えば職場においては、チームに割り振られた予算の使い道について、所属メンバーが優先度を議論しながら意思決定をするシーンなどが該当します。集団で一つの結論を導くため、必ずしもその決定が個々人の判断とは一致するとは限らない点が特徴です。

Schoo for Businessの授業『集団でのコミュニケーション心理学』に登壇する社会心理学者の丹野宏昭先生は、集団意思決定の大前提として次の3点を紹介しています。

  • ・集団でひとつのことを決定するとき、意見が採択される人間と、不採択となる人間がいる(多数派と少数派が必ず発生する)
  • ・多数派の意見が必ずしも最良となるとは限らない
  • ・少数派は不満を持つ。特に決定結果が「悪いもの」だと顕著となる
 

02集団意思決定のメリット

集団意思決定のメリットには、主に以下の3つがあります。

  • ・多様性により発想が広がる
  • ・メンバーの納得感やモチベーション向上
  • ・集合知により精度が上がる

多様性により発想が広がる

1人では思いつきにくいアイデアや解決策が生まれる可能性があることは、集団意思決定のメリットの一つです。メンバーがそれぞれ異なる専門知識・経験・視点を持ち寄ることで、問題を多面的に捉えやすくなります。Kwon & Kim(2025)の研究では、参加型意思決定が従業員の認知的柔軟性を高め、それを通じて創造性や積極的な提案行動に結びつく可能性が示されています。つまり、メンバーが意思決定に関与することは、さまざまな視点から課題を捉える機会になるだけでなく、従業員の認知的柔軟性や創造性を高める可能性も期待できます。

▶︎参考:Kwon, S.-H., & Kim, J.-S. (2025). Relationship Between Participative Decision-Making Within an Organization and Employees' Cognitive Flexibility, Creativity, and Voice Behavior. Behavioral Sciences, 15(1), 51.

メンバーの納得感やモチベーション向上

組織マネジメントの観点からは、メンバーが意思決定に関与できる機会を設けることで、納得感やモチベーションの向上につながる可能性があります。Ryan & Deciが提唱した「自己決定理論」によると、人には「自律性」「関係性」「有能感」の3つの心理的欲求があるとされています。チームや組織運営に関する意思決定に参画することは「自律性」の欲求を満たすきっかけになり得ます。また、周囲と意見を交わしながら検討するプロセスを通じて「関係性」の欲求が満たされやすくなることも期待できます。

集合知により精度が上がる

集団意思決定には、メンバーが持つ多様な知識、経験を活かすことを通じて、判断の質を高められる可能性があります。これは「集合知」とも呼ばれ、企業のチームや組織だけではなく、例えばインターネット上のコミュニティなどでも発生し得るものです。判断に必要なさまざまな情報が集まりやすく、選択肢に対して多角的な検証が加えられることで、よりよい選択ができるようになるのです。一方、集合知は多様な人が集まるだけで自然に生まれるわけではなく、メンバーが互いに自由に意見を言いやすく、異なる視点が十分に共有・検討される環境が重要です。


 

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03集団意思決定のデメリット

集団意思決定のデメリットには、主に以下の3つがあります。

  • ・意思決定に時間がかかる
  • ・責任の所在が曖昧になる
  • ・意見の歪みが発生することがある

意思決定に時間がかかる

集団意思決定は個人で意思決定する場合と比べ、時間的なコストが膨らみやすい傾向があります。複数のメンバーで議論する以上、論点の整理・意見の調整・合意の取り付けに一定のステップが避けられないためです。さらに承認フローに段階がある場合には、認識のすり合わせや再確認といった作業も発生し、結果として迅速な意思決定が難しくなる場面が出てくる可能性もあります。

責任の所在が曖昧になる

集団で決定を下すことには、責任が拡散しやすいというデメリットもあります。個人による意思決定では決定者が責任主体となる構造が成立しやすいですが、集団意思決定ではグループ全体で決定を下すことや、個々人の意思が最終的な決定内容と一致しないことから、最終責任を誰が負うのかが不明確になることがあります。実務上は、議事録に決定経緯と最終承認者を明示する、合議制の中にも責任を負う1人の意思決定者を立てる、といった工夫が求められます。

意見の歪みが発生することがある

集団意思決定は、意見の歪みが発生することがあるというデメリットもあります。特に、集団極性化現象やグループシンク(集団浅慮)には注意が必要です。

集団極性化現象

集団極性化現象

Schoo for Businessの授業『集団でのコミュニケーション心理学』では、集団で議論する際に陥りやすい問題として「集団極性化現象」を紹介しています。これは、集団で話し合うことで個々人が当初持っていた判断よりも、集団の結論が極端な方向に傾きやすくなる現象です。「過度にリスクを取る」と「過度に慎重」のどちらにも振れる可能性があるとされます。例えばビジネスシーンでは、リスクを避ける意見が議論の中で強まり新機能のリリースを必要以上に遅らせてしまうケースや、話題化を狙う意見が強まり倫理的に問題のあるSNS投稿のリスクが十分に検討されないまま進んでしまうケースが考えられます。

グループシンク(集団浅慮)

グループシンク(集団浅慮)とは、集団における意見の一致を重視しすぎるあまり、代替案やリスクの検討が不十分になり、不合理な意思決定につながる現象です。グループシンクは一般的に、同調圧力の強い組織や、多様性の低い組織、リーダーが特定の意見に肩入れすることなどによって起こると考えられています。このような環境では少数派が意見の表明を控えがちであり、結果として集団は「全員が合意している」という錯覚に陥りやすくなります。

▶︎関連コラム:グループ・シンク(集団浅慮)とは?原因と兆候、3つの対策方法を解説

 

04集団意思決定に役立つ手法

ここまで見てきた通り、集団意思決定は進め方によって、結論の品質を高めることにも、かえって下げることにもつながります。ここでは、集団意思決定を効果的に進めるために役立つ手法を紹介します。

  • ・ブレインストーミング
  • ・デルファイ法
  • ・弁証法的探求
  • ・構造化討議法(KJ法)
  • ・プレモーテム法

ブレインストーミング

ブレインストーミングは、メンバー各自が自由にアイデアを出し合い、候補となる意見を量的に集める手法です。一般的な進め方としては、まず判断や批判をいったん保留して多くのアイデアを洗い出すことに重点を置き、その後アイデアの精査を行い集約していきます。「多くのアイデアを出す」「アイデアを批判しない」「他人のアイデアをベースに新しいアイデアを出す」といったルールが用いられることが多いです。一方、「順番に話していく」流れで進めると、他人が話している間にアイデアを忘れる、思考が邪魔されるといったことが起こり生産性が低下するリスクがあるため、参加する各人が他人に影響を受けずに独立して思考できる時間の確保が重要です。

デルファイ法

デルファイ法とは、専門家などのグループに対してアンケート調査を繰り返し実施し、意見の収束や合意形成を図る手法です。回答者の匿名性を保ちながら進める点が特徴で、集団浅慮や同調圧力などの影響を抑えることができます。集計したデータや見解を回答者にフィードバックし、必要に応じて回答を見直してもらうプロセスを繰り返しながら、意見の収束や合意形成を図ります。個人に対する印象や立場の違いから生じるバイアスを抑えながら、多様な意見を踏まえた判断につなげやすい点が特徴です。

弁証法的探究

弁証法的探究は、ある方針や選択肢に対して、異なる前提に基づく反対案や代替案を意図的に提示し、それぞれの根拠やリスクを比較検討することで意思決定の質を高める手法です。参加者を2つのチームに分け、一方が特定の選択肢を支持する立場、もう一方がそれに対する反対案や代替案を提示する立場で議論を行います。両チームの主張を踏まえ最終的に意思決定者が結論を下す形が一般的です。また、議論を通じて双方のメリットを活かした統合案や、よりよい代替案を見出せる場合もあります。

構造化討議法(KJ法)

KJ法は、文化人類学者の川喜田二郎氏が提示した、断片的な情報やアイデアを構造化して整理するための発想法です。基本手順は、①1枚に1テーマで情報をカード(または付箋)に書き出す、②内容が近いカード同士を集めて小グループを作る、③小グループをさらに大グループへとまとめ上げる、④グループ間の関係を図解化または文章化する、という形で進めます。頭の中にある暗黙的な情報を可視化して構造を見出せる点がメリットであり、ブレインストーミングと組み合わせて用いられることも多い手法です。

プレモーテム法

プレモーテム法とは、認知心理学者ゲイリー・クライン氏が提示した手法です。「このプロジェクトは完全に失敗した。その理由を説明せよ」という形で、失敗が既成事実であるかのように仮定して原因を逆算します。通常のリスク管理が「これから何が悪くなり得るか」を問うのに対し、失敗を仮想的に確定させてから原因を述べる方が、抽象的なリスク列挙よりも具体的な懸念を引き出しやすいという考え方が背景にあります。


 

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05集団意思決定を歪ませないポイント

集団意思決定を歪ませないポイント

ここからは、Schoo for Businessの授業『集団でのコミュニケーション心理学』を参考に、集団意思決定を歪ませないポイントとして以下の3点を紹介します。

  • ・ファシリテーターが異論・疑問を奨励する
  • ・リーダーは主観的意見を述べない
  • ・多数派意見に異論を言う役割をつくる

ファシリテーターが異論・疑問を奨励する

ファシリテーターが異論や疑問を意図的に引き出すことは、集団極性化と集団浅慮の両方を抑制する基本的な打ち手の一つです。集団意思決定が歪む主な要因として、同調圧力などによって少数派の意見が抑制され、多数派の意見が全体の意見として誤認される点が挙げられます。そのため、ファシリテーターが「他に異なる見方はないか」「あえて反対するとしたら」と発話の場を意図的に作ることが、多様な意見の表出を支え、バランスのよい意思決定につながるのです。一方、ファシリテーター自身が特定の立場に偏った発言をすると誘導になってしまうリスクもあるため、中立的なスタンスを維持することが求められます。

リーダーは主観的意見を述べない

リーダーや司会役が議論の早い段階で主観的な意見を述べないことも、歪みを防ぐ重要なポイントです。特に組織において権限を持つ立場の人物が結論や好みを先に表明してしまうと、反対意見を述べることへの恐れや同調圧力が生じやすくなります。現実的には、議論の論点設定や前提条件の共有はリーダーが行い、結論についてはメンバーの意見が出そろってから態度を表明する、といった役割の使い分けが落としどころとなりやすいでしょう。

多数派意見に異論を言う役割をつくる

集団討議の工夫として、意図的に反対意見を述べる役割を組み込むことで、多数派の意見がそのまま通ることを防ぎやすくすることが挙げられます。このような「あえて反対意見を述べる役割」の人を「悪魔の代弁者」と呼ぶこともあります。集団での議論を成り行きに任せていると少数派は自然に発言を控えることがありますが、あらかじめ「異論を述べる役割」を割り当てておけば、そのメンバーは役割の全うのために反対意見を述べるため、場の空気に流されにくく、アイデアの多様性を確保しやすくなります。

 

06集団意思決定をサポートするSchoo for Business

Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
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研修管理機能 あり
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費用 1ID/1,650円
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契約形態 年間契約のみ
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議論や意思決定に関する講座を紹介

ここでは、Schoo for Businessの講座から、議論や意思決定に関する講座を紹介します。

アベプラアナウンサーの場づくりの秘訣

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本授業は、テレビ朝日アナウンサーで「ABEMA Prime」の進行をする平石直之さんから、場づくりの秘訣を学ぶ授業です。参加者が自由に発言でき、その意見の違いをうまくミックスするようなファシリテーションの極意を学ぶことができます。著書『超ファシリテーション力』(アスコム)は読者が選ぶビジネス書グランプリ2022のビジネス実務部門賞を受賞。

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人狼で学ぶ「人付き合いの心理学」

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人狼ゲームとは複数人で行う心理ゲームです。ゲームでは説得や嘘、集団心理の誘導などの能力が必要になります。今回は、社会心理学の専門家である丹野先生に、人狼ゲームを実生活に例えて心理学の見地から「人付き合い」の方法について教えていただきます。

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「真・コミュニケーション能力」の教科書 -ディベート力編-

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この授業では、ディベート力を学ぶことができます。ディベートとは何か、どのようにビジネスに役立つのかなどを著者の西部直樹氏に解説いただいています。企業・官庁・自治体の社員、職員を対象としてディベート、プレゼンテーション、傾聴技法などのコミュニケーションスキル研修講師を務める西部先生から、議論力を身につける技術を学びます。

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アイディアが湧き出る「最新版ブレストの基本」

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この授業では、ブレストの基本的なルールや重要なポイントを改めて確認し、「成果の出るブレスト」の方法を学びます。ブレストの基本的なルールを知りたい人や、ブレストをやったことに満足してしまい成果がなく終わってしまう人におすすめの授業です。講師は、数々のヒット商品企画開発に携わったトイクリエイターの大澤孝先生です。

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07まとめ

集団意思決定とは、複数のメンバーで最適な選択肢を選ぶプロセスであり、多様な発想や集合知による精度の向上、メンバーのモチベーション向上といったメリットがあります。しかし、意思決定に時間がかかり、集団浅慮(グループシンク)や集団極性化現象により不合理な結論につながる意見の歪みが生じるリスクも伴います。この歪みを防ぎ議論の健全性を保つためには、ファシリテーターが異論を奨励し、リーダーは中立的な立場を保つことが重要です。ブレインストーミングやデルファイ法、プレモーテム法などの手法を活用することで、意思決定の質を向上できます。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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