学び合いとは?メリット・デメリットからやり方まで解説

時代の変化に適応するリスキリングやキャリア自律が求められる現代、人材育成の手法として「学び合い」が注目されています。学び合いとは、単なるグループ学習や情報共有とは異なり、参加者同士が互いの知識や経験を交換し、共同で新しい知識を創造していく学習プロセスのことです。本記事では、学び合いのメリットや課題、具体的な進め方から成功のポイント、企業事例まで幅広く解説します。
- 01.学び合いとは
- 02.学び合いのメリット
- 03.学び合いの課題
- 04.学び合いのやり方・進め方
- 05.学び合いを成功させるためのポイント
- 06.企業における学び合いの施策事例
- 07.Schoo for Businessが学び合いをサポート
- 08.まとめ
01学び合いとは
「学び合い」とは、他者との対話や知識共有、相互支援を通じて学びを深めるアプローチです。近年、社会や事業環境の急激な変化に対応するため、社員のリスキリングやキャリア自律を支える学びの重要性が高まっています。一方、パーソル総合研究所が実施した「学び合う組織に関する定量調査」(2024年)では、調査対象となった正規雇用就業者の56.1%が業務外の学習時間なしと回答しました。こうした背景から、学び合いは企業の人材育成や組織開発の手法としても注目されています。
▶︎参考:パーソル総合研究所「学び合う組織に関する定量調査」(2024)
学び合いの基本的な考え方
「学び合い」は、指導者が一方的に教えるのではなく、参加者一人ひとりが先生であり生徒でもあるというフラットな関係性が特徴です。各自が持つ知識や経験を共有し、互いにフィードバックし合うことで、一人では得られない多様な視点や気づきを得ることができます。このような相互作用を通じて、学習における相乗効果を生み出し、自律的な成長を促すことが基本的な考え方です。
02学び合いのメリット
Schooでは、人材を企業の価値創出の源泉として捉える「人的資本経営」に関連して、この学び合い(コミュニティラーニング)がどのような効果を発揮するのかに焦点をあてたアンケート調査を実施しました。ここではその結果をもとに、学び合いのメリットについて次の4つの観点から紹介します。
- ・仕事への意欲が高まる
- ・成長実感が高まる
- ・組織エンゲージメントが高まる
- ・業務充実度が高まる
▶︎参考:【調査レポート2024】企業におけるコミュニティラーニングがもたらす効果について, Schoo
仕事への意欲が高まる
本調査によると、学び合いの仕組みがある企業の従業員は、ない企業に比べて仕事への意欲が高い傾向にあることが分かりました。具体的には、仕事に意欲が「ある」と回答した割合は、学び合いの仕組みがある企業で59.5%に上るのに対し、ない企業では35.5%にとどまりました。
加えて相関分析では、「仲間同僚との対話による学び合い」「上司との業務外の対話による学び合い」「越境/社外組織での学び合い」が、いずれも仕事の意欲と相関を示しており、他者と関わり合って学ぶことの重要性が示唆されています。
成長実感が高まる
同調査では、学び合いの仕組みがある企業の従業員は、76.1%が自身の成長を実感しています。これは、仕組みがない企業の52.3%という数字を大きく上回る結果です。さらに相関分析では、上司との業務以外の対話による学び合いや、越境/社外組織での学び合いで、相対的に高い傾向がうかがえます。
組織エンゲージメントが高まる
調査では、学び合いの仕組みは組織エンゲージメントの向上にも影響を与えることが示唆されています。組織愛着度について「愛着がある」と回答した従業員の割合は、学び合いの仕組みがある企業では79.9%に達しました。これは、仕組みがない企業の58.3%を20ポイント以上も上回る結果です。特に、上司との業務外の対話を通じた学び合いは、組織への愛着度と関連が高いことが示されています。
業務充実度が高まる
業務が「充実している」と答えた従業員の割合は、仕組みがある企業で81.3%、ない企業で57.8%と、23.5ポイントの開きがあります。なかでも、「上司との業務外の対話による学び合い」「越境/社外組織での学び合い」は、業務充実度と強い相関を示しています。日々の業務の意味づけや目的意識を対話のなかで再確認できることが、充実感に寄与している可能性があります。
03学び合いの課題
学び合いの仕組みを活用しつつ効果を実感している企業がある一方で、「学び合いの仕組み化」に向けた障壁も明らかになっています。
推進体制の整備にリソースを要する
「学び合い」を組織的な施策として推進していくためには、経営層などさまざまな関係者を巻き込み、環境設計や風土醸成を進めていく必要があります。これには単発の研修を実施するよりも大きなリソースを要するため、推進体制の整備が課題となりやすいです。実現のためには、社内において「なぜ学び合いの仕組みづくりが重要なのか」といった課題意識のすり合わせが欠かせないでしょう。
従業員の巻き込みに工夫を要する
組織における学び合いを意味のあるものにするには、従業員自身が積極的に学び、また自ら学びを発信する姿勢がとても大切です。いかに優れた仕組みがあったとしても、実際に学ぶ従業員が意欲を持てなければ、組織的な成果にはつながりにくいでしょう。調査内では、個人学習にかける時間について41%の従業員が「ほとんどない」または「0時間(必要性を感じない)」と回答しています。学習意欲に差がある従業員をいかに巻き込み、継続させるかが大きな課題です。
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04学び合いのやり方・進め方
学び合いは、以下の手順で推進していきます。
- ・目的とゴールの明確化
- ・現状把握
- ・推進体制の設計
- ・学びの設計
- ・運用と改善
どのステップも、想定通りに進まないことを前提に設計するのが現実的です。運用で参加率が伸びない、経営層の理解が得られないといった躓きは、多くの場合より前のステップに戻って見直すことで糸口が見えるでしょう。
目的とゴールの明確化
最初のステップは、経営戦略や人事戦略と接続した目的・ゴールの明確化です。経営戦略や人事戦略などの観点から課題を定義し、そのうえで「なぜ学び合いの仕組みを作るのか」を言語化します。この課題の定義によって、打つべき施策の方向性も変わってくるため重要です。
現状把握
次のステップは、理想と現実の間のギャップを可視化する現状把握です。従業員や現場責任者へのアンケートやインタビューを通じて、「スキルギャップの現状」「同僚との学び合いの頻度」「自律的な学習時間」「学ばない理由」などを押さえます。
推進体制の設計
現状が把握できたら、それを理想状態に近づけていくための「推進体制の設計」を行います。学び合いを全社的な取り組みとして成功させるには、経営層や上層部を巻き込むことが大切です。組織トップが率先して自律的な行動を示し、施策の重要性への理解を得ることで、全社的な協力の土台を築きます。また、人事部などの事務局だけでなく、現場の上司や参加者自身を含めた関係者の役割を明確に設計することも重要です。
学びの設計
推進体制の設計が完了したら、次は具体的な「学びの設計」を行います。「誰が何をどのような手法で学んでいくか」の設計であり、従業員が活用する学習プラットフォームや教材等の整備も含まれます。従業員の主体性を引き出すプログラムや施策を設計することが重要です。単に教材を提供するだけでなく、参加を促す仕掛け作りが鍵となります。
運用と改善
学びの設計が完了したら、施策を実際に動かしながら改善を重ねる「運用と改善」の段階に入ります。運用は一度設計したら終わりではなく、参加者の声や成果を元に改善を繰り返すことが重要です。運用、効果検証、改善のサイクルを回し続けることで、学び合いを組織文化として定着させていくのです。
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05学び合いを成功させるためのポイント
学び合いを成功させるためのポイントは、主に以下の3つがあります。
- ・心理的安全性の確保
- ・手段と目的を混同しない
- ・継続的な取り組み
心理的安全性の確保
「学び合い」を成功させるためには、参加者が安心して自分の考えや気持ちを言える心理的安全性の確保が不可欠です。「無知だと思われる」「否定される」といった不安があると、率直な意見交換ができなくなり、他者の多様な視点から気づきを得るという学び合いの目的が果たせなくなるからです。
Schoo for Businessの授業『いまさら聞けない 心理的安全性のつくりかた』に登壇する流拓巳先生は、心理的安全性の醸成は必ずしも責任者だけなし得るものではなく、関係者一人ひとりが作るものであると解説しています。新人から責任者まで、それぞれの立場でできることはあり、その積み上げが安心して発言できる環境の醸成につながります。
手段と目的を混同しない
「学び合い」を成功させるには、参加者同士のコミュニケーション自体を主目的にしないことが重要です。あくまで参加者同士のコミュニケーションは、学び合いの主目的ではなく手段です。例えば「AI活用をテーマにしたチャットチャンネル」「研修後の振り返り会」のように、何について話すのかという主目的を先に置き、コミュニケーションはその達成手段として機能させる設計が有効です。
継続的な取り組み
学び合いを成功させるには、単発のイベントで終わらせず、継続的な取り組みにすることが不可欠です。その目的は、自律的に学ぶ文化を組織に根付かせる「中長期的な環境づくり」だからです。日常業務での情報共有や非公式なコミュニケーション、学習意欲を刺激し続ける表彰制度などを通じ、学びを習慣化させることが重要です。
06企業における学び合いの施策事例
企業における学び合いの事例として、以下の3社の事例を紹介します。
- ・キリンホールディングス株式会社:学習コミュニティ
- ・旭化成株式会社:新卒学部の運用
- ・九州旅客鉄道株式会社:企業内大学運用
キリンホールディングス株式会社:学習コミュニティ
キリンホールディングスは、「人財が育ち、人財で勝つ会社」を掲げ、人財への投資やキャリア自律支援を進めています。そうした取り組みの一つとして、入社3〜8年目の社員を対象とした学習コミュニティ「キリンみらいパレット」が展開されています。部署や年次を超えたつながりを広げながら学べる場として、参加者は12テーマのゼミから関心に合うものを選び、5名以下の少人数グループで活動します。Schooを活用したオンライン集合学習では、授業の同時視聴とチャットでの意見交換、ディスカッションの時間などを組み合わせ、短時間でも学び合いが深まるよう工夫されています。
▶︎参考:Schoo note「『学び合いで、キャリアが動き出す』──学習コミュニティから始まる"つながり"と挑戦【キリンホールディングス株式会社】」
旭化成株式会社:新卒学部の運用
旭化成は「挑戦・成長を促す終身成長」を人財戦略の柱の一つに掲げ、新入社員の時点からキャリア自律を支援する仕組みを整えてきました。新入社員向けの学習コミュニティ「新卒学部」では、約9ヶ月のプログラムにおいて、前半は自身のキャリア志向に沿ったゼミを選択し、後半は新入社員自身が学びたいテーマでゼミを企画・運営する構成が最大の特徴です。参加者のインタビューでも、モチベーションの向上や成長実感、視野の広がりによるキャリア観の変化といった影響が語られています。
▶︎参考:Schoo note「学び合いと挑戦が新入社員を変える。『新卒学部』が描く若手育成の新しいかたち【旭化成株式会社】」
九州旅客鉄道株式会社:企業内大学運用
九州旅客鉄道(JR九州)の大分支社では、社員の学び合いを促進するために独自の表彰制度「チャレンジ大賞」を導入しています。資格取得や社内通信教育、企業内大学「JR九州アカデミー」での学習時間などを点数化し、上位者を表彰するものです。部署横断の勉強会なども評価対象で、上司も参加しているため、互いに刺激し合いながら学ぶ文化が生まれています。
▶︎参考:大分支社で広がる学びの輪━━社員の学びを後押しする独自施策に迫る【JR九州アカデミー編③】
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

07Schoo for Businessが学び合いをサポート
オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。
| 受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
| アーカイブ本数 | 9,000本 (新規講座も随時公開中) |
| 研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
| 費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
| 契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
ビジネスプラン利用者に人気の講座を紹介
ここでは、オンライン研修サービスSchooの講座から、利用者に人気の講座を紹介します。社内勉強会などで活用できる授業なので、興味がある方はぜひお問い合わせくださいませ。
"想定外"な状況でも成果を出す
この授業では、"想定外"の出来事にも冷静に対応できる、優秀なビジネスパーソンの考え方に迫ります。「臨機応変に対応する力」をチェックリストに落とし込み、実践できるイメージを掴みましょう。
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株式会社T&Dコンサルティング 代表取締役
1965年生まれ。1989年に東京大学を卒業し、電通に入社。20年の営業生活を経て人事部門に異動し、継続的に高い成果を上げている社員(ハイパフォーマー)に共通する「能力」の見える化に成功。独自メソッドに基づく人事コンサルティングに専念すべく、パソナを経て独立。東京科学大学非常勤講師(アントレプレナー育成プログラム)。
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人生をデザインする たのしごとルール
この授業では、アートディレクターであり教育者でもあるカイシトモヤ先生をお迎えし、クリエイターが幸福に働くためのセオリーを追求してきた視点から、「仕事」を「たのしいこと」へと変えていくヒントを探ります。
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アートディレクター/東京造形大学教授
アートディレクター/グラフィックデザイナー。株式会社ルームコンポジット代表取締役。仕事においてプロセスやコンテクストおよびそれらの言語化を重視し、クライアントに寄り沿って並走するように、コンセプト立案やデザインを行っている。香港国際ポスタートリエンナーレ金銀銅賞等受賞多数。主な著書に『たのしごとデザイン論 完全版』がある。
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非効率なのに売れるコミュニケーション術
マニュアル通りのトークではなく、雑談、手間のかかる手書きメッセージ、回り道に見える寄り添い。効率化では削られてしまうこうした"非効率"なひと手間こそが、信頼をつくり、受注を引き寄せるカギなのです。この授業では、実際の成功事例をもとに、「非効率だからこそ心に残る」コミュニケーション術を解説しています。
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非効率家/書籍PR 株式会社QUESTO代表
1975年、千葉県生まれ。須原屋書店学校、芳林堂書店外商部を経て、2007年より講談社にてPRを担当。2017年に独立し、PR会社「株式会社QUESTO」を設立。講談社の『妻のトリセツ』(黒川伊保子)はシリーズ70万部超えのヒットを記録。非効率ながらも成果を出す独自の仕事術をセミナーなどを通して伝えている。
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08まとめ
「学び合い」とは、参加者が対話を通じ、共に学ぶ学習アプローチです。仕事への意欲や組織エンゲージメントを高めるメリットがあり、社員のキャリア自律支援の手法として注目されています。成功させるには、推進体制の整備や従業員の巻き込みといった課題を乗り越え、心理的安全性を確保し、継続することが重要です。企業戦略と連動した目的設定から運用改善までを計画的に進めることで、組織に自律的な学習文化を根付かせることができます。


