個人情報保護研修とは?実施のメリットや研修形式を解説
個人情報保護研修は、個人情報の重要性や適切な管理方法を学ぶ教育プログラムです。本記事では、個人情報保護研修の必要性を踏まえたうえで、実施のメリットや学ぶ内容を解説していきます。代表的な研修実施形式も紹介しているため、人事担当の方はぜひ参考にしてください。
- 01.個人情報保護研修とは
- 02.個人情報保護法改正
- 03.個人情報保護研修の対象となる従業員
- 04.個人情報保護研修の目的
- 05.個人情報保護研修の内容
- 06.個人情報保護研修の実施形式
- 07.個人情報保護研修ならSchooビジネスプランがおすすめ
- 08.個人情報研修のよくある質問
- 09.まとめ
01個人情報保護研修とは
個人情報保護研修は、情報管理の重要性やリスクを従業員が学ぶための研修です。情報漏洩に対する世間の目は年々厳しさを増していて、情報管理を一度誤ってしまえば社会的信頼を失うおそれがあります。また、行政からの処分や賠償金の支払いなど、情報漏洩によって企業は多くの痛手を負いかねません。こうした事態を回避するためには、全従業員が情報漏洩のリスクや適切な情報管理を理解しておくことが重要なのです。
個人情報保護法とは
個人情報保護法は、個人情報を適切に保護することを目的としています。この法律では、個人情報の取扱いについて、事業者に対する規制が定められており、個人情報を収集・利用・提供する際には、原則として本人の同意が必要となります。また、個人情報漏えいや不正アクセスなどの事故が発生した場合には、速やかな対応が求められます。この法律の遵守は、企業や団体にとって重要であり、個人情報の保護を適切に行うことで、顧客からの信頼獲得やブランド価値向上につながります。
事業者責務の追加
個人保有データの漏えいなどが発生した場合、報告義務や本人への通知義務が法改定によって追加されました。個人情報取扱事業者が個人情報を不適切に利用することに対しては、禁止義務が明文化されています。違法行為や不当行為を助長・誘発される恐れがある方法は法によって厳しく記されていますので、事業者の責任は大変重要になっています。
個人情報とは
個人情報保護法第2条1項によると、個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの」とされています。 つまり、個人情報の条件は「個人に関する情報である」「特定の個人を識別できる」の2点です。 企業の場合、顧客の氏名や住所、メールアドレスや購入履歴が個人情報に該当します。
▶︎参考:「個人情報保護法|e-GOV法令検索」
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■資料内容抜粋
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
02個人情報保護法改正
2022年の4月に個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律が施行されています。Schooで放送している個人情報保護法改正とその対応 - 全ビジネスパーソン向けで紹介されている、ポイントをご紹介します。
押さえるポイント
今回の法改正で押さえておくべきポイントは以下の4点です。
データ主体の権利を強化
6か月以内に消去する「短期保存データ」も保有個人データに含められ、開示、利用停止等の対象になっています。また保有個人データの開示方法について、デジタル形式での提供を含め本人が指示可能になりました。
第三者提供時の制限が拡大
オプトアウト規定により第三者に提供できる個人データの範囲を限定されます。また外国にある第三者への個人データ提供時に、データ主体へ通知すべき項目が拡充されています。
個人情報漏えい時の報告等が義務化
個人情報の漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合は、原則、個人情報保護委員会への報告とデータ主体への通知が義務化されました。
データ利活用の促進と遵守事項の明確化
「仮名加工情報」を創設し、データ主体からの開示・利用停止請求への対応等の義務の一部要件が緩和されました。また提供先において個人データとなることが想定される「個人関連情報」の第三者提供は、本人同意が得られていること等の確認が義務となっています。
企業に求められる対応策
個人情報保護法の改定によって、企業では対応策が求められるようになっています。Schooで放送している、個人情報保護法改正とその対応 - 全ビジネスパーソン向けでは対応策として以下を紹介しています。
本人のプライバシーの保護
本人へ企業の個人情報取扱いについて「わかりやすく」情報を提供する。また、本人からの権利請求へ対応できるようデータフローを可視化し、同意を管理する。
データ利活用の促進
「個人情報」、「仮名加工情報」、「個人関連情報」、「匿名加工情報」に分類する。加工方法を詳細に定義する。第三者提供先にて「個人関連情報」が「個人情報」になり得るかを確認。
社内運用の整備
改正法の内容を社内規程・マニュアルへ反映、従業員を教育。個人情報漏えい時「速報・確報」で個人情報保護委員会へ報告できるプロセスを整備。
03個人情報保護研修の対象となる従業員
顧客や取引先に関する情報は、どの部門でも取り扱う可能性があります。そのため、研修の対象は幅広く設定するのが望ましいです。情報管理の担当者をはじめ、新入社員や営業部門など、さまざまな立場の従業員に参加してもらうようにしてください。
新入社員
社会人経験が乏しい新入社員は、情報管理についてほとんど知識や理解がありません。新入社員向けの研修では、個人情報の定義や情報管理の重要性など、基本的な知識からスタートしてください。 また、情報漏洩のリスクを解説し、自分の何気ない行動で企業を揺るがす事態になりかねないことを理解してもらいます。
経営企画部や総務部などの管理部門
経営企画部や総務部は、企業活動の根幹に関わるケースが多いものです。個人情報管理は企業全体で取り組むべき事項であるため、これら管理部門の従業員も研修対象とします。 事業戦略や社内のルール策定において、どのような点に注意すれば適切な個人情報管理を実現できるかを学ぶようにしてください。
各部署の個人情報管理担当者
各部署に個人情報の管理を担当する従業員がいる場合、研修対象とします。個人情報管理担当者は情報管理が主要業務となるため、一般の従業員よりも実践的な知識や理解を求められます。 そのため研修では、情報管理に関わるケーススタディや漏洩事故発生時の対処法を学ぶようにしてください。
営業部門
営業部門は日々顧客と接するため、氏名や取引履歴などさまざまな個人情報を扱うものです。営業担当が出先で情報漏洩を起こさないために、日常業務での適切な情報管理が求められます。研修では実際の業務における情報管理の注意点やグループワークなど、実践的な内容を取り入れるようにしてください。
04個人情報保護研修の目的
個人情報保護研修を実施する目的は、「社員に個人情報漏洩のリスクを正しく理解してもらい、予防法やトラブル発生時の対応を学んでもらうことによって、社員と組織の双方に不利益とならないようにすること」です。
この章では、個人情報保護研修の目的について詳しく紹介します。
コンプライアンス遵守により社会的信用が増す
コンプライアンスは、企業が法令を守ることを指します。個人情報保護法の遵守には、適切な情報管理が欠かせません。従業員が研修で正しい情報管理を学ぶことで、コンプライアンスが実現し、社会からの信頼も向上するはずです。
顧客情報の適切な管理が実現する
顧客情報の重要性を理解していても、情報を適切に管理できていない従業員もいます。 研修で正しい情報管理方法を学べば、日々の業務で顧客情報の適切な管理が実現するはずです。その結果、顧客に好印象を与えられて、ビジネスチャンスの獲得につながります。
自社への帰属意識を高める
個人情報管理においては、従業員一人ひとりの行動が企業全体に大きな影響を与えかねません。研修を通してこうした点を理解できれば、自社への責任感や帰属意識が高まる可能性があります。その結果、従業員は企業の利益を考慮した行動を選択できるようになるでしょう。
05個人情報保護研修の内容
個人情報保護研修では、法律や情報管理の重要性、業務上の対処法など幅広い分野を扱います。また、実際に起こった漏洩事件の例や業務上起こり得るケーススタディも学びます。 それでは、個人情報保護研修では具体的にどのような内容を学ぶのでしょうか。それぞれの詳細について解説します。
個人情報保護法の理解
個人情報管理は、個人情報保護法のルールに則って行うことになります。個人情報保護法には、個人情報の定義や企業に求められる義務、違反時の罰則などが記載されています。こうした内容を体系的に学び、法令への理解を深める点が目的のひとつです。
個人情報漏洩のリスクと主な原因
適切な個人情報を実現するには、絶対に漏洩事件を起こさないという意識が必要です。そのため研修では、個人情報漏洩のリスクや原因を学び、従業員のマインドセットを図ります。 行政からの罰則や賠償金だけではなく、ビジネスチャンスの損失など、情報漏洩には多大なリスクが潜んでいることを理解してもらいます。
個人情報漏洩が起きた時の対応
情報漏洩が起こった場合、迅速かつ適切に対処できれば、企業への影響を最小限に抑えられます。研修では個人情報漏洩が起きた時の対応を学び、実際に起こってしまった時に対処できるようにしてください。 また、正しい対処法を知らない場合、従業員によって隠ぺいが起こる恐れもあります。情報漏洩の隠ぺいという人的災害を起こさないためにも、情報漏洩の対処法を学ぶことが重要です。
個人情報に関するケーススタディや裁判例
研修では、個人情報漏洩に関する裁判例や、業務上起こり得るシーンを想定したケーススタディを取り入れてください。 実際の裁判例を学ぶと、情報漏洩の重大さや取ってはならない行動がわかります。また、ケーススタディをこなすことで、日々の業務で実践できる努力を自ずと理解できるはずです。
06個人情報保護研修の実施形式
個人情報保護研修の形式は、社外の会場で受けるタイプをはじめ、オンラインで受講するタイプなど多岐にわたります。ここではそれぞれの実施形式について詳しく解説するとともに、メリットや特徴を紹介していきます。
公開型講座
公開型講座では、研修会社が用意した会場に参加者が赴いて受講します。社内研修とは異なり、他の企業の従業員も参加する点が特徴です。 メリットは、費用が比較的安い点と、他の参加者と交流が図れる点です。普段は接点がない異業種の人の話を聞くことで、知見が広がってコミュニケーションスキルが向上する可能性があります。
講師派遣型講座
講師派遣型講座は、専門の講師を招いて研修を行う形式です。講師の主な例には、研修会社に所属する専門講師や弁護士が挙げられます。 メリットは、法律に精通したプロから質の高い講習を受けられる点です。また、最新の法令も学べるため、研修の習熟度はより高くなります。
社内研修
社内研修では、一定のスキルを有する社内の従業員が講師を担当します。メリットは特別な費用がかからない点と、講師を担当する従業員のスキルもブラッシュアップできる点です。また、社内事例を盛り込んだ実践的な内容にできる点も魅力的です。
eラーニング
個人情報保護研修の実施形式で人気が高いのが、eラーニングです。eラーニングでは、受講者がそれぞれのタイミングでインターネット上の動画を視聴します。 メリットは、費用が安く抑えられる点と、時間や場所を選ばずに受講できる点です。個人情報保護研修はできるだけ多くの従業員が受講するのが望ましいと考えられるため、それぞれのタイミングと場所で受講可能なeラーニングが最適です。
07個人情報保護研修ならSchooビジネスプランがおすすめ
オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約8,500本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。個人情報保護研修はもちろんのこと、新入社員研修・管理職研修のような階層別研修、ハラスメント研修からコンプライアンス研修のような全社員に必要な知識のインプットまで、幅広いコンテンツで全ての研修を支援できるのが強みです。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,500本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessの特徴
1.国内最大級8,500本以上の講座数
Schoo for Businessでは8,500本以上の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。そのためハラスメント研修やコンプライアンス研修など会社にとって必要な研修も実施することができます。
2.オンラインで効果的に学べる
Schoo for Businessの研修動画は全てオンラインで受けることができます。4,000社以上のオンライン研修を支援させていただく中で得てきたノウハウから、効果的に学べる研修動画の作成や学び続けるための仕組みづくりを行ってきました。
3.工数をかけずに効率的に研修が実施できる
Schoo for Businessでは、管理画面からの研修設定で簡単に研修が開始できます。受講状況の管理やレポートの提出なども管理画面から行えるので、育成担当者の手間を削減することが可能です。
4.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
個人情報保護法について学べるSchooの講座
ここでは、個人情報保護研修におすすめのSchoo for businessの講座をご紹介します。
個人情報保護法改正とその対応 - 全ビジネスパーソン向け
第1回 | 法改正で強化された点と対応すべきこと |
時間 | 20分 |
研修内容 |
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第2回 | パーソナルデータの取得および管理において企業が注意すべきこと |
時間 | 20分 |
研修内容 |
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第3回 | パーソナルデータを扱う日常業務において企業が注意すべきこと |
時間 | 20分 |
研修内容 |
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この授業では、全3回にわたり組織のガバナンス体制構築や情報セキュリティを担当してきた先生に、改正個人情報保護法に対する対応ついて、業務上でのポイントをはじめテレワークなど働き方が変化している中でのポイントについても解説してもらっています。
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PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー
PwCコンサルティング合同会社でテクノロジーコンサルティングサービスを提供。個人情報保護法やGDPR対応の支援を契機に、中国サイバーセキュリティ法や米国カリフォルニア州消費者保護法など各国制度を考慮したグループ全体のガバナンス体制構築支援に従事。2016年から個人情報保護委員会に出向。個人情報保護制度及びマイナンバー制度に係る情報システムの構築や調査研究をリードし、コールセンター業務の高度化Appの不正利用検知をテーマにAI/機械学習等技術の業務適用を推進。また、APEC、OECDなどにおけるサイバーセキュリティとプライバシーにかかる分科会出席等国際業務へ従事し、近年ではAIの倫理的利用に係るWGに参加。
個人情報保護法改正への対応と今後の展望(法務担当者向け)
第1回 | 個人情報保護法の視点 |
時間 | 30分 |
研修内容 |
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第2回 | 個人情報保護法改正の概要 |
時間 | 35分 |
研修内容 |
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第3回 | ウェブサービスへの影響 |
時間 | 30分 |
研修内容 |
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第4回 | 国際動向と新たな技術への対応 |
時間 | 30分 |
研修内容 |
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この授業では、全4回にわたり情報法を専門とする法学者の先生に、個人情報保護法の正しい見方から今回の法改正のポイント、さらには3年後の法改正を見据えた対応まで解説してもらっています。
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中央大学 教授
一橋大学大学院法学研究科博士課程修了、内閣府国民生活局個人情報保護推進室政策企画専門職、ハーバード大学ロースクール客員研究員・ゲッティンゲン大学法学部客員研究員等を経て、現職。
08個人情報研修のよくある質問
ここからは、Schooの個人情報保護研修についてのよくある質問を、Q&A形式でご紹介します。
質問:個人情報保護研修の内容について教えてください。
回答:Schoo for Businessを使った個人情報保護研修では、情報セキュリティの基礎知識習得につながる講座が利用されています。具体的には、「社内セキュリティ・情報管理」「情報セキュリティ」などの講座です。研修を通じ、コンプライアンスや情報セキュリティの基礎知識を学びます。
質問:授業はどのように選んだらよいですか?
回答:スクーでは職種別・階層別に様々な研修パッケージをご用意しています。研修パッケージはいくつかの授業によって構成されており、目的や対象に合わせて研修パッケージのテンプレートを選択するだけで簡単に研修を開始することができます。コンプライアンス研修パッケージの授業を一部ご紹介すると、「社会人のためのSNS炎上防止ガイド」や「社員を守る、職場におけるセクハラ・パワハラ防止のポイント」などがあります。
質問:当社の状況を踏まえた研修パッケージは作れますか?
回答:授業を組み合わせてオリジナルの研修パッケージを作成することが可能です。 またスクーでは階層や職種に応じて様々な研修パッケージをご用意しているので、1から研修パッケージを作る手間をかけずに社員に合った研修を始めることもできます。まずはお気軽にご相談ください。<お問い合わせフォーム>
09まとめ
法律の改正やインターネットの普及によって、個人情報管理を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。情報漏洩を未然に防ぐには、従業員一人ひとりが正しい情報管理を行う取り組みが欠かせません。 個人情報保護研修で情報管理の重要性やリスクを学ぶことで、企業の情報リテラシーを底上げしてみてはいかがでしょうか。