財務研修とは|目的や内容・カリキュラム例を紹介

財務とは、会社を経営していくためのお金を集め、どのように使うか計画を立て、管理していく重要な業務です。 本記事では、財務研修の概要や実施方法、経理・会計研修との違いについて詳しく解説します。担当者はぜひ参考にしてください。
- 01.財務の主な業務内容
- 02.財務業務の必要性
- 03.財務研修の目的と内容
- 04.財務研修の対象となる従業員
- 05.財務研修の注意点
- 06.財務研修|Schoo for Business
- 07.まとめ
01財務の主な業務内容
財務担当者の業務内容として以下の6つの業務があります。
- 1:財務戦略の立案
- 2:予算編成・管理
- 3:資金調達
- 4:企業価値の向上
- 5:余剰資金の運用
- 6:監査法人への対応
会社の運営に必要なお金を調達したり、運用の方針を立てたりとお金に関するプランの策定、監査法人への対応など財務の仕事は多岐に渡ります。また、企業価値を高めて資金調達のハードルを低くすることも、財務の重要な業務のひとつです。したがって財務は会社にとって重要な仕事といえるでしょう。
1.財務戦略の立案
会社で活用するお金の調達や、運用の方針を立てる「財務戦略の立案」は、財務担当者が欠かせない業務のひとつです。 経理が作成した決算書から売上や利益を確認して分析し、資金調達や資産運用、予算編成といった今後のお金のプランを計画します。 財務戦略の立案では、自社の現状とその改善策、そして会社全体のお金の流れを客観的に見る力が非常に強く求められます。 会社の命運を握るといっても過言ではないほど、重要な仕事といえるでしょう。
2.予算編成・管理
各部署にどのように予算を分配するかを考え、配分した予算が適切に使用されているかを確認・管理するのも財務の仕事です。 計画通りに進んでいない場合には、どこに問題があるのかを特定し、作成した予算計画と実績を照らし合わせながら、全体のバランスを見て交渉・調整をします。
3.資金調達
会社を経営していくためには、資金が必要です。事業を成長させるための資金が十分にない場合は、外部から調達しなければなりません。これを資金調達といい、そのお金を調達するのも財務の仕事です。 具体的な資金調達方法としては、自社で所有している土地や建物などの資産を売却する、誰かに投資をしてもらう、銀行や公的機関から融資を受けるといった方法があります。 資金調達は、ただ売却したり借り入れたりするだけの簡単な業務ではありません。常に金融機関や投資家と良好な関係を築いておき、必要な時に資金を調達できるように準備しておかなければならないのです。
4.企業価値の向上
企業価値を高めて資金調達のハードルを低くすることも、財務の重要な業務のひとつです。金融機関や投資家から企業価値が高いと判断されれば、よりスムーズに低コストで資金を調達できる可能性が高まります。 企業価値とは、簡単にいえば経済的な視点から見たときの企業の魅力です。高度経済成長期やバブル期は、企業価値が低い中小企業でも比較的融資を受けやすい時代でした。しかし、バブル崩壊後は不況が長く続いたこともあり、金融機関も融資を行う企業を慎重に選ぶようになりました。 そのような状況の中で、財務が率先して働きかけを行い企業価値の向上に努めることは、会社の未来のお金を管理することにつながります。
5.余剰資金の運用
会社が保有する資産を適切に運用し、増やしていくのも財務の仕事のひとつです。 会社のお金にはすぐに必要となる運転資金の他に、すぐに必要ではない余剰資金と呼ばれる部分があります。 そのうちの余剰資金をうまく活用し、投資商品を購入したり、企業の合併・買収を行なったりして、余剰資金を増やすのも財務の大切な仕事です。 資産運用においては、長期的な計画性を持ち、金融機関の担当者などと良好な関係性を築いておくことが重要になります。
6.監査法人への対応
監査法人への対応も、財務が担当することになっています。監査とは、企業の財務状況に不正や問題がないか確認を行うことです。金融機関や投資家は、企業の財務状況を見たうえで融資を行うか否かを判断します。 しかし、決算書の内容が間違っていたり、粉飾決算が行われていたりしても、確かめる術がありません。そこで、安心して取引ができるよう監査を行う第三者機関が監査法人です。一定の要件を満たす企業は、監査法人による監査を受ける義務があります。 このなかで財務の役割は、監査法人に財務状況の説明をすることです。監査業務の期間中は、決算書や財務諸表などの資料を徹底して確認しなければなりません。財務担当者は監査法人から要求された場合、該当する資料を探し出して提示する必要があります。監査法人から呼ばれたときに、即座に対応できるよう待機するのも、財務の仕事の一環なのです。
02財務業務の必要性
財務業務の必要性は以下の3つの側面から説明できます。
- 1:会社経営に関わる財務業務
- 2:経理・会計との違い
- 3:財務部署を置かない部署もある
財務の役割は、会計や経理が作成した資料を活用して、企業の将来を見据えた事業戦略を立てることです。これにより、収益性の向上や資金繰りの改善、適切な投資判断が可能となり、会社経営の基盤を支えます。このように、企業の成長と安定した運営には財務が不可欠であり、戦略的な意思決定の重要な要素を担っているといえるでしょう。
1.会社経営に関わる財務業務
財務は、経理が作った決算書を分析し、会社の財務計画を立案するといった、会社経営の根幹に関わる、経営や企画に近い仕事を行なっています。 全体的な会社のお金の流れを見渡す業務がきちんと機能していなければ、運転資金の不足や予算の不足などで、最悪、倒産の危機に陥ってしまうかもしれません。
2.経理・会計との違い
経理、会計、財務は似たような職種に思えますが、実際の業務内容は大きく異なります。経理はお金の処理を公的書類に残す業務、会計はお金の出入りを帳簿などに記入する業務、財務は会計や経理が作成した正しい資料をもとに、今後の事業戦略を考えていく業務です。 会計や経理の仕事ができたとしても、財務の仕事までこなせるとは限らないのです。
3.財務部署を置かない部署もある
専門の部署を置かず、経営者や経理担当者が財務に関する業務を行っている企業は数多くあります。 財務は、経営や企画に近い専門性の高い仕事であることに加え、最適な人材を探すことが難しく、人件費の負担が大きくなりがちです。特に中小企業や小規模企業においては、財務部を置かない会社が多いのが実情です。
03財務研修の目的と内容
財務研修の主な目的は以下の3つです。
- 1:財務の基礎知識を身につける
- 2:財務諸表の読み方を学ぶ
- 3:財務分析方法の習得
財務研修では、基礎知識、財務諸表の読み方、財務分析方法を学びます。この研修を通じて、経営状況を客観的に把握したり、自社の将来を予測する力が身につきます。また、財務に関する知識は日々の業務にも直結し、データに基づいた判断を支える重要なスキルとなります。これにより、収益性や資金繰りの改善、戦略的な意思決定が可能となり、経営全体をより効果的に支援できるようになります。
1.財務の基礎知識を身につける
財務研修ではまずはじめに財務の基礎知識を学んでもらいます。「売上高総利益率」「営業利益率」「経常利益率」「売上に対する主要経費の比率」など、どのような取り組みが利益率の向上につながるのか、基本的な考え方や作成方法を学習します。
2.財務諸表の読み方を学ぶ
財務諸表は、企業の財務状況や売上などの業績を把握できる、非常に有効な資料です。財務諸表の読み方を学ぶことで、客観的に経営状況を把握できるようになります。同時に組織の課題や問題点を洗い出し、解決策を導き出すきっかけにもつながるでしょう。
3.財務分析方法の習得
財務諸表に基づいて、企業の収益性・安全性・生産性・成長性・効率性を分析する財務分析方法の習得も、研修を通じて学んでおくと良いでしょう。 財務分析が行えるようになると、自社が今どのような状態にあるのか、将来どのような状態になることが予測されるのかを把握できます。ぜひ、財務研修時には財務分析方法を取り入れてください。
04財務研修の対象となる従業員
財務研修の対象となる従業員は以下の職務者です。
- 1:経理部
- 2:マネージャーなどの管理職
- 3:経営者
財務は経理部だけでなく、会社経営に携わる全ての人が知っておくべき重要な知識です。マネージャーや管理職は、原価管理やコストコントロールなど、日々の意思決定に必要な財務知識を学ぶことが求められます。一方、経営者には、事業計画や投資戦略の立案に活用できる高度な財務分析能力が必要です。それぞれの役割に応じた財務知識を習得することで、会社全体の経営を支える基盤が強化されます。
1.経理部
財務研修の対象となる従業員として経理部は、会社の財務情報を正確に記録し、管理する役割を担う重要な部門です。会社経営に関わる財務業務は経理が作った決算資料をもとに分析します。財務研修によって財務データの分析や資金計画の立案などの専門的なスキルを習得できると、経理部は経営の信頼できるパートナーとしての役割を果たせるようになるでしょう。
2.マネージャーなどの管理職
マネージャーなどの管理職になると、売上利益のマネジメントや、原価管理、コストコントロールやプロジェクト収益などの管理が求められます。 会社の将来に大きく関わる立場でもある管理職には、日頃から決算書を読み財務に馴染んでもらい、「会社視点」「係数感覚」を磨いてもらうことが求められます。
3.経営者
経営者も財務研修の参加に欠かせない職務者のひとりです。経営幹部として必要不可欠な会計・財務諸表に関する知識を深めるとともに、定量的な経営分析力の習得・強化を図ることで、競合他社との優位性に差をつけましょう。
05財務研修の注意点
財務研修実施時の注意点は主に以下の2つです。
- 1:受講者に最適なプログラムを選択する
- 2:電卓などの会計ツールを使った実践練習も取り入れる
財務研修では、受講者のレベルに合わせた内容を準備することが重要です。適切な難易度でないと、研修効果が得られません。また、座学だけではなく、実践練習の時間も取り入れることが効果的です。実践的な練習を通じて、受講者は実務に即したスキルを身につけることができ、研修の効果を高めることができます。
1.受講者に最適なプログラムを選択する
一口に財務研修といっても、その内容やレベルはさまざまです。受講生のレベルにそぐわないあまりにもハードな研修を実施してしまうと受講者の理解が追いつかず、せっかくの研修が意味のないものとなってしまいます。 研修企画者は、受講者のレベルに合わせた最適なプログラムを用意するようにしましょう。
2.電卓などの会計ツールを使った実践練習も取り入れる
研修では、座学や講義といったカリキュラムだけでなく、電卓などの会計ツールを用いた実践練習も取り入れることをおすすめします。受講者自らが手を動かしながら能動的に財務の知識を学ぶことで、実践力が養われるとともに記憶定着率の向上も促せます。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

06財務研修|Schoo for Business

Schooでは約9,000本の授業を保有しており、財務研修に関する授業も多く揃っています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。
研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessの資料をダウンロードする
財務研修に関するコンテンツ一覧
研修内容 | 時間 |
イラストでまなぶ 会計・財務のきほん | 3時間 |
押さえておきたい会計・財務の基礎知識 | 1時間30分 |
財務モデリング入門:企業活動と財務諸表のつながり | 40分 |
マネージャーがおさえておきたい会計用語 | 50分 |
管理会計入門 | 3時間30分 |
数字が苦手でもわかる「会計」の図解教室 | 1時間 |
会計を通してみる企業価値と社会の動向 | 1時間30分 |
ビジネストレンドがわかる決算書超解説 | 2時間 |
決算情報を読み解きながら学ぶ財務スキル | 2時間 |
ビジネス数字の基礎 | 2時間15分 |
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Schooの財務研修パッケージを詳しく紹介
ここでは、Schooを活用した財務研修パッケージを紹介します。この研修では、マネジメント層が財務モデリングやビジネス数学の基礎を学ぶことができます。マネジメント層に求められる、日々の意思決定に必要な財務知識を身につけることができるパッケージです。
研修時間目安:4時間55分(60分×2コマ,45分×3コマ,15分×2コマ,10分×1コマ)
授業名 | 財務モデリング入門:企業活動と財務諸表のつながり |
時間 | 40分(15分×2コマ,10分×1コマ) |
学べること | ・企業活動と財務諸表の概要 ・企業活動と財務諸表の2つのつながり ・具体事例の概要 |
授業名 | ビジネス数字の基礎 |
時間 | 2時間15分(45分×3コマ) |
学べること | ・現金収支計算書と貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)の違い ・複式簿記とは ・貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の動きと見方 ・決算整理とは ・キャッシュフロー計算書の動きと見方 ・経営状況の良い会社と悪い会社の見分け方 |
授業名 | 決算情報を読み解きながら学ぶ財務スキル |
時間 | 2時間(60分×2コマ) |
学べること | ・Zoomの決算情報から企業研究する ・財務情報を見る際の有益な事柄 ・SoftBankグループの決算情報から企業研究する ・BiIibilの企業研究 |
07まとめ
財務が担当する業務はそのどれもが、会社が継続して事業を拡大していくために欠かせないものであり、企業の経営にとって非常に重要な役割を果たします。また、専門性の高い内容であるために、経理や会計とは別に財務担当者を設置する方が望ましいでしょう。 ぜひ本記事を参考に財務研修を実施し、財務の知見を有する社員を育成し、会社の更なる発展へとつなげましょう。