公開日:2022/10/06
更新日:2023/11/30

キャリアマネジメントの必要性と実現するための施策

キャリアマネジメントの必要性と実現するための施策 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

同一企業で定年まで働く終身雇用を適用する企業は徐々に少なくなり、転職が一般的な世の中になりました。また、本業以外に副業に取り組む人やフリーランスとして働く人など、働き方も多様な方法が認められるようになりました。 このような中、自身のキャリアに対してオーナーシップを持って、積極的に選択していくことの重要性が高まっています。そこで注目されているのが「キャリアマネジメント」です。 本記事では、キャリアマネジメントの概念や必要性、組織においてキャリアマネジメントを実現するための施策などを詳しくご紹介します。

 

01キャリアマネジメントとは

キャリアマネジメントとは、自身のキャリアを主体的に構築していくことを指します。キャリアマネジメントを行う上で大切なのは、自分にとって理想的な在りたい姿を描くことです。理想的な在りたい姿を描いた時に、たどり着くための具体的な計画を立てることはキャリアデザインと呼び、キャリアデザインを実行していく上で必要となる手法や、状況に応じて計画を修正していくことをキャリアマネジメントと呼びます。

キャリアマネジメントは個人が主体的に行う場合と、組織内で行う場合があります。

 

02キャリアマネジメントの必要性

キャリアマネジメントは個人と組織の双方にとって不可欠な要素となり、成功するためには自己理解や目標設定、スキルの開発、学習の習慣化などが求められます。では、なぜ今キャリアマネジメントが必要とされているのでしょうか。時代的な背景と、人材開発の視点から見ていきましょう。

時代的な背景

現代社会においては、ICTの進展やビジネスのグローバル化、働き方改革など、ビジネスマンを取り巻く環境が日々変化しています。このような変化により人材の流動性が高くなっているため、優秀な人材ほどより良い環境やキャリアを求め、気軽に転職できるような時代になりました。

一方で終身雇用が一般的だった社会においては、企業側がある程度キャリアのレールを敷いていたため、自身でキャリア形成について考えを深める必要がありませんでした。キャリア形成において、個人の自由度が大きくなっているということは、一人ひとりがキャリアについて主体的に考える必要が生じてきたと言い換えることもできます。

リモートワークやフレックス勤務、副業やフリーランスなど、働き方の形が一つではなくなった今、自身のキャリアに対してオーナシップを持ち、マネジメントする必要が生じているのです。

人材開発的な視点

これまで企業は、従業員に対して画一的・同一的な教育や、キャリアプランを提供していました。一人ひとりに焦点を当てたキャリアプランの提供を行わずとも、画一的・同一的な教育で十分な効果があったと言えます。

しかし、時代の変化と共に企業の人材開発において求められる視点が変化しています。これからは企業が積極的に従業員にキャリア設計を促すことで、従業員一人ひとりの力を最大化し、企業の競争優位性を高めていく必要があるのです。そのため、人材開発視点においてもキャリアマネジメントが注目されているのです。

 

03キャリアマネジメントのプロセス

“キャリアマネジメントのプロセス”

キャリアマネジメントのプロセスとしては次のようなものが挙げられます。

  • ・プランニング
  • ・能力開発
  • ・キャリア確立
  • ・内省と行動

これらのプロセスを統合的に実施することで、個々のキャリアは変動する環境に対応し、成長と発展を遂げることができます。

プランニング

キャリアマネジメントの基礎となるのが、キャリアのプランニングです。

これまでの経験や経歴、そして将来の在りたい姿を見据えたときに、どのようなキャリアが自分にとって最適なのかをプランニングしていきます。この時、キャリアのプランニングはもちろん、ライフイベントの設計も同時に行うことで、具体性を伴ったプランニングを行うことが可能です。

キャリアのプランニングを行うことで、現在携わっている業務の延長で自身の理想的なキャリアが叶うのか、そうではなくもっと別の経験を積む必要があるのかなどを検討できます。また、理想のキャリアを叶えるための働き方についても検討することが可能です。

プランニング時点では、実現可能性を大きく考慮せず、自身の価値観も踏まえて最も理想的なプランを思い描くことが大切です。

能力開発

プランニングが完了したら、理想的なキャリアを実現するために必要な能力開発を行います。能力開発を行うためにはまず、現時点で持っている能力を整理し、目標となる理想像から逆算して、何がどの程度足りないのかを導き出します。そして足りないと判断した部分について、さらに伸ばしていきます。

能力開発には様々な方法があります。企業が提供している研修制度を積極的に活用したり、外部の研修期間を利用する方法の他、書籍の活用や資格取得なども有効です。また、実践的なスキルを獲得したい場合には副業などを行うのも良いでしょう。思い描いた理想のキャリアから逆算し、必要な能力を高めることが重要です。

キャリア確立

キャリアプランニング、能力開発の過程を繰り返しながら、キャリアを確立していきます。
理想的な在りたい姿から逆算したときに、必要となるキャリアが1~2つということは考えにくく、ある程度長い期間を掛けて能力を獲得していく必要が生じます。そのため、キャリアを一つ確立したとしても、また別のキャリアが必要になるといったことを繰り返していきます。
また、キャリアを確立していく中で、当初想定していなかったプランが生じる可能性もあります。そのような場合には適宜軌道修正を行いながら、より理想的なキャリアを追い求めていくことが大切です。

内省と行動

内省と行動は、キャリアマネジメントにおいて継続的に求められるプロセスであり、自分自身のキャリアを見つめ直し、必要に応じて調整を行うことを指します。
具体的には、職務満足度の評価、達成した目標の振り返り、フィードバックの受け入れなどが含まれます。また、変化する状況に対応するための新たなプランの策定やスキルのアップデートも内省と行動の一環です。

 

04組織におけるキャリアマネジメント

ここまでは個人範囲でのキャリアマネジメントについてご紹介してきました。 組織におけるキャリアマネジメントは、組織が従業員の職業的な進展や発展を支援し、組織と個々のメンバーの利益を調整するための戦略的な取り組みです。ここでは、組織内マネジメントの方法や組織外キャリアマネジメントとの関係について解説していきます。

組織内キャリアマネジメントと組織外キャリアマネジメントの関係

キャリアマネジメントは本来、組織内に限定されるものではありません。従業員一人ひとりが必要な経験を組織外でも積極的に積むことで、組織内外の双方にメリットをもたらすことができます。

従業員一人ひとりが理想のキャリアを追い求める際に、組織内ではどうしても経験できない内容がある場合、組織外での経験を積極的に促すのも良いでしょう。具体的には、兼業や副業などで組織内ではできない経験を積むことなどが挙げられます。

組織内キャリアマネジメントの目的

では、組織内キャリアマネジメントはどのような目的で行われるのでしょうか。 組織内のキャリアマネジメントは、人材開発や人材育成が主に行われます。

勤続年数や役職などに応じた、画一的な人材開発施策ではあるものの、従業員のキャリアをレベルアップさせるという観点では重要な施策です。年次や立場に応じて会社に属していることで適切な能力開発が行われるため、キャリアに応じた能力を獲得しやすくなっています。

キャリアマネジメント施策

では、具体的にどのようなキャリアマネジメント施策があるのでしょうか。 代表的な例を3点ほどご紹介します。

異動・配置

1つ目は、異動を伴う配置転換です。異動はジョブローテーションの意味合いを含んでいるため、新たな能力を開発するという観点で非常に有効です。

また、従業員を異なる職種に就かせることで、予想外の適正や能力に気付くきっかけにもなります。初期の配属が必ずしも正しいとは限らないからこそ、適度な異動はキャリア形成に有効です。

面談

従業員と、定期的にキャリアに関する面談を実施することも大切です。 人事視点では、従業員を最も適切なキャリアを歩ませているつもりでも、従業員自身にとっては納得がいかないキャリアである可能性があります。納得できていない状態が続くと、離職などに繋がる可能性はゼロではありません。そのため、企業側が定期的に従業員のキャリアの意向を把握する時間を設けることが大切です。

研修

面談の実施を踏まえ、不足しているスキルや未取得のスキルを獲得するための研修を実施しましょう。この時、企業側から見て不足点を補う研修と、従業員自身の希望を反映した研修という、2つの種類を提供できるのが望ましいと言えます。

企業側のニーズを満たしながら、従業員のキャリアマネジメントの一端を担うことで、企業そして従業員双方にwin-winのキャリアマネジメントを行うことが可能です。

 

05キャリアマネジメントの事例

キャリアマネジメントは、近年の社会環境の変化により、さまざまな形で企業で導入されています。では、具体的にどのような形で導入されているのでしょうか。今回は厚生労働省主催である「グッドキャリア企業アワード2022」の受賞企業から「富士通株式会社」と「ヤフー株式会社」の事例をもとに解説していきます。

富士通株式会社

富士通株式会社では、社員が 3 年後の将来のありたい姿を描き、どうチャレンジしたい かの成長ビジョンを設定し、組織ビジョンとアラインし、上司と1on1 で対話するキャリア支援プログラム「FUJITSU Career Ownership Program」を行っています。取り組みの効果として、社員が将来のありたい姿を描き、その実現に向けたキャリアオーナーシップの意識が高まりました。また、年齢、役職問わず自らのキャリアを自律的に選ぶことができるジョブポスティング制度により、公平なキャリア形成機会につながり、若手社員や女性に限らず人材流動化が高まる効果を得ることができています。

【参照】富士通株式会社|グッドキャリア企業アワード2022|厚生労働省

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では、リモートワーク中心の働き方の中で、オンラインでも対話の機会 を創出するために、「対話を通じて、社員を応援・支援~ YJ ぴあ さぽ*~」を導入しました。キャリアコンサルタント等の有資格社員が有志ボランティアとして、対話を通して同僚を応援・支援しています。同僚という上下関係のない対等な立場で、話を聞き、相談者の希望に応じて必要な場合は関係部門とも連携して、社員のキャリア、自律、成長支援、安全な働き方を支援しています。これにより、社員のキャリアに関する理解は深まり、ビジネスキャリアだけではなくライフキャリアを大切にすることで、業務にもいい形で影響し、生産性を上げることができています。

【参照】ヤフー株式会社|グッドキャリア企業アワード2022|厚生労働省

 

06キャリアマネジメント力を向上させるSchooのオンライン研修

Schoo for Businessは、国内最大級8,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。

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Schoo for Businessの特長

Schoo for Businessには主に3つの特長があります。

【1】国内最大級8,000本以上の講座数
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キャリアマネジメントに関するSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、キャリアマネジメントに関する授業を紹介いたします。

若手メンバーのキャリアマネジメント

この授業は教育担当を任された方から管理職の方までを対象として若手メンバーのキャリアマネジメントの方法を学びます。

 
  • パーソルキャリア株式会社/DODA編集長

    2002年株式会社インテリジェンスに入社し、一貫して人材紹介事業に従事。法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティング等を経験した後、キャリアアドバイザーに。これまでに支援した転職希望者は10,000人を超える。その後、DODAキャリアアドバイザーの総責任者、法人営業部隊も含めた地域拠点(札幌、仙台、静岡、名古屋、大阪、広島、福岡等)の総責任者等を歴任し、現職。JHR(一般社団法人人材産業サービス協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキングメンバーにも名を連ねる。

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教えてタナケン先生 幸せに生きるための最新キャリア術

終身雇用が崩壊し、これまで常識だと思われていたキャリア観がどんどん崩されている現代。どのように人生やキャリアを切り開いていくか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本授業では、このような不確実な時代を逆手に取り、環境の変化に応じて自分自身を変化させ、柔軟なキャリア形成を行っていく「プロティアン・キャリア」の考え方を軸に、不安の時代に折れずに幸せに生きていくためのキャリア術を学びます。

 
  • 法政大学キャリアデザイン学部教授

    法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/明光キャリアアカデミー学長/ 一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。ソフトバンクアカデミアにも外部一期生として在籍。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)『丼家の経営―24時間営業の組織エスノグラフィー』(法律文化社) 訳書—『ボディ&ソウル―ある社会学者のボクシング・エスノグラフィー』(新曜社)『ストリートのコード―インナーシティの作法/暴力/まっとうな生き方』(ハーベスト社) 近刊—『覚醒せよ、わが身体—トライアスリートのエスノグラフィー』(ハーベスト社)『ルポ 不法移民—アメリカ国境を越えた男たち』(岩波新書)他多数

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07まとめ

これまでキャリアマネジメントは、企業側が行うことが当たり前のものでした。しかし時代の変化と共に、一人ひとりがオーナーシップを持ったキャリアマネジメントを行う必要が生じています。

しかしそのような時代になっても、個人にキャリアマネジメントを完全に委ねるのではなく、企業は組織という立場から、必要なキャリアマネジメントを行うことが大切です。

企業そして従業員、双方にとってwin-winのキャリアマネジメントを行えるよう、日々のコミュニケーションを大切にしながら、キャリアマネジメントに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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