公開日:2022/10/06
更新日:2023/02/25

社員のスキル管理の重要性とは?種類と実践方法を解説

社員のスキル管理の重要性とは?種類と実践方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

スキル管理とは、社員が保有しているスキルをデータ化して、社内で情報を管理することです。本記事では、スキルの種類、社員のスキル管理における重要性を解説しています。また、スキル管理の実践方法も紹介しているため、人事担当者はぜひ参考にしてください。

 

01スキル管理とは

スキル管理とは、社員が保有するさまざまなスキルをデータとして一元的に管理し、「どの社員がどのようなスキルを持っているのか」を可視化する仕組みです。企業の人材戦略においては、社員の保有スキルを正確に把握して、適切な人材配置や人材育成を行う必要があります。そのために、目には見えにくいスキルを可視化して、社内の関係者で共有するスキル管理が欠かせません。

 

02スキルの種類

スキルは、英語で「技術」「技能」という意味を持つ「skill」が語源です。語源の「skill」は、さまざまな教育や訓練を通して身に付けた能力を指す言葉です。これに対して、現在ビジネスで使われているスキルは、後天的に身に付いた能力だけではなく、その人が先天的に保有していた能力も含みます。それでは、現在のビジネスシーンにおいてどのようなスキルの種類が存在しているのか、詳しく見ていきます。

  • 1:ポータブルスキル
  • 2:テクニカルスキル
  • 3:ヒューマンスキル

1:ポータブルスキル

厚生労働省の事業委託先である「一般社団法人 人材サービス産業協議会」は、主催する”ポータブルスキル”活用研修において、ポータブルスキルの定義を以下のように説明しています。

『ポータブルスキルとは、その言葉通り業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」と定義されます。』

▶︎引用元:「”ポータブルスキル”活用研修 講義者用テキスト|一般社団法人 人材サービス産業協議会」

また、ポータブルスキルの一例として、業務における課題の設定方法や計画の立て方、社内・社外の関係者との接し方などに関するスキルを挙げています。さらに

『従来の労働市場では、年齢が上がれば上がるほど、即戦力として分かりやすい「専門技術・専門知識」が重視されてきましたが、業種や職種を超えた労働移動を実現するにはこのポータブルスキルの概念をマッチング現場に持ち込むことが必要です。』

▶︎引用元:「”ポータブルスキル”活用研修 講義者用テキスト|一般社団法人 人材サービス産業協議会」

ともしています。つまり、労働市場の変化によって、特定の業種や職種に左右されることなく、どのような職場や状況でも活用できるポータブルスキルが重視されているのです。

▼ポータブルスキルについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】ポータブルスキルとは?構成要素や種類から企業が着目するメリットまでを解説

2:テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、特定の業務を行ううえで必要な知識や技術、能力です。例えば、営業職なら商品知識やコミュニケーションスキル、マーケティング職なら市場分析力や情報収集力といったスキルがテクニカルスキルに該当します。どの業種や職種でも活用できるポータブルスキルとは異なり、テクニカルスキルは決まった業務でのみ活躍します。

▼テクニカルスキルについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】テクニカルスキル(業務遂行能力)とは?スキルの主な特徴と高めるための方法について解説する

3:ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、部下や上司との関係や同僚同士の関係、また取引先と営業担当との関係など、あらゆる場面において良好な関係性を築く能力です。

具体的には、自分の意見を相手にわかりやすく伝えるコミュニケーションスキルや、相手の意見を引き出す傾聴力、部下たちをひとつの目標に導くリーダーシップなどが挙げられます。どのような職場においても、円滑な人間関係はスムーズな業務遂行にとって重要であるため、ヒューマンスキルもポータブルスキルの一種であると言えます。

▼ヒューマンスキルについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】ヒューマンスキルとは?マネージャーに求められるスキルについて解説

 

03スキル管理が必要な理由

昨今のビジネスシーンにおいては、スキル管理が注目を集めています。その背景には、人材戦略におけるスキル管理の重要性が潜んでいます。ここでは、なぜビジネスシーンでスキル管理が必要と言われているのか、その理由を紹介します。

  • 1.現在のスキルを確認するため
  • 2.業務に最適な人材を確保するため
  • 3.社員を適材適所に配置するため
  • 4.適切な人事評価のため

1.現在のスキルを確認するため

資格や検定といった形で目に見えるスキルは把握しやすいですが、コミュニケーションスキルや情報分析力などの目に見えないスキルは、なかなか確認しにくいものです。しかし、スキル管理で社員のスキルを可視化すれば、従来では把握できなかったスキルを確認できるようになります。

人材育成の計画を立てるうえでは、現在のスキルを確認して、足りていないスキルを洗い出すことが重要です。こうした理由から、現在のスキルを確認するスキル管理は、人材育成の計画立案において欠かせない存在であると言えます。

2.業務に最適な人材を確保するため

例えば、新しいプロジェクトや部署を立ち上げるとき、適切な人材を社内から集める必要があるとします。しかし、スキルの可視化を行っていなければ、新規業務に適した人材が誰なのかを判断しにくく、人材集めに時間がかかってしまいます。一方、スキル管理によって社員のスキルを把握できていれば、新規業務に最適な人材を判断しやすく、プロジェクトや部署の立ち上げがスムーズに進むはずです。

3.社員を適材適所に配置するため

昨今の労働市場における労働力不足によって、多くの企業は限られた人材リソースをいかに有効活用するかが課題となっています。そのために、社員を適材適所に配置する必要性が高まっているのです。

スキル管理では、社員のスキルを可視化することで、その社員に適した配置場所を判断しやすくなります。例えば、優れた情報分析力を持っているのにも関わらず、事務職として単純な事務処理を行っている社員がいたとします。しかし、スキル管理によって情報分析力の保有を把握できれば、そのスキルを最大限活かせるマーケティング職への配置転換が実現します。その結果、マーケティング職として手腕を発揮し、企業にとって大きな利益となるマーケティング戦略を考案する可能性があります。

このように、限られた人材リソースを活用して企業の生産性を高めるために、スキル管理による適材適所の人材配置が重要なのです。

4.適切な人事評価のため

スキル管理を実施すると、社員のスキルを明確に把握できるようになって、人事評価と紐づけられるようになります。その結果、例えば「コミュニケーションスキルに長けていて社内の人間関係構築に貢献した」ため、「前期より評価アップ」という人事評価を行えるようになるのです。

その結果、人事評価における評価基準や理由付けが社員にとって明確になり、モチベーションが上がるメリットを期待できます。また、適切な人材評価を実施すると、社員の自社に対する貢献意欲が増して、離職率の低下につながる可能性もあります。

 

04スキルの管理方法(スキルマップ)

スキル管理には企業にとってさまざまなメリットがありますが、具体的にどのような方法でスキル管理を実施していけば良いのでしょうか。スキル管理の代表的な方法に、スキルマップの作成が挙げられます。ここからは、スキルマップの概要や作成方法を、詳しく解説していきます。

スキルマップとは

スキルマップとは、業務において必要なスキルを選定したうえで、社員一人ひとりが持っているスキルを表にまとめたものです。スキルマップの作成によって、業務で必要なスキルを明確に示せるだけではなく、社員が持っているスキルの内容やレベルを可視化できるメリットがあります。

その結果、自分の強みや弱みを把握できるようになって、成長意欲やモチベーションがアップする可能性もあるのです。社員のスキルを表に記すスキルマップは、スキル管理の一手法として多くの企業に取り入れられています。

スキルマップの作成方法

スキルマップは、多くの場合では上司や人事担当者が作成します。社員本人がスキルマップに自分のスキルを記入することもありますが、客観的な判断を加えるために、上司や人事担当者が最終的な評価を行うケースがほとんどです。それでは、スキルマップの代表的な作成方法を紹介していきます。

  • 1:目的を明確にする
  • 2:業務内容の把握
  • 3:必要なスキルの整理
  • 4:スキルの評価基準の選定
  • 5:職場への周知

1:目的を明確にする

まずは、スキルマップを作成する目的を明確にしてください。これは、スキルマップの作成目的によって、スキルマップに掲載するスキルの選定基準が異なるためです。例えば、将来のリーダーを育成する目的であれば、マネジメント能力やリーダーシップといったスキルが重視されますが、業務効率化が目的の場合は実作業に近いスキルを選定する必要があります。したがって、なぜスキルマップを作成するのか、またスキルマップの作成によってどのような効果を得たいのかといった目的を明らかにするようにしてください。

2:業務内容の把握

次に、スキルマップの対象となる社員が、日頃どのような業務を行っているかを把握します。特に、業務効率化が目的の場合、実作業に近いスキルの選定が必要になるため、日々の業務内容をできるだけ細分化するようにしてください。

一見ひとつの業務に見えても、とても多くの作業工程が関わっていることが多いものです。そして、作業工程ごとに必要とされるスキルはそれぞれ異なります。したがって、業務内容を最大限細分化して、細かい作業工程ごとにスキルを選定できるようにすることが重要です。

3:必要なスキルの整理

業務内容を把握した後は、業務内容や作業工程ごとに必要なスキルを整理します。この際、最初に設定したスキルマップの作成目的を意識することで、必要なスキルを的確に判断できるようになるはずです。

また、マネジメント能力のように複数のスキルで構成される能力を選定する場合、能力を構成するいくつかのスキルにわけて項目を作ることをおすすめします。例えばマネジメント能力の場合、状況把握力や目標への進捗管理力、業務遂行力といった項目に分解できます。 これは、ひとつの能力を複数のスキルに分割することで、より詳細な育成計画を立てやすくなるためです。

4:スキルの評価基準の選定

スキルマップでは、社員が保有するスキルがどの程度のレベルであるかを把握するために、段階的にスキルを評価します。その評価基準を設定しておくことで、スムーズなスキル評価が実現するはずです。

例えば、「補助ができる」を評価1、「指示を受けながらであればできる」を評価2、「一人でできる」を評価3、「他人に指導できる」を評価4と設定するケースが挙げられます。このように評価基準を明確にしておくと、スキル評価の公平性や透明性が保たれて、社員のモチベーションも上がりやすくなる可能性があります。

5:職場への周知

せっかくスキルマップを作成しても、社員に見てもらえなければ効果を期待できません。スキルマップを作成したことを職場に周知することに加えて、社員全員が見やすい場所に掲示したりアップロードしたりして、日々の業務で確認しやすいようにしてください。

▼スキルマップについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】スキルマップとは|メリット・デメリットと作成方法を紹介


 

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05まとめ

社員の保有スキルを可視化するスキル管理。スキル管理の実施によって、適切な人材配置や人事評価が実現するだけではなく、人材育成の計画を立てやすくなるメリットも期待できます。さらに、社員自身がスキルを把握できるようになると、成長意欲やモチベーションがアップする可能性もあります。人事担当者は、ぜひスキルマップを作成して、スキル管理を実施してみてはいかがでしょうか。

<スキル管理についてのSchooおすすめ授業>

本授業は、DXを推進されている企業の立役者にDXを進める上で大切だった点を事例として振り返っていただくインタビュー形式授業です。

今回ご登壇いただくのは、「株式会社人的資産研究所」。
株式会社セプテーニ・ホールディングスのグループ会社である株式会社人的資産研究所。 人的資産研究所では、マネーボールのストーリーをヒントに、IT市場でまだ発見されていない人材をデータから見つける手法を開拓しています。

採用のみならず、人材育成でもデータ活用が定常化するための人事データ活用事例を、人的資産研究所の代表取締役である進藤 竜也 (しんどう たつや) 先生に、お話を伺いました。
・人事データの活用
・データ活用を定常化させるための運営上の仕組みづくり
・人事データの取り扱い意識

など、人事がデータと向き合う上で、何が大切であったのかをインタビューを通じて紐解いていきましょう。

「採用と育成における人事データの活用方法」

採用と育成における人事データの活用方法

  • 株式会社人的資産研究所 代表取締役

    株式会社人的資産研究所 (株式会社セプテーニ・ホールディングスのグループ会社) 代表取締役。 2011年に早稲田大学創造理工学部を卒業後、株式会社セプテーニ・ホールディングスに新卒入社。採用・育成・配置の分野にアナリティクスの技術支援を行う。 グループ内研究機関である人的資産研究所の所長を経て、2021年よりHRテクノロジー事業を開始。セプテーニグループの研究成果の社会提供をミッションとして活動。 一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員 / 個人情報保護士。
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この記事を書いた人
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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