ルーブリックとは?作り方や人材育成における活用ポイントを解説

人材育成や採用面接において、評価基準を明確にして公正な運用を行うことは非常に重要です。こうした課題の解決に役立つのが、評価ツール「ルーブリック」です。ルーブリックとは、評価観点ごとに期待される行動や成果を段階別に示した評価基準表のことです。もともと教育現場で使われることが多かったものですが、近年は企業の人材育成にも活用されています。本稿では、ルーブリックの作り方から活用のポイントまでを解説します。
- 01.ルーブリックとは?
- 02.ルーブリックを作成するメリット・デメリット
- 03.ルーブリックの作成方法
- 04.ルーブリックを作成・活用する際のポイント
- 05.人事評価を学ぶならSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01ルーブリックとは?
ルーブリックとは、評価項目に対して、評価尺度(レベル、A評価~C評価など)とそれぞれの尺度における状態を可視化した一覧表のことです。もともとは教育現場において、レポートやプレゼンテーションといった、単純な正誤では測れない学習成果を評価するために活用されてきました。その特性から、近年では「基準が曖昧になりがちなスキル」の基準を明確にし、評価のばらつきを抑えるツールとして、ビジネスの現場でも活用されています。
ルーブリックを活用すると、被評価者は事前に評価基準を把握して学習や行動の目標を明確にできます。また評価者にとっても、評価において主観や偏見を減らし、公平性を担保しやすくなるメリットがあります。
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ルーブリックが注目されている背景
ルーブリックが注目されるようになった背景の一つとして、教育現場において主体的・対話的で深い学びを促す「アクティブラーニング」が重視されるようになったことがあります。アクティブラーニングでは、ディスカッションや体験学習、レポート作成といった学習活動が重視されます。従来の知識量を問うペーパーテストだけでは適切に評価することが困難なため、数値化しにくいパフォーマンスや定性的な学習成果を可視化するためのツールとして、活用が広がったのです。
加えて、ビジネスの領域でもルーブリックへの関心が高まっています。ジョブ型人事への移行やリスキリング推進の流れのなかで、「何ができれば次のレベルか」を明示する仕組みが求められるようになったことが、企業における活用の背景の一つと考えられます。
▶︎参考:文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」(2017年告示)
ルーブリックの特徴と形式
ルーブリックでは、評価項目と評価尺度(レベル)、それぞれの尺度における状態をマトリックス形式で可視化します。例えば以下は、プレゼンテーション評価における、ルーブリックの例です。
| 観点 | 4:優れている | 3:良い | 2:改善が必要 | 1:不十分 |
|---|---|---|---|---|
| A. 主張・論点の提示 | 主張や論点が明確で、要点が過不足なくまとまっている。 | 主張や論点が明確で、要点がまとまっている。 | 主張や論点とテーマの関連が明確でない部分がある。 | 主張や論点がテーマに沿っていない。 |
| B. 視覚情報・資料の扱い | 視覚情報や資料を効果的に扱い、内容を明確にわかりやすく提示している。 | 視覚情報や資料を効果的に扱い、内容をわかりやすく提示している。 | 視覚情報や資料を一部、必要に応じて扱っている。 | 視覚情報や資料を効果的でない形で扱っている。 |
ルーブリック研究の第一人者であるダネル・スティーブンス氏の整理によれば、「ある課題について、できるようになってもらいたい特定の事柄を配置するための道具」とも説明されています。このような具体的な基準があることで、単純な正誤では測れないパフォーマンスを、評価者の主観に依存しにくい形で評価しやすくなる点が、ルーブリックの大きな特徴です。
▶︎参考:日本私立大学協会 私学高等教育研究所「ルーブリックが日本の大学を変える ポートランド州立大学ダネール・スティーブンス教授の講演を中心に」(2012年)
ビジネスにおける活用シーン
ルーブリックが活用されるビジネスシーンとしては、まず研修の学習到達度確認が挙げられます。研修で習得すべきスキルや目指す姿をレベル別に明示し、社員が自らの目標を設定して自律的に成長することを支援する仕組みに用いることなどが考えられます。
また人材育成では、従業員の職務遂行能力を、基準を明確にしながら評価するツールとしても活用できます。評価基準を構造化して統一することで、評価者の主観によるブレを抑え、評価運用の質と効率を高めることができます。
さらに、採用シーンでも活用の余地があります。例えば企業において、候補者の「課題解決力」を重視する方針を立てたとしても、その定義について評価者間の認識が揃っていなければ、評価のブレが大きくなりやすいでしょう。そこでルーブリックを用いて具体的な基準を言語化すると、判断の観点をそろえやすくなります。
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02ルーブリックを作成するメリット・デメリット
ルーブリックの作成には、評価基準の明確化や評価の一貫性向上といったメリットがある一方、作成・運用に手間がかかるなどのデメリットもあります。導入を検討する際には、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが重要です。
ルーブリックのメリット
ルーブリックを活用するメリットは、以下の3点です。
- ・評価時の基準を明確化できる
- ・納得度が高く、次の行動につなげやすい
- ・一貫性のある評価を行いやすい
評価時の基準を明確化できる
ルーブリックを作成すると、評価項目ごとの達成レベルが具体的な言葉で記述されるため、評価基準が明確になります。これにより、評価者の主観や個人的なバイアスによる判断が減り、評価の一貫性、公平性、客観性を保ちやすくなります。
たとえば、複数の面接官がいる採用面接では、各自の解釈による評価のばらつきが課題になりがちです。ルーブリックで評価基準を統一しておくことで、こうしたブレを抑えやすくなります。
納得度が高く次の行動につなげやすい
ルーブリックを用いると、評価基準が事前に共有され、具体的な言葉で示されるため、被評価者は評価結果に納得しやすくなる傾向があります。単なる点数や等級だけでなく、「何ができていて、何が不足していたのか」を具体的に把握できるためです。
さらに、目指すレベルとの差が明確になるため、次に何をすべきかという具体的な学習目標を自ら設定しやすくなります。
一貫性のある評価を行いやすい
ルーブリックを用いると、評価基準が構造化・標準化されるため、評価の一貫性が確保されやすくなります。複数の評価者がいる場合でも、各自の解釈による評価のばらつきを抑え、評価の質を一定に保つことに役立ちます。
ルーブリックのデメリット
メリットの多いルーブリックの運用ですが、デメリットも存在します。主なものは以下の通りです。
- ・作成と運用に手間がかかる
- ・過度な細分化が柔軟性を失わせることも
作成と運用に手間がかかる
ルーブリックを作成するデメリットの一つは、その作成と運用に一定の時間と労力がかかる点です。具体的には、評価の観点や達成レベルごとの基準を、誰にでも理解できるよう具体的な行動ベースで定義する必要があり、質の高いものを作成するにはトライ&エラーが求められます。
この負担を軽減するには、最初から完璧を目指すのではなく、まずは主要な2~3の評価項目と3段階程度のシンプルな形式で試作し、運用しながら改善していくアプローチが現実的です。
過度な細分化が柔軟性を失わせることも
ルーブリックは評価基準を詳細に設定しますが、その過度な細分化がかえって柔軟な評価を妨げる場合があります。あらかじめ設定した観点や尺度に収まらない、独創的なアイデアや予想を超える優れたパフォーマンスを正当に評価しきれないという課題が挙げられます。また、被評価者が評価基準を満たすことだけを目的とし、表面的な達成に終始してしまう可能性も考えられます。
03ルーブリックの作成方法
ルーブリックの作成は、以下の手順で実施します。
- ・評価項目を決める
- ・評価尺度を決める
- ・具体的な指標と基準を決める
この章では、ルーブリックの作成方法について詳しく紹介します。
評価項目を決める
ルーブリック作成の第一歩は、評価したい学習活動や職務において「何を評価するか」という評価項目を決めることです。たとえば、プレゼンテーションなら「主張の提示」「資料の扱い」のように具体的な行動に分解したり、ビジネスの採用面接であれば職務に求められる専門知識やスキルを評価項目として設定したりします。
このとき陥りやすいのが、評価項目を網羅的に設定しようとして数が膨大になるケースです。まずは「この評価で最も見極めたいこと」を3~5項目程度に絞り込むことが、実用的なルーブリックを作る上で有効です。
評価尺度を決める
評価項目が決まったら、次にそれぞれの項目における達成度を測るための「評価尺度」を設定します。これはパフォーマンスのレベルを数段階で示すもので、一般的に3〜5段階で設定される傾向があります。尺度には「4, 3, 2, 1」といった数字や、「A, B, C」といったアルファベットのほか、「優秀」「良い」「改善が必要」といった達成度を示す言葉も用いられます。
具体的な指標と基準を決める
評価項目と評価尺度を定めたら、最後にそれらが交差するマスを埋めていきます。ここには、各レベルで求められる具体的なパフォーマンス(行動や内容)の特徴を、「記述語」と呼ばれる文章で記します。例えば、プレゼンテーションにおける「表現力」を見る場合、以下のような内容が考えられます。
- ・A:ボディランゲージ、目線、声のトーン、大きさなどを変えて表現を工夫している
- ・B:聞き手の表情を確認しながら話せている
- ・C:資料の内容を読み上げる、一方的に話している
評価の客観性や公平性に配慮するため、誰が読んでも理解できる具体的な行動ベースで記述することがポイントです。各レベル間の違いが明確にわかるように、「非常に」といった曖昧な比較表現は避け、被評価者が目標達成への指針とできるような内容にすることが求められます。
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04ルーブリックを作成・活用する際のポイント
企業でルーブリックを作成・活用する際のポイントは、主に以下の3点があります。
- ・企業として重視する価値観やバリューを反映する
- ・研修などによる運用の品質向上
- ・運用をしながら改善を繰り返す
企業として重視する価値観やバリューを反映する
ルーブリックに企業として重視する価値観やバリューを反映させることで、社員に対して「どのような人材を求め、どのような行動を奨励するのか」というメッセージを明確に伝えることができます。これにより、社員は日々の業務において、企業の価値観に基づいた意思決定や行動をとるための指針を得ることができるのです。
Schoo for Businessの授業『人事評価に"自社の基準"はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える』に登壇する石倉秀明先生は、人事評価は会社のメッセージであり、会社としてどんな人を評価したいかの価値観を表現することで「自社らしさ」が生まれることを解説しています。
組織にとって不可欠なスキルやコンピテンシーを評価基準に組み込むことで、社員一人ひとりの成長が組織の成功に直接的に貢献しやすくなります。また、評価制度が企業文化を体現するものとなり、組織全体としての一体感を醸成する効果も期待できるでしょう。
研修などによる運用の品質向上
ルーブリックは評価基準を明確化するツールですが、それを用いる評価者の解釈にばらつきがあれば、評価の公平性や客観性は十分に発揮されません。とくに、採用面接のように複数の評価者が関わる場合、評価の質を一定に保つことが重要です。
そのため、評価者向けの研修を実施し、評価項目や各レベルの基準について共通認識を持つ「目線合わせ」を行うことが有効です。具体的には、同一のサンプル(過去のレポートや面接のケーススタディ等)を複数の評価者が独立してルーブリックで評価し、その結果を持ち寄って認識の差異を議論するという方法が、実務的によく用いられます。
運用をしながら改善を繰り返す
ルーブリックは一度作成したら完成ではなく、継続的な改善が必要になるケースが多いです。組織で求められるスキルや学習目標は変化するため、評価の有効性を保つには、ルーブリックも定期的に見直し、洗練させる必要があるためです。実際に運用する中で、評価基準の妥当性や信頼性を検証し、改善していくことがポイントです。
05人事評価を学ぶならSchooのオンライン研修
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Reskilling Camp 代表
パーソルイノベーション株式会社Reskilling Camp Company代表。IT/製造業担当のキャリアアドバイザー・法人営業を経て首都圏IT業界担当の法人営業部長として事業推進。パーソルホールディングスにてオープンイノベーション推進部の立ち上げ、グループ横断DXプロジェクトの企画推進を担当。新規事業創出に特化したパーソルイノベーションにてラーニング関連事業の事業開発責任者として本事業を企画/立ち上げ。2024年3月には、『リスキリングが最強チームをつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を上梓。
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人事評価 部下の評価を正しく行うポイント
この授業では、管理職、上司として公正な評価を行うための、考え方や基準、評価面談の進め方を2回に分けて解説します。第1回は部下を正しく評価するための考え方、注意ポイントについて、第2回は被評価者の次の成果につなげるための評価の適切な伝え方を紹介しています。
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コンサルタントマネージャー
株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン コンサルタントマネージャー。小売業 統轄エリアマネージャー、人事部部長、不動産業 人事課課長、大手販社 人材開発部マネージャーを経て現職。新入社員の接客・接遇・ビジネスマナーから上層階層のマネジメントスキルまで幅広く対応。クライアントの現状を細かくお伺いし、目指すべき姿を明確にし教育プログラムを構築します。
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人事評価に"自社の基準"はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える
この授業では、人事評価の具体的な指標を設計する前に必要な、「自社ならではの評価制度」の考え方と、制度を運用していく時に意識しておきたいポイントについて学んでいきます。
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株式会社キャスター取締役CRO
株式会社キャスター取締役CRO。株式会社リクルートHRマーケティング入社。2009年6月に当時5名のリブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。
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06まとめ
ルーブリックは、単純な正誤では測れないパフォーマンスを、具体的な基準を用いて評価するためのツールです。基準を可視化することで、評価の公平性・客観性が高まりやすく、被評価者の主体的な成長を促すメリットがあります。ビジネスでは研修や採用、人事評価など幅広く活用されています。一方で、作成には手間がかかり、過度な細分化は柔軟性を損なうリスクもあります。企業の価値観を反映させつつも、運用しながら継続的に改善していくことが活用のポイントです。


