更新日:2026/05/29

人材育成における氷山モデルとは?活用方法を徹底解説

人材育成における氷山モデルとは?活用方法を徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人材育成の現場では、スキルや知識といった観察しやすい要素だけでなく、個人の価値観や動機、自己認識など、内面の「見えづらい要素」への理解が求められる場面があります。こうした構造の理解を助けるのが「氷山モデル」です。氷山に例えて、人の行動や成果の裏にある深層要因を捉えるこのフレームワークは、採用・育成・評価などの場面で、人材理解を深める補助線として活用できます。本記事では、人材育成における氷山モデルの考え方と実践的な活用方法について解説します。

 

01氷山モデルとは

氷山モデルとは、「目に見える出来事や成果は全体のごく一部であり、水面下にある見えにくい要因が、出来事や成果に大きく影響している」という構造を示す、比喩的なフレームワークです。「氷山モデル」という名称は人材育成に限らず、複数の文脈で使われています。例えばシステム思考においては「出来事」「パターン」「構造」「メンタルモデル」の4層から組織やシステムの問題を分析する枠組みとして用いられ、文化理解の文脈では「カルチャーアイスバーグ」として活用されることもあります。いずれの文脈にも共通しているのは、目に見える現象だけで判断せず、その背景にある構造や価値観、前提に目を向ける点です。

人材育成における氷山モデル

人材育成における氷山モデル

人材育成で用いられる氷山モデルとは、職務上の成果に関わる個人特性や能力を「見えやすいもの」と「見えづらいもの」に分けて視覚的に表現したものです。人材育成領域の氷山モデルの起源は、ハーバード大学の心理学者デイビッド・マクレランド氏の研究に遡ります。マクレランド氏は、従来の知能検査や適性検査だけでは職務上の成果を十分に予測できないと指摘し、成果に結びつく行動特性や動機などを含む「コンピテンシー」に着目する必要性を示しました。

その後、コンピテンシー概念を整理し氷山モデルとして視覚的に表現したのがライル・M・スペンサー氏とシグネ・M・スペンサー氏です。両氏はコンピテンシーの要素を水面上の「知識(Knowledge)」と「スキル(Skill)」、水面下の「自己概念(Self-concept)」「特性(Trait)」「動機(Motive)」に分類しました。前者は観察しやすく開発も行いやすいもの、後者は観察しづらく変化に時間がかかるものとして整理されています。

 

02人材領域における氷山モデルの活用方法

人材領域における氷山モデルは、採用・育成・評価のそれぞれの場面で活用できます。

採用シーンでの活用

採用面接では、候補者の印象や発言内容で判断した結果、入社後に「期待したほど活躍できない」「カルチャーに合わない」というミスマッチが起こることがあります。これは、面接が氷山の水面上(スキル・知識)にとどまり、水面下(自己概念・特性・動機)を十分に把握できていないと生じやすい傾向があります。氷山モデルを踏まえた質問設計と深掘りを活用し、「何をしたか」ではなく「なぜそうしたか」まで掘り下げることで、候補者の適性をより立体的に見極められる可能性が高まるでしょう。

人材育成での活用

育成の現場で重要なのは、成果を出すために必要なコンピテンシーを特定したうえで、現状とのギャップを測り、それを埋めるためのアクションプランを立てて実行していくことです。たとえば「提案力が足りない」という課題を氷山モデルで分解すると、表層(スキル・知識)の問題であればプレゼンテーションやロジカルシンキングの研修で対応でき、中層(自己概念・価値観)の問題であれば1on1を通じた対話が有効となります。育成施策がうまく進まないときは「打ち手が効いていない層はどこか」を確認し、一つ深い層に戻って原因を再検討するという運用ルールを持っておくことが効果的です。

人材評価での活用

評価面談において氷山モデルを評価者と被評価者の間で共有しておくと、評価結果の解釈と対話の質が変わる可能性があります。客観的な事実(成果やKPIなど)を共有し、成果を生み出した具体的な行動を確認し、行動の背景にある思考や判断基準(中層)を本人に語ってもらい認識を擦り合わせ、改善すべき行動と具体的なアクションを合意するという流れが有効です。ただし評価の対象はあくまで観察可能な行動と成果であり、深層はその行動を理解し改善を支援するための文脈情報として扱うとよいでしょう。


 

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03人材育成において氷山モデルを活用するメリット

氷山モデルを人材育成に取り入れることで得られるメリットは、大きく3つに整理できます。

  • ・コンピテンシー定義の質が上がる
  • ・課題定義の質が上がる
  • ・育成対象者への理解が深まる

コンピテンシー定義の質が上がる

採用や人材要件を設計する際に、氷山モデルの視点を取り入れると、単に「主体性がある」「コミュニケーション力が高い」といった抽象的な行動記述にとどまらず、「なぜその行動を取るのか」という背景まで含めたコンピテンシー定義が可能になります。行動の背景にある自己概念や動機まで考慮に入れることで、自社の組織文化にフィットした人材像をより精緻に言語化でき、採用・育成・評価の基準に一貫性を持たせやすくなります。

課題定義の質が上がる

育成の現場では、「何が問題か」を定義する際に、表面化しやすいスキルの問題として捉え、研修などの打ち手を選びがちです。氷山モデルの3階層を用いると、スキルや知識だけではなく価値観や特性といった、より広い視点で分析することが可能になります。課題を構造的に捉えることは、より効果的な打ち手を考える上で非常に重要であり、育成の費用対効果を高めることにもつながり得るでしょう。

育成対象者への理解が深まる

氷山モデルを念頭においてヒアリングや面談を行うことで、育成対象者の行動の背景を多面的に理解することが可能になります。期待する行動が見られない場合でも、「どのような価値観や動機に基づいて判断したのか」といった視点で対話をすることで、成長に向けた手がかりをつかみやすくなります。フィードバックや行動計画に対する本人の納得感を高めることにもつながり得ます。

 

04人材育成において氷山モデルを活用する際の注意点

深層要因の把握・変化には時間がかかる

氷山モデルでは、価値観や動機、特性といった水面下の要素を含めて理解を深めることが重視されます。一方、これらは数値化や客観的評価が難しいことに加え、適切に理解するためには継続的な対話と行動観察の積み重ねが必要です。スペンサーらの整理にもあるように、氷山モデルの水面上は比較的変容スピードが速く、水面下の要素は変容に時間がかかる傾向にあります。育成計画を立てる際には、対象とする要素の深さに応じて、時間軸を長めに設定する必要があります。

個人の内面は評価の対象にしない

個人の内面は評価の対象にしない

氷山モデルは行動の背景要因を理解するための枠組みであり、内面そのものを評価するためのツールではありません。Schoo for Businessの授業『評価者としての心得と評価の留意点』に登壇する越智恵先生は、評価の原則として「仕事における部下の姿勢、成果や結果を評価する」「人格や性格など、その人の特性を評価するものではない」「評価者の個人的感情を持ち込まない」という内容を紹介しています。氷山モデルの深層要素は「なぜその行動をとったのか」を理解し、改善を支援するための対話材料として使うのが適切です。


 

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05水面下のコンピテンシーを可視化する方法

氷山モデルでいう「水面下」の価値観や動機などを可視化するには、アセスメントツールや1on1、行動観察など多面的な手法の活用が有効です。

アセスメントツールを活用する

特性や強みを把握するための診断ツールは、自己理解の出発点として有用です。Gallup社が開発したCliftonStrengths(ストレングスファインダー)やエニアグラムなどは、自覚しづらい思考傾向や価値観、動機といった水面下のコンピテンシーを把握するのに有効です。ただし、診断ツールの科学的な裏付けはそれぞれ異なるため結果の解釈には慎重な判断が求められます。また、ラベリングや単純化しすぎた判断につながるおそれもあるため、診断結果はあくまで対話のきっかけとして扱うことが望ましいでしょう。

1on1ミーティングやコーチングを行う

1on1ミーティングやコーチングを行う

定期的な1on1は、部下の価値観や行動の背景にある思考パターン、動機づけの源泉を理解する重要な機会です。対話を重ねることで、単なる行動結果だけでなく、なぜその行動を選択したのかといった水面下の要素を理解する手がかりを得やすくなります。Schoo for Businessの授業『コーチングを活かした、メンバーとの関わり方』に登壇する大坂谷勇輝先生は、コーチングを「自律的な目標実現や自己実現のための思考と行動のサポート」と紹介しています。コーチングのスキルを高めることで、相手が話しやすい形で対話を進めやすくなります。

行動観察や360度評価を取り入れる

日常業務における行動観察は、他者のコンピテンシーを把握するための基本かつ重要な取り組みです。対話の様子や反応、会議での発言、プロジェクトでの振る舞いなどをよく観察することで、本人の行動傾向や癖を捉えやすくなります。また、上司・同僚・部下など複数の視点からフィードバックを集める360度評価は、個人の行動パターンの一貫性を多角的に把握するのに適しています。評価結果を人事処遇に直結させない設計と、回答者の匿名性の担保が、率直な回答を集めやすくするポイントとなります。

 

06人材育成に役立つSchoo for Business

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オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
(新規講座も随時公開中)
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,650円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております
 

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人材育成に関連する講座を紹介

ここでは、Schoo for Businessの講座から、人材育成に役立つコーチングや評価に関する講座を紹介します。

心を許したくなる聞き方のコツ

心を許したくなる聞き方のコツ

この授業では、立場の違う相手から真意を聞き出すための信頼関係の作り方について学びます。若手社員が話してくれない、ハラスメントを気にしてコミュニケーションに慎重になってしまうといった悩みを解消し、相手が「ミスや困りごとを報告してくれる」ような良い信頼関係を作る方法を身につけましょう。

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※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

チームとともに成長するリーダーのコーチング

チームとともに成長するリーダーのコーチング

この授業では、リーダーとメンバーの多様化が進む職場で活かせる「コーチング」の考え方や実践的アプローチについて学びます。リーダーとしての職務を果たす中で、個々のメンバーだけでなくチーム全体に対してどのようにコーチングのアプローチを取り入れ、関係性を築いていくべきか、そのヒントをお持ち帰りください。

チームとともに成長するリーダーのコーチングを詳しく見る

※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

人事評価 部下の評価を正しく行うポイント

人事評価 部下の評価を正しく行うポイント

本コースは、管理職として部下を評価する際の原理原則と、公正な評価のポイントを学びます。チームメンバーのパフォーマンスを適切に評価し、フィードバックすることで、メンバーの成長を促し、組織全体のパフォーマンス向上につなげることが目的です。初めて評価を行うリーダーや、評価基準の言語化に不安があるマネジャーにおすすめの内容です。

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※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

 

07まとめ

人材領域における氷山モデルは、コンピテンシーの要素を「目に見えやすい要素」と「見えづらい要素」に分類して可視化するフレームワークです。保有状況が比較的把握しやすいスキルや知識だけでなく、行動や思考の源となっている価値観や特性にも目を向けることで、より構造的にコンピテンシーを捉えることを可能にします。非常に有用なフレームワークですが、活用にあたってはプライバシーへの配慮や、内面評価のリスクなど注意点も存在します。継続的な対話と信頼関係の構築を前提に、効果的に活用しましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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