「研修講師って何をすればいい?」研修講師を任された時のポイント

新入社員研修やマナー研修、マネジメント研修など、多くのビジネスパーソンは、何かしらの研修に参加したことがあるはず。しかし講師の説明が理解できなかったり、しっかり腹落ちできなかったり、モヤモヤしたまま終えた経験もあるのではないでしょうか。では、逆に自分が研修講師の立場になってみたら、どうでしょう? 受講者を満足させることができるでしょうか? 今回はスクーの人気授業「実演で学ぶリーダーのためのファシリテーションスキル」を参考に、研修講師に必要なスキルである「ファシリテーション」のポイントを学んでいきます。
- 01.研修を行う前に知っておくべきこと
- 02.研修内容を組み立てるときのポイント
- 03.研修講師が直面しやすい壁
- 04.Schooが提供する企業向け研修パッケージ
- 05.まとめ
01研修を行う前に知っておくべきこと
研修を行う前に知っておくべきことは、以下の4つです。
- 1:研修講師に必要な知識「ファシリテーション」とはそもそも何?
- 2:ファシリテーションの基本知識「問いかけ、引き出し、混ぜ合わせる」
- 3:研修講師の必須スキル「チーム脳作り」と「フォローアップ質問」
- 4:研修講師のこれからの学び方とは
1.研修講師に必要な知識「ファシリテーション」とはそもそも何?
最近耳にする機会が増えた「ファシリテーション」という言葉は、ラテン語の「ファシル」が語源。英語では「facilitate」=「支援する、促進する」という意味を持ちます。
従来、研修講師がすでに答えを持っていて、目標達成や問題解決のやり方を教えて指導するアプローチが一般的でしたが、一方通行になりがちなことが懸念されてきました。
一方、ファシリテーション的アプローチは、メンバーの意見を引き出して支援するのが特徴。自身の意見や答えを押し付けるのではなく、リーダーを含むメンバー全員で一緒にひとつの答えを導き出すアプローチのことを指します。従来の一方通行なアプローチではなく、双方向的なアプローチであることがメリットのひとつといえます。
また、「ファシリテーションには大きく分けて2つの意味がある」というのも押さえておきたいポイントです。
(1)チームワークを重視した会議・研修を行うための働きかけ。円滑に会議・研修を運営し、議論のプロセスと、思考と関係の質を高める進め方。
(2)組織による創造、変革、問題解決、合意形成、学習などを支援し促進させる働きかけ。あらゆる種類の知識創造の場をつくり、その活動のプロセスと、思考と関係の質を管理。
(1)は1~2時間程度、(2)は一定の期間をかけて進めていくものなので、ここでは、おもに(1)のシーンを想定して学んでいきます。
2.ファシリテーションの基本知識「問いかけ、引き出し、混ぜ合わせる」
ファシリテーションにおいて重要なのは、(1)問いかけ、(2)引き出し、(3)混ぜ合わせるの3つ。
前述のように、従来の研修では、研修講師が考える意見を受講者に一方的に伝えるのが一般的でしたが、ファシリテーションを意識した研修では、まずは問いかけ、受講者自身で考えるよう促し、それぞれの意見を混ぜ合わせることがポイントとなります。
こうすることで他人事ではなく自分事として捉えることができ、積極的に研修に参加するようになるというわけです。
ファシリテーションに関するSchooの授業:実演で学ぶリーダーのためのファシリテーションスキル

ファシリテーションとはなんなのかわからない。あるいは研修講師をすることになったが、ファシリテーションのスキルが全くない、という方もいると思います。そこで、この授業では、「問いかけ、引き出し、混ぜ合わせる」というファシリテーションの基本スキルから、研修を進行する上で、さまざまな困った場面への対処法と、実践的な分野までを全五回の授業で幅広く学びます。
株式会社SRA、豆蔵など大手SIerにて、SE、プロジェクトマネージャー、プロセスコンサルタント、研修講師を経験した後、2007年「ビジネスファシリテーション・サービス」を起業。自身の多様な経験を生かして、ビジネスにおけるあらゆるファシリテーション・サービスを提供する。 IT、製造業を中心に、ファシリテーションとアクションラーニングを取り入れた、チーム開発、リーダーシップ開発、プロセス改善、会議改善、組織改革を得意とする。 ビジネスモデリングを取り入れた要求開発、CMMをベースとしたSEPGおよびSQAの活動支援も行う。 IT業界におけるファシリテーションのエバンジェリスト兼実務者。 東京理科大学理学部卒。 著書: 「ITリーダーが確実にファシリテーションを身につける本」/日経BP社 「ファシリテーターの道具箱」(共著)/ダイアモンド社 「システム開発現場のファシリテーション」(共著)/技術評論社 オンサイトセミナー/ビジネスコーチングお問合せ:support@bizfaci.jp
実演で学ぶリーダーのためのファシリテーションスキルを無料視聴する
3.研修講師の必須スキル「チーム脳作り」と「フォローアップ質問」
研修の場合、受講者一人ひとりが個別に参加している意識になってしまうものですが、研修講師を含めた全員でひとつのチームと捉えるようにすると、より充実した研修になります。
一人ひとりが別々に考えている状態だと感情の共感が起こりにくく、win-loseの関係になりやすい性質があります。一方で、チームがひとつの大きな脳を使って考えることで情報共有・感情共感がしやすく、win-win、もしくは新たなwinが生まれやすくなるからです。
この個別に考える状態を「バラバラ脳」、全員が一体となって考える状態を「チーム脳」とすると、「バラバラ脳」から「チーム脳」へと変えていくことが研修講師の課題。これを解決するには、「フォローアップ質問」が有効です。
はじめから個人を名指しして聞いてしまうと、その他の人たちは油断して考えることをやめてしまう可能性があるので、全体に問いかけるようにしましょう。その際、選択肢を与える問いかけをしたり、自身の意見を暗にほのめかしたりすると、自由な発言がしにくくなるのでご注意を。
また、メンバー同士のコミュニケーションラインをつくることで、ファシリテーションにおいて重要な「横のつながり」ができるので、研修講師と個人のやり取りにならないよう注意しましょう。
これらを押さえておくことで、自分も参加している意識を明確にし、「チーム脳」へと移行しやすくなります。
4.研修講師のこれからの学び方とは
とはいえ、「ファシリテーション」や「フォローアップ質問」の知識を持っているのと、実践できるかは別問題です。フォローアップ質問は、家族間でも実践できるものなので、はじめから大きな舞台で実践するのではなく、まずは気心知れた、やりやすい環境でやってみるといいかもしれません。
また、勉強会やセミナーに参加したり、書籍で理解を深めたりするのも有効です。最近は1対1でサポートしてくれるビシネスコーチングも充実しているので、検討してみてはいかがでしょうか? どんな方法であれ、継続して少しずつ経験を積んでいくことが大切です。
▼ファシリテーションに関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】ファシリテーター研修で身につくファシリテーションスキルと役割の実例
02研修内容を組み立てるときのポイント
研修内容を組み立てるときのポイントは、以下の2つです。
- 1:研修内容を組み立てるときに意識したい「学びの質」とは
- 2:研修の最後に使いたい「振り返り3ステップ質問」
1.研修内容を組み立てるときに意識したい「学びの質」とは
研修講師としては、研修内容をどう組み立てるかというのも重要ですよね。そこで意識したいのが、「学びの質」です。
「学び(学ぶ)」とひと口に言っても、「人や物から新しい知識を得る」ことと、「自分や他人の行動の結果、経験として学ぶ」ことの2つあります。「学びの質」において気を付けたいのは、後者です。
経験や学んだことを自分だけで消化すると学びの質が低くなり、何度も同じ失敗を繰り返してしまいますが、他人(チームメンバー)と一緒に共有することで、失敗から学んだことを次に生かし、学びの質が高くなると考えられています。
繰り返しになりますが、「バラバラ脳」ではなく「チーム脳」で考えることで学びの質が高くなるので、研修にも取り入れたいポイントですね。
2.研修の最後に使いたい「振り返り3ステップ質問」
また、研修の最後に振り返りの時間を設けるのも、ファシリテーション的な研修で意識したいところ。ここで役立つのが、「振り返り3ステップ質問」というもの。
1.やってみてどうでしたか?(feel)
2.よかったところはどこですか?(good,keep)
3.もっとよくするためにはどうすればいいですか?(next action)
自分の気持ちを吐き出させ、さらにチームのメンバーからその人のよかった点を引き出すことで他人のことも気に掛けるようになり、より良好な関係性を築けますよ。
よくある「どこが悪かった?」という振り返りでは指摘し合うだけで終わってしまい、「どうしたらいいか?」ということがおろそかになってしまうので、メンバー全員で振り返ることを意識しましょう。
03研修講師が直面しやすい壁
研修講師が直面しやすい壁は、以下の3つです。
- 1:話の長い人がいる
- 2:時間が足りなくなる
- 3:研修講師が主役になってしまう
研修講師が直面しやすい壁1:話の長い人がいる
研修では、意見を求めたら話が長い人だった…なんてことも想定されます。このタイプの人は、結局何が言いたいのかわからないこともしばしば。
無下にするわけにはいかないし、時間が限られているから放っておくわけにもいかず、頭を抱える研修講師は多いのでは? 話が長い人に遭遇した場合、どう対処すればいいのでしょうか?
話の長い人への対処法
話が長い人に対しては、ホワイトボードを活用するのがおすすめです。
この場合、本人に気づいてもらうしか改善方法はないので、要点がわからないからメモも取れない様子を見せることで、間接的にアピールすることができます。
また、「つまりこういうことでよろしいですか?」とさりげなく要点をまとめてしまうのも対処法のひとつです。
研修講師が直面しやすい壁2:時間が足りなくなる
想像以上に議論が白熱したり、話が長い人がいたり、予定していた研修内容をすべてやるには時間が足りなくなってしまうことも。この事態を避ける方法を紹介します。
時間が足りなくなることへの対処法
黒板やホワイトボードを使う場合は、端のほうにスケジュールを書いておくといいでしょう。このテーマには何分使うのか、あらかじめ書いておけば受講者も時間を意識するようになります。
研修講師側でできる対処法は、優先順位を決めておくこと。
最低限やっておきたいテーマは何なのかを決める、この場でやれることと持ち帰ってもできることを分けておくなど、いざという時に備えておけば時間が足りなくなりそうでも焦らず対応できそうです。
研修講師が直面しやすい壁3:研修講師が主役になってしまう
研修講師ではなく、受講者が主導して研修を進めるほうがいいとお伝えしましたが、自分と受講者の意見が対立する、意見を求められるといったこともよくあること。そんな時は、どうすべきなのでしょう?
研修講師が主役になってしまうことへの対処法
研修講師が議論の当事者になることはなるべく避けたいことなので、「どなたかこの状況を整理していただけませんか?」と、第三者に振るというのもひとつの手。
「私はこう思いますが、あなたはどうですか?」と、さりげなく発言権を第三者に渡すのも、自身が当事者になるのを避けるために有効な手段です。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

04Schooが提供する企業向け研修パッケージ
Schoo for Businessでは8,000本以上の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
Schoo for Business |
|
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessには以下の3つのメリットや特徴があります。
- 1:研修と自己啓発を両方行うことができる
- 2:様々な研修におすすめのSchooの研修パッケージ
- 3:管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.様々な研修におすすめのSchooの研修パッケージ
上記でも説明したように、Schooでは約8000本もの動画を用意しており、様々な研修に対応することができます。特に、階層別研修は、内定者・新入社員研修から管理職研修までが揃っており、階層別研修パッケージを活用することで、内定者・新入社員研修、若手社員研修、中堅社員研修、管理職研修の全てを行うことができます。また、それぞれの研修パッケージにも、階層によって必要なスキルに関する講座が網羅されているため、内容面でも充実した研修を行うことができます。
さらに、社員に研修動画を受講してもらった後に、意見の共有会やディスカッションを行うことで、学んだことをより効果的に定着させることができます。
ここでは、階層別研修の中から新入社員研修を例としてご紹介します。
-
新社会人のためのビジネスマナーの基本を学ぶカリキュラムです。第一印象の磨き方(身だしなみ・挨拶・敬語)や、社内マナー(ホウレンソウ・名刺交換・電話応対など)について解説しています。
-
社会人としてのマインドセットを習得するためのカリキュラムです。「思考」「実行」の2つの視点で、すぐに現場で実践できるビジネスに必要な力を学びます。
-
見やすいグラフやスライド資料の作成方法を学ぶカリキュラムです。独学で悩みがちの本テーマを、具体例や実践例を交えながらお伝えします。
-
若手社員向けのロジカルシンキングに必要な思考法について学ぶカリキュラムです。論理性を高めて業務を遂行していく際に必要な思考法について解説していきます。
-
Excelを活用したデータ分析について学べる研修パッケージです。データ分析をする際の考え方から、「並べ替え」「オートフィルタ」「ピボットテーブル」などのExcel分析に必要な機能について学ぶことができます。
-
ビジネス文書やメール作成ついて学ぶカリキュラムです。社会人として求められる文章能力について詳しく解説していきます。
-
若手社員向けのロジカルシンキングに必要な思考法について学ぶカリキュラムです。論理性を高めて業務を遂行していく際に必要な思考法について解説していきます。
-
Wordの基礎技術を学習するためのカリキュラムです。Wordの操作方法や文書作成の基礎などを学ぶことができます。
-
Excelの基礎技術を学習するためのカリキュラムです。新入社員や若手社員が知っておくべき基本スキルを学ぶことができます。
-
ファシリテーショングラフィック(グラレコ)のスキルを磨きたい、トレーニングをしたいという方向けの実践的な研修パッケージです。
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。

この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
05まとめ
- 「ファシリテーション」には、(1)「チームワークを重視した会議・研修を行うための働きかけ。円滑に会議・研修を運営し、議論のプロセスと、思考と関係の質を高める進め方」と、(2)「組織による創造、変革、問題解決、合意形成、学習などを支援し促進させる働きかけ。あらゆる種類の知識創造の場をつくり、その活動のプロセスと、思考と関係の質を管理」の2つの意味がある。
- 「ファシリテーション」においては、問いかけ、受講者自身で考えるよう促し、それぞれの意見を混ぜ合わせることが重要なポイントとなる。
- 「フォローアップ質問」を活用することで、「バラバラ脳」から「チーム脳」へ切り替わりやすくなる。自由に発言しやすくなり、メンバー同士の横のつながりができるなど、チームによい影響をもたらす。
- 研修の最後には、「やってみてどうでしたか?(feel)」「よかったところはどこですか?(good,keep)」「もっとよくするためにはどうすればいいですか?(next action)」という「振り返り3ステップ質問」をすることでチームが活性化し、より良好な関係性を築けるようになる。
- 話が長い人がいる、時間が足りなくなるなどのトラブルには、ホワイトボードを活用するとよい。「研修でやりたいこと」の優先順位をあらかじめ決めておくことも有効。
集合研修・OJTによる人材育成を加速させる。
eラーニング活用方法の資料を無料配布中!
動画学習を活用することで事前に業務に関する知識をインプットをした上で、集合研修やOJTに臨むことができます。
それにより集合研修やOJTの場は知識の定着を図ったり疑問点を解決したりといった時間に充てることができ、 研修をより効果的に行うことが可能です。
ビジネスマナーやコミュニケーション力などの基本スキルから、営業・プログラミング・デザインなどの実務スキルまで学べるので、自発的に学び成長していける人材の育成促進につながります。