更新日:2025/12/28

マネジメントにおいて役立つ資格を解説

マネジメントにおいて役立つ資格を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織においてマネジメントは必ず必要になります。そして経営者だけでなく、組織のなかで部下をもつ人には、マネジメントの能力が求められます。では、マネジメントにおいて資格はどの程度有用なのでしょうか。また、そもそも必要なのでしょうか。そして、もし有用であるならば、どのような資格があればいいのでしょうか。当記事では、それらについて解説します。

 

01マネジメント資格の選び方

マネジメント資格は必須ではありませんが、管理職やリーダーに求められる知識や考え方を体系的に学ぶ手段として有効です。ただし、目的や立場を整理せずに選ぶと、取得しても業務に活かせないケースも少なくありません。本章では、マネジメント資格を選ぶ際に押さえておきたい基本的な考え方を整理し、自分や自社に合った資格を見極めるための視点を解説します。

基礎/専門/経営など目的別に考える

マネジメント資格は、「どんな力を身につけたいのか」という目的から考えることが重要です。まず、管理職としての基礎を体系的に学びたい場合は、組織運営や労務、リーダーシップなどを幅広く扱う基礎系の資格が適しています。一方、プロジェクト推進やIT、会計など、特定分野のマネジメント力を高めたい場合は、専門性の高い資格が有効です。さらに、経営視点を身につけたい場合は、経営全般を俯瞰できる資格を選ぶことで、意思決定や戦略立案に活かせます。このように「基礎」「専門」「経営」のどこを強化したいのかを明確にすることで、資格選びの失敗を防ぐことができます。

職種・役割別に考える

マネジメント資格は、職種や担っている役割によって有効性が大きく異なります。たとえば人事・育成担当であれば、人材マネジメントや労務、メンタルヘルスに関する知識が実務に直結します。一方、営業や技術職では、チームやプロジェクトを成果に導くためのマネジメントスキルが重視されます。また、現場のリーダーなのか、複数部門を統括する管理職なのかによっても、求められる視点は異なります。自分の職種や現在の役割、今後期待されるポジションを踏まえて選ぶことで、資格の学びを実務に活かしやすくなります。

難易度・学習負荷で考える

資格を選ぶ際は、内容だけでなく難易度や学習負荷も考慮が必要です。業務と並行して学ぶ場合、学習時間が多く必要な資格や受験要件が厳しい資格は負担になりがちです。まずは比較的取り組みやすい資格から始め、段階的にレベルアップする方法も有効でしょう。一方、一定の難易度がある資格は、学習過程そのものが成長につながり、社内外での評価にもつながりやすくなります。無理なく継続できるかどうかを基準に選ぶことが重要です。

資格は「取得」より「活用」が重要

マネジメント資格の価値は、取得すること自体ではなく、業務で活かすことにあります。資格をゴールにしてしまうと、知識が実務に結びつかず形骸化してしまいがちです。重要なのは、学んだ内容を日々のマネジメントや意思決定にどう落とし込むかという視点です。企業側も、資格取得後に役割や業務を適切に任せることで、学びを成果につなげやすくなります。資格は成長の「きっかけ」として捉えることが大切です。

 

02【カテゴリ別】マネジメントに役立つ資格一覧

マネジメントに関する資格は数多くありますが、すべてが同じ目的や役割を持っているわけではありません。基礎的なマネジメント力を補う資格もあれば、専門分野に特化したもの、実務経験を前提とする高度な資格も存在します。そこで本章では、マネジメント資格を役割や学習領域ごとに整理し、それぞれの特徴や活用しやすい場面を紹介します。自分や自社の課題に合った資格を見極めるための参考にしてください。

ビジネス・マネジメント系資格

ビジネス・マネジメント系資格は、管理職やリーダーが業務を円滑に進めるために必要な考え方や基本スキルを体系的に学べる点が特徴です。組織運営やプロジェクト推進、部下との関わり方など、日々のマネジメント業務で直面しやすいテーマを整理することで、実務の再現性を高めることができます。ここでは、管理職の基礎固めから、専門性の高いプロジェクトマネジメントまで、幅広い場面で活用しやすい代表的な資格を紹介します。

ビジネスマネージャー検定

ビジネスマネジャー検定は、東京商工会議所が主催する検定試験で、主に管理職・管理職候補に求められる基礎的なマネジメント知識を体系的に整理できる資格です。組織運営の考え方をはじめ、部下とのコミュニケーション、上司や社外との関係構築、労務管理やリスク管理など、現場のマネジメントで直面しやすいテーマが幅広く扱われています。

高度な専門性を証明する資格というよりも、マネジメントの共通言語や基本的な考え方を身につけることに主眼が置かれている点が特徴です。新任管理職や、これからマネジメントを担う人が、実務に入る前後で基礎を整理する目的で活用しやすい資格といえるでしょう。

▶︎参考:東京商工会議所検定サイト | ビジネスマネジャー検定試験

PMP(Project Management Professional)

PMP(Project Management Professional)は、プロジェクトマネジメントに関する国際的に認知度の高い資格で、PMI(Project Management Institute)が認定を行っています。プロジェクトの計画立案から実行、進捗管理、関係者との調整まで、プロジェクトを成功に導くための体系的な知識と実務経験を備えていることを示す資格です。

受験には一定期間のプロジェクトマネジメント経験や、所定時間の研修受講が求められるため、実務経験を前提とした中〜上級者向け資格と位置づけられます。IT分野に限らず、製造業やサービス業など幅広い業界で活用されており、プロジェクトを横断的に管理する立場の人にとって、考え方や進め方を整理するうえで有効です。

▶︎参考: PMP®資格について|一般社団法人 PMI日本支部

PMC

PMC(プロジェクトマネジメント・コーディネーター)は、日本プロジェクトマネジメント協会が認定する資格で、プロジェクトマネジメントの基礎知識を体系的に学ぶことを目的としています。プロジェクトに関わる役割や進行管理、関係者との調整といった基本的な考え方を理解することで、実務での対応力を高めることができます。

PMPのような国際資格に比べると、より入門的な位置づけであり、これからプロジェクトを任される可能性がある管理職やリーダー層が、プロジェクトマネジメントの全体像を把握するためのステップとして活用しやすい資格です。プロジェクトを円滑に進めるための共通認識づくりに役立ちます。

▶︎参考: PMC資格試験実施要領と年間実施予定|特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、職業選択や能力開発に関する相談・助言を行うための国家資格です。企業の人事部門や教育・人材育成領域を中心に、従業員のキャリア形成を支援する役割を担います。面談や対話を通じて、本人の価値観や強みを引き出すための知識とスキルが求められます。

マネジメントの観点では、部下のキャリア意識を理解し、適切な成長機会を提供するための土台づくりに活かせる資格です。特に、人材定着やエンゲージメント向上が課題となる組織において、人事担当者やマネージャーが人材と向き合う力を高める手段として位置づけられます。

▶︎参考:国家資格 キャリアコンサルタント試験|特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会

モチベーション・マネジメント系資格

モチベーションやメンタルの状態は、チームの成果や職場の雰囲気に大きく影響します。マネジメントにおいては、業務の指示や制度設計だけでなく、メンバー一人ひとりの状態を理解し、適切に関わる力が求められます。モチベーション・マネジメント系資格は、人の意欲や心理面に着目した知識や考え方を体系的に学べる点が特徴です。ここでは、管理職や人事担当が現場で活かしやすい代表的な資格を紹介します。

公認モチベーション・マネジャー資格

公認モチベーション・マネジャー資格は、学校法人三幸学園と株式会社リンクアンドモチベーションが設立した資格で、個人やチームのモチベーションを高め、成果につなげるための考え方や手法を学べる点が特徴です。メンバーの状態を把握し、適切な関わり方を選ぶための理論やフレームワークが整理されており、対人コミュニケーションの質を高めることを目的としています。

マネジメントの現場では、制度や指示だけでなく、メンバーの納得感や主体性を引き出す関わりが求められます。本資格は、「人の動機づけ」に着目したマネジメントを実践したい管理職やリーダーにとって、考え方を体系的に整理する手段として活用しやすい資格といえるでしょう。

▶︎参考:公認モチベーション・マネジャー資格とは?|モチベーション・マネジメント協会

メンタルヘルス・マネジメント検定試験

メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、商工会議所が実施する検定試験で、職場におけるメンタルヘルス対策の基礎知識を身につけることを目的としています。臨床的な専門知識を扱うものではなく、ストレスの仕組みや不調のサイン、適切な対応や予防の考え方など、実務に活かしやすい内容が中心です。

管理職や人事担当者が正しい知識を持つことで、メンバーの変化に早く気づき、適切な対応につなげやすくなります。試験は役割別に複数のコースが用意されており、自分の立場に応じて学ぶ内容を選びやすい点も特徴です。職場環境の改善や人材定着を考えるうえで、基礎を押さえる手段として位置づけられる資格です。

▶︎参考:メンタルヘルス・マネジメント検定試験 | 働く人たちの心の健康と活力ある職場づくりのために

経営・会計・経営企画系資格

経営・会計・経営企画系資格は、組織や事業を数字や制度、戦略の視点から捉える力を養える資格です。予算管理や意思決定、リスク管理など、経営に近い立場で求められる考え方を体系的に整理できます。ここでは、マネジメントの幅を広げたい人に向けて、経営全体を俯瞰するために活用しやすい代表的な資格を紹介します。

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営全般に関する知識を体系的に備えていることを示す国家資格で、「日本版MBA」と呼ばれることもあります。経済学や財務・会計、経営戦略、組織論、法務など、企業経営に必要な幅広い分野を横断的に学ぶ点が特徴です。独占業務はありませんが、経営課題の分析や戦略立案に関する専門性を持つことを客観的に示す資格として認知されています。

マネジメントの観点では、部門単位ではなく会社全体を俯瞰した意思決定や中長期視点での判断に役立つ知識を得られます。経営企画や事業責任者層、将来的に経営に関わる立場を目指す人にとって、思考の軸を鍛える資格といえるでしょう。

▶︎参考:中小企業診断士ってなに?|一般社団法人 中小企業診断協会

マネジメント検定®

マネジメント検定®は、組織運営や経営に関する基礎的な考え方や用語理解を目的とした民間資格です。経営学の基本概念や理論を中心に構成されており、「経営とは何か」を体系的に学ぶ入り口として位置づけられます。専門的な実務能力を証明する資格というよりも、経営や組織を見る視点を養うことに主眼があります。

マネジメント業務においては、評価や予算、組織運営を考える際の共通理解を持つことが重要です。本資格は、経営や会計の知識にこれから触れる管理職や管理職候補が、経営視点の基礎を整理するためのステップとして活用しやすい資格といえるでしょう。

▶︎参考:マネジメント検定®とは|マネジメント検定®

社会保険労務士

社会保険労務士は、労働法や社会保険制度に関する専門知識を持つことを示す国家資格です。労働時間管理や就業規則、社会保険手続きなど、人事・労務領域における高度な専門性が求められます。実務では人事部門や外部専門家として活躍するケースが一般的です。

マネジメントの立場においては、制度運用やリスク管理の観点から、労務に関する正しい知識を理解しておくことが重要です。社会保険労務士は資格取得の負荷が高い一方で、労務管理を重視する組織や人事領域に深く関わる管理職にとって、判断の土台となる知識を体系的に身につけられる資格といえます。

▶︎参考:社会保険労務士制度について|社会保険労務士試験オフィシャルサイト

日商簿記検定

日商簿記検定は、企業活動におけるお金の流れや会計の基本を理解するための資格で、社会人から学生まで幅広く活用されています。財務諸表の読み方や取引の考え方を学ぶことで、数字に基づいた判断力を養うことができます。経理職向けの資格というイメージが強いものの、マネジメントにも直結する知識が多く含まれています。

管理職にとっては、売上やコスト、利益構造を把握し、施策の影響を数字で捉える視点が欠かせません。日商簿記検定は、経営管理の基礎として数字に強くなるための入口として位置づけやすく、特に2級レベルは実務理解に役立ちます。

▶︎参考: 日商簿記検定とは|東京商工会議所

IT・プロジェクト系資格

IT・プロジェクト系資格は、システム開発やIT施策を通じて、事業や組織の成果を高めるためのマネジメント力を養う資格です。進捗や品質、コストの管理に加え、関係者との調整や意思決定など、複雑なプロジェクトを統括する視点が求められます。ここでは、IT分野におけるプロジェクト推進や戦略立案に関わる管理職・リーダーに向けた代表的な資格を紹介します。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、IT分野におけるプロジェクトマネジメント能力を体系的に評価する資格です。プロジェクトの計画立案、進捗・品質・コスト管理、リスク対応など、プロジェクト全体を統括する立場に求められる知識や判断力が問われます。

マネジメントの観点では、単なるIT知識だけでなく、関係者との調整や意思決定、トラブル対応など、複雑な状況を整理しながらプロジェクトを前に進める力を養える点が特徴です。IT部門の管理職や、大規模・複雑なプロジェクトを任される立場の人にとって、実務を振り返りながら思考の軸を整理する資格として位置づけられます。

▶︎参考:プロジェクトマネージャ試験|IPA 独立行政法人情報処理推進機構

ITストラテジスト

ITストラテジストは、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITを活用して経営課題を解決するための戦略立案能力を評価する資格です。技術そのものよりも、事業戦略や経営方針を踏まえたIT活用の方向性を描き、全体最適の視点で判断できるかが重視されます。

マネジメントにおいては、ITを「手段」として捉え、投資判断や中長期計画に結びつける視点が求められます。本資格は、IT部門の責任者や経営企画に関わる立場の人が、経営とITをつなぐ役割を担うための思考力を整理する資格として活用しやすいといえるでしょう。

▶︎参考: ITストラテジスト試験|IPA 独立行政法人情報処理推進機構

論理的思考・問題解決系資格

論理的思考・問題解決系資格は、課題を整理し、筋道立てて考え、分かりやすく伝えるための「考え方の型」を学べる資格です。マネジメントに必要な思考力を補完する学習手段として、日常業務の質を高める場面で活用できます。

ロジカルシンキングマスター

ロジカルシンキングマスターは、論理的思考に関する基礎知識や考え方を整理することを目的とした資格です。業務の中で課題を構造的に捉え、筋道を立てて説明する力は、部下への指示や経営層への報告など、マネジメントのさまざまな場面で求められます。本資格では、情報を分解・整理し、多面的に考えるための基本的なフレームワークを学ぶことができます。

マネジメントにおいては、専門知識そのものよりも「考え方の共通言語」を持つことが重要になる場面も少なくありません。ロジカルシンキングマスターは、論理的思考の基礎を整理し、日常業務の質を高めたい管理職やリーダーにとって、補助的な学習手段として位置づけやすい資格です。

▶︎参考: ロジカルシンキングマスター認定試験(ロジカルシンキング資格) | 日本生活環境支援協会【JLESA】

論理的思考士®資格

論理的思考士®は、論理的に物事を考え、他者に分かりやすく伝える力を備えていることを示す資格です。基本的な論理構成の理解に加え、相手の状況や目的を踏まえてアドバイスや提案を行う視点が重視されています。業務上の課題や意見を整理し、説得力をもって伝える力を身につけたい人に向けた内容といえるでしょう。

マネジメントの現場では、指示や評価、フィードバックなど、対話を通じた意思疎通が欠かせません。本資格は、そうした場面で論理的な説明力や思考整理力を高めるための補助的な資格として活用しやすく、管理職やリーダー層が自身の伝え方を見直すきっかけとして位置づけられます。

▶︎参考: 論理的思考士(ロジカルシンキング資格)|日本インストラクター技術協会

<ロジカルシンキングについてのSchooおすすめ授業>

ロジカルシンキングは、マネジメントにおいて課題を整理し、関係者と合意形成を進めるための重要なスキルです。特に部門間の連携不全は、「何が問題なのか」「どこで認識がずれているのか」を構造的に捉えられないことで長期化しがちです。Schooの授業『部門間の連携不全を紐解く。』では、こうした現場で起こりやすい課題を題材に、問題を分解し、根本原因を見極める思考プロセスを学びます。ロジカルシンキング系資格で得た知識を、実際のマネジメント課題に落とし込むための実践的な学習として活用できます。

「部門間の連携不全を紐解く。」

部門間の連携不全を紐解く。

  • 株式会社アンド・クリエイト 代表取締役

    大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成功しない」との思いから、専門を人材育成分野に移し、人材開発のプロジェクトをリード。 2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。ベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。講師として、大前研一ビジネス・ブレークスルー、日本能率協会、日経BPセミナー、大手銀行系研修会社などに多数のプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。 著書は「一流の学び方」など現在18冊を出版。東洋経済オンライン、プレジデントオンラインなど連載多数。
 

03【職種・役割別】おすすめのマネジメント資格

マネジメントに求められる役割やスキルは、職種や立場によって異なります。そのため、資格選びにおいても「有名かどうか」ではなく、「自分の役割にどう活かせるか」という視点が重要です。本章では、人事・営業・技術職などの職種別、また管理職やプロジェクトマネージャーといった役割別に、実務と結びつきやすいマネジメント資格を整理して紹介します。

人事・人材育成担当

人事・人材育成担当にとってのマネジメントは、個人やチームだけでなく、組織全体をどう成長させるかという視点が求められます。そのため、評価制度や育成施策を運用するための基礎的なマネジメント知識に加え、メンバーのキャリアや心理面を理解する力が重要になります。

具体的には、キャリアコンサルタントやメンタルヘルス・マネジメント検定試験など、人材との向き合い方を体系的に学べる資格が実務に結びつきやすいでしょう。また、ビジネスキャリア検定のように人事・労務を含む複数分野を横断的に学べる資格は、経営視点を持った人材育成を行うための土台として活用できます。

財務・経理・経営企画

財務・経理・経営企画の領域では、数字を扱う専門性に加えて、経営判断につなげるマネジメント視点が求められます。単なる記帳や集計にとどまらず、予算管理や投資判断、事業の収益性をどう捉えるかが重要になります。

この領域でマネジメントに役立つ資格としては、中小企業診断士や日商簿記検定が代表的です。特に中小企業診断士は、経営全体を俯瞰する視点を養うことができ、経営企画や事業責任者に近い立場での判断力を鍛える助けになります。数字と戦略を結びつける力を高めたい人に向いた資格といえるでしょう。

営業職

営業職のマネジメントでは、個人の成果を最大化するだけでなく、チームとして安定的に成果を出す仕組みづくりが求められます。そのため、営業活動のプロセスを整理し、メンバーを育成・支援する視点が重要になります。営業士などの営業分野に特化した資格は、営業活動の基本から戦略立案、マネジメントの考え方までを体系的に整理できる点が特徴です。現場経験を言語化し、部下への指導やチーム運営に活かしたい場合に、学び直しの手段として活用しやすい資格といえます。

技術職・ITエンジニア

技術職やITエンジニアは、専門的なスキルに加えて、プロジェクト単位で人やリソースを動かすマネジメント力が求められる場面が多くなります。特に、開発規模が大きくなるほど、技術力だけでは成果を出しづらくなります。PMPやプロジェクトマネージャ試験は、こうしたプロジェクト推進に必要な考え方を体系的に学べる資格です。また、ITストラテジストのように経営視点でITを捉える資格を組み合わせることで、技術とビジネスを橋渡しできる人材としての役割を担いやすくなります。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーには、進捗・品質・コストの管理だけでなく、関係者間の調整や意思決定を行う総合的なマネジメント力が求められます。そのため、経験を積む中で身につけた知識や判断基準を、体系的に整理することが重要になります。PMPやプロジェクトマネージャ試験は、実務経験を前提としながら、プロジェクトを成功に導くための考え方を言語化できる資格です。自身のマネジメントスタイルを振り返り、再現性を高めるための学習手段として位置づけると効果的でしょう。

管理職・管理職候補

管理職や管理職候補にとって重要なのは、専門分野に偏らず、組織全体を見渡すマネジメントの基礎を身につけることです。部下育成や業務配分、意思決定など、求められる役割は多岐にわたります。ビジネスマネジャー検定のような基礎的なマネジメント資格は、管理職として必要な共通言語を整理するのに役立ちます。加えて、担当領域に応じて人事・会計・プロジェクト系の資格を組み合わせることで、自分の役割に合ったマネジメント力を段階的に高めていくことが可能です。

 

04資格を業務に活かすためのポイント

資格は取得して終わりではなく、業務で活用されてこそ価値を発揮します。そのためには、取得後のアサインや制度設計、情報共有といった運用の工夫が欠かせません。本章では、資格を人材育成や業務成果につなげるために、企業側が押さえておきたいポイントを整理します。

取得後にスキルを活かすアサイン

資格取得の効果を業務成果につなげるためには、取得後にその知識やスキルを活かせる業務を意識的にアサインすることが重要です。例えば、プロジェクトマネジメント系の資格を取得した社員には、小規模でもよいのでプロジェクトの進行管理や調整役を任せることで、学んだ内容を実践に移しやすくなります。資格で得た知識は、実務で使うことで初めて定着します。まずは難易度の低い業務から経験を積ませ、徐々に役割を広げていく設計が有効です。

資格取得を支援する制度設計

業務と並行して資格取得に取り組むことは、個人にとって負担が大きくなりがちです。そのため、企業側が資格取得を後押しする制度を整えることが重要になります。受験料や教材費の補助、合格時の手当支給、学習時間の確保など、支援の形はさまざまです。金銭的な支援だけでなく、「挑戦してよい」というメッセージを制度として示すことで、社員の学習意欲を高めやすくなります。制度は取得を強制するものではなく、自発的な学びを促す設計が望ましいでしょう。

資格・スキルの社内可視化

資格を業務に活かすためには、誰がどのようなスキルを持っているのかが、組織内で把握できる状態をつくることが欠かせません。資格情報を人事データや社内プロフィールなどで共有することで、適切な業務アサインやプロジェクトメンバー選定につなげやすくなります。また、資格取得者が学んだ内容を社内勉強会や情報共有の場で発信することで、知識が個人に留まらず、組織全体に広がる効果も期待できます。

人事・育成担当が押さえる設計視点

資格活用を一過性の取り組みにしないためには、人事・育成担当が全体設計を意識することが重要です。どの層に、どの資格取得を期待するのか、取得後にどのような役割を担ってもらうのかをあらかじめ整理しておくことで、施策の実効性が高まります。また、評価制度やキャリアパスと連動させることで、資格取得が個人の成長や組織の戦力強化につながりやすくなります。資格は目的ではなく、育成施策の一部として位置づける視点が欠かせません。


 

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■資料内容抜粋
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05マネジメントに必要な能力とは

そもそもマネジメントに携わるためには、どのような能力が必要とされるのでしょうか。ここでは、代表的な能力について5つ解説します。

マネジメントに必要な能力

リーダーシップ

リーダーシップは、目標や方向性を示し、メンバーを前進させるための基盤となる能力です。ビジョンの共有や意思決定の姿勢が曖昧だと、チーム全体の動きにもばらつきが生じます。マネジメントにおいては、役職に応じたリーダーとしての振る舞いを理解し、状況に応じて使い分けることが求められます。

コミュニケーションスキル

マネジメントでは、指示や報告だけでなく、意図や背景を正しく伝えるコミュニケーションが重要です。上司・部下・他部門との認識のズレを防ぐことで、業務の停滞やトラブルを未然に防ぎやすくなります。対話を通じて信頼関係を築く力も、管理職に欠かせない要素の一つです。

チームビルディング

成果を上げ続けるためには、個人ではなくチームとして機能する状態をつくることが必要です。役割分担の明確化や関係性の構築を通じて、メンバーが力を発揮しやすい環境を整えることが、マネジメントの重要な役割となります。

問題解決能力

マネジメントの現場では、想定外の課題や判断を迫られる場面が多く発生します。課題を整理し、原因を構造的に捉えたうえで、現実的な解決策を導く力が求められます。論理的思考や多面的な視点は、経験と学習の両方によって磨かれる能力です。

プロジェクトマネジメント

人・時間・コストといった限られたリソースを管理しながら、成果を出すための能力がプロジェクトマネジメントです。計画立案から進捗管理、関係者調整までを俯瞰して捉える力は、職種を問わずマネジメント業務の質を左右します。

 

06人材育成を支えるSchoo for Business

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Schoo for Businessは、国内最大級9,000本以上の講座を保有しており、マネジメント能力の向上に繋がるコンテンツも揃っております。

導入企業数は4,000社以上、マネジメント研修はもちろん新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただけ、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。

受講形式 オンライン
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大企業から中小企業まで3,500社以上が導入

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Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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Schoo for Businessの特長

Schoo for Businessには主に3つの特長があります。

【1】国内最大級9,000本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実

マネジメントに役立つSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、9,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、チームマネジメントに役立つ授業を紹介いたします。

メンバーと心がつながる上司力

組織づくりにおける上司の在り方についての著書『『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』で話題の竹内義晴さんに教えていただきます。

 
  • 特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長

    "特定非営利活動法人しごとのみらい理事長の竹内義晴です。「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマにコミュニケーションや組織づくりに関わる企業研修や講義に従事しています。また2017年よりサイボウズ株式会社で複業を開始。複業や2拠点ワーク、テレワークなど今後の仕事の在り方を自ら実践し、地域を跨いだ活動経験からワーケーションや地域活性化のための事業開発にも関わっています。新潟県在住。 著書『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』(翔泳社)"

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元NHKアナウンサーが教える「心が動く話し方」

文章の書き方や伝え方は、これまで学校や職場、セミナーなどで習う機会はあったかもしれません。 では「話し方」はどうでしょうか。 おそらく少ないと思います。

ましてや、自分の声を録音し、話し方だけでなく、伝わる内容になっているか、深く分析したという方はさらに少ないでしょう。 相手が理解しやすい「話し方」を行うには、2つの点から工夫する必要があります。

  • 1.声を出して話すこと自体の工夫。
  • 美声など表面的な対策ではなく、あくまで聞き手にとって聞き取りやすいことを意識した、スピード・間・音程・声質の細かい調整を行います。
  • 2.話す内容の工夫。
  • なんとなくダラダラ話しては聞き手の心に届きません。中身をシンプルに、インパクトを与えるものにしておく準備が必要です。

この授業では、2回にわたり、上記2つのポイントを実演でご覧いただけます。 実際に放送の現場で行ってきた実践的な方法は、皆さんにとって重要な話す場面、プレゼンテーションやスピーチ、オンラインコミュニケーションなどで常に応用可能な、一生ものの武器になるはずです。

 
  • 株式会社マツモトメソッド 代表取締役

    1991年、NHKにアナウンサーとして入局。主な担当番組は、「英語でしゃべらナイト」司会「NHK紅白歌合戦」総合司会(2007,2008)「NHKのど自慢」司会「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」ナレーションなど。2016年6月退職し、同年7月から「株式会社マツモトメソッド」代表取締役。ビジネスで必要な「理解しやすく」「説得力のある」話し方はもちろん、原稿・スライドの構成までトータルでサポートする。マンツーマン指導を基本として、講演・研修・ワークショップなども実施。著書に「元NHKアナウンサーが教える/話し方は3割」(BOW&PARTNERS 2021年)「心に届く話し方65のルール」(ダイヤモンド社 2017年)がある。

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ビジネスパーソンとして押えておきたい「人材マネジメント」の基礎

本授業では、「人材マネジメント」について解説します。 いまさら聞けない「人材マネジメント」の言葉の意味や目的、効果的な方法、今後のマネジメントを皆さんで学んでいきましょう。

 
  • 株式会社壺中天 代表取締役

    立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。

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3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる

Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方2

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

管理画面の使い方1

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。

さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。

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07まとめ

さまざまな資格を紹介しましたが、冒頭でお伝えした通りマネジメントをするうえで資格は必須ではありません。ですが、資格をもっていることで有利になるケースがあることは確かです。また、実践のマネジメント業務で身につけた知識をそのまま資格取得に活かせることもあります。自分の業務内容や立場に応じて、必要であれば資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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