公開日:2021/05/28
更新日:2023/12/27

プロダクトマネジメントとは|プロジェクトマネジメントとの違いや必要となるスキルを紹介

プロダクトマネジメントとは|プロジェクトマネジメントとの違いや必要となるスキルを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

当記事では、プロダクトマネジメントについて解説しています。ビジネススキルやマーケティングのフレームワークとの関係について理解すれば、プロダクトマネジメントのスキルを高めることができるので参考にしてください。

 

01プロダクトマネジメントとは

プロダクトマネジメントとは、プロダクト(商品)と提供対象となる顧客を中心に据えて、ビジネス全般のマネジメントを行うことです。

プロダクトマネジメントを直訳すると「製品管理」という意味になります。しかし、プロダクトマネジメントの業務範囲は広く、「製品管理」に留まりません。商品企画、開発工程の管理、市場投入した後のマーケティング、撤退時期の見極めなど、事業工程の全てを担うのがプロダクトマネジメントと言えます。

プロジェクトマネジメントとの違い

プロダクトマネジメントは製品を管理対象として、製品企画から市場投入、撤退までを管掌します。そのため、求められるスキルは多岐に亘り、開発に関する知識や企画力、マーケティング能力などが求められます。

一方で、プロジェクトマネジメントはプロジェクトの進行管理が主な役割となります。そのため、開発に関する知見やマーケティングの見識が必要となるわけではありません。

したがって、プロダクトマネジメントに必要な能力の1つとして、プロジェクトマネジメント(進行管理)があるという整理が一般的です。

 

02プロダクトマネジメントの全体像

プロダクトマネジメントの全体像を、下記の順で解説します。 現状把握⇒ポジショニングと4P(マーケティングミックス)⇒ライフサイクルマネジメント

プロダクトポートフォリオによる現状把握

まず、既存の製品群の位置づけについて、現状把握を行う必要があります。 なぜなら、既存製品に対するテコ入れの必要性、あるいは製品の入れかえの必要性を最初に検討する必要があるからです。 現状把握の方法はありますが、代表的なものをいくつか紹介します。 下記の図はプロダクトポートフォリオマネジメントというもので、コンサルティング大手のボストン・コンサルティング・グループ社(BCG)が1970年に開発・提唱した経営分析の手法です。

プロダクトポートフォリオマネジメント

本来は、製品ごとに、どのように資金を投資分配するかを判断するために使われていましたが、製品ごとの現状を把握するのにも役に立ちます。 「負け犬」は市場撤退する方向性で検討することが多いですが、「問題児」はどのように右の象限に移行させるか、すなわちシェアを拡大するためにどのような方策をとるべきかを検討しなければなりません。 このように、現状の製品の立ち位置を分析し、新たな製品に入れ替えるのか、顧客の認知を広めるためにマーケティング方法を刷新するのか、などを最初に考える必要があります。

ポジショニングと4Pの検討

新たな製品を投入するにせよ、既存製品にテコ入れするにせよ、目指すべきポジショニングと、それに到達させるマーケティング施策を考える必要があります。 なぜなら、市場や顧客から受け入れられないと、目指すべきポジショニングに到達しないからです。 具体的には、STPを具体化していく必要があります。

  • 1)市場の細分化「Segmentation(セグメンテーション)」
  • 2)その市場のうち、どの顧客を狙うか「Targeting(ターゲティング)」
  • 3)その顧客に提供できる、自社の強みは何か「Positioning(ポジショニング)」

市場はどこを狙うのか、その市場で具体的にターゲティングすべきはどの顧客か、顧客に価値を感じてもらえる自社や自社製品の強みは何か、を具体的に決めていくのです。 そして、そのターゲティングした顧客に受け入れられるためのマーケティング施策、4P(マーケティングミックス)を検討し、実行していくのです。 マーケティングで検討すべき4Pとは以下の4つを示しています。

  • Product(顧客からみた製品価値)
  • Price(価格政策)
  • Place(流通・商流・販売の場所)
  • Promotion(広告宣伝・販売促進)

プロダクトのライフサイクルマネジメント

市場投入後は、製品のライフサイクルに沿ってマネジメントすることが必要です。 なぜなら、それぞれのライフサイクルのステージで実施する方策は異なるからです。下記の図はプロダクトのライフサイクルのステージです。

プロダクトのライフサイクルのステージ

どのような製品でも成長が鈍化、衰退することは起こり得ます。肝心なのは、自社製品がどのライフサイクルのステージにいるかを冷静に把握することです。 例えば、導入期のマーケティングと、成熟期のマーケティングは全く異なります。 導入期は市場のオピニオンリーダーから好感を得ることを目指し、それを起点に販売促進をします。また認知がないことから、先行投資が必要な時期でもあります。併せて、今後の見通しも含めて見極めを行います。 成熟期においては、販売チャネルの増加やリソースの拡充を行い、他社に先駆けてシェアを押さえることが肝要です。 飽和期を経て、他社も含めて市場への参入も多くなり、次期プロダクト、新サービスが増えてくると、衰退期が訪れます。全体の市場規模も縮小する可能性もあり、撤退するか、大きくテコ入れするのか、という判断を下す必要があります。

 

03プロダクトマネジメントを学べる本

プロダクトマネジメントの知見を深め、能力を高めたいと思ったときに、プロダクトマネジメントの書籍があまり多くないことに気づくでしょう。そこで、この項ではプロダクトマネジメント力を高めるために、おすすめの書籍を5つまとめてご紹介します。ビジネスマネジメントやマーケティングの書籍が中心ですが、プロダクトマネジメントにつながる考え方を学ぶことができます。

ブルーオーシャン戦略

1冊目は、ブルーオーシャン戦略です。 競合他社との差別化ではなく、顧客からみた価値を基準に新たな市場を作り出す方法論が記載されています。 市場でのポジショニングをどう実現するのか、というもっとも重要な仕事に際して参考になる書籍です。

▶︎参考:Amazon|[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する (Harvard Business Review Press)

イノベーションのジレンマ

2冊目は、イノベーションのジレンマです。 大企業が新興企業の「破壊的イノベーション」の前に力を失う理由を説明しています。自らの既存事業の大きさゆえに、新規事業や新製品自体が魅力的に思えないという問題を理解することができます。 イノベーションというテーマについて、自らの仕事、そして所属している企業をどう見るのか、内省するのに役に立ちます。

▶︎参考:Amazon|イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

マーケティング・コンセプト

3冊目は、マーケティングの大家、コトラー著作のマーケティング・コンセプトです。 マーケティングの基本からフレームワークの活用に至るまで、基本が余すところなく掲載されています。 マーケティングの入門から基本の確認まで、すべてを網羅できる1冊です。

▶︎参考:Amazon|コトラーのマーケティング・コンセプト

ジョブ理論

4冊目は、ジョブ理論です。 プロダクトは、顧客にどのような体験価値を届けるのか、が重要です。この書籍では、価値体験を理解するために重要なポイントである、顧客のニーズの本質に迫っています。 本当の顧客のニーズとは、というプロダクトやマーケティングにとっての最重要事項についての見識を深めてくれる書籍です。

▶︎参考:Amazon|ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

プロダクトマネジャーの教科書

最後に、プロダクトマネジャーの教科書を紹介します。 書籍タイトルのとおり、プロダクトマネージャーが身につけるべき知識・スキル、製品作りのために取り組むことが体系的にまとめられている書籍です。

▶︎参考:Amazon|プロダクトマネジャーの教科書

 

04プロダクトマネジメントに必要なスキル

プロダクトマネジメントに必要なスキルは多岐に亘ります。事業責任を担うという場合であれば、ほぼ全てのビジネススキルが求められると言っても過言ではありません。しかし、一般的には主に以下のようなスキルが必要と言われています。

  • ・顧客視点の戦略立案能力
  • ・マーケティングフレームワークの知識
  • ・数値分析・解析能力

上記で例として挙げたものは、企業や業種によることなく、プロダクトマネジメントに必要とされることの多いスキルです。

顧客視点の戦略立案能力

プロダクトマネジメントには、顧客視点の戦略立案能力が必要です。 製品を通じて顧客が価値を感じる体験を提供することで、自社の利益を生むことが重要だからです。 具体的には、カスタマージャーニーのような発想をもって、マーケティング・営業の戦略を顧客の期待や行動に合致させていく力が必要なのです。

マーケティングフレームワークの知識

プロダクトマネジメントには、古典的なものも含めてマーケティングフレームワークを理解し、活用できることが重要です。 古いとは言え現代でも通用し、活用できるフレームワークも多々あるからです。 当記事でも紹介した4Pなどは、自社製品の現状や課題を抽出するには使いやすいフレームワークですし、同じくSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)は、顧客視点に転換できれば今でも活用可能なフレームワークです。 このように、最新理論だけ分かっていればいいというわけではありません。最新のマーケティング理論も、今までの理論の上に成り立っていることが多いため、クラシックな理論も理解しておくことは重要なのです。

数値分析・解析能力

プロダクトマネジメントに、数値分析・解析能力は欠かせません。 製品を販売する際のマーケティングの成果は、定量化され振り返ることが求められるからです。また施策と成果の因果関係をつかむ必要性もあります。 例えばABテストは、よく実施されるマーケティング施策のひとつです。 〇〇率はBよりもAのほうが良かった、そのためAのほうが効果が高い、という一見穴のなさそうな結論も、実はAとBの母数の違いから、統計的な有意差があったかどうかを検証できていない、ということもあり得ます。 有意差がない計測上の誤差を「施策による効果の差」と誤認してしまう、疑似相関を相関関係があると錯覚してしまう、など落とし穴はいくらでもあります。 このように、最低限の統計解析の知識をもって数値を取り扱わないと、判断を誤ることになりかねません。


 

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05プロダクトマネジメント研修|Schoo for Business

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Schoo for Businessは、国内最大級8,000本以上の講座を保有しており、プロダクトマネジメントに必要なスキルを学ぶことのできるコンテンツも揃っております。

導入企業数は3,500社以上、新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただけ、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。

受講形式 オンライン
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大企業から中小企業まで3,500社以上が導入

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導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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プロダクトマネジメントに関するスキルを学べる講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、プロダクトマネジメント力向上に役立つ授業を紹介いたします。

基礎から学ぶ事業戦略策定のノウハウ

本コースでは、事業戦略策定の初心者の方向けに、ゼロから体系的に事業戦略の策定方法を学んでいきます。 多くの事例を見ていきながら、事業戦略策定の技術について学んでいきましょう。

 
  • 桜美林大学 ビジネスマネジメント学群 准教授

    1969年生まれ。NEC、NEC総研を経て、富士ゼロックス総合教育研究所(現・パーソル総合研究所)入社。戦略系の研修・コンサルティング、戦略策定合宿の企画・ファシリテーション、管理職研修、経営幹部候補者研修を担当。2020年より現職、および東証プライム上場企業社外取締役。その間、一橋大学非常勤共同研究員、東京都立大学ビジネススクール非常勤講師を歴任。 上智大学経済学部卒業、一橋大学大学院修士課程修了(MBA)、東京工業大学大学院博士後期課程修了(博士(技術経営))。主要著書に『事業戦略策定ガイドブック』、『事業戦略実践ガイドブック』、『戦略実行とミドルのマネジメント』(いれも単著、同文舘出版)。

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顧客理解を深める はじめてのジョブ理論

本授業では、「ジョブ理論」について初めて学ぶという方でも理解できるよう、第1回の授業で「ジョブ理論」の基本的な考え方を学んでいきます。そして、第2回ではバリュー・プロポジション・キャンバスというフレームワークを使い、「ジョブ理論」を活用していく方法を学びます。

 
  • 株式会社やさしいビジネスラボ 代表取締役

    経営学者/YouTuber。経済学博士(東京大学)。大阪大学経済学研究科准教授を経て独立。「アカデミーの力を社会に」をモットーに、日本のビジネス力の底上げと、学術知による社会課題の解決を目指す。専門は、イノベーション・マネジメント、経営戦略論。 主な著書に『ど素人でもわかる経営学の本』(翔泳社)『感染症時代の経営学』(千倉書房)『戦略硬直化のスパイラル』(有斐閣)など。YouTube「中川先生のやさしいビジネス研究」では毎週火・木・土に経営学講義や時事解説動画を配信中。

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データ分析力を磨く‐ 仮説の構築と検証

この授業では、データ分析のプロセスを「仮説構築」と「仮説検証」の大きく2つにわけて、それぞれのプロセスでのポイントを学んでいきます。

 
  • マーケター

    1984年生まれ。龍谷大学法学部卒業後、データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院で"学び直し"。 その後、株式会社デコムなどでデジタルマーケティング、消費者インサイト等の業務に携わり、現在は「テクノロジーで『今起きていること』を明らかにする報道機関」を目指す報道ベンチャーにてマーケティング全般を担当している。 政治、経済、文化など、さまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とし、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌にも登場している。 ◇主な著書 「なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~」(光文社)2019 「誤解だらけの人工知能」(光文社)2018 「データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」(毎日新聞出版)2018

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06まとめ

近年、消費者の購買行動は大きく変化しています。それに伴い、マーケティングの方法も変化しています。 一方、製品を作り出すには、一定のタイムラグが生じます。変化の早い時代だからこそ、素早いPDCAが求められます。それゆえプロダクトマネージャーには、戦略立案能力からマーケティングに至るまで、広範囲の能力が求められます。マーケティングのフレームワークや統計解析の知識を活用する必要もあるでしょう。 時代の変化に対応するためにも、自社のプロダクトマネジメントを再度見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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