エンゲージメントとは|ビジネスにおける意味と高める方法を紹介

ビジネスシーンにおけるエンゲージメントとは社員の会社に対する愛着心や思いの大きさの指標となるものです。社員のエンゲージメントは高めることでモチベーションが維持され、組織の成長にもつながる重要な要素です。本記事ではエンゲージメントを高めるメリットや方法について詳しく解説します。
- 01.エンゲージメントとは
- 02.エンゲージメントの種類
- 03.エンゲージメントが注目される背景
- 04.従業員エンゲージメントを高めるメリット
- 05.従業員エンゲージメントを高める方法
- 06.エンゲージメントを調べるサーベイの種類
- 07.従業員エンゲージメント向上事例
- 08.強い学習文化でエンゲージメントを高める
- 09.まとめ
01エンゲージメントとは
エンゲージメントはもとは英単語で、さまざまな意味があります。「社員のエンゲージメント調査」といったように近年、ビジネスの場で頻繁に使われる言葉となっています。ここでは、エンゲージメントの言葉の定義とビジネスにおけるエンゲージメントはどのような意味で、どのような使われ方をされているのかについて解説していきます。まずは正しい言葉の意味を押さえていきましょう。
エンゲージメントの定義
エンゲージメントとは、英語で「engagement」と表記し、「婚約」「誓約」「約束」「契約」といった意味を持つ英単語です。意味合いはどのような場面で使用するかによって異なりますが、「深い繋がりを持った関係性」を示す言葉となります。
企業・ビジネスにおけるエンゲージメントとは
企業・ビジネスにおけるエンゲージメントとは、従業員の会社に対する「愛着心」「信頼感」「思い入れ」のことを指します。従業員が自社に愛着を持ち、一つの目標に向かって一体となって取り組む関係性をイメージすると良いでしょう。企業の成長にも直結するため、人事領域では非常に注目されています。
02エンゲージメントの種類
企業・ビジネスにおける「エンゲージメント」には「従業員エンゲージメント」と「顧客エンゲージメント」の2つがあります。 どちらも企業の利益に直結する重要な指標で、特に管理職や人事担当者には覚えておいていただきたい内容です。
従業員エンゲージメント
「従業員エンゲージメント」とは、従業員が仕事や企業に対して感じている信頼度・愛着度の指標です。従業員エンゲージメントが高いほど従業員と経営層の絆は強く、企業にさまざまなメリットをもたらします。詳しくは後ほど解説します。 また、従業員エンゲージメントは「働きがい」と同義で捉えられてしまうことがありますが、「働きがい」は従業員が主体的に自分の意思で仕事に取り組む状態のことです。「従業員エンゲージメント」の方が定量度の高い指標で、こちらも後述しますがパッケージ化された調査方法があるため合わせて覚えておきましょう。
顧客エンゲージメント
「顧客エンゲージメント」とは、顧客の企業に対する信頼度・親密度を表す指標です。顧客エンゲージメントが高ければ、今後も自社の商品・サービスを扱ってもらえる可能性が高まります。従業員エンゲージメント同様、現状の企業体制に問題はないか測ることのできる指標であるため、CS(顧客満足度調査)を通してチェックしておきましょう。 顧客エンゲージメントの改善は、売上改善とイコールです。
03エンゲージメントが注目される背景
エンゲージメントは昨今、主に企業側で注目されています。その背景にはどのようなものがあるのか、その理由を主に4つほどご紹介します。
人材確保が困難になっている
終身雇用が崩壊した現代。優秀な人材は働きがいのある、待遇の良い企業に移る傾向にあります。転職は決して珍しいことではなくなりました。加えて、少子高齢化で多くの企業は常に人手不足の状態です。 人材確保が困難な状況だからこそ、従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みが企業には求められています。
個人の価値観の変化
前述した市場の変化は、企業と個人の価値観にも変化をもたらしました。 人生100年時代における労働者の価値観は、待遇や安定性を求めるだけでなく、働きがいや従業員同士の繋がり、働くことで得られる成長も重要視されています。 企業側は価値観の多様化を尊重・把握した上で、労働環境の改善を検討する必要があります。
働き方の変化
コロナ禍で新しい働き方「リモートワーク」が急速に発展しました。 好きな場所で働ける自由度から、従業員のエンゲージメントを高めるための一つの手法として取り入れる企業も増えてきました。 しかしその反面、対面でのコミュニケーションが取れないため、従業員の感じている仕事に対する不安や不満を汲み取ることが以前よりも困難になりました。 リモートワークは、コロナウイルス終息後も働き方の一つとして定着が予想されます。従業員エンゲージメントを把握するための手法を今のうちに整えておきましょう。
業績向上への影響
エンゲージメント調査ツールを提供するリンクアンドモチベーションの調査によると、従業員エンゲージメントのスコアと営業利益率、労働生産性は相関しており、従業員のエンゲージメントが高ければ、営業利益や労働生産性が向上すると発表しています。一方で、経済産業省が発表した情報によると、エンゲージメントの高い社員の割合は世界平均で15%なのに対し、日本におけるエンゲージメントの高い社員の割合は6%と調査対象の139カ国中132位となっていることから、多くの企業ではエンゲージメントを高めることに意欲的となっています。
04従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントにフォーカスして高めることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。どういった状態がエンゲージメントの高さを示すのか、わかりづらい指標であるため、実施を検討する方も少なくないでしょう。どのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
業績の向上
従業員エンゲージメントが高ければ高いほど、従業員は企業のために前向きに働いてくれるでしょう。従業員エンゲージメントが高い組織であれば、長期的に高品質の製品・サービスの提供が期待できるため、顧客満足度の向上に繋がり売上は増加します。売上の増加は報酬・待遇の向上にも繋がります。 このような正の循環を従業員エンゲージメントを向上させることで、能動的に発生させることが可能です。
離職率の低下
企業にとって優秀な人材の流出は大きな損失です。従業員エンゲージメントが高い=企業への愛着度が高いであるため、エンゲージメントの向上は離職率の低下に繋がります。 報酬面の充実だけでは従業員エンゲージメントは高められません。良好な人間関係と価値観の共有など、心理的な愛着度の向上を企業は目指しましょう。
05従業員エンゲージメントを高める方法
従業員エンゲージメントを高めるには、正しい手法を把握することが第一です。 企業の規模問わず実施できる、従業員エンゲージメントを高める効果的な手法を紹介します。
労働環境の改善
昨今はマスメディアで企業の不祥事が取り上げられることが増えました。不祥事の原因は劣悪な労働環境やモラハラやパワハラなどのハラスメントがほとんどで、従業員も企業環境に敏感になっています。一見企業にとってマイナスに思えるかもしれませんが、裏を返せば、周りの企業よりも良い労働環境を提供できれば、従業員エンゲージメントを高められやすいということです。 企業側は常に改善できることはないか考え、従業員の反応にアンテナを張りましょう。
人事評価の適正化
従業員エンゲージメントは、公正な評価を行うことで向上します。成果に応じた報酬が与えられることで、従業員の企業に対する信頼感は増し、さらに日頃の業務に従事してくれます。 賞与の査定評価を行う際は、上司と従業員が1on1で面談を行う、定期的なミーティングを実施し人事に対する意見をヒアリングするなどの工夫をすると良いでしょう。
社内コミュニケーションの活性化
プライベートで遊んだり、楽しい会話をするだけがコミュニケーションではありません。上司が自分の考え、従業員に期待することを分かりやすく適切なタイミングで共有することもコミュニケーションの一つです。目的が不明瞭な仕事は質を落とすだけでなく、上司に対する不信感も抱かせてしまいます。従業員が疑問を抱きながら仕事に取り組むことがないように、上司は自分との面談を増やすなど、お互いの価値観を共有する場を設けることを意識しましょう。
06エンゲージメントを調べるサーベイの種類
「従業員エンゲージメントの重要性は感じているけど調査方法がわからない」といった企業担当者向けに、すぐに実践可能な手法を紹介します。
パルスサーベイ(意識調査)
パルスサーベイ(意識調査)は、本質的かつ手軽に行える意識調査です。 隔週もしくは月1回のスパンで15問程度の簡単な質問を繰り返すことで、社員の満足度や現場で起こっている問題などを把握できます。 職場での出来事やプライベートの悩みなどで従業員の心理は毎日のように変化します。年1〜2の大規模な調査では、とても従業員に寄り添っているとは言えません。タイムリーに従業員の心理を把握できることが大きなメリットです。 質問内容には下記のようなものが挙げられます。
- ・業務を通じて成長を実感していますか?
- ・企業のビジョンを理解できていますか?
- ・現在の業務量に過不足や不満はありませんか?
このように、満足度・業務内容・経営理念に関するYES・NOで答えられる質問を用意しましょう。 また、実施前には実施する目的をしっかりと従業員に共有しましょう。「正直に答えると評価が下がるのでは」と思わせないように、正直な回答を促すことがポイントです。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、いくつかの質問を実施して、エンゲージメントを測定することで、組織の状態を可視化する診断ツールです。最近では、人的資本への投資が積極的に行われているという背景もあり、さまざまなエンゲージメントサーベイがあります。主なサービスとして、次のようなものが挙げられます。
パルスサーベイとの違いとして、エンゲージメントサーベイは質問数が多いことから、一回の実施で得られる情報が多くありますが、社員の回答負荷が高いことが特徴として挙げられます。また、質問内容は心理的充実や会社への貢献意欲についての質問が多くあります。
- ・この会社を友人に紹介したいですか?
- ・この会社で働くことに誇りを持っていますか?
エンゲージメントを調査する方法はさまざまありますが、パルスサーベイとエンゲージメントサーベイを組み合わせて実施することで、充実した調査結果を得ることができます。
07従業員エンゲージメント向上事例
最後に、従業員エンゲージメントの向上を成功させた企業事例を紹介します。代表的な大手2社の取り組みを参考に実施できるか検討してみるといいでしょう。
スターバックス
スターバックスは働く仲間を「パートナー」と呼び合い、人種・性別・障害の有無・価値観の違いをお互いに尊重し合う企業文化を体現しています。 サービスに関するマニュアルがほぼ存在せず、ドリンクカップへのメッセージや顧客へのおいしい飲み方のアドバイスなどは、全て店員が自発的に行なっています。マニュアルを用意せずに個人の価値観を尊重した企業側の環境づくりがエンゲージメントを向上させました。 また、2002年には、障がいが理由でサポートが必要なパートナーへの支援プログラムとして、「チャレンジパートナー サポートプログラム」をスタート。障害のないパートナーと遜色なく働くための仕組みを設けています。
▶︎参考:「スターバックス公式ホームページ、プレスリリース」
LIXIL
LIXILは「従業員の多様性を高め、会社に誇りを持って一人ひとりが高い生産性のもと持てる力を最大限に発揮できる環境づくりの実現」に向けて取り組んでいます。 時代に順応してテレワークを取り入れるだけでなく、従来のフレックス制度のコアタイムを廃止し、これまで以上に働く時間の選択肢を広げた「スーパーフレックスタイム」を導入しました。育児に忙しい母親でも安心して仕事に従事できるような環境づくりを実現しています。さらに、オフィス整備を一新し、「集中エリア」「コミュニケーションエリア」「気分転換の座敷」など多様な機能を設置。従業員のエンゲージメントを高めるだけでなく、新事業の創造にも繋がっています。
▶︎参考:「LIXIL公式ホームページ、働きがいのある職場」
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08強い学習文化でエンゲージメントを高める
Deloitte社が行った調査によると、強い学習文化のある組織は30~50%ほどエンゲージメントが高くなることがわかっています。Schoo for Businessでは、強い学習文化をつくる支援も実施しています。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Business |
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受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 7,500本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級7,000本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実
Schooの導入企業事例
Schoo for Businessは、さまざまな業界の企業で導入されています。以下で3社ほど紹介いたします。
株式会社丸井グループ
株式会社丸井グループでは、Schoo for Businessの生放送授業を活用したオンライン研修を行いました。生放送授業を行うことで学びのきっかけづくりになるだけでなく、コメント機能などを通じて受講者の疑問にリアルタイムで答えることで質の高い研修を実現しています。
株式会社丸井グループ
サントリーホールディングス株式会社
サントリーホールディングス株式会社では、Schoo for Businessの録画授業と社内限定の生放送を組み合わせたオンライン研修を行いました。動画視聴を行った後に生放送で意見交換の機会を設けるという構成で実施しています。その為知識の定着度が向上はもちろん、生放送授業中の意見交換をより活発に行うことが可能になりました。
サントリーホールディングス株式会社を見る
コニカミノルタジャパン株式会社
コニカミノルタジャパン株式会社は、職場での変革推進について社内でヒアリングを行った結果、「研修を受けても実践をイメージしにくく、その場限りの学習になっている」「業務に必要なスキルを学ぶ機会が少ない」という課題がありました。そこでSchoo for Businessを導入し、研修を受ける前の事前学習と、研修後に自分が学びたいことや課題感から授業を選び、主体的に学習する習慣化づくりを推進しています。
コニカミノルタジャパン株式会社の事例を見る
09まとめ
従業員エンゲージメント向上の重要性と方法を解説しました。 事業内容や目の前の数字に意識が向きがちですが、その数字を生んでいるのはほかでもない従業員です。従業員が成果を出しやすい環境か、自社に不満はないかなど、従業員に配慮した考えを常に持ちましょう。
▼【無料】“働きがい”の追求で実現する人的資本経営|ウェビナー見逃し配信中

従業員エンゲージメントを高める組織作りついてのウェビナーアーカイブです。なぜ、自律的な組織を作る上で働きがいのある環境が必要なのか。どういうプロセスを経れば働きがいのある会社を作れるのか。人的資本時代のスタンダードとなり得る働きがいのある会社と組織づくりの方法を深掘りします。
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登壇者:荒川 陽子 様Great Place to Work® Institute Japan 代表
2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。