ビジネスにおける対応力とは?身につけるメリットや鍛える方法も解説

変化が激しい現代のビジネスシーンで生き残るには、対応力が必要だと言われます。しかし、対応力とは具体的にどんなものであるか、ご存知でしょうか。この記事では、対応力が意味するところや身につけるメリット、その鍛え方もご紹介します。
- 01.ビジネスにおける対応力とは
- 02.対応力があることのビジネス上のメリット
- 03.対応力がない人の特徴
- 04.対応力を身につける方法
- 05.対応力を向上させるSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01ビジネスにおける対応力とは
何かトラブルに見舞われたとき、対応力がある人はサッと解決策を示し、問題を解決できる。そんなイメージがあるでしょう。 具体的に「対応力」をひとことで表すならば、「発生した様々な問題に対処し、柔軟に対応する力」と言えます。 変化が激しく、予想もできないようなトラブルが発生する昨今のビジネスシーンにおいて、対応力が重要であると言われる機会も多いでしょう。 一見同じようなトラブルが起こったとしても、関わる人やステークホルダーが違ったり、発生原因の微細な異なったりといった小さな違いが積み重なり、結果的に「行うべき対応」が大きく変わってしまうこともあり得ます。そういった、諸問題に問題なく対応できる人材が求められているのです。
適応力との違い
対応力について理解を深めるためには、周辺の用語について知っておくことも大切です。対応力に似た言葉として「適応力」が挙げられるので、ここで理解しておきましょう。 「適応力」は、「様々な状況へと自分を変化させて適応する、状況に合わせる力」と考えられます。 事前準備を行ったり自分から働きかけることも多い「対応力」は、やや積極性が求められる印象があります。それと比べると、「適応力」には少し受け身な印象があるかもしれません。 しかし、自分の働きかけでは状況を変えることが難しく、変化を受け入れて適応していくということが「最適な対応である」という場合もあります。 適応力は対応力を高めるために必要な要素の一つ、と考えても良いでしょう。
02対応力があることのビジネス上のメリット
現代のビジネスでは対応力が求められる、という話に異論がある方は少ないでしょう。 では実際に、対応力をもっていると具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。 主な3つのメリットについて、解説します。
- ・1.不測の事態を解決できる
- ・2.チームに余裕が生まれる
- ・3.将来のリスク回避にもつながる
1.不測の事態を解決できる
不測の事態を解決できる、という点こそが、対応力を備えていることの最大のメリットといっても過言ではないでしょう。 例えば、当初の計画よりも売上や目標に対して進捗が悪い、プロジェクト進行中にトラブルがあり、進行に影響するなど、ビジネスシーンでは当初想定した通りに行かない事態は少なくありません。 そのような状況に陥った状況においても、対応力がある人材であれば、まず事態の現状を正しく把握し優先的に対応すべきことが何かを導き出すことができます。
2.チームに余裕が生まれる
対応力がある人は、不測の事態にある程度備えて準備しています。 何か問題があったとき、あらかじめ解決策を用意しているか、または対応する方法を考えています。 問題が発生してから危機感を覚え、慌てはじめ、場当たり的に問題に対応する、ということがありません。そういった対応力がある人物が多いチームでは、チーム全体が疲弊しません。 チームの余裕は、ビジネスを推進する新たな提案やイノベーションに直結しています。もちろん、そういった余裕のあるチームで働きたい、と考える人が多いでしょう。 反対に、対応力が低い人が多いチームだとチーム全体が疲弊し、発生した問題への対処に終始してしまいます。事前予測や問題対応を準備しておかないため、場当たり的な対応をせざるを得ないためです。
3.将来のリスク回避にもつながる
対応力がある人は事前に準備をしておくことで、中長期的なリスクを回避することができます。これは、対応力がある人はリスク予測やリスク回避にも優れていることを示します。 現在の状況や問題だけでなく、自分の業務を引き継いだ後や、未来に起こるリスクなどにもあらかじめ備えておくことができるのです。 例えば、現在は物流ルートに問題ないが、何かあって資材が足りなくなった場合に備えて、国内にも資材調達の目途を立てておくなどが挙げられます。 今はそのリスクに直面せずとも、いつか問題が表面化した際にその備えが役立つでしょう。
03対応力がない人の特徴
人材の中でも、対応力がない人にはどのような特徴が挙げられるのでしょうか。以下の3つの特徴を解説していきます。
- ・1.準備不足や想定不足
- ・2.視野が狭い
- ・3.そもそも知識が不足している
1.準備不足や想定不足
対応力に乏しい人の多くは、準備や想定が不足していることにあります。 そういった方は、問題が表出してはじめて、問題に対する対応の準備に取り掛かります。 具体的には、リスク予測が足りないのです。 どういった問題が起こりえるのか、その問題がプロジェクトに与えるインパクトはどの程度で、どのくらいの確率で起こるのか、といった想定ができていません。 リスクへの想定ができないため、当然、準備も不足したものになってしまうでしょう。 偶然、何も問題が発生せず無事にプロジェクトを終えられることもあるでしょう。しかし、問題は起こるものです。何度もプロジェクトを経験していれば、いつか低リスクの問題ですらも発生し、そしてプロジェクトに大きなダメージを与えるでしょう。
2.視野が狭い
対応力に乏しい人は、視野が狭くなっており、一部の課題や問題に過度に集中してしまっている傾向があります。 全体を俯瞰して対応できていないのです。 その場の問題や集中して取り組んだ一つの問題は解決できたとしても、全体を見ていないため、解決策がまた別の問題を生んだり、ハレーションが起こったりしてしまいます。 対応力が低い人は、起こりうる事態を想定する力が不足しているといえます。そのため、何か問題が発生したときに慌ててしまい、その発生した問題だけに集中してしまうのです。
起こった問題に場当たり的に対処している
視野が狭くなってしまうと、全体を俯瞰できないために別の問題を生んでしまったり、別の場所で発生している問題に対処できなくなってしまいます。 これは、時系列で考えても同様のことが言えます。 つまり、「当然、次はこういう問題が表出するだろう」という予測がないため、あらかじめ打ち手を用意できません。一つの問題を解決したことでまた新たな問題が生まれたり、時間経過で生まれる問題への準備ができないのです。 次々に生まれる問題に対して、全て場当たり的に対処するいわゆる「もぐらたたき」の状態となってしまいます。そのため、リソースが削られていくのです。
3.そもそも知識が不足している
対応力の不足が、別の要因が原因である場合もあります。 それが、担当する業務への知識不足です。本来は知っておくべき知識や業界の常識などが欠落していると、思わぬトラブルに見舞われます。そして、それに対処する術を知らないため、どんどんと負のスパイラルに陥っていくのです。 これは準備不足とも重なります。そもそも知識を身につけるという大前提の準備が不足しており、それゆえに全体像を把握できず、プロジェクトの準備も不足してしまう、という状態です。 ただしこれは、初めて行う業務であったり、権限的に過去の知見にアクセスできなかったりする場合、やむを得ないこともあります。
04対応力を身につける方法
それでは、どうすれば対応力を身につけ、鍛えていくことができるのでしょうか。次に、対応力の身につけ方についてご紹介します。
- ・1.まずは業務スピードを上げる
- ・2.見通しを立ててから動く
- ・3.失敗のパターンを想定しておく
- ・4.経験を共有し組織として対応力を高める
1.まずは業務スピードを上げる
対応力に直接関係ないと感じるかもしれませんが、実は業務スピードは密接に関係しています。 スピードも質も両方大事ですが、どちらかしか選べないとしたら、まずはスピードを優先しましょう。 例えば、内容の9割が完成した状態で、日程が80%進んだ段階で成果物を提出したとしましょう。方向性が間違っていたとしても、いまさら方向転換できず、どうしようもないのではないでしょうか。 内容の5割が完成した状態で、日程が50%進んだ段階で提出した方が、途中で精査でき、方向転換も修正もできるので良いでしょう。 最終的には、内容の8割が完成した状態で、日程が50%進んだ段階で提出することができると理想です。しかしいきなりは難しいので、段階的に目指していきましょう。 まずは業務スピードを上げ、「対応できる余地」がある状態を作ることが重要なのです。
2.見通しを立ててから動く
対応力がない人の特徴として、準備不足と想定不足、そして視野が狭いことを挙げました。 全体工程の進め方を計画し、見通しを立ててから動き始めるというのは、準備不足や想定不足の解消に役立ちます。 もしあなたがチームリーダーであるなら、ガントチャートやWBSと呼ばれる作業見通しを作っておくのが良いでしょう。 全体でどういった作業がなされるのか、その見通しがないため、問題の発生に対して場当たり的な対応になるのです。 あらかじめ全体を予測しておけば、その過程で想定不足も解消されていきます。また、視野が狭くなるという状況に陥ることも防ぐことができるでしょう。 見通しを立てる習慣を付けるというのは、対応力を鍛えるうえで効果的です。
3.失敗のパターンを想定しておく
準備不足と想定不足を解消するもう一つの手法が、失敗のパターンを想定しておくことです。リスクマネジメントとリスクヘッジを適切に行うこと、と言い換えることもできるでしょう。
- ・準備すれば回避できる失敗
- ・起こってしまったらどうしようもないこと
- ・起こったら絶望的だが起こってしまったらどうしようもないこと
など、上述のように切り分けて失敗のパターンを整理して考えておくと良いでしょう。 そうすることで、短期的に考えておくべきリスク、また現時点では注力して取り組むべきではないリスクを分別して取り組むことができます。
マトリクスを作るのも効果的
リスクについて準備と想定を行う際、マトリクス図を作ることもおすすめです。 縦軸にリスクの発生確率をとり、横軸に事業へのインパクトをとります。
- ・発生可能性が高くインパクトが強い
- ・発生可能性が低くインパクトが強い
- ・発生可能性が高くインパクトが弱い
- ・発生可能性が低くインパクトが弱い
すると、上記4つのゾーンに分けられるリスク図を描けます。 ここに、考え得る問題を予測し、描き込んでいくのです。 例えば、「発生可能性が低くインパクトが弱い」問題は、ほとんど無視してもいいでしょう。反対に「発生可能性が高くインパクトが強い」問題には積極的に対処すべきです。その際には、前述した「どの程度対応可能なのか」という視点ももっておきましょう。
4.経験を共有し組織として対応力を高める
別チームが出会った失敗や起こったリスクを共有する習慣や仕組みを根づかせるのも効果的です。 別チームが経験済みであるにも関わらず、それをあえて共有せず、自分たちもまるで初めて直面するかのように問題と向き合う必要はありません。それでは、組織で仕事をしていることの価値が失われてしまっています。 自分たちの失敗は恥ではなく、それを共有することは他チームの失敗を減らすことと同義です。ひいては、他チームの失敗を共有してもらい、自チームの失敗を減らすことにもつながるのです。 個人の対応力を高めることも重要ですが、組織としての対応力を上げる方法もある、と知っておきましょう。
05対応力を向上させるSchooのオンライン研修
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中尾マネジメント研究所 代表取締役社長
中尾マネジメント研究所 代表取締役社長 兼 LIFULL取締役、旅工房 取締役、博報堂フェロー、東京電力フロンティアパートナーズ 投資委員、LiNKX監査役。2019年中尾マネジメント研究所を、自律してマネジメントできる経営リーダを育成するために設立。仕事をするスタンスとして、世の中に役立つ会社の世の中に役立つテーマである事。そして当社が役立てる内容、形で、『気持ちの良い方々と一緒』にプロジェクトを進められる事を大事にしています。リクルートグループ29年間でIT会社社長、住宅領域での事業開発担当執行役員などを通じて事業執行、事業開発、管理会計、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIなどのスキルを習得。著書として『最高の結果を出すKPIマネジメント』12刷。『「数字で考える」は武器になる』6刷など13冊。最新刊として『世界一シンプルな問題解決』を2022年2月19日発売。
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有限の時間の中で、生産性高く仕事を行っていくには、課題の本質を見極めることが大切です。「課題解決」という言葉がビジネスシーンでよく聞かれるようになり、私たちは解決案や施策案に目を向けがちですが、課題をしっかり設定することに時間を割いた方が施策の成功確度も上がり、結果的に生産性が高まります。業務処理能力が優れていても最初の課題設定が間違っていては、本来達成したい成果を出すことはできないのです。 本授業では、生産性やアウトプットの質を高める上で重要な「課題設定力」をどのように磨いていくか、そのノウハウについて学んでいきます。
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株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成功しない」との思いから、専門を人材育成分野に移し、人材開発のプロジェクトをリード。 2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。ベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。講師として、大前研一ビジネス・ブレークスルー、日本能率協会、日経BPセミナー、大手銀行系研修会社などに多数のプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。 著書は「一流の学び方」など現在18冊を出版。東洋経済オンライン、プレジデントオンラインなど連載多数。
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06まとめ
「変化が激しい現代」と言われて、それを疑う人はもはや存在しないでしょう。 感染症の流行や戦争などの国際問題にはじまり、ビジネスに影響を与える大きな変化をいくつも経験してきたからです。 そして、これからもこういった変化は訪れるはずです。そう考えれば、対応力がある人材の確保や、既存メンバーの対応力の強化は急務であると感じられるのではないでしょうか。 ぜひこれを機に、対応力がある人材とはどういった人か、どうやったらメンバーの対応力を上げられるかについて考えてみてください。