公開日:2022/09/16
更新日:2023/01/30

ハーズバーグの二要因理論とは?最大限に活かすための5つの方法と3つの注意点を解説

ハーズバーグの二要因理論とは?最大限に活かすための5つの方法と3つの注意点を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ハーズバーグの二要因理論とは、モチベーションに関わる要因を、満足に関わるものと不満足に関わるものとに分けた考え方です。本記事では、二要因理論を企業のマネジメントに活かすための方法と、注意点を解説しています。人事担当者やマネジメント担当者は、ぜひ参考にしてください。

 

01ハーズバーグの二要因理論とは

ハーズバーグの二要因理論とは、産業化が著しく進む19世紀に、アメリカの臨床学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した理論です。この理論における考え方は、特定の要因が満たされている・または満たされていないことで満足度が変わるのではなく、「満足」に関連する要因(動機付け要因)と「不満足」に関連する要因(衛生要因)は別々に存在しているというものです。つまり、社員が不満に思うこと(衛生要因)を解消しても、必ずしも満足には繋がるわけではない、という点がこの理論の特徴です。 この理論が提唱された19世紀は、産業化が急速に進む社会情勢を背景に、モチベーションを高め個人の生産効率を向上させることが重視されていました。このような状況のもとで、ハーズバーグは仕事へのモチベーションに関わる要因に興味を持ち、エンジニアや経理担当事務員への調査を通じて、二要因理論を確立したのです。

注目される理由

ビジネスシーンにおいては、ハーズバーグの二要因理論が注目を集めつつあります。この背景には、労働人口の減少に伴う人手不足という現状が潜んでいます。 労働力が不足している昨今においては、限られた従業員数で売上を上げるため、従業員一人ひとりの生産性をいかに高めるかが重要です。そのため、二要因理論を取り入れることで従業員の満足度を高め、不満足と感じる要因を排除すれば、モチベーションが高まり生産性もアップすると期待されているのです。 また、従業員の満足度が高まれば、自社へのエンゲージメントがアップし、離職率が低下するメリットもあります。離職率が低下すれば、貴重な人材を失う機会が減るばかりではなく、求職者に対する企業イメージが上がって、優秀な人材を集められる可能性もあります。 このように、離職率の低下とモチベーションアップによる生産性の向上というメリットがあるため、ハーズバーグの二要因理論が注目されているのです。

 

02二要因理論の動機付け要因とは

二要因理論では、従業員の満足度を高める要因を動機付け要因と呼びます。ハーズバーグは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」が、動機付け要因であるとしています。 例えば、仕事で同僚や上司から働きぶりを認められることや、仕事におけるやりがい、社内でのポジションが上がってより責任のある仕事を任されることが、動機付け要因です。また、仕事を通じて自らのスキルアップや成長を感じられることも、動機付け要因に含まれます。 二要因理論では、動機付け要因が満たされると従業員は満足感を覚える一方で、満たされていなくても不満足を引き起こすわけではないとされています。動機付け要因は、外的環境への欲求というよりは、従業員自らの内面における承認欲求と言えます。

 

03二要因理論の衛生要因とは

従業員の満足度を低下させて不満足を引き起こす要因が、二要因理論における衛生要因です。「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」が、衛生要因であるとされます。 具体的には、給与面の待遇や労働時間・休日などの労働条件、企業の方針と人事制度といった項目が、衛生要因の一例です。動機付け要因は従業員の内面における欲求である一方で、衛生要因は外的環境に対する欲求であると言えます。 衛生要因が満たされないと従業員は不満足を引き起こしますが、動機付け要因と同様に、満たされたからと言って満足度を高めるわけではない、とハーズバーグは提唱します。つまり、衛生要因はただ従業員の不満足を予防する意味合いしか持たないということです。

 

04二要因理論の2つの要因の関係性

二要因理論における2つの要因は、お互いに足りない部分を補いあっている関係です。動機付け要因は満足度を高められる一方で、不満足を解消することはできません。 また、衛生要因は不満足を防止できますが、満足度を高めることにはつながりません。動機付け要因を満たして満足度を高めつつ、衛生要因を充足させて不満足を防止する、この両方の取り組みが重要なのです。 したがって、企業の取り組みにおいては、動機付け要因と衛生要因の双方を満たすことで、従業員のモチベーションを最大限高められるというのが二要因理論の考えです。

 

05二要因理論をマネジメントで最大限に活かすための5つの方法

ここまで紹介した通り、二要因理論は動機付け要因と衛生要因の両輪の輪で成り立っています。従業員のマネジメントにおいて、二要因理論を最大限に活かすためには、両方の要因を大切にする必要があります。ここでは、二要因理論をマネジメントで最大限に活かすための5つの方法を紹介していきます。

  • 1.コアバリューやクレドを明確にする
  • 2.MBOやOKRを導入をする
  • 3.社員発起で提案ができる福利厚生を設ける
  • 4.ピアボーナス制度を制作する
  • 5.フレックス制度やテレワークの導入などの促進を行う

1.コアバリューやクレドを明確にする

コアバリューとは、その企業で働く従業員が持つべき共通の価値観のことです。クレドは、全従業員が心がけるべき信条や行動指針を言います。いずれも、従業員がその企業で働くうえでの、行動や考え方の礎となるものです。 コアバリューやクレドを明確にすれば、従業員は企業と一体となって働いている気持ちを得やすくなり、自社への帰属意識や貢献意欲が高まる可能性があります。コアバリューやクレドは従業員の内面的な欲求に関わるため、動機付け要因であると言えます。

2.MBOやOKRを導入をする

MBOとは、個人またはチームで設定した目標に対して、どれほど達成できたかという基準で人事評価を行う制度です。OKRは、達成すべき目標と、目標の達成度を測る主要な成果を人事担当者や管理職が設定して、チームメンバーが同じ課題に取り組めるようにした制度です。 MBOは人事評価の結果を可視化できるため、従業員も評価に納得しやすく、今後伸ばすべき部分が明確にわかる点がメリットです。その結果、従業員が業務に対して達成感ややりがいをより感じやすくなって、動機付け要因が満たされ、モチベーションアップを期待できます。 またOKRを導入すれば、チームメンバーが全員同じ目標に向かって努力できるようになるため、連帯感や協調性が生まれる可能性があります。連帯感や協調性は仕事におけるやりがいを高めると期待されるため、動機付け要因の充足につながるはずです。

3.社員発起で提案ができる福利厚生を設ける

福利厚生は、給与面の待遇に大きく関わるものではありませんが、従業員のプライベートや健康のサポートをしてくれる重要な存在です。福利厚生を充実させれば、帰属意識アップによって動機付け要因が満たされるだけではなく、衛生要因である労働条件に従業員が不満を持ちにくくなります。 しかし、福利厚生の導入メリットを最大限高めるためには、従業員が本当に必要としている福利厚生を設けることが重要です。したがって、従業員自らが福利厚生を提案したり、導入してほしい福利厚生についてアンケートを実施したりして、従業員の意見を募集するのがおすすめです。

4.ピアボーナス制度を制作する

ピアボーナス制度とは、従業員同士がお互いに評価し合い、頑張りに応じて報酬を贈り合う制度です。ピアボーナス制度を導入することで、従業員同士のコミュニケーションが活発になって、社内の人間関係が良好になると期待できます。対人関係という衛生要因を充足しつつ、仕事へのやりがいがひとつ増えるという意味で動機付け要因も満たされるため、二要因理論を効率的に取り入れられます。

5.フレックス制度やテレワークの導入などの促進を行う

フレックス制度は、従業員が自ら始業・終業時間を決められる制度で、テレワークは、インターネット環境を活用して自宅で業務を行う制度です。こうした制度を導入すれば、従業員は自分に合った労働条件を選べるようになり、衛生要因の充足につながります。仕事に対する価値観は従業員一人ひとり異なるため、個性に合わせて多様な働き方ができることが望ましいと言えます。

 

06二要因理論の3つの注意点

二要因理論では、従業員のモチベーションを高める方法を論理的に考えられますが、一方でいくつか注意点が存在しています。特に、従業員のマネジメント施策に取り入れる際は、注意点を踏まえたうえで対策を取る必要があります。それでは、二要因理論には具体的にどのような注意点があるのか、詳しく見ていきます。

  • 1.バイアスがかかるため安定性があるとは言えない
  • 2.必ずしも生産性が高くなるとは限らない
  • 3.満足度を客観的に観測する基準がない

1.バイアスがかかるため安定性があるとは言えない

二要因理論では、従業員にバイアスがかかるため、安定性があるとは言えない点に注意が必要です。ここで言う「バイアスがかかる」とは、各要因に対する従業員の捉え方が状況によって変化し得る、ということです。つまり、仕事がうまく進んでいるときには仕事の良い部分をよく見ていますが、そうでない場合には自分が不満を抱えている部分に注目しやすいと言い換えられます。 このように、従業員が置かれた状況によって、各要因に対する従業員の捉え方にバイアスがかかるため、二要因理論は安定性がある考え方とは言いにくいのです。

2.必ずしも生産性が高くなるとは限らない

仕事へのやりがいや達成感を強く感じたとき、従業員の生産性が高まりやすい傾向にありますが、必ずしも生産性が高くなるとは限らない点に注意してください。従業員は一人ひとり価値観や考え方が異なるため、同じ程度の達成感を感じても、全員が同じように生産性を高められるわけではありません。従業員一人ひとりにフォーカスして、生産性を高められる方法を個別に探っていく姿勢も必要です。

3.満足度を客観的に観測する基準がない

ハーズバーグの二要因理論は、従業員の満足・不満足に関わる2つの要因を述べるにとどまり、満足度を客観的に観測する基準を示してはいません。企業全体の生産性を高めたい場合、導入した取り組みがどれほど従業員のモチベーションアップに貢献したか、という検証が欠かせません。そのため、二要因理論の考え方だけでは、企業の施策についての効果検証ができない点に注意が必要です。

 

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  • 脳科学者/医学博士/国際コミュニケーション・トレーニング代表

    京都大学卒業後、米国ウィスコンシン大学大学院で博士号取得。通産省 主任研究官、ノースウェスタン大学医学部 准教授を歴任。『稲盛哲学』の実践が人生を好転させることを経験、脳科学的裏付けを行う。プライベートでは無口・口下手に悩むが、渡米中に街頭で3000人に声をかける実験を行い、克服する。帰国後、最新の脳科学を活用して人が幸せになれる「脳磨き」を提唱する。『集合知性』が社員の能力を最大限に引き出す、という信念の下、「脳磨き」をべースにしたリーダー養成・チームビルディング・フィロソフィ浸透などの脳トレ研修・講演・コンサルティングを提供する。経営やリーダーシップなどの事象を最新脳科学研究で裏付けることの第一人者。

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  • 特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長

    特定非営利活動法人しごとのみらい理事長の竹内義晴です。「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマにコミュニケーションや組織づくりに関わる企業研修や講義に従事しています。また2017年よりサイボウズ株式会社で複業を開始。複業や2拠点ワーク、テレワークなど今後の仕事の在り方を自ら実践し、地域を跨いだ活動経験からワーケーションや地域活性化のための事業開発にも関わっています。新潟県在住。 著書『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント』(翔泳社)"

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07まとめ

ハーズバーグの二要因理論は、従業員のモチベーションアップに関わるさまざまな要因を、満足に関わるものと、不満足に関わるものとに区分する考え方です。二要因理論の導入だけで必ず生産性がアップするとは言い難いですが、従業員一人ひとりに寄り添った制度や、満足度を客観的に把握する基準の導入によって、二要因理論の効果を最大限高められるはずです。二要因理論を上手に活用して、企業の生産性を高めてみてはいかがでしょうか。

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