公開日:2022/10/24
更新日:2024/06/25

アクティブリスニングの意味とは|効果や研修カリキュラムを紹介

アクティブリスニングの意味とは|効果や研修カリキュラムを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

アクティブリスニングは、近年企業内でも効果を実感できると注目が集まっている手法です。特に、社内の人間関係を良好にしたいといった課題がある企業では、アクティブリスニングの導入がおすすめです。本記事では、アクティブリスニングの定義やメリットをご紹介します。

 

01アクティブリスニングの意味とは

アクティブリスニングとは、相手の言葉を積極的に傾聴する姿勢や聴き方といったコミュニケーション技法のことです。相手の話を受動的に聞くのではなく、相手が伝えたい本質的な部分や感情を汲み取り、主体的に内容を把握する取り組みを意味します。

アクティブリスニングは、1957年にアメリカの臨床心理士カール・ロジャースが提唱したコミュニケーション技法です。主にカウンセリングを行う際に使われてきたスキルですが、現在ではビジネスの場でも活用されはじめています。特に管理職には必須のスキルとなりつつあり、管理職研修でアクティブリスニングや傾聴力をトレーニングする企業も増えています。

ビジネスの場で重要視される背景

アクティブリスニングがビジネスの場で重要視される背景には、「自律や主体性」があります。終身雇用が崩壊し、働き方も多様化していく中で、社員が自律しながら主体的に働くことが求められています。そのために、管理職はアクティブリスニングを用いて、社員の主体性を引き出す必要性が出てきているのです。

このような背景から、相手の話に耳を傾け理解する力や、質問を投げかけるスキルは、マネジメント能力で非常に重要なものとなってきています。コーチングや1on1を重視する風潮も相まって、ますますアクティブリスニングの重要性は増しています。

 

02アクティブリスニングの効果

アクティブリスニングは、関係性の構築やコミュニケーションの活性化などの効果があります。さらに、心理的安全性を組織に根付かせたり、ハラスメントを抑止するといった効果も期待できます。

コミュニケーションの活性化

アクティブリスニングには、コミュニケーションが活性化するという効果があります。アクティブリスニングを行うことで、話し手は真剣に聞いてもらっているという印象を受けます。それにより、安心して自己開示して話をするようになり、結果的にコミュニケーションが活発化しやすくなるのです。特に自分の意見を述べることに苦手意識を持っているようなメンバーに対して、アクティブリスニングは非常に効果的です。

問題解決能力の向上

アクティブリスニングでは相手の話に敬意を持って傾聴し、共感と思いやりを示す姿勢で行うことが基本となります。適宜行う質問や相槌によって、話し手が内面を整理できる機会を与え、自分自身の力で問題を解決できたと思えるようになるのです。アクティブリスニングを意識することで自分自身で問題を整理して考え、解決の糸口をつかめるようになるというわけです。

心理的安全性の向上

心理的安全性とは、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」のことです。アクティブリスニングは、この心理的安全性の向上にも寄与します。

自分の発言を主体的に周囲の人が聞いてくれる状態を作ることができれば、誰しもが臆せずに発信することができるでしょう。そのため、アクティブリスニングは管理職に必要なスキルと思われがちですが、社会人の誰しもが身につけるべきスキルと言えます。

ハラスメントの抑止

アクティブリスニングによって本音で話しやすい職場環境が作れると、より良い人間関係の構築にもつながります。アクティブリスニングを用いて相手の話に耳を傾ける姿勢を保てると、部下は上司に対してスムーズなコミュニケーションが取りやすく、心地良い環境を築けます。結果的にハラスメントが起こるような環境の回避にも繋がってきます。

 

03アクティブリスニングの手法

ここからは実際にアクティブリスニングの手法とその具体的なステップをご紹介していきます。

バーバルコミュニケーション

バーバルコミュニケーションとは、言語的コミュニケーションを用いたアクティブリスニング手法になります。具体的な内容をご紹介します。

パラフレーズ

相手の言葉をオウム返しのように繰り返す手法を指します。話の中で重要なポイントを見出し、「今の話は〇〇ということでしょうか?」などと、話し手に振り返るきっかけを与え、相手が自然に自問自答できる機会をサポートをすることです。相手は話を聞いてもらえたと感じると共に、自分の言葉を振り返って思考し、新たな発見を見出すきっかけになることもあります。

オープン・クエスチョン

「はい」や「いいえ」で答えられない質問のことを指します。相手の話に共感しながら話の内容を広げるための質問を投げかけることで、話し手の本質的な内容や話の意図を再認識するサポートができます。ポイントとしては、Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を引き出せる「5W1H」を意識した質問になるようにするということです。

ノンバーバルコミュニケーション

ノンバーバルコミュニケーションは、非言語的コミュニケーションのことを指します。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、会話をする際に話者が聴者に与える要素として言語情報は約7%、視覚や聴覚といった非言語情報が93%を占めていると提言しています。その非言語情報を具体的にご紹介します。

聞く姿勢

しっかり耳を傾けて聞いているという姿勢を示すために、話し手に身体を向けます。またリラックスして話ができるように、聞き手自身もリラックスし、腕や足を組んだりする姿勢は、威圧感を与えるため行わないようにします。相手との距離は、お互いのパーソナルスペースを守って近すぎず離れすぎずを意識するよう心がけましょう。

目線

話し手には適度に目線を合わせるように意識すると、相手も心の距離感が近くなったような感覚になり、話しやすくなります。目線を合わせすぎてしまうと、かえって緊張感が増してしまいますので、適度に目線を合わせることを意識するようにしましょう。

表情

話し手の表情に合わせながら話しを聞くと、理解されているという安心感を与えることができるものです。話の内容によって表情を変化させ、話し手が相談や悩み事を話しているときには、同じような表情で共感しながら傾聴することが大切です。

声のトーン

声のトーンを話し手とあわせる心がけも大事になってきます。質問や相槌を打つ時の声を気にかけるだけでも、話し手はリラックスして言葉を発することができるのです。

 

04アクティブリスニングの3原則

アクティブリスニングを提唱したアメリカの心理学者カール・ロジャーズは、以下の3原則がアクティブリスニングに欠かせないと述べています。

  • 1.共感的理解
  • 2.無条件の肯定的関心
  • 3.自己一致

この章では、カール・ロジャーズが提唱した3原則をそれぞれ詳しく紹介します。

▶︎参考:厚生労働省|傾聴とは

1.共感的理解

共感的理解とは、相手の話を聴くときに、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら聴くことです相手の役割や置かれている状況、時にはプライベートのことも含め、できるだけ相手の立場や視点を想像することで、相手の気持ちへの共感を主体的に行います。

2.無条件の肯定的関心

無条件の肯定的関心とは、相手の話の内容がどのようなものであっても、初めから否定することなく、なぜそのような発言に至ったのか関心を持って聴くことです。アクティブリスニングは相手との駆け引きではありません。自分は自分、相手は相手と割り切る姿勢で臨み、相手を無条件に肯定して受け入れるようにします。話し手は自分の存在や意見を尊重してもらえますので、聞き手に良い印象を持ち、信頼関係の向上につながりやすくなります。

3.自己一致

自己一致とは、相手の話の内容にわからないところがあれば、そのままにせず聴きなおして内容を確かめ、相手に対しても自分に対しても真摯な態度で聴くことを意味します。相手の話が分かりにくい時には、分かりにくいことを言葉にして伝え、そのままにしないことが重要です。また聞き手には、自分をよく見せようとせず等身大の自分としてそこにいること感じてもらうことも大切です。これにより、自然に話し手から本音を引き出せるようになります。

 

05アクティブリスニング研修|Schoo for Business

Schoo for Business

Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座を保有しており、アクティブリスニング・傾聴力を学ぶことのできるコンテンツも揃っております。

導入企業数は4,000社以上、管理職研修はもちろん新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただけ、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 8,500本
※2023年5月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,650円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております
 

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大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo導入企業ロゴ

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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アクティブリスニング研修のカリキュラム例

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、アクティブリスニング研修のカリキュラム例を紹介いたします。

話し下手ほどうまくいく、聞く技術「アクティブリスニング」

話し下手ほどうまくいく、聞く技術「アクティブリスニング」

第1回 準備編
時間 60分
研修内容
  • ・「準備」は成功への羅針盤
  • ・「相手」の情報を収集する
  • ・「自分」の強みを見つける
  • ・「筋肉質」の質問を作る
第2回 「傾聴」と「問答」で成果を出す
時間 60分
研修内容
  • ・アクティブリスニングはふたつの「聞く」で相乗効果を出す
  • ・「傾聴」で相手からの好意を100%勝ち取る
  • ・マインドセットで「好意」につなげる
  • ・こちらの「好意」を200%伝える
  • ・身振り/相槌/アイコンタクトを総動員する
  • ・「問答」で相手から一目置かれる存在になる
  • ・質問に自己アピールを混ぜる
  • ・言いたい事は「疑問形」にする
  • ・苦手な相手・質問は誰かになりきる
  • ・終わりの演出にも気を抜かない
第3回 「フォロー」と「実践編」
時間 60分
研修内容
  • ・人間関係を「次」につなげるフォロー
  • ・日常でできる「アクティブリスニング」のトレーニング方法
  • ・「アクティブリスニング」の3つのステップを使って実践してみよう
 

本授業は、『アクティブリスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術』の著者である谷本 有香氏から、アクティブリスニングを実践するために必要な準備からフォローまでを学ぶことができます。

 
  • Forbes JAPAN 副編集長

    証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーター。これまでトニー・ブレア元英首相、ハワード・シュルツ スターバックス会長兼CEOをはじめ、3,000人を超える世界のVIPにインタヴューした実績あり。TBS「ビビット」、MX「モーニングCROSS」、毎日放送「ミント!」のコメンテーターはじめ多数のテレビ番組に出演。2016年2月1日より現職。同年4月より跡見学園女子大学兼任講師就任。

聴く技術~リモート環境でもチームの心理的安全性を高める

聴く技術~リモート環境でもチームの心理的安全性を高める

第1回 聴く技術~リモート環境でもチームの心理的安全性を高める
時間 60分
研修内容
  • ・「聞く」と「聴く」の違い
  • ・厳しいフィードバックをしても信頼される上司
  • ・エンゲージメントと「聴く」の関係性
第2回 聴く技術(実践編)〜リモート環境でもチームの心理的安全性を高める〜
時間 60分
研修内容
  • ・聴くの方程式
  • ・具体化の質問
 

本授業では、組織で働くすべての人が参考にできる「聴く力」について、これまでの傾聴の研修とは少し違う切り口で学んでいきます。

 
  • エール株式会社 代表取締役

    横浜国立大学経営システム科学科卒業。新卒でワークスアプリケーションズに入社。新規営業にて社長賞を受賞後、人事総務部のマネージャーを経て、GCストーリーへ。営業・新規事業開発、健康経営を支援する子会社を担当。両社にてGPTW「働きがいのある会社」ランキングにてベストカンパニーを受賞。2017年2月よりエール株式会社に入社し、同年10月に代表取締役に就任。現在、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の研究員として「個人の幸せと組織の生産性の両立」についての探究も行う。

ビジネスを成長させる「聞く」技術

ビジネスを成長させる「聞く」技術

第1回 なぜ今、「聞く」技術なのか
時間 60分
研修内容
  • ・聞く力の重要性
  • ・3つの聞く
  • ・4つの聞く立場
  • ・話を理解するプロセス
第2回 相手の問題解決へつなげる「聴く」技術
時間 60分
研修内容
  • ・仮説を検証しながら聴く
  • ・情報を抜け漏れなく聴く
  • ・相手との認識を一致させる
第3回 相手を動かす「訊く」技術
時間 45分
研修内容
  • ・訊く力とは
  • ・ケーススタディ
 

この授業では3つの「聞く」技術について、外資系のトップコンサルとして活躍してこられた清水久三子先生と一緒に学んでいきます。

 
  • 株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長

    大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成功しない」との思いから、専門を人材育成分野に移し、人材開発のプロジェクトをリード。2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。ベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。講師として、大前研一ビジネス・ブレークスルー、日本能率協会、日経BPセミナー、大手銀行系研修会社などに多数のプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。

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06まとめ

アクティブリスニングについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。カウンセリングの分野で重視されてきたアクティブリスニングですが、近年では日本の企業でも導入され始めています。アクティブリスニングを活用して、企業の更なる発展に役立てたら幸いです。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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