更新日:2026/01/17

社員のやらされ感をなくすには?効果的なマネジメントのポイントについて解説

社員のやらされ感をなくすには?効果的なマネジメントのポイントについて解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

「やらされ感」とは、本人が「自分で選んでいる」という感覚(自律性)が乏しいまま、行動を求められていると感じる状態です。仕事においてやらされ感が強まると、社員のモチベーションや生産性を低下させ、さらには離職率の増加に繋がる可能性もあります。本記事では、「やらされ感」が生まれる原因と組織にもたらす悪影響を解説し、社員の主体性を引き出すための効果的なマネジメントのポイントを具体的に紹介します。

 

01やらされ感とは

「やらされ感」とは、自分の意思ではなく、他人や組織からコントロールされて行動していると感じる心理状態を指します。ビジネスにおいては、例えば個人の目標や組織の目標に対して共感がなく、ただ上司からの指示があるから仕方なく対応する、と感じるような状況です。やらされ感が強い仕事には、それを進めることによる達成感や充実が感じられにくく、自ら創意工夫をしようという意欲も持ちづらくなります。そのためモチベーションの低下や生産性の低下につながる可能性があります。

 

02やらされ感が生まれる主な原因

やらされ感が生まれる原因は、主に以下の4つが挙げられます。

  • ・目標やビジョンが不明確
  • ・フィードバックの欠如や評価の不透明さ
  • ・権限や裁量の不足
  • ・上司からの一方的な指示

ここでは、それぞれの原因について詳しく紹介します。

目標やビジョンが不明確

目標やビジョンが不明確な場合、社員は「なぜこの仕事が重要なのか」を理解できないため、単にタスクをこなすだけの「やらされ感」を抱きやすくなります。業務の意義が分からなければ、自身の役割が組織にどう役立っているのかも見えなくなりがちです。このような状況では達成感や貢献感を感じにくく、主体性やモチベーションが低下してしまうのです。

フィードバックの欠如や評価の不透明さ

仕事に対して周囲や上司から反応が少なかったり、どう評価されているのかが不透明だったりする状況は、ただ進めることだけを求められている感覚に陥り、「やらされ感」を強める一つの要因になります。こうしたフィードバック不足や評価の不透明さは、仕事上の自信(自己効力感)や成長実感を損ない、結果としてワークエンゲージメントの低下につながる可能性があります。

▶︎参考:Mazzetti, G., Robledo, E., Vignoli, M., Topa, G., Guglielmi, D., & Schaufeli, W. B.(2023)「Work engagement: A meta-analysis using the job demands-resources model」

権限や裁量の不足

権限や裁量が不足していると、社員は自分の意見やアイデアを出す余地がないと感じ、主体性を失って「やらされ感」が強くなりがちです。こうした状況では、結果が思うように出なかったときに「これは自分の判断で進めた仕事ではない」と感じて当事者意識を持ちにくく、改善や工夫につなげる行動も起こりづらくなります。

上司からの一方的な指示

上司のマネジメントスタイルや指示の仕方も、重要な要素の一つです。例えば仕事を任せるときにその意義や目的を十分に伝えなかったり、質問の余地を与えず一方的に指示したりすると、部下にとってその仕事は「ただ命令されてやるもの」となってしまいます。このような、「四の五の言わずにとにかくやれ」という環境では、社員は業務に対しての意義や意味を感じることができず、「やらされ感」が生まれます。


 

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03やらされ感が会社にもたらす悪影響

社員が「やらされ感」を感じていると、モチベーションや生産性の低下を引き起こす原因となります。さらに、モチベーションの低下は離職率にも直結します。ここでは、このような、やらされ感が会社にもたらす悪影響について紹介します。

社員のモチベーション低下

動機づけに関する著名な理論として、米国の心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論」があります。そしてこの理論では、人の内発的動機づけ(個人の内側から湧き起こる動機)を支える基本的心理欲求の一つとして「自律性の欲求」を挙げています。自律性とは、自分の価値観や意思に沿って行動することです。つまりやらされ感とは、まさに「自律性の欲求」が損なわれやすい状況を指しており、これが続くと社員のモチベーションに悪影響を及ぼすリスクが高まります。

▶︎参考:Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2000). Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being.

生産性・業務品質の低下

「やらされ感」が強い状況では、人の意識は「依頼者の言う通りに遂行すること」に向けられるため、創意工夫や改善提案といった能動的な行動が見られなくなりがちです。一方、オペレーション上の課題や改善点は、実際に業務を遂行する担当者が最も解像度高く見いだせるものです。そのためやらされ感の強い状況を放置すると、業務改善が滞り、最終的には生産性や業務品質の低下にもつながるおそれがあります。

離職率の増加

やらされ感の蓄積は、モチベーションの低下やエンゲージメントの低下を通じて、最終的に仕事への満足度を損なう可能性があります。また、意義に納得していない仕事からは成長も感じにくいため、特にキャリア構築への意欲が高い人材は、より良い機会を求めて離職を選択することもあるでしょう。さらに、連鎖退職という言葉があるように、同僚が離職に向けた動きを取ることは、周囲に影響を及ぼすことが研究でも指摘されています。つまり「やらされ感」は最終的に、職場の離職増加につながるおそれもあるのです。

▶︎参考:The turnover contagion process: An integrative review of theoretical and empirical research - Porter - 2021 - Journal of Organizational Behavior - Wiley Online Library


 

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04やらされ感をなくす効果的なマネジメントのポイント

やらされ感をなくす効果的なマネジメントのポイントは、主に以下の6つが挙げられます。

  • ・業務の目的と意義を明確に伝える
  • ・自己決定をさせるコミュニケーション
  • ・適切に権限や裁量を移譲する
  • ・目標設定への部下の参画
  • ・納得度の高いフィードバックと評価
  • ・ポジティブな挑戦と学びを促す文化の醸成

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく紹介します。

業務の目的と意義を明確に伝える

業務の目的や意義の伝達が不十分だと、社員は「目的は分からないがとりあえずやる」という状態になり、やらされ感が生じやすくなります。そのためマネージャーは、部下に対して任せる仕事の重要性や組織へどう貢献するのかを明確に伝えることが大切です。社員が自身の役割を理解すると、どのような成果を生むべきかの解像度が上がり、主体性の向上だけでなく業務改善にも取り組みやすくなります。

自己決定をさせるコミュニケーション

「やらされ感」を感じにくくするためには、仕事に対して自分の価値観や意思が反映しているという実感を得ることが大切です。そのためには、上司はなるべく部下の意見を引き出し、それを踏まえたコミュニケーションを取ると良いでしょう。たとえば会議において、上司が先に自分の意見を述べると、部下はそれに反する意見を出しにくくなるかもしれません。まず部下に考えを述べてもらう、発言そのものを歓迎して萎縮させないといった工夫が有効です。

また、Schoo授業『人を動かし自分を変える 仕事がはかどる「ことば術」』に登壇する堀田 秀吾先生(明治大学教授)は、選択権を与えることばの有効性を紹介しています。

人を動かし自分を変える 仕事がはかどる「ことば術」

仮に部下自身が独自の意見を持つのが難しい場合でも、「◯◯してください」といった指示ではなく、「どれがいいと思う?」といった選択肢を与えることで、自己決定を促すことが可能です。

適切に権限や裁量を移譲する

管理職が適切に権限や裁量を移譲することも、仕事の「やらされ感」を減らし、社員の主体性を促進するために大切です。一方で、経験やスキルの違いから、いきなり大きな裁量を渡しにくいケースもあるでしょう。その場合でも、すべてを上司が細かく指示するのではなく、業務や意思決定を細分化して「この領域は任せる」という範囲を明確にすることが有効です。任せる範囲が見えると業務を自分ごと化しやすくなり、改善サイクルを回すことにもつながります。

目標設定への部下の参画

目標設定のフローも、部下の主体性をはぐくむために大切です。例えば部下が自ら目標を設定したうえで、上司とすり合わせるようにすることは、やらされ感の低減に有効な手段です。また目標自体は組織的に決まっている場合でも、仕事を通じて生み出す価値に共感できるように、上司が部下をサポートすると良いでしょう。業務が「自分ごと」となれば、自然とモチベーションも向上し、創意工夫も生まれやすくなります。

納得度の高いフィードバックと評価

納得度の高いフィードバックと評価は、社員が自身の努力や成果が適切に認められていると感じるために重要です。関係性を重視した対話や事実に基づいた具体的なフィードバックにより、仕事の意義や貢献を深く理解し、自己評価と会社評価の目線が揃います。たとえ改善点の指摘であったとしても、それが納得できて次につながる内容であれば、改善に向けた主体的な行動につなげられます。

ポジティブな挑戦と学びを促す文化の醸成

失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる職場では、社員が自分で考えて動くようになります。一般に人は、「自分のことは自分で決めたい」という欲求を持っていると言われています。しかし、一度でも失敗すると過度に批判されたり、将来にわたって評価を引き下げられたりする環境では、「失敗しないこと」の優先度が上がり、挑戦的な行動がとりにくくなります。だからこそ、減点主義で萎縮させるのではなく、挑戦と学びのプロセスを適切に評価し、次の改善につなげる文化づくりが大切です。

 

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本授業では、コーチングの基礎から、チームメンバーと信頼関係をともに築くためのスキルまで学べます。また、自分の責任で行動するような主体性を高めるための「質問力」も解説しています。

  • 株式会社コーチ・エィ  国際コーチ連盟マスター認定コーチ

    上智大学文学部卒業。 日本で最初のコーチング・ファームである株式会社コーチ・エィのエグゼクティブ・コーチとして、これまで約300人の経営者や管理職を対象にコーチングを実施。組織の風土改革や業績向上のために、リーダー自身の意識や行動をどう変革するかをテーマとしてきた。 また、リーダーが実践的、体系的にコーチングを学べる「Coachacademia」の講師を18年勤めており、2万人以上のコーチ型リーダーを養成している。

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    明治大学教授。専門は法言語学・心理言語学。シカゴ大学言語学部博士課程修了。法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学の知見を融合した研究を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を国内外で50冊以上刊行。 【職歴】2010.4~現在 明治大学法学部 教授/ 2015.8~現在 明治大学法学部 准教授/   2000.4~2008.3 立命館大学法学部助教授・准教授

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    株式会社グローバル・キャリアデザイン 代表取締役。 東京生まれ。ミラノ在住。コロンビア大学、INSEAD(インシアード・欧州経営大学院)MBA卒業後、国内外10カ国で、外資系の戦略コンサルタント、多国籍企業のマーケティング、新規事業の立ち上げ等、様々なキャリアを積む。 結婚後もプロジェクトリーダーを務めるなど、精力的に働いていたが、子どもが障がいを持って生まれたのを機に、自力だけではどうにもならないことがあると知り、働き方、あり方を見直す。様々な文化、考え方、事情を持つメンバーが一緒に仕事をし、結果を出すには、個々の良さを引き出し、最大限活用できる環境を作ることが必要だと考え、ポジティブフィードバックを実践しはじめる。 現在は、独立し、国際エグゼクティブコーチ、企業研修講師、コンサルタントとして活動。ポジティブフィードバックを活用したコーチングが好評を博し、法人、個人問わず、グループ面談やセミナーなどを提供。最近は、企業から依頼を受け、経営者、リーダー等にポジティブフィードバックを始めとするビジネススキルを伝承している。3児の母でもある。 また、HPやメルマガ、SNS等で、キャリアについて悩む人々に情報発信をしている。

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  • 株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン

    株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン コンサルタントマネージャー <経歴>小売業 統轄エリアマネージャー(22店舗担当)人事部部長、不動産業 人事課課長、大手販社 人材開発部マネージャー<得意分野>新入社員の接客・接遇・ビジネスマナーから上層階層のマネジメントスキルまで幅広く対応。クライアントの現状を細かくお伺いし、目指すべき姿を明確にし教育プログラムを構築します。<ひとこと>研修内容やプログラムも重要ですが、資本主義社会の中で生き抜くためのマインドを醸成することが重要だと考えています。現状の職場・職位・役割に関わらず、自ら存在価値を高めて行ける人材育成をモットーとしています。

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06まとめ

「やらされ感」は、自分の意思に関わらず、他人の意思によって統制されていると感じる状態のことです。ビジネスにおいて「やらされ感」が強まると、モチベーションや生産性が下がり、最悪の場合は離職にもつながります。これを解消するには、まず仕事の目的や意義を丁寧に伝えることが大切です。そして上司が一方的に指示するのではなく、対話を通じて本人に考えさせながら、適切に権限を譲渡することや、目標設定に参画してもらうことも重要です。失敗を恐れず挑戦できる文化をつくり、主体的な職場環境をつくっていきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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