プレイングマネージャーとは?求められるスキルや設置する際の注意点を解決
プレイングマネージャーは、現場で業務に携わる「プレイヤー」でありながら、管理職として部下に指示を与える「マネージャー」でもあります。この記事では、プレイングマネージャーと管理職との違いや求められるスキル、設置する際の注意点について解説します。
01プレイングマネージャーとは?管理職との違い
スポーツの世界では、「選手兼監督」の意味でプレイングマネージャーという言葉が使われますが、ビジネスの世界にもプレイングマネージャーが存在します。ここでは、プレイングマネージャーの基本情報や、管理職との違いについて解説します。
プレイヤーとマネージャーの両方を担うポジション
監督が自ら打席に立つなど、野球界においてのプレイングマネージャーの姿を目にする機会があります。。これと同様にビジネスの世界でも、プレイヤーとマネージャーの両方を担うポジションである、プレイングマネージャーとして活躍している人材が多く存在します。 プレイングマネージャーは、自身もプレイヤーとして現場に立ち業務に携わります。他のプレイヤーと同様、個人成績にも気を配りつつ、業務を遂行しながら、並行してチーム内では上司として指示を与え、チーム全体の成績にも責任を持つ「マネージャー」でもあります。
02プレイングマネージャーと管理職の違い
プレイングマネージャーと管理職はよく混同されますが、大きく異なる点があります。ここではその違いについて解説します。
現場の目標達成への関わり方
プレイングマネージャーと管理職の違いは、現場の目標達成への関わり方です。プレイングマネージャーは、自ら現場に立ち、自身の成績も含めてチームの成績を上げるよう動きます。それに対して管理職は、部署やチームの成績に注意を集中します。 プレイングマネージャーは、チームの一員として、現場で指揮を執ります。現場の状況を理解しているため、現場に即したアドバイスを与えることができます。しかし、チームの規模が大きいと、マネジメントが困難になる側面をもちます。それに対して、チームの成績を上げるために、部下の指導に集中できる点で、管理職は大規模のチームをマネジメントすることも可能です。
迅速な意思決定が可能
プレイングマネージャーは、現場の業務に直接関わりながら管理業務も行うため、迅速な意思決定が可能です。彼らは、日常の業務を自ら遂行することで、リアルタイムで状況を把握し、問題が発生した際にも即座に対応できます。これに対して、従来の管理職は主に管理業務に従事し、現場の具体的な状況を把握するのに時間がかかる場合があります。その結果、意思決定に時間がかかり、迅速な対応が難しくなることがあります。プレイングマネージャーは、現場のニーズや課題を直に感じ取ることで、適切かつ迅速な判断ができるため、組織全体の効率向上やトラブルを早期に解決できます。
03プレイングマネージャーが必要とされるようになった背景
昨今ではプレイングマネージャーのニーズが高まっていますが、どのような背景があるのでしょうか。ここでは主な背景について解説します。
人手不足
バブル崩壊後に、直接生産にかかわることのない管理職がリストラの対象としてピックアップされました。そして、プレイヤーとして活躍しつつ、チームをまとめることのできる人材が価値を高めるようになったのです。現場の最前線に立つことで、スピード感のある意思決定ができることもメリットになります。 それに加えて、少子高齢化の影響による人材不足も、プレイングマネージャーの必要性を後押ししています。マンパワーを有効に用いて、現場と管理職を兼任できる人材の育成がトレンドとなっています。
働き方の多様化
現代の職場環境では、多様な働き方が求められるようになっています。リモートワークやフレックスタイム制度、副業の容認など、従来の一律的な勤務形態から脱却し、柔軟性が重視されるようになりました。この変化に対応するためには、現場の業務を理解しながらマネジメントも行うプレイングマネージャーが重要な役割を果たします。プレイングマネージャーは、自身が実際に業務を遂行することで、チームメンバーのニーズや課題を迅速かつ的確に把握できるため、適切なサポートや指導を行うことができるのです。
プレイングマネージャーが活躍できる職種
プレイングマネージャーが活躍できる職種に、営業職が挙げられます。自ら現場に立つことで、顧客のニーズに敏感に対応することができ、部下に対しても、顧客ごとに合わせて現場レベルでの的確なサポートが可能です。 また、エンジニア職でもプレイングマネージャーが活躍しています。自ら手を動かし、実業務に携わりながら、プロジェクト全体の進捗を管理し、他部署や社外との交渉も行います。しかし、作業量の多いエンジニア職では、自身の作業に追われるあまり、マネジメントまで手が回らないケースも多いようです。
04プレイングマネージャーの仕事内容
ここでは、プレイングマネージャーの具体的な仕事内容を紹介します。大きく分けて以下の4つがあります。
自身の目標を達成する
プレイングマネージャーは、ひとりのプレイヤーとして、自身の目標を達成する必要があります。営業職であれば、新規顧客の獲得など、成果を数字で表さなければなりません。他のメンバーと同様、ノルマが設定されている場合もあります。目標達成に関しては、上司としてのプライドやチームのモチベーションにもかかわるため、計画的に取り組む必要があります。
チームの目標達成をサポート
プレイングマネージャーの評価は、個人の成績だけなく、チーム全体の成績でも行われます。そこで、チームとして目標が達成できるよう、全体をサポートしなければなりません。部下の能力やレベルに合わせて行動計画を立て、高いモチベーションを維持できるよう働きかけます。自身の成功体験も踏まえて、戦略をチームで共有し、進捗状況の確認を行います。
メンバーの育成と指導
メンバーの育成と指導も、プレイングマネージャーの大切な仕事です。面談によりメンバー一人ひとりの課題や苦手分野を洗い出し、克服するためのアドバイスを与えます。キャリアや個人的な相談を受けることもあるでしょう。育成と指導によりチーム力が上がり、成果に繋げることにもなるのです。
現場と上層部の橋渡し
プレイングマネージャーは、現場と上層部の橋渡しとしての役割も担います。上層部の決定事項を、部下に丁寧に伝えます。それとともに、時には部下の不満を聞かなければならず、両者の板挟みに合う厳しい立場でもあります。お互いの主張を、適切な表現で伝え、実行に移していけるようにしなければなりません。
05プレイングマネージャーに求められるスキル
プレイングマネージャーに求められるスキルとして、以下の4つが挙げられます。
時間管理能力
個人とチームの目標を達成するには、時間管理能力が不可欠です。数多くのタスクを抱えることになるため、スケジュール管理を行い、タスクごとにかかる時間の予想に基づいた人員を配置し、進捗状況を確認しなければなりません。作業効率を上げるために、管理支援ツールの導入も検討できます。
コミュニケーションスキル
上層部と部下との橋渡しだけでなく、他部署や顧客とも直接コミュニケーションを取るため、高いコミュニケーションスキルが求められます。エンジニア職の場合は、専門用語がたくさんあるため、場合によっては誰にでもわかるような言葉に置き換えて話す力も求められます。
指導スキル
部下を育てることもプレイングマネージャーの仕事です。現在では、「背中を見て学べ」の考えは、なかなか通用しません。部下が一人前に育つように、一人ひとりに適切な指導を行う必要があるでしょう。部下の指導には時間がかかりますが、チーム全体の目標達成やチーム全体の底上げに不可欠です。
学習意欲
プレイヤーとして成果を出すことで、プレイングマネージャーに就任する場合、プレイヤーとしては優秀でも、マネジメントに関する経験が少ないということもあるでしょう。そこで、マネジメント能力を伸ばすためにたくさんの学習をしなければなりません。プレイヤーとして、現場にかかわる各情報のアップデートも必要で、学習意欲が求められます。
06プレイングマネージャーを設置する際の注意点
プレイングマネージャーを設置する際に注意するべきポイントを2つ解説します。
プレイングマネージャーはオーバーワークになりやすい
プレイヤーとマネージャーを兼任することで、仕事量が大幅に増えます。責任感の強い人材の場合、オーバーワークになりやすいため注意が必要です。仕事量を適切に振り分け、こまめなスケジュール管理をしましょう。オーバーワークが原因で、業績が下がったり体調を崩してしまう場合もあります。
プレイングマネージャーの人事評価は難しい
人事評価が難しいのも、プレイングマネージャーを設置する際の注意点です。チームの目標が達成できなくても、個人としては優秀な成績を残している場合があります。正しい評価ができるように、役割に対する正しい認識を深め、適切なフィードバックを行いましょう。
07企業としてプレイングマネージャーをサポートするには
プレイヤーとマネージャーを兼任するプレイングマネージャーは、負担を感じやすいポジションでもあります。企業としてサポートする体制を整えることも大切なポイントです。
プレイングマネージャーの働き方を見直す
プレイングマネージャーがオーバーワークにならないように、働き方を見直しましょう。実務の負担を減らして、マネジメントにかける時間が取れるような調整を行うのがポイントです。また、テレワークの導入などで、通勤や移動にかける時間を節約するのも有効です。
OJTへの制度的支援を行う
OJTをプレイングマネージャーに丸投げするのも良くありません。人材育成は、企業全体で行うべき課題です。プレイングマネージャーだけに押し付けるのではなく、OJTへの制度的支援を行うことで、負担を和らげることができるでしょう。部下の指導に関しては、上司や同僚のアドバイスも役に立ちます。
研修により自律的な成長をサポートする
マネジメント教育研修をはじめとし、各種研修を実施することで、プレイングマネージャーの自律的な研修をサポートできます。e ラーニングの導入など、少ない負担で研修が受けられるよう工夫するのも良いアイディアです。コミュニケーション能力やロジカルシンキングなど、マネジメントに必要なスキルアップが期待できます。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
08プレイングマネージャーの育成ならSchoo
Schooビジネスプランでは約8,500本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooビジネスプランの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
schooビジネスプランは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,500本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.自発的に学ぶ人材を育成できる
上記でも説明したように、Schooでは約8,500本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。
Schooビジネスプランでは、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。 プレイングマネージャーの育成に関する授業も多数ご提供しており、ここではいくつか紹介しますので、興味のある方は確認してみてください。
「時間割」で仕事の効率は劇的に上がる
本授業は、書籍『仕事を高速化する「時間割」の作り方』の著者である平野友朗さんをお迎えし、仕事の効率を劇的に上げる方法のひとつ「時間割」を作るメリットとポイントを学んでいきたと思います。
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一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事
広告代理店勤務を経て独立。メールスキルの向上指導、組織のメールのルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などを手がけ、官公庁、企業、学校、団体、商工会議所などへのコンサルティングや講演、研修回数は年間100回を超える。メルマガ『毎日0.1%の成長』を日刊で配信し、コミュニケーション、ウェブマーケティング、ブランディング、ビジネスモデル構築などのノウハウを無料公開している。
チーム運営に活かす、グループコーチングの視点
本授業では、「数人のメンバーに対してのコミュニケーション」「チームミーティング」など、複数人相手にコーチングの考え方を取り入れる際のポイントに着目します。
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㈱LEBEN CAREER CEO
学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。
「自分らしさ」を武器にするこれからのリーダーシップ
近年、リーダーシップの在り方に大きな変化が訪れています。変化が激しく、正解がない今の時代、強い力でメンバーを先導するよりも、リーダー自身の強みや時には弱さをさらけ出しながら、状況に応じた適切なリーダーシップを発揮することが求められるようになりました。 その中でキーワードとして上がってきているのが「オーセンティックリーダーシップ」です。今、リーダーとして「このやり方でいいのだろうか」と悩んでいる方、これからリーダーを目指そうとしている方、また非リーダーでも自らリーダーシップを発揮しながら仕事に取り組みたい方に向け、オーセンティックリーダーの考え方、明日から活かせるマインドセットなどを学んでいきます。
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株式会社チームボックス 代表取締役
三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。2010年より日本ラグビーフットボール協会、初代コーチングディレクターに就任。12年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、16年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。14年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。18年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。
「自分らしさ」を武器にするこれからのリーダーシップを無料視聴する
元スターバックスCEOから学ぶリーダーシップ
「さまざまな業界のリーダーからリーダーシップを学ぶ授業です。」 良い実績の影には常にリーダーの存在があります。彼らはどのように自分を、そしてチームを律しているのでしょうか。 一方、世に溢れる「リーダーとして成功する秘訣」は一見すると有益そうですが、なかなか実践に活かしづらいのが現状です。そこで本授業は、教科書的に載っていない、生々しいリーダー経験からリーダーシップを学びます。
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(株)リーダーシップコンサルティング 元スターバックスCEO
1982年に日産自動車入社。製造現場、セールスマンから財務に至るまで幅広く経験し、社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学ぶ。帰国後は、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ ビバレッジサービス常務執行役員を経て、2000年(株)アトラスの代表取締役に就任。 2005年には「THE BODY SHOP 」を運営する(株)イオンフォレストの代表取締役社長に就任。2009年、スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOに就任。2012年より約1年間産業革新機構に参画。 2013年にリーダー育成のための(株)リーダーシップコンサルティング設立。
3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる
Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。
さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。
さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。
09まとめ
プレイヤーとして優秀な成績を収めつつ、マネージャーとしてチームを管理するプレイングマネージャーは、企業にとって頼りになる存在です。特異な立場ゆえに、難しい問題に直面することもあります。企業として、業務そのものの見直しや、研修制度の導入など、適切なサポートを継続的に行うことが重要な課題といえるでしょう。