ティーチングとコーチングの違いは?それぞれのメリットやデメリット、有効なケースをご紹介

部下に対する育成方法として「ティーチング」と「コーチング」を耳にすることが多いのではないでしょうか。 両者は混同されがちですが、それぞれ有効なケースが違うため、適切に使い分ける必要があります。 それぞれのメリットやデメリット、有効なケースを解説します。
- 01.ティーチングとコーチングの違いとは
- 02.ティーチングのメリットとデメリット
- 03.コーチングのメリットとデメリット
- 04.ティーチングが有効なケース
- 05.コーチングが有効なケース
- 06.ティーチングの効果を高めるためのポイント
- 07.コーチングの効果を高めるためのポイント
- 08.育成スキル向上ならSchooのオンライン研修
- 09.まとめ
01ティーチングとコーチングの違いとは
ティーチングとコーチングは、似ているように見えてそれぞれの人材育成の手法や、目的は多くの部分で異なります。 それぞれどういった定義なのかを解説します。
ティーチングの定義
ティーチングはその名の通り、先生が生徒に授業を行うように経験豊富な人が、経験が浅い人を相手に自分の知識やノウハウを伝えるという手法です。 ティーチングにおけるコミュニケーションのスタイルは、指導者から指導を受ける側への一方通行となります。また、ティーチングは指導者側が明確な答えを持っているという前提で行われることが多いです。 1対1で行われることもありますが、1対多の講義形式で行われることもあります。 またこれは、社内だけではなく自社とクライアントの関係においても成立する指導方法です。自社の製品やサービスを活用することで、クライアントが抱える悩みや課題を解決に導くこともティーチングの一種と言えます。
コーチングの定義
コーチングは、対話を通してコーチングの受け手が、自ら答えを導き出せるようにサポートする指導の手法です。 コーチングにおけるコミュニケーションスタイルは、コーチする側とコーチングを受ける側が双方向となります。また、コーチングは指導を受ける側が答えを持っているという前提で行われることが多いです。 コーチングは基本的に1対1で行われ、相手に適切な質問を投げかけることで、本人の力で正解を導き出せるよう手助けをしていくものです。 ティーチングとは異なり、人間関係をしっかりと築き上げていく中で相手のやる気を引き出し、本人の努力をサポートしていくため、受け手のやる気にも左右されます。
カウンセリングとの違い
ティーチングやコーチングと似た言葉として「カウンセリング」があります。 カウンセリングは、相談者が抱える悩みや困っていることに耳を傾けることで、それらを解決に導くものです。 ティーチングやコーチングが教育的な側面を持つのに対して、カウンセリングは教育ではなく相談的な側面を持っています。 また、仕事をする上でのサポートというよりは、精神的な面で相談者に寄り添ってあげることが主目的であることも多いです。
トレーニングとの違い
また、「トレーニング」というよく似た意味の言葉もあります。 トレーニングは、今までできなかったことを訓練することであり、指導する側が教える対象者の先頭に立ち、実際にやってみせることで、対象者ができるようになるまで引っ張る形で導いていく手法です。 ティーチングやコーチングと同じく指導方法の一つですが、一方的に指導するティーチングや、相手のやる気を引き出すことで行動を促すコーチングとは異なり、指導側が主体的に引っ張り上げていくという点で異なります。
02ティーチングのメリットとデメリット
企業において、後輩や部下をティーチングによって指導することでどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それぞれを正しく理解し、場面に応じてコーチングと適切に使い分けていきましょう。
ティーチングのメリットとデメリット
ティーチングには、相手に答えを教えて指導するという特徴から、短時間で仕事において重要なスキルや情報を伝達できるメリットがあります。そのため、直近で知見やスキルを習得する必要がある場合などに非常に有効です。 また、講義形式で行われることも多いため、一度に大勢を対象に指導を行うことができます。ティーチングの場合は、初めから答えを相手に伝えることを目的として行われるため、スピード感を持って人材の育成を行うことができるようになります。
ティーチングのデメリット
一方でティーチングでは、指導する側の中に明確な答えがあるものしか伝達することができないため、指導側の経験や知識以上のものを伝えることはできません。その形式上、受講者は受動的になってしまうデメリットがあります。 一方的に指導を行うことが多いため、部下が自分の頭では考える習慣が身に付けづらくなったり、自立を促すことが難しくなったりしてしまいます。また、一方的に指導されることが苦手な部下などは、ティーチングによってモチベーションを下げてしまうデメリットもあります。
03コーチングのメリットとデメリット
企業において、後輩や部下をコーチングによって指導することでどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それぞれを正しく理解し、場面に応じてティーチングと適切に使い分けていきましょう。
コーチングのメリットとデメリット
コーチングの最大のメリットは、部下に自分の頭で考える力を付けさせ、自立を促せるという点があります。コーチングは相手のポテンシャルを引き出すため、自発性に委ねる方法です。人材育成において、育成の対象となる社員は受動的になってしまう傾向があります。特にティーチングとはその方法から大局的にあるため、コーチング中は部下がどのように学ぼうとするのか、そのプロセスを評価して中期的な育成を行います。その結果、ティーチングとは違って、指導者の能力以上に実力を発揮できるようになるケースも少なくありません。
コーチングのデメリット
一方でコーチングは、1対1形式で行われることが多いため、指導に時間がかかってしまったり、一度に複数人を相手に行うことができないデメリットもあります。ティーチングと違い、あくまで中期的な視野を持っておこなう育成であるためです。 また、相手の中にある実力を引き出すため、指導を受ける側に最低限の実力や経験値が必要となります。特に時間をかけておこなうもであることから、部下のスキルや心情に合わせ、長いスパンで育成に取り組めなければいけません。特にコーチングによって、受け手が答えを導き出せるかどうかは、指導する側のマネジメントスキルにも影響を受けることも少なくありません。そのため、属人的になりやすく、指導者によってばらつきが出てしまいます。
04ティーチングが有効なケース
実際のビジネスの場において、ティーチングが効果的なケースはどのような場合があるのでしょうか。2つの場合をご紹介します。
対象者のスキルや経験が乏しい場合
ティーチングでは、答えが明確に定まっていて、従業員共通で理解する必要がある情報を伝達する際に有効なため、新入社員研修や中途入社社員への研修など、対象者のスキルや経験が乏しい場合に効果的です。 具体的には、電話の対応方法や来客時の対応方法、社内ツールの利用方法などを教える際にティーチングが効果的です。
緊急性の高い業務を担当している場合
また、ティーチングは短時間で相手に情報を伝達することが可能なため、緊急性の高い業務を部下が担当している際にも効果的です。 具体的には、非常時のエラー対応であったり、クレーム対応などの際は緊急的な対応が求められるため、ティーチングが効果的でしょう。
05コーチングが有効なケース
実際のビジネスの場において、コーチングが効果的なケースはどのような場合があるのでしょうか。2つの場合をご紹介します。
対象者にある程度のスキルや経験がある場合
コーチングは、対象者の中にあるポテンシャルを引き出す指導法であるため、ある程度のスキルや経験が、対象者にすでにある場合に効果的に働きます。 具体的には、営業部の後輩に対して、どのようにすれば新規顧客を獲得し、自身の売り上げを向上させることができるかといった、答えが明確に定まっていないものを指導する際に効果的です。
緊急性は高くないが重要な内容を教える場合
また、コーチングは時間をかけて1体1でじっくりと教育を行っていくため、緊急性は高くないが、重要な内容を教える場合に効果的に働きます。 具体的には、将来を見据えてどのようなキャリアを形成していくべきかという内容であったり、チームを抱えることになった際、どうすればマネジメントがうまくいくかなどの内容を指導する際に効果的です。
06ティーチングの効果を高めるためのポイント
ティーチングを行っていく上で効果を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。3つのポイントをそれぞれ解説します。
可能な限り言語化する
ティーチングを行っていく上では、指導したい情報を可能な限り言語化することがとても重要です。 言語化できておらず抽象的な概念は、短時間で教えることが難しいため、ティーチングの際は、相手がイメージしやすいように、可能な限り言語化しましょう。
具体例を交え相手に手本を見せる
相手にわかりやすく伝えるためには、具体例を交え手本を示すことも重要です。 座学形式で情報だけを伝えるのではなく、オリエンテーションなどを用いて、実際の現場に即した知識や情報を伝えるようにしましょう。
理解度を確認するためのテストを行う
ティーチングで教える内容は、明確な答えがあるため、振り返りの試験を行うことで相手の理解度を確かめることができます。 振り返ることで、指導された側も理解できた部分とできなかった部分が判明し、復習することができるため、定期的に確認のテストを行うと理解度の向上に繋がります。
07コーチングの効果を高めるためのポイント
コーチングを行っていく上で効果を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。2つのポイントを解説します。
相手の話に耳を傾け自主性を尊重する
コーチングは、相手が自発的に考え答えを出すことをサポートするものであるため、相手の話に耳を傾け、自主性を尊重することがとても重要です。 またその際には、相手の意見を最後までじっくり聴くようにしてください。聞いた上で「その場合はこうした方がいいんじゃないかな」と正解を教えるのではなく、方向性を提示しましょう。
疑問や質問を投げかける
コーチングを行っている中で相手が行き詰まってしまい、なかなか正解に辿り着けないことも少なくありません。そのような場合は、答えに近づくことができるような気づきを促す質問や疑問を投げかけましょう。 そうすることで、直接答えを提示するよりも、より自発的に考え答えを導き出す力を養うことができます。 時には的外れな考えに至ることも多いですが、そのような場合でも根気強く質問や疑問を投げかけてください。コーチングは時間がかかるため、相手を信頼し時間をかけて行うことが大切です。
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(株)ONDO 代表取締役 早稲田大学ビジネススクール非常勤講師 1974年香川県生まれ、香川大学卒。建材商社営業職、IT企業営業職を経て2005年独立。 専門はビジネスコーチングおよびファシリテーション。企業、大学、官公庁などで研修やワークショップなど、年間約200本の対話を通した学びの場づくりを行う。2015年及び2019年、優れた講義を実施する教員に贈られる「早稲田大学ティーチングアワード」を受賞。著書「リーダーのための!コーチングスキル(すばる舎)」「リーダーのための!ファシリテーションスキル(すばる舎)」「チームの成果を最大化する オンライン会議BASICS100(日本能率協会マネジメントセンター)」他。
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09まとめ
ティーチングとコーチングは、似ているように思えて実際は正反対の特徴を持っており、効果を発揮するケースも異なります。 それぞれの特徴を正しく理解し、場面に応じて適切な方法で部下を指導していきましょう。