ティーチングとコーチングの違いは?それぞれのメリットやデメリット、有効なケースをご紹介

ティーチングとコーチングは、どちらも部下の成長を支援する関わり方ですが、目的や進め方に違いがあります。ティーチングは知識や手順を伝える関わり方、コーチングは問いかけや傾聴を通じて相手の考えを引き出す関わり方です。本記事では、人材育成に関わる人事担当者や管理職の方に向けて、両者の違いやメリット・デメリット、有効なケース、成長段階に応じた使い分け、組織として育成スキルを高める方法を解説します。
01ティーチングとコーチングの違いとは
Schoo for Businessの授業『ティーチングとコーチングどっちを使えばいいの?』に登壇する井上洋市朗先生は、両者の違いを言葉の成り立ちから紹介しています。ティーチングのもとになるteachの語源は「見せる」であり、先生が生徒に知識や技術を教えるイメージです。一方、コーチングの語源は、馬車の産地だったハンガリーの地名に由来し、乗客を目的地まで連れていく馬車のように、相手に寄り添って目的地まで導くイメージです。
つまり、ティーチングとコーチングは「答えや判断材料を誰が持っているか」という点で異なります。ティーチングは、指導者が持つ知識や技術、業務上の判断基準、望ましい進め方を相手に伝える手法です。対してコーチングは、問いかけや対話を通じて相手の中にある考えや可能性を引き出す手法です。
ここではまず、それぞれの意味を整理したうえで、混同されやすいカウンセリングとの違いについても解説します。
ティーチングとは
ティーチングとは、指導者が持つ知識や技術、経験に基づく判断基準や望ましい進め方を、相手に教える育成手法です。業務の手順や操作方法、社内ルール、営業のトークスクリプトなど、相手がまだ知らないことを効率よく身につけてもらう場面で用いられます。
関わり方としては「指示・伝達」が中心となり、指導者が手本を示し、相手はそれを見て学ぶという関係です。新入社員の育成のように、相手に業務の知識や経験がほとんどない段階では、まず必要な知識や手順を教えることが求められます。
コーチングとは
コーチングとは、指導者が一方的に答えを与えるのではなく、問いかけや対話を通じて相手の考えを引き出し、目標達成や成長を促す育成手法です。相手に一定の経験や判断材料がある場合に、「相手の中に答えがある」という前提に立ち、本人が自ら考え、決め、行動することを支援します。
関わり方としては「応援・対話」が中心です。強引に相手を変えさせるのではなく、問いかけによって気づきを促しながら目的地まで導いていく点に特徴があります。
カウンセリングとの違い
厚生労働省による働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の用語解説では、カウンセリングを、問題や悩みを抱えた人を対象に、専門的な技術や知識を用いて、言語的または非言語的なコミュニケーションによって行われる相談・援助活動全般と説明しています。ガイダンスとしての相談・助言から、心理療法としての治療的な援助まで、幅広く含まれます。
ティーチングとコーチングが、部下や後輩を「育成する」文脈で用いられるのに対し、カウンセリングは、悩みを抱えた本人が専門家に「相談し、援助を求める」文脈で用いられるものであり、両者は性質が異なります。そのため、上司が部下のメンタル不調に気づいた場合は、コーチングで解決しようとせず、産業医や社内外の相談窓口など専門家につなぐ判断が重要です。
02ティーチング・コーチングスキルを高める重要性
ティーチングとコーチングは、日常の業務指導や面談の中でも広く求められるスキルです。そのため、組織でティーチング・コーチングのスキル強化に取り組むことは、管理職の育成スキルを高める一つの方法となります。また、部下育成がうまく進むことは、管理職のマネジメント時間の確保や、職場の生産性向上につながる可能性もあります。
例えば、労働政策研究報告書No.196(2017)によると、部下への育成・能力開発の支援ができているとする上司は32.9%にとどまっており、支援ができていないと感じる上司ほど、育成を行う時間的余裕のなさと、育成のための知識・ノウハウの不足を課題として強く感じる傾向がみられました。
さらに、労働政策研究報告書No.217(2022)では、部下の仕事の肩代わりがマネジメント時間の不足の一因であり、うまく部下を育成することが結果として管理職のマネジメント時間の確保や職場の生産性向上につながる可能性が述べられています。
▼参考:労働政策研究報告書No.196「日本企業における人材育成・能力開発・キャリア管理」|労働政策研究・研修機構(JILPT)
03「コーチングのほうが優れている」は誤解
ティーチングは、学校教育や職場での業務指導などで広く用いられてきた関わり方です。一方、コーチングは、もともとスポーツの分野などで用いられてきた手法が、ビジネスや人材育成の領域にも広がり、近年は部下の主体性を引き出す関わり方として注目されています。
こうした背景から、「ティーチングは古い」と捉えられることがありますが、これは誤解です。Schoo for Businessの授業『ティーチングとコーチングどっちを使えばいいの?』でも、ティーチングとコーチングに優劣があるわけではなく、相手の状況や目的に応じて使い分けることが重要だと説明されています。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを整理します。
ティーチングのメリットとデメリット
ティーチングの主なメリットは、知識や手順を短時間で伝えられることです。業務の標準的なやり方や安全上のルールなど、守るべき基準や手順が明確な内容を伝える場合、相手に一から考えさせるよりも教えたほうが早く、品質のばらつきも抑えられます。
一方、デメリットは、関わり方がティーチングに偏ると、相手が受け身になりやすいことです。答えや手順を教えられるばかりで、自分で考えたり試行錯誤したりする機会が不足すると、自分で判断する習慣が育ちにくく、指示を待つ姿勢が定着してしまう可能性があります。また、指導内容が標準化されていない場合には、教える内容が指導者個人の知識や経験に左右され、指導者によって教え方や内容にばらつきが出る点にも注意が必要です。
コーチングのメリットとデメリット
コーチングのメリットは、相手の主体性や当事者意識が育ちやすいことです。問いかけによって自分で考え、答えを出すことは自律性を支え、行動の動機づけにつながりやすくなります。また、指導者の知識に縛られず、本人ならではの発想や、指導者が気づかなかった視点が生まれる可能性がある点も魅力です。
デメリットは、ティーチングと比べて結論や解決策にたどり着くまでの時間がかかりやすいことと、相手の中に判断材料がなければ機能しにくいことです。前提となる知識や経験が十分でない場合、問いかけだけでは適切な答えにたどり着くことが難しい場合があります。また、問いかけの質や傾聴の姿勢など、指導者側のスキルに成果が大きく左右されます。使い方を誤ると、単なる「答えを言わない指導」になってしまいかねません。
04ティーチングとコーチングの使い分け
前提として「ティーチングとコーチングの使い分け」は、必ずしも「どちらか一方を選ぶ」ことではありません。相手の状況や目的に応じて、ティーチング比率を高める、下げるなど、割合を変えながら組み合わせるものです。
井上先生による授業『ティーチングとコーチングどっちを使えばいいの?』では、この比率を考えるうえで「導入・発展・自立」という3つのステップが紹介されています。以下で詳しく説明します。
ティーチングが有効なケース(ティーチング割合:大・コーチング割合:小)
ティーチング比率を高めると良いシーンは、まず相手が未経験で、知識がほとんどない状況です。例えば新入社員の配属直後や、経験者であっても初めての業務を担当するときは、基本的な手順や判断基準をまず教えることが効果的です。井上先生は授業内で、単純に方法を知らないからできないだけであれば、無理に意見や考えを引き出そうとせず、ティーチングしたほうが早いと述べています。
また、短期的・緊急的な状況では、ティーチング的な関わりが求められる場面があります。トラブル対応のようにスピードが求められる局面では、時間をかけて意見を引き出すよりも、リーダーが対応方針を判断して指導することが求められる場合もあります。ただし、これは一時的な対応であり、状況が落ち着いた後には、対応の振り返りを通じて本人に考えてもらう機会をつくることも大切です。
コーチングが有効なケース(ティーチング割合:小・コーチング割合:大)
コーチング比率を高めるのが有効なのは、相手に一定の基礎ができ、自発的な取り組みをさらに強めたい場面です。例えば基本の型を身につけた部下に対して「今回はこれまでと違うタイプの顧客だが、どのように進めるとよいか」「前回はうまくいったのに、今回はうまくいかなかった。どこに原因があると思うか」などと問いかけることで、本人の思考が深まり、応用力を育てる機会になります。
井上先生は、リーダーが関与しつつ、意思決定の主体をメンバーに置く「民主的」なスタイルを、コーチング的なアプローチに近いものとして説明しています。そのため、日々の業務が比較的落ち着いていて、メンバーに考える余地を持たせられる場面も、コーチングの比重を高めやすいといえるでしょう。
成長段階に応じて比率を変える「導入・発展・自立」の3ステップ
授業では、相手の成長段階に応じてティーチング(T)とコーチング(C)の比率を変える目安として、3ステップが紹介されています。
1つ目のステップは、相手が未経験・知識ゼロの状態である「導入」です。まだ相手に、行動を試行錯誤するための知識や経験が不足しているため、関わり方は指示・伝達を中心にします。ティーチング・コーチングの割合で言うと、T90〜95%・C5〜10%が目安です。一方、この段階でもティーチングを100%にしないのは、教えるだけでは反論やわからないことを聞ける余地がなくなるためです。原則を説明したあとに「こういう例外のときはどうしたらいいと思うか」とクイズのように問いかけ、一度考えさせる工夫が有効です。
「導入」ステップで教えた基礎ができ、自発的な取り組みを強めたい段階になると、ステップ2つ目の「発展」に移ります。ここでは、相手を応援する姿勢で対話をし、気づきを促すアプローチを行います。コーチングの比重は7割程度まで高めます。基本は対話を中心に関わりますが、相手が対応策を知らないイレギュラーな場面などでは「自分の経験ではこういう方向があるが、やってみるか」と教える要素も残しておくことがポイントです。
3つ目の「自立」は、コツをつかんで次のレベルに進む段階です。ティーチング・コーチング比率は半々を目安に、状況に応じて使い分けます。基準を高めるための関わり方を意識し、「レベル1はできたから、次はレベル2をやってみよう」と刺激を与えつつ、新しく教えるべき内容は教え、応用でできることは問いかけで引き出します。さらに自立が進み、対等に近い関係になっていくと、コーチングの比重がより高まります。ただし、互いの得意分野を教え合う場面では、ティーチングの要素も一定程度残ると説明されています。
使い分けの注意点
使い分けで最も注意すべきなのは、ティーチングをおろそかにしたままコーチングをしようとしてしまうことです。授業では、よくある失敗として3つのパターンが挙げられています。
- 何もわからない相手に「あなたはどう思う?」と問い続ける
判断材料を持たない相手に問いかけても答えは出ず、相手に大きな負担をかける可能性がある。 - 「なぜ?」を繰り返す禅問答
理由を掘り下げるつもりが、答えの出ない問いを重ねるだけになり、相手を追い詰めてしまうことも。 - コーチングという名の誘導尋問
上司側に言わせたい答えが決まっていて、相手がそれを言うまで問いを続けるパターン。
いずれも、本来はティーチングが望ましい場面で、無理にコーチングの手法を使おうとして逆効果になっている例だといえます。
授業では、まずは知識をインプットし、考えるための観点を示したうえで問いかけること、そして答えが決まっているなら無理にティーチングを避ける必要はないことを解説しています。また、導入の段階を飛ばしていきなり発展や自立の関わりをすると、部下が戸惑う可能性もあります。相手の成長段階を見極めながら、必要な知識や判断基準は教え、本人が考えられる部分は問いかけるという使い分けを意識しましょう。
05ティーチングの効果を高めるためのポイント
ティーチングの効果を高めるには、教える内容を分かりやすく整理し、相手の理解度を確認しながら進めることが重要です。ここでは、以下3つのポイントを解説します。
- ・可能な限り言語化する
- ・具体例を交え、相手に手本を見せる
- ・理解度を確認するための機会を設ける
可能な限り言語化する
ティーチングを行う際は、指導したい内容を可能な限り言語化することが重要です。指導者の頭の中では理解できていても、言葉にできていない知識や判断基準は、相手に伝わりにくくなります。
例えば、業務の手順だけでなく、「なぜその順番で行うのか」「どのような点に注意すべきか」「判断に迷った場合は何を基準にするのか」まで言語化すると、受け手が実務で再現しやすくなります。
具体例を交え、相手に手本を見せる
相手に分かりやすく伝えるためには、具体例を交えて手本を示すことも重要です。目の前で実演することで、言葉やテキストでは伝わりにくい部分もイメージがわき、理解が深まりやすくなります。
特に、業務手順や顧客対応、システム操作などは、言葉だけで説明するよりも、実際の流れを見せながら教えることで、受け手が行動に移しやすくなります。
理解度を確認するための機会を設ける
ティーチングでは、業務手順やルール、基礎知識など、理解度を確認しやすい内容を扱うことが多いため、指導後に確認の機会を設けることが効果的です。
確認テストや小テストだけでなく、実際に作業をしてもらう、ロールプレイを行う、説明内容を受け手自身の言葉で言い換えてもらうなどの方法もあります。理解できた部分と不十分な部分を明確にすることで、復習や追加指導につなげやすくなります。
06コーチングの効果を高めるためのポイント
コーチングは、問いかけの技術だけで成り立つものではありません。相手が安心して考えを話せる関係があってこそ、問いかけが機能します。Schoo for Businessの授業『コーチングのマインド』に登壇する谷益美先生は、聞き手として相手にとっての「理解者」になることや、自己流のコミュニケーションにとらわれず、相手に合わせて関わり方を変えることの重要性を説明しています。
ここでは、コーチングを行う側が意識したいポイントを解説します。
相手の話を聴き、理解者になる
コーチングの基本は、話すことよりも聴くことです。相手の話を最後まで聴き、考える主体は相手であるという姿勢を保つことで、本人が自分の考えを言葉にしやすくなります。
谷益美先生は、聴き手として目指すべきポジションを、相手にとっての「理解者」だと説明しています。「現場のことをわかっていない」と感じる上司からの指示を素直に受け取りにくいように、人は自分のことを理解してくれていると感じられない相手の話は、受け取りにくくなります。逆にいえば、しっかり聴いて理解者になれれば、上司として伝えたいことも受け取ってもらいやすくなります。そのため、谷先生は、聴くことを受け身の行為ではなく、より良い関係をつくるための能動的で積極的な行動として捉えるよう勧めています。
相手に合わせてコミュニケーションを変える
コーチングでは、相手に合わせて関わり方を変えることも大切です。私たちは無意識のうちに自己流のコミュニケーションをとっています。自己流の関わり方でうまくいく相手もいますが、うまくいかない相手に同じアプローチを続けると、会話がかみ合わなかったり、相手が話しづらさを感じたりすることがあります。
谷先生は、うまくいかない相手に対して違うアプローチを取れるかどうかが、対応の幅を決めると述べています。例えば「困ったら言ってね」という声かけでは、周囲に気を遣って抱え込むタイプの人からは相談が出てこない場合があります。そのような相手には、「あれはどうなった?」とこちらから聞きに行く方が有効です。相手のタイプに合わせて聴き方を変えることは、相手にとって話しやすい聞き手になるための工夫だといえます。
相手が考えやすい問いを投げかける
傾聴によって関係ができたら、次は問いかけによって相手の思考を深めていきます。「なぜ」を繰り返して追い詰めるのではなく、相手が自分の考えを整理し、言葉にできるような問いを投げかけることが大切です。
谷先生は授業の中で、質問の仕方を相手に合わせて調整する重要性を説いています。例えば「どう思う?」「何か意見ない?」といった漠然とした質問は、その場で答えられる人には有効ですが、じっくり考えるタイプの人には答えにくい場合があります。そうした相手には、「今月の営業目標に対して、現状はこういう状態だが、どうすれば達成できるか」と具体的に問いかけたり、「次の面談で聞かせて」と考える時間を確保したうえで、あらためて聴く場をつくったりすることが有効です。
07組織として育成スキルを高める方法
ティーチングとコーチングの使い分けを定着させるには、指導者個人の努力だけに委ねるのではなく、組織として仕組み化することが重要です。ここでは、人事・教育担当者が取り組みたい4つの方法を紹介します。
OJTを設計し、指導者を育成する
OJTを現場任せにすると、OJT担当者の経験や感覚によって教え方がばらつき、「誰に教わったか」で育ち方が変わってしまう可能性があります。まずは、育成のゴール、期間、担当者、習得すべき業務などを明確にし、設計することが出発点です。何を、いつまでに、どの水準までできるようにするかが共有されていれば、指導者は場当たり的に教える必要が少なくなり、本人も自分の到達度を把握しやすくなるでしょう。
そのうえで、OJT担当者への教育も欠かせません。教え方には個人差がありますが、業務の伝え方や相手の理解度を確認する方法は、知識やトレーニングによって身につけることができます。例えば、前述の「導入・発展・自立」の3ステップを参考に、習熟度に応じてティーチングとコーチングの比率をどう変えるかを整理しておきましょう。未経験の段階では指示・伝達を中心に教え、基礎ができてきたら対話を通じて気づきを促します。さらに、自分で判断できる段階では、次のレベルに挑戦できるよう支援することが重要です。
1on1の運用ルールを整える
1on1は、コーチング的な関わりを取り入れやすい代表的な場の一つです。ただし、目的やルールが曖昧なまま導入すると、単なる進捗確認や上司からの指示・説教の場になりがちです。まず、1on1を部下の成長支援や相互理解のための対話の場として位置づけ、頻度、1回あたりの時間、扱うテーマ、記録の方法などの運用ルールを整えましょう。
例えば、隔週30分を基本とし、業務の相談だけでなくキャリアや働き方についても話してよいこと、上司は聴くことと問いかけることを中心にすること、話した内容を評価に直結させないことなどを取り決めておくと、部下が安心して話しやすくなります。また、定期的な対話の場が設定されていることで、部下が報告や相談を持ち込みやすくなることも期待できます。運用を始めた後は、上司・部下の双方にアンケートやヒアリングを行い、形骸化していないかを定期的に点検することが大切です。
管理職・リーダー向けにティーチング/コーチング研修を実施する
ティーチングとコーチングの違いや使い分け、業務の教え方、対話の仕方といった知識やテクニックは、研修を通じて共通言語として学ぶ機会をつくることが有効です。「どういう状況ではまず教えるべきか」「どのタイミングで問いかけに切り替えるか」といった判断基準を組織で揃えておくことで、部署ごとの育成のばらつきを減らしやすくなります。
研修は知識のインプットだけで終わらせず、ロールプレイやケーススタディを通じて、実際に教える・問いかける練習をする機会と組み合わせると効果的です。特に新任管理職やOJT担当者は、部下や後輩を持って初めて指導に向き合うことも多いため、役割に就くタイミングに合わせて受講できるよう設計しましょう。
eラーニングで事前学習を済ませ、集合研修でロールプレイングを行うといった設計にすれば、研修時間も確保しやすくなります。研修後には、学んだ内容を1on1やOJTで実践し、その結果を持ち寄って振り返るフォローアップの機会を設けると、スキルの定着につながります。
コーチング資格の取得を支援する
より専門的にコーチングを学びたい管理職やリーダーに対しては、コーチング資格の取得を支援することも一つの方法です。コーチングに関する資格は、民間団体が認定するものが中心です。体系的なカリキュラムのもとで傾聴・質問・フィードバックなどのスキルを実践的に学べる点が、資格取得に向けた学習のメリットといえます。
支援の際は、受講料の補助や、業務時間内での学習の許可、取得後の資格手当など、会社として手法を決めておくと取り組みやすくなります。資格取得者を社内コーチや研修の講師として活用すれば、個人の学びを組織全体の育成力に還元できます。ただし、資格取得はあくまで学習手段の一つです。資格の取得自体が目的化しないよう、学んだスキルを1on1やOJTなどの実務で活かす場とセットで設計することが大切です。
国際コーチング連盟(ICF)認定資格
代表的なものに、国際的なコーチング団体である国際コーチング連盟(ICF)が認定する資格があります。ICFの認定資格には、ACC(アソシエイト・サーティファイド・コーチ)、PCC(プロフェッショナル・サーティファイド・コーチ)、MCC(マスター・サーティファイド・コーチ)の3段階があります。取得には、コーチング教育、実践経験、試験などの要件があります。資格の種類や申請ルートによって要件が異なるため、詳細は公式情報を確認しましょう。
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看護師・管理職YouTuber|業務コンサルタント
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(株)ONDO 代表取締役
(株)ONDO 代表取締役 早稲田大学ビジネススクール非常勤講師 1974年香川県生まれ、香川大学卒。建材商社営業職、IT企業営業職を経て2005年独立。 専門はビジネスコーチングおよびファシリテーション。企業、大学、官公庁などで研修やワークショップなど、年間約200本の対話を通した学びの場づくりを行う。2015年及び2019年、優れた講義を実施する教員に贈られる「早稲田大学ティーチングアワード」を受賞。著書「リーダーのための!コーチングスキル(すばる舎)」「リーダーのための!ファシリテーションスキル(すばる舎)」「チームの成果を最大化する オンライン会議BASICS100(日本能率協会マネジメントセンター)」他。
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09まとめ
ティーチングは知識や手順、判断基準を分かりやすく伝える手法であり、コーチングは問いかけや傾聴を通じて相手の考えを引き出し、主体的な行動を支援する手法です。どちらか一方が優れているのではなく、相手の経験や理解度、業務の緊急度に応じて使い分けることが重要です。
相手が業務に不慣れな段階や緊急対応が必要な場面ではティーチングが有効です。一方、基礎を身につけた相手にはコーチングの比重を高めることで、自律的な行動を促しやすくなります。さらに、OJTの設計や1on1の運用ルール、管理職向け研修などの仕組みを整えることで、育成スキルを個人任せにせず、組織全体で高めていくことができるでしょう。