コーチングとは|やり方や習得方法を紹介

近年、様々な業界で人材不足が叫ばれています。企業は貴重な人材をより活用すべく人材育成に注力する必要があります。その人材育成の指導方法の中に「コーチング」という方法があり、注目されています。今回はコーチングがなぜビジネスに有効なのか、コーチングの手法と原則をご紹介します。
- 01.コーチングとは
- 02.コーチングとティーチングの違い
- 03.コーチングのやり方|GROWモデル
- 04.コーチングに必要なスキル
- 05.コーチングを習得する方法
- 06.コーチング研修|Schoo for Business
01コーチングとは
コーチングとは、「目標達成のための思考と行動をサポートする質問型の対話」のことを指します。一方で、International Coach Federation(ICF)では、コーチングを「傾聴と質問の相互作用による明確化・気付きによるクライアントの進歩の促進・クライアントの現在と望む将来に焦点を当てる支援」と定義しています。
このように、コーチングの定義は研究者や論文ごとにも異なりますが、コーチングは「答えを与える」のではなく、「答えを創り出す」サポートを行うという点は共通しています。コーチングでは、「答えはその人の中にある」という原則に基づいて、対話を重ねながら、その人の中にある答えを引き出す支援をします。また、コーチングでは「自身が納得している答え」に辿り着くことを重視するという特長があります。
▶︎参考:コーチングの心理的効果に関する研究
▶︎参考:ビジネスにおけるコーチングの役割
02コーチングとティーチングの違い

ティーチングは、言葉のとおり「正解を教えること」です。つまり、ティーチングの基本的なスタンスとして、答えを持っているのは教える側となります。
一方で、コーチングでは答えを持っているのは、コーチングを受ける側です。コーチングとティーチングの最大の違いは、この答えを持っているのが、どちらの側にあるのかにあります。
ティーチングは、答えを教える側が持っているので、コミュニケーションの方向性は教える側から教えられる側に限定されます。しかし、コーチングでは答えを持っているのは受け手の方であり、コーチは対話と傾聴でこの答えを引き出します。つまり、コーチングにおいてはコミュニケーションは双方向で行われるのです。
03コーチングのやり方|GROWモデル

コーチングの有名な基本的手法として、「GROW」モデルがあります。このモデルを用いることで、漠然とした目標から、具体的な行動へ進むためのサポートをすることができます。 GROWモデルとはコーチングの基本プロセスを表すキーワードの頭文字を並べたものです。
GOAL|目標を明確化
期待する効果やどうなっていたら良いのかを具体的にイメージします。行動を促す前に目標を明明確化、認識させることはとても重要です。たとえば、「経理業務に関する知識の習得」であれば「簿記2級合格」など、明確に数値化することがポイントです。数値化しにくい目標であれば、自己評価と他者評価の両方で判断することで明確にすることができます。抽象的な目標から具体的な目標を設定し、少しずつに達成していく方法をとると、モチベーションを保ちやすく効果的です。最終的に達成したい目標を明確化する質問をしましょう。
目標を明確化する効果的な質問例
- ・この仕事の目標は何ですか?
- ・達成したいと思うこと、成し遂げたいと思うことは何ですか?
- ・目標が達成されたときに描いているイメージはどのようなものですか?
- ・その目標は何パーセントくらい達成可能ですか?
REALITY|現実を把握
今どのような状態なのか、現状を明確にして目標や理想とのギャップを把握できるようにします。現状に対する原因を探ります。現在の目標に対する到達度合を聞きだす質問を通して、目標達成に必要な情報を引き出しましょう。
現実を把握するための効果的な質問例
- ・今、何が問題だと感じていますか?
- ・目標の達成度は何%程度ですか?
- ・現在の状況を具体的に挙げるとどうですか?
- ・課題を解決するために現在すでに取り組んでいることは?
RESOURCE|リソースを見つける
リソースとは、人・モノ・カネ等の経営資源のことです。目標を達成するために使える資源にはどのようなものがあるか整理します。目標達成に活用できる資源を整理するための質問をしましょう。自ら気づくことで主体的に動けるようになります。
リソースを見つけるための効果的な質問例
- ・あなたはどのような資源を持っていますか?
- ・過去の成功・失敗体験の中から得られそうなヒントはありますか。
- ・目標達成のためにどの程度の時間を確保することができますか?
- ・目標達成を助けてくれる人はどんな人ですか。
OPTIONS|選択肢を考える
現状を把握したら、目標とのギャップを埋めていくための具体的な方法について考えていきます。 現実的かどうか、実行可能かどうかなど、上司の判断を挟まず、とにかく自由にできるだけたくさん選択肢を出してもらうのがポイントです。その中からベストな方法を選びます。
選択肢を考えるための効果的な質問
- ・ 目標を達成するためにどんなことができますか?
- ・ これまで試したことのない方法はありますか。
- ・あなたの得意なパターンや方法は何ですか?
WILL|意思を確認する
目標達成のための方法を引き出したら、どれを実行に移すかを本人に選ばせます。いつまでにこれを実行しなさいと上司が指示するのではありません。目標達成のための具体的な行動計画を指導対象者が策定し、定めた目標を必ず達成する強い意思を引き出しましょう。達成するための意思を確認し、次の行動の具体化に繋げる質問をしましょう。行動する本人に方法を選ばせることが自主性を育てていくことにつながります。
行動計画と目標達成の意志を引き出す効果的な質問
- ・まず何から取り組みますか。
- ・1ヶ月以内にやるとしたら、何をしますか?。
- ・これをやりとげたら、どんな気持ちになりますか?
- ・いつまでに目標を達成しますか?
04コーチングに必要なスキル
コーチングの概要などをお伝えしてきましたが、具体的にどのようなスキルを身に着ける必要があるのでしょうか。ここでは、主なスキルを3つ解説します。
傾聴スキル
コーチングにおいて傾聴スキルは非常に重要です。傾聴とは、ただ聞くのではなく、相手の言葉や感情、意図を理解し、共感することです。傾聴することで、部下が抱える問題やニーズを深く理解し、対話の中で彼ら自身が解決策や答えを見つける手助けをします。非言語的なサインや感情を読み取り、言葉だけでなく、相手のニーズや感情に共感することが重要です。
他者を評価するスキル
コーチングにおいて、他者を非難したり評価することは避けるべきです。代わりに、客観的かつ建設的なフィードバックを提供するスキルが必要です。部下の強みを見つけ出し、肯定的な視点からサポートすることで、彼らの成長と自己認識を促進します。適切なフィードバックは、信頼関係を築き、自己成長に向けた行動を促すのに役立ちます。
質問スキル
質問スキルは、コーチングにおいて非常に重要です。質問を通じて、部下が自己探求を行い、内省し、自分自身の答えを見つける手助けをします。オープンエンドの質問や強調された質問を使用して、部下の洞察を深め、彼らが新たな視点や解決策を発見できるようにサポートします。質問は部下の自己発見を助け、成長を促す重要な手段となります。
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【関連記事】コーチング研修の目的とは?|具体的なカリキュラムや内容をご紹介!
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■資料内容抜粋
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05コーチングを習得する方法
コーチングを習得する方法は主に以下の5つがあります。
- ・書籍を読む
- ・コーチングを受ける
- ・オンライン学習サービスを試聴する
- ・研修を受ける
これらの方法を並行して活用すると、効率よくコーチングを習得できます。この章では、コーチングを習得する方法について詳しく紹介します。
書籍を読む
コーチングを習得する方法の1つに、書籍を読むという方法があります。図書館を活用したり、会社の書籍購入補助制度を活用したりすることで、費用負担もなく学ぶことができます。
おすすめの書籍は以下のとおりです。
▶︎参考:Coaching A to Z 未来を変えるコーチング
▶︎参考:新 コーチングが人を活かす
コーチングを受ける
自分がコーチングを受ける側になることも、コーチングを習得する上で非常に有効な手段です。どのような問いかけをしているのか、どのような姿勢で話を聴いているかなどを実際に体験することで、コーチングの習得につながります。
コーチングを受ける場合は、専門家にコーチを依頼すると良いでしょう。コーチングが未熟な人を反面教師にするという視点もありますが、コーチング能力の高い人から学ぶことの方が明らかに多いです。
オンライン学習サービスを試聴する
「本を読むのが苦手」・「効率よく学びたい」という人は、オンライン学習サービスを活用して、コーチングを習得する方法もあります。
オンライン学習サービスはサブスクリプション型であることが多く、コーチングの正しい知識はもちろんのこと、傾聴スキルや対話のスキルなど、コーチング能力を高めるために必要なスキルについても学ぶことができます。
研修を受ける
研修やセミナーを受講することで、コーチングを習得する方法もあります。一部の企業では、公募型で受講者を募集している研修を実施している場合があるので、社内のイントラなどを確認してみると良いでしょう。
個人で外部セミナーや研修を受講しようとすると、数万円の費用がかかることも珍しくありません。所属組織の研修対象者になるのを待つか、安価な手段で知識のインプットをする方が良いかもしれません。
06コーチング研修|Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。コーチング研修はもちろんのこと、新入社員研修・管理職研修からDX研修まで幅広いコンテンツで全ての研修を支援できるのが強みです。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schooのコーチング研修の特長は、コーチングの正しい知識はもちろんのこと、傾聴や対話などコーチングに求められるスキルに関してのコンテンツも充実しているという点にあります。
また、Schooはeラーニングによる研修受講となるので、社員1人ひとりが好きな時間や場所、タイミングで研修を受講することができるので、研修受講に時間を割くことが難しい社員が多かったり、リモートワークを導入している企業や多拠点展開している企業におすすめです。
大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
コーチング研修のカリキュラム例
この章では、Schooが保有する9,000の授業の中から、コーチング研修におすすめの授業を3つ紹介します。
コーチング 目標設定のための4ステップ
第1回 | コーチング 目標設定のための4ステップ |
時間 | 50分 |
研修内容 |
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この授業では、「コーチング」をテーマにGrowモデルのフレームワークを通し、部下の意欲や能力を引き出すために大切な考え方や適切な目標設定の手法について学ぶことができます。
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㈱LEBEN CAREER CEO
秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
組織を育てるリーダーのコーチング思考と対話法
第1回 | チームを導くリーダーのセルフコーチング |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | メンバーを導くコーチングの聴き方 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第3回 | 動機づけを促すコーチングの技術 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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この授業では、組織づくりやメンバーとの関わりに着目し、実践できる考え方と対話法を解説します。全3回(合計3時間)で、コーチングスキルの一部を紹介しながら、ビジネスの場で活かしていくためのポイントをお伝えします。
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㈱LEBEN CAREER CEO
秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
チームと共に成長するリーダーのコーチング実践法
第1回 | コーチという姿で、メンバーと関わる |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | コーチングを活かした、メンバーとの関わり方 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第3回 | チーム運営に活かす、グループコーチングの視点 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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この授業では、チーム運営にコーチングを取り入れる際のポイントや、個々のメンバーとの関わり方、チーム全体に対しての関わり方などを学ぶことができます。
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㈱LEBEN CAREER CEO
秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
07まとめ
今回はコーチングがなぜビジネスに有効なのか、コーチングの手法と原則をご紹介しました。コーチングを使うことで主体的に判断し行動する人材を育成することができます。そのためには、コーチングスキルが必要です。ぜひ、コーチングを体系的に学ぶ研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。