「研修って効果あるの?」と言われないために……効果のある研修を実施するポイント

社員の人材育成のためにさまざまな内容の研修を用意しても、肝心の受講者自身がその内容を吸収し自分のものとして現場で力を発揮していかなければ、コストをかけて行った研修の意味がなくなってしまいます。実際、現場から「研修の効果がない」という耳の痛いことを言われている人材育成担当の方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、効果のある研修を実施するポイントをいくつかご紹介します。二度と「研修は効果がない」と言われないために必要なことをお伝えしていきます。
- <目次>
- 1.「研修って効果あるの?」「研修って意味ないね」の背景
- 研修を受けた後にあがる声
- なぜそういう声があがるのか
- 2.研修効果を高めるためのポイント
- どのようなポイントを抑えれば「効果のある研修」となるか
- Off JTとOJTをつなぐポイント
- 3.OJT研修を効果的に行う方法
- 1:設計
- 2:導入
- 3:運用
- 4:改善
- 4.研修効果の測り方
- 研修効果の効果的な測り方
- どういうときに、どのような測り方がおすすめか
- 5.Schooが提供する企業向け学習パッケージ
- Schooのサービスの特徴
- Schooの研修パッケージの紹介
- 6.まとめ
1.「研修って効果あるの?」「研修って意味ないね」の背景
研修を受けた後にあがる声
研修の受講者はもちろん、受講者を送り出した現場の上司や育成担当者などからこのような声があがっていませんか?
- 「研修を受けただけでやりっぱなしになっている」
- 「研修を受けても、その後現場で実際にどう活かしてよいのかわからない」
- 「研修後の受講者を現場でフォローしたいが、何をしていいかわからない」
このように、研修が“やりっぱなし”の状態になっていることに対する指摘を受けることもあるのではないでしょうか。
それだけではなく、研修を計画・実施するあなたの上司または経営陣からも「投資対効果のある研修を実施してほしい」などと、研修で得られる効果について板挟み状態になってはいないでしょうか。
なぜそのような声があがるのか
研修の効果を求められるという状況は今に始まったことではないかもしれません。しかし各分野でのグローバル化が叫ばれる昨今、どの業界も競争が激化しており、世界中に潜む競合他社におされないような会社にしていくためにも、人材育成に関する課題解決は急務というわけです。
ひとえに研修といってもさまざまな種類や内容のものがありますが、人材育成の一環として行われる研修は、従来よりも投資対効果や質を重視されるように変化してきています。
2.研修効果を高めるためのポイント
どのようなポイントを抑えれば「効果のある研修」となるか
受講者と受講者が所属する現場、どちらからも研修の効果があったという声を引き出すには、どのようなことをしていけばよいのでしょうか。
効果の高い研修を行うため、次に述べる3つの考え方へと切り替えていくとよいでしょう。
職場での実践までをゴールとして考える
研修効果を上げていくには、受講者が研修を受けるだけで終わらせず、職場で実践されるかどうかという点まで考えることが大切です。職場で実践を行うには、研修で教育を担当する人が現場の状況をあらかじめ理解しておく必要があります。
また職場でも研修が行われた内容を活かせる場面がなければなりません。そうなると、これまでのような研修のやり方とはうってかわり、さまざまな社内改革が必要です。しかし研修効果を確実に高めていくにはそれも必要なことではないでしょうか。
なぜ?と問いかける要因分析を行う
研修を終えてからしばらくの間は、効果測定としてアンケートなどを実施することはよくあります。しかしアンケート調査を行なった後のアクションのことまで考えられていることはそう多くありません。
重要なポイントはアンケート調査を行なった結果、受講者本人が自身のできていない部分や不足している部分などに気づき、解決に向けた計画または行動までが行われているかどうかです。ただアンケートを行うだけでは、研修に対する評価だけで終わってしまいます。
そうではなくアンケートの結果から、「意識して行動できていること」「意識して行動できていないこと」を明確にして、それぞれ「なぜできているのか」「なぜできていないのか」を分析するとよいでしょう。悪いことだけでなくよい事もきちんと分析することで、再現可能な成功例を増やすことにもつながるはずです。
論理的思考に関するSchooのおすすめ授業:論理を徹底的に詰める「批判的思考法」

「よく考えたつもりで伝えたことが相手に理解されなかったり、納得感を得られなかったりすることが多い」「自分の意見に説得力を持たせるにはどうすれば良いのか」といった悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか? 批判的思考は、誰かを非難することではありません。そもそも〜?や、なぜ〜?と論理に問いを立てる事で、物事を正しく解決する方法です。 この授業では、「論理を客観的に検証し、説得力を持たせる方法」「論理的な考え方と実務で使う方法」について、論理思考やプレゼンテーション等をテーマに講師や教材開発を担当した実績を持つ、株式会社 i-think 代表取締役の井尻 淳先生に解説していただきながら学べます。
1984年京都府生まれ。2007年京都大学理学部(数学専攻)卒業。2007年4月に株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社。EC(イーコマース)事業部にて、出店企業向けコンサルティング業務に従事。2011年に株式会社グロービスに入社。論理思考やプレゼンテーション・ファシリテーション等をテーマに講師登壇すると共に、教材開発や講師育成に携わる。2019年に独立。自らの考える「思考力教育」を行うため、株式会社 i-think を設立。企業研修への登壇やオンラインサロンの運営等を行っている。
受講者にもPDSサイクルを徹底してもらう
受講者自身に要因分析を行なってもらい、そこからさらに実施や行動の振り返りを行なってもらうようにすると、より研修効果が高まるでしょう。
アンケート結果などから自身の状況を確認し、課題を見つけます。課題を見つけることができたら、計画(Plan)→実践(Do)→振り返り(See)とPDSサイクルを回していきます。
人材育成の担当者は、研修を計画して実施し、研修の効果測定を行うことが仕事ですが、いくら育成担当者が必死になっても、受講者自身が学んだことを徹底して身につける行動をとっていかなければ、効果が上がらないことも考えられます。
社内できちんと実施できる仕組みを構築し、さらには職場の上司や教育担当者への理解を得るための働きかけも必要です。
Off JTとOJTをつなぐポイント
上記の3つを徹底していこうとすると、Off JT(職場外研修・ここでいう研修)とOJT(職場内研修)をしっかり連携させていくことが大切だと言えるのではないでしょうか。
研修前には受講者が受ける研修のねらいと受講者の近況を共有していくことや、受講者本人の目的意識の確認を行い、研修後は研修で学んだことの共有に加え、実践する機会や場の存在をつくることや適切なタイミングでの研修の振り返り(アンケート調査など)、受講者同士の交流や情報共有などが必要です。
これまで研修を受講するだけでその後の実行プランなどが用意されていなかった場合は、上記に挙げたことを実施していけるように整理していく必要があります。
研修後にアンケート調査などは行っていたものの、実施されるかどうかは職場任せになっていたという場合は、職場任せにしない仕組みを新たに思案し取り入れていく必要があるでしょう。
3.OJT研修を効果的に行う方法
OJT研修も1つのプロジェクトですので、効果的に行うためにはPDCAサイクルを回していく必要があります。この章では、OJT研修のPDCAとは具体的にどのようなものなのかを解説していきます。
1:設計
目的を明確化し、研修の対象者の合意を得ることと、ガイドラインを検討・策定することがポイントです。当たり前のことですが、目的を設定せずにOJT研修を実施しても、対象者は目標を持つことができず、どのように成長していけばいいのかわからなくなってしまいます。そして、ガイドラインの策定も同じく大切です。誰が研修担当者になっても同じレベルの研修を行えるように、ガイドラインを策定しましょう。
2:導入
OJTを導入する際には、部門長に周知・理解してもらうことと、OJTトレーナーを厳選して任命することが大切です。異なった部門をまたいで行われるOJT研修では、それぞれの部門にそれぞれのスケジュールがあるので、OJTを行う前に部門長に認知てもらい、理解を得る必要があります。同じく、トレーナー選定も重要です。一定のクオリティを担保するためには、それなりの手腕のあるトレーナーが必要です。そのため、どんなトレーナーが適切なのかをしっかりと見極めて選定しましょう。
3:運用
OJTを運用していく際には、OJT活動を管理し、フォロー教育も行うということが重要になります。ただOJT研修をやるのではなく、教える側と教えられる側の関係はどうなのか、運用に支障は出ていないかなど、定期的に管理していく必要があります。そして、教えられる側の社員に対しては、OJTで実践を学ぶだけでなく、学んだことを定着させられるように、フォロー教育を行うようにしましょう。
4:改善
改善のフェーズは、OJT研修を行う上で非常に重要です。効果測定をし、その効果を分析した上でOJTのプログラムを改善しましょう。完璧なOJT研修はなく、どこかに必ず欠陥は見つかります。プログラムをより効果的に運用するために、効果測定を必ず行うようにしましょう。そして、測定した効果を分析し、次はどのような点を改善すればいいのかを考えます。このような効果測定と改善のプロセスを経ることで、プログラムはより充実したものとなるでしょう。
4.研修効果の測り方
研修効果の効果的な測り方
研修効果を測る方法としては、アンケートを実施するのがよいでしょう。アンケートであれば、受講者は平等に意見を述べる機会を得ることができますし、口頭では伝えづらいことも伝えやすくなります。
また客観的な効果測定を行うことにも優れていて、前回・前年と比較もしやすく変化もわかりやすいというメリットがあります。
どういうときに、どのような測り方がおすすめか
研修後に行うアンケートは、研修後1~2ヶ月の間に実施するのがおすすめです。なぜなら研修からあまりに時間が経ってしまうと、内容を忘れてしまう人がいたり、研修で学んだことが実施できていない人も出てきたりしてしまうためです。
忘れそうなタイミングを見計らい、なるべく早い段階でアンケートを実施するとよいでしょう。
5.Schooが提供する企業向け学習パッケージ
Schooのサービスの特徴
schooビジネスプランでは、動画配信という形でさまざまなニーズに応えられる授業を提供しています。
授業へのご登壇には、各業界における第一人者や著名な専門家の方々をお迎えしており、ご登壇される講師の方々は、ビジネス現場での経験に基づいた事例などを具体的に教えてくださいます。最前線の情報が入手できることも多く、すぐにビジネスに活用していくことが可能です。
さらにSchooのeラーニングでは、受講者はチャットなどを通じて講師に直接質問をすることもできます。
eラーニングであっても、実際の研修を受けるのと限りなく近い状態で学習でき、受け身型の学習にとどめない仕組みがあるところがSchooの特徴です。デバイスや時間、場所に制限されないため、研修の時間を調整するなどの手間は不要で受講する人に合わせた学習スタイルを提供できます。
Schooの研修パッケージの紹介
さらに、Schooの研修パッケージでは、階層別・職種別・テーマ別で研修パッケージをご用意しています。
例えば入社して間もない新入社員向け研修では、ビジネスマナーやマインドセット、ロジカルシンキングに関する授業の他、社会人として必須のPCスキルであるPowerPoint、Excel、Wordの操作方法や資料作成の方法など、新入社員に求められる要素が学べるコンテンツが揃っています。
階層別に必要なコンテンツがわかりやすいため、コンテンツ選びで迷うことなく、効率的に学習することが可能です。
6.まとめ
- グローバル化や業界の競争激化などの背景があり、従来に増して研修の効果が求められている。
- 効果のある研修を行うには、「職場での実践までをゴールと考える」「失敗や成功の行動要因を分析する」「受講者にもPDSサイクルをまわしてもらう」ことが必要となる。
- 研修の効果を測定するには、研修後1〜2ヶ月の間にアンケート調査を行うとよい。
集合研修・OJTによる人材育成を加速させる。
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動画学習を活用することで事前に業務に関する知識をインプットをした上で、集合研修やOJTに臨むことができます。
それにより集合研修やOJTの場は知識の定着を図ったり疑問点を解決したりといった時間に充てることができ、 研修をより効果的に行うことが可能です。
ビジネスマナーやコミュニケーション力などの基本スキルから、営業・プログラミング・デザインなどの実務スキルまで学べるので、自発的に学び成長していける人材の育成促進につながります。