公開日:2021/05/28
更新日:2022/09/21

キャリアデザインの意味は?企業が従業員を支援するメリットや方法について解説

キャリアデザインの意味は?企業が従業員を支援するメリットや方法について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

時代の変化とともに人々の働き方も変化しており、若い世代から自身のキャリアデザインを設計することがすすめられています。この記事では、キャリアデザインの意味や設計方法、企業が従業員を支援するメリットや方法についても解説します。

 

01キャリアデザインとは

そもそもキャリアデザインとは何でしょうか。その定義や意味、似た言葉として耳にする「キャリアパス」「キャリアプラン」「キャリア形成」との違いを解説します。

キャリアデザインの定義・意味

キャリアデザインとは、自身の職業人生を、主体的に設計することを意味します。ここでいうキャリアとは、仕事上の昇進、昇給などだけでなく、家族や余暇など、プライベートも含めた人生そのものを指しています。 キャリアデザインの設計により、仕事を通して将来なりたい自分にどう近づくか、そのプロセスも含めて自身のビジョンを明確化し、実現していきます。これには、自身の経験やスキル、価値観や周りとの接し方、ライフスタイルなどを考慮することも関係しています。

実施タイミングについて

キャリアデザインは、結婚や出産などライフイベントに合わせて実施することがおすすめです。なぜなら、ライフイベントは自分自身や仕事に対して、改めて考え直す機会だからです。また、従業員のキャリアデザインを管理するのが人事主導の場合、管理のしやすさから、異動や昇進など転換となるタイミングでの実施も良いとされています。加えて、最近では、クラウド人材管理システムを積極的に導入している企業も多く、従業員を定量面でも管理できるようになってきました。そのため、異動や昇進などのタイミングに関わらず、人材管理システムを導入している企業は制度化してしまうのも可能です。

キャリアパス、キャリアプラン、キャリア形成との違い

キャリアデザインと似ている言葉に、「キャリアパス」や「キャリアプラン」「キャリア形成」があります。キャリアパスは、ひとつの企業に限定して用いられる言葉で、社内での昇進、昇給などの目標に向かっていくために必要なステップのことです。キャリアパスを提示するのは、基本的に企業側になります。 キャリアプランは、ひとつの企業に限定するのではなく、転職や独立も選択肢に入れつつ、人生における職歴や働き方を、具体的に計画することです。キャリア形成は、資格やマネジメント、専門知識の習得など仕事の目標を達成するためのスキル習得計画を指します。これに対してキャリアデザインは、仕事だけでなく、プライベートの部分も含めているという意味で、スケールが大きいと考えることができます。

 

02キャリアデザインはなぜ必要なのか

最近になって、キャリアデザインの必要性が叫ばれるようになりました。その背景には以下の3つのポイントが関係しています。

  • 1:社会情勢や経済構造に変化が生じている
  • 2:企業を取り巻く環境に変化が生じている
  • 3:従業員個々の働き方に変化が求められている

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

社会情勢や経済構造に変化が生じている

キャリアデザインの必要性が注目されている背景には、社会情勢や経済構造に変化が生じていることが関係しています。現代は「VUCAの時代」とされており、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性により、ビジネスにおいても将来の保証が得られなくなりました。 バブル崩壊やグローバル化もそうですが、近年ではIT化による急激な変化や、新型コロナウイルスの感染拡大などにより、VUCAの度合いが増しています。そのため、ビジネスにおいても、従来の常識や前例が通用しなくなっているのです。

企業を取り巻く環境に変化が生じている

社会情勢の変化とともに、企業を取り巻く環境にも変化が生じています。日本においては、従来の年功序列、終身雇用が崩壊し、成果主義や転職が当たり前のようになってきました。そのため、新卒一括採用で人材を育成するのではなく、即戦力となる人材の中途採用の割合が増加しています。 また、少子高齢化による人材不足も叫ばれており、人材の流出を防ぐために、従業員のモチベーションやエンゲージメントを強化しつつ、生産性を上げていく必要も出てきました。

従業員個々の働き方に変化が求められている

社会情勢や企業を取り巻く環境の変化は、従業員個々の働き方にも変化を促しています。企業が、エスカレーター式にキャリア形成をしてくれる時代は終わったため、自身のキャリアは自らの手で作らなければなりません。 また、人生80年時代から人生100年時代へと移り変わり、自身の職業人生を長い目で見る必要が生じています。働き続けるエネルギーを持続させるには、将来のなりたい自分を思い描き、それを実現するためのキャリアデザインが求められるのです。

 

03キャリアデザインの設計方法

ここでは、キャリアデザインの設計方法を、4つのステップで説明します。

  • 1:自身の過去を振り返る
  • 2:なりたい自分を思い描く
  • 3:現在の自分を分析する
  • 4:するべきことを段階的に設定する

それぞれのステップについて詳しく解説します。

1.自身の過去を振り返る

キャリアデザインを設計するための最初のステップは、自身の過去を振り返ることです。幼少期、学生時代、20代前半、20代後半というように、年代ごとに現在までの出来事を振り返ります。それには、成功したことや失敗したこと、大きな影響を受けた人や本なども含まれます。 過去を振り返ることで、自身が得てきた資格やビジネススキル、大切にしていること、価値観、失敗から立ち直るためにしたこと、幸福に感じることなどを知ることができます。

2.なりたい自分を思い描く

次に、過去と現在の自分を整理しつつ、なりたい自分を思い描く作業に入ります。理想とするワークスタイル、家族構成などを含めたライフスタイル、余暇の過ごしかたなどを考えて、自身が理想とする将来のビジョンを設定します。 ただし、なりたい自分を簡単に思い描けない場合もあります。その場合は、嫌なことから逆算する方法もあります。例えば、「毎日満員電車に揺られて出勤するのは嫌だ」と考えているなら、リモートワークやフレックスタイム制などのワークスタイルを理想とできるでしょう。

3.現在の自分を分析する

なりたい自分を思い描けたら、次のステップは、現在の自分を分析することです。過去の振り返りで得られた情報をもとに、現在持っている資格、自分が大切にしている価値観、絶対に譲れないこと、自分の魅力などを再確認します。 それから、なりたい自分に近づくために、自身に足りないことを整理します。足りないスキルは何か、どのようなサポートを必要としているかなどを思い浮かべることができるでしょう。現状と理想のギャップを知ることになりますが、そうすることで次のステップに繋げることができます。

4.するべきことを段階的に設定する

4つ目のステップは、理想の自分に近づくために、するべきことを段階的に設定することです。ここで大切なのは、比較的小さな目標を立てて、確実に前進することです。いきなり大きな目標を達成しようとすると、無理が出て途中で棄権してしまう可能性があるからです。 達成可能な現実的な目標を定め、期限を決めると良いでしょう。達成感が次の目標に向かう原動力となり、理想の自分にだんだんと近づくことができます。キャリアデザインの設計には、家族、会社、社会など周囲の人たちも関係していることも忘れないでください。

 

04企業がキャリアデザインの設計を支援するメリット

大企業であっても、終身雇用が不可能な時代です。キャリアデザインの設計を、従業員の個人的な問題として捉えるのではなく、企業も積極的に支援することが求められています。では、企業がキャリアデザインの設計を支援するメリットには何があるのでしょうか。

 
  • ・人材力強化につながる
  • ・目標を持つことで従業員のモチベーションが上がる
  • ・ステップアップする従業員を通してコネクションが広がる

上記の3つのメリットについて解説します。

人材力強化に繋がる

企業が従業員のキャリアデザインの設計を支援することで、人材力強化にも繋がります。キャリアデザインの設計ができている従業員には、主体的に行動する傾向があります。指示を待つのではなく、クレドや現在与えられているミッションから、今やるべきことを考えて行動できるのです。 VUCAの時代において、人材力の強化は各企業の重要課題です。個々の従業員が主体性を持つことで、生産力はアップし、企業の競争力にも繋がるからです。

目標を持つことで従業員のモチベーションが上がる

キャリアデザインを設計した従業員は、仕事においても目標を設定しています。目標の達成には、企業のサポートも必要になるでしょう。企業が従業員のキャリアデザインを理解することで、業務を通して目標達成の後押しをすることができます。 企業のサポートを肌で感じる従業員は、日々の業務に高いモチベーションで臨むことになります。やりがいを感じることで、エンゲージメントが高く維持され、早期離職の防止にも繋げることにもなるのです。

ステップアップする従業員を通してコネクションが広がる

各従業員が、自身のキャリアデザインに向かって前進すると、ある時点で、ステップアップのために会社を離れる時期がやって来るかもしれません。「転職されては困る」というのが本音かもしれませんが、ステップアップをする従業員を通してコネクションが広がると捉えることもできます。 当人とは、転職または独立した後も、ビジネスにおける有益な付き合いができるかもしれません。それがきっかけで、新規顧客の獲得に繋がることもあります。また将来、優秀な人材としてカムバックする可能性もあります。

 

05企業がキャリアデザインの設計を支援するデメリット

企業主体でキャリアデザインの設計を支援することで生まれてしまうリスクも存在します。主なデメリットとしては、「転職のきっかけとなる」「昇給・昇進の目的化」があげられます。ここでは、それぞれの理由と対策について解説していきます。

 
  • ・転職のきっかけになってしまう
  • ・昇給・昇進が目的になる

上記の2つのデメリットについて解説します。

転職のきっかけになってしまう

企業が従業員のキャリアデザインの設計を支援することで、人材力強化にも繋がります。一方で、力を付けた従業員がより高い給与やレベルの高い仕事を求めて、転職してしまう可能性があります。また、キャリアデザインの設計をサポートすることで、「今の会社では自分の望むキャリアを実現できない」とわかって、転職してしまう可能性もあります。 これらを解消する手段としては、「自社で成長してもらうためのキャリアデザインの設計支援」といったように、前提を伝えていくことが重要です。

昇給・昇進が目的になる

いざ、キャリアデザインの設計支援をすると経営層や人事が求める回答をする従業員がいます。結果として、「昇給・昇進するためにどのようなキャリアを歩んでいくか」という考え方になってしまうということがあります。キャリアデザインはその人の人生観や個人的なビジョンに基づいて実施されるものなので、人材育成とは異なります。 これらを防ぐために、「従業員主体のもの」という前提も必ず伝えていきましょう。

 

06企業がキャリアデザインの設計を支援する方法

企業が従業員のキャリアデザインの設計を支援する方法を3つ紹介します。

  • ・キャリア面談や相談室の設置
  • ・研修など従業員教育を充実させる
  • ・フレキシブルな人事制度を設ける

それぞれの方法について解説します。

キャリア面談や相談室の設置

キャリア面談や相談室を設置することで、従業員がキャリアデザインを設計するようサポートできます。従業員の価値観や働きぶりをよく知っている上司が担当するなら、実際的なアドバイスができるでしょう。 外部から専門カウンセラーを呼ぶことも効果的です。専門知識と、第三者の立場を活かして、従業員の可能性を引き出すことができるかもしれません。

研修など従業員教育を充実させる

研修など従業員教育を充実させることも、従業員のキャリアデザイン設計のための重要なポイントです。キャリアデザインと各従業員の能力、スキルは大きく関係しているからです。 従業員のスキルアップを積極的に支援することで、現職場でのパフォーマンス向上にも繋がります。さらには、各従業員が理想的なキャリアデザインを描けるよう、援助することにもなるのです。

フレキシブルな人事制度を設ける従業員のキャリアデザインを後押しするために、フレキシブルな人事制度を設けることもできます。例えば、移動自己申告制度や社内FA制度により、従業員が希望する部署へ異動できる可能性を作るのです。 また、リモートワークやフレックスタイム制を導入して、働き方の面での支援もできるかもしれません。ジョブリターン制度で再雇用の扉を開いておくなら、ステップアップして経験を積んだ人材のカムバックを促すことができます。


 

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07キャリアデザインの事例

企業主体で行われるキャリアデザインの設計支援は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、5つの例を交えて、紹介していきます。

株式会社みずほフィナンシャルグループ

メガバンクの一角として有名なみずほ銀行などを運営する株式会社みずほフィナンシャルグループ。みずほフィナンシャルグループでは、グループ内で共有すべき価値観や行動軸を「みずほValue」と位置付け、これらをもとに従業員が仕事を通じて人生を豊かにしていくことを支援しています。具体的には、キャリア面談の実施やアドバイザーの設置、能力開発や多様な働き方の支援などを行っています。

株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ

情報システムやソフトウェアの研究・開発、情報処理に関するコンサルティングを行う株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでは、キャリアデザインのために「従業員による自律的なキャリア開発」「幹部職からの積極的なキャリア開発支援」「組織的な人材育成」という3つの観点を制定。従業員に対して、キャリア相談に対応できる専門のキャリアコンサルタントとの面談を必須化したり、若手従業員の早期戦力化と人間的成長を目的に人材育成制度の見直しや教育プログラムの改善を行っています。

株式会社豊田自動織機

繊維機械や自動車などを製作する株式会社豊田自動織機。自動車大手のトヨタグループ創始者である豊田佐吉の精神「豊田綱領、Five Values」を元に従業員のキャリアデザインを行っています。具体的には、中長期のめざす姿を上司と共有しその達成に向けた課題を年度毎に設定し、プロセスを評価する仕組みを作成しました。また、それに伴う技術の基礎レベルを上げるために講座を解説したり、OFF-JTなどを導入しています。

田辺三菱製薬株式会社

患者さんを第一に糖尿病治療薬など常に新しい商品を世に生み出している田辺三菱製薬株式会社では、従業員がより良い職業人生を歩んでいけるようなキャリアデザインに取り組んでいます。例えば、キャリア面談を実施して、目標の設定や見直しをおこなったり、ライフステージの節目で「キャリアデザイン研修」という集合研修を実施し、今後のキャリア・価値観・期待や環境・目標を見直し、主体的に取り組むことを支援しています。

大阪ガス株式会社

近畿圏を中心に710万戸を超えるお客さまに都市ガスを供給している大阪ガスは、中期経営計画の一環として、従業員のレベルアップに力を入れるためにキャリアデザインに取り組んでいます。具体的には、従業員が自らの仕事ぶりや適性を見直し、今後のキャリアや能力開発の方向性を考える機会として、年に1回上司と「自己観察面談」を実施しています。また、45歳、53歳のタイミングで今後どのようなキャリアを歩んでいきたいかを考える、キャリアガイダンス研修を実施。長期的に従業員が働く環境を作るために、年齢層に関わらず、従業員のキャリアデザインを実施しています。

▶︎参考文献:「厚生労働省:キャリア支援企業 好事例集」

 

08まとめ

時代とともに、社会、企業、個人のあり方に変化が求められています。理想とする将来を切り開くために、従業員各人がキャリアデザインを設計する必要があります。理想のキャリアを達成することは、個人のみならず、企業や社会を豊かにすることにも繋がるため、今こそ取り組むべき課題だといえるでしょう。

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  • 登壇者:田中 研之輔 様
    法政大学キャリアデザイン学部 教授

    一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数

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