公開日:2021/12/02
更新日:2023/02/25

考課者研修が求められる背景は?効果的な研修内容と注意点を紹介

考課者研修が求められる背景は?効果的な研修内容と注意点を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

考課者研修とは、人事考課を行う人、また評価担当者の教育指導するための研修です。本記事では考課者研修のメリット・デメリット、また効果的な方法について紹介します。これから考課者研修を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01考課者とは

考課者とは社員個人の実績や会社への貢献などを考慮して、規定されている項目について評価する人です。会社では良き人材を判断して適切な部署や仕事量を与えることで、会社全体の業績の向上を見込むことができます。

そのため、考課者は期間中に仕事の出来や成果に応じて社員に適切な評価を行い、人材育成や会社の各部署の目標達成に活かせるようにします。

また、考課者は各社員の業績や仕事への態度を確認して、公正に評価しなければなりません。

なぜなら、客観的な視点から尊重できる点や改善点を的確に指摘できなければ、適切な人材配置などを行えないためです。このことから考課者は企業発展のために、今求められている人材といえます。

人事評価との違い

考課者は社員個人の実績や貢献などを加味して評価を行う人ですが、役割から考えると人事評価と似ている部分があり、混同してしまうことも。しかし、考課者と人事評価では、同じ評価でも目的に違いがあります。

考課者の目的は期間中に取り組むべき成長課題を考えて、人材育成を促進させることです。一方、人事評価では期間終了時点での人材の価値を評価して昇級、または給与の金額などを決定します。 考課者の目的は社員ができること、できなかったことを正しく認識すること、人事評価の目的は社員の現状の能力や成果に対して適切な評価や報酬を与えることです。この違いを確認してください。

▼人事評価と人事考課について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】人事考課とは?人事評価との違いや問題点を解決する方法も解説

考課者研修が求められる背景

各社員の能力を把握し、より適切な部署で仕事をしてもらうために、今では多くの企業が考課者研修の実施を重要視しています。しかし、多くの中小企業は部下の評価を上司が行っているのが現状です。

一方で、仕事ができても正当な従業員評価を苦手としている上司も珍しくありません。各社員の能力を引き出すこと、適切な現場での指導など、マネジメント能力が不足している人もいます。そのため、多くの企業は部下を管理する上司がマネジメント能力を身に付けられる考課者研修に注目しています。個々の目線ではなく、公正な判断に基づいて評価できる人材の育成が目的です。

 

02人事考課者に求められる仕事

人事考課者として働くのであれば、どのようなことを求められているのかを理解しておく必要があります。あらかじめ、人事考課者に求められている内容を知っておくことで、人事考課もしやすくなるためです。人事考課者は以下の4つのポイントを確認しておきましょう。

  • 明確な人事評価基準の設定
  • 従業員への人事評価基準の周知と理解
  • 被考課者の行動記録と評価
  • 被考課者へのフィードバック

明確な人事評価基準の設定

人事考課者は評価基準を明確にしておく必要があります。評価基準が曖昧であれば評価にもブレが生じ、説得力のある評価を下すことができないためです。 評価基準を明確にするためには、具体的な目標やルールの設定を行いましょう。職種や職位に応じて、評価項目、また評価基準を明確に設定してください。

また、評価基準も一目で明確に分かるように、設定しておく必要があります。例えば、MBO方式を導入しているのであれば、1〜5段階で設定しておくと、人事考課者が評価しやすいだけでなく、各従業員に求められる基準も明確にできるでしょう。

従業員への人事評価基準の周知と理解

会社の従業員への人事評価の周知と理解を得ておくことも重要です。考課者が評価基準を行う際は公正さが求められます。 考課者自身が独断で基準設定すると、先入観や主観が混ざってしまうことがあり、従業員から理解してもらうことは難しくなるケースもあります。そのため、社内の人事評価基準から評価制度を確立するなど、多くの従業員に納得してもらう方法で人事評価設定を行うことが大事です。

また、項目や基準は部署内によっても異なるため、それぞれの部署で適切な評価設定を作成しましょう。自部署だけではなく他部署の従業員にも人事考課の定義を理解してもらうための工夫が必要です。

▼人事評価制度について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】人事評価制度とは?導入する目的や制度の運用を成功させるポイントを解説

被考課者の行動記録と評価

被考課者の行動記録を取り、評価をすることも重要です。被考課者の行動は評価の対象となるひとつのデータですが、すべて正確に覚えておくのは難しいものです。そのため、行動記録を取って、後で評価基準の際に振り返ることができるようにしておくと良いでしょう。
行動記録を取っておくことで、被考課者を外見で判断したり、先入観で不公正な判断をしたりするリスクを避けられます。行動記録は仕事の作業スピードや勤務態度、他の従業員への接し方など、複数の項目を設けたうえで、毎日記録しておくようにしてください。

被考課者へのフィードバック

人事考課者は、評価面談などの後に被考課者へのフィードバックを行う必要があります。評価を付けて終わりにするだけでは、後の人材育成につながらないため、現時点での課題や次に目指すべき評価基準などをその場で明確にすることが理想です。
評価を被考課者にフィードバックして、良かった点と改善点を認識してもらうことで、自分にとっての課題を理解できます。的確な評価ができるように、評価対象期間は半年〜1年程度と、少し長めに設定しましょう。

<フィードバックについてのSchooおすすめ授業>

この授業では、主に係長、課長などのミドル向けマネジメントにかかわっている管理職の方を対象に人事考課や査定のフィードバックについて学びます。

管理職で組織をリードしなければいけないが、部下が主体性を発揮しない、一体感がうまれない、部下との間に壁を感じるなどの課題意識を持った人たち向けに、戦略や方針を実行する上で、その下地となるチームの土壌をどのように形づくっていくのか、成果を出していくための上司の在り方にフォーカスをしながら、組織に対するアプローチ方法について学んでいきたいと思います。

講師として登壇するのは、ご自身も総勢150人のメンバーマネジメントをするパーソルキャリア株式会社の柿内先生です。

「人事考課とフィードバックの方法」

人事考課とフィードバックの方法

  • パーソルキャリア株式会社/IT領域法人営業部 部長

    パーソルキャリア株式会社(旧:株式会社インテリジェンス)にてキャリアアドバイザーとして約2000名のエンジニアに転職支援サービスを提供。 2010年よりマネジャーとしてキャリアアドバイザー育成、面接力UP講座の講師、各企業の採用イベントでの講演等に従事。 現在は法人営業としてIT・インターネット業界の法人のお客様に向け、採用競争力向上に貢献すべく奮闘中。 所有資格:国家資格キャリアコンサルタント/米国CCE.Inc認定 GCDF-japanキャリアカウンセラー
 

03人事考課時の注意点

人事考課を行う際には、同時に注意点も理解しておくようにしてください。注意点を把握することで、より正確な考課ができるようになり、被考課者にも有効なアドバイスをできるようになります。人事考課者は特に以下の3つの注意点を念頭においた評価を心がけましょう。

個人的感情で評価をしない

個人的な感情に左右されない評価を心がけてください。人間である以上、好き嫌いや合う・合わないはありますが、仕事に私情を持ち込むのはビジネスパーソンとして褒められたことではありません。 適正な人事考課ができていない考課者は、従業員から不満をもたれてしまい、最悪の場合、組織全体が機能しなくなるおそれが考えられます。私情で判断しないためにも、明確な評価基準の設定をおすすめします。

作為的な評価をしてはならない

人間は相手の行動パターンなどから、先入観で評価をしてしまうことがあります。例えば、社歴が長いだけで「そろそろ昇進させなければならないのでは」との考えが、頭をよぎってしまうこともあるでしょう。 しかし、これは従業員の能力や性質の正当な評価にはなりません。自分の考えや見方に捉われずに、評価基準に則った考課をするようにしてください。

社内の人間関係を考慮して評価してはならない

個人的な人間関係で、評価をしてはなりません。公平性が保たれず、社内から反発の声を招くことにつながります。社内の人間関係を考慮して感情に左右されずに適切な判断を行えるように、あくまでも評価基準だけを参考にしてください。

 

04人事考課者研修の目的

正しい人事考課を社内で実施できるように、考課者を対象とした人事考課者研修を開催している企業は少なくありません。研修ではただ評価の方法を教えるのではなく、各従業員が課題や目的を認識して、人事考課を正しく行う意識を持てるような構成を考えるようにしてください。

評価制度・仕組みへの理解

人事考課者研修の目的のひとつは、評価制度や仕組みへの理解です。評価制度と仕組みを正しく理解してもらうことで、誤った評価によって起こりうる社内の混乱を防げます。
また、正確な考課が会社に与える影響についても、具体的に示すことで受講者である考課者のモチベーションも上がります。評価制度と仕組みが曖昧であると、想定していた研修の成果を得られない可能性があるため、研修では目的をはっきりと伝えましょう。

<人事評価についてのSchooおすすめ授業>

基準に沿って従業員を評価して生産性を上げ、その先に企業の業績アップを目指すことが目的である「人事評価制度」。終身雇用が崩壊し、働き方の多様性も広がる中で、多くの企業が従業員が納得する制度は何か、試行錯誤しているのではないでしょうか。本来であれば、各企業によってミッションやビジョンが異なり、従業員に求めるスタンスが異なってくることから企業ごとに評価制度のカラーがあってもおかしくありませんが、グレードの設計や賞与の分配といった各論ばかりに目がいきがちです。

本授業では、このような具体的な指標を設計する前に必要な、「自社ならではの評価制度」の考え方と、制度を運用していく時に意識しておきたいポイントについて学んでいきます。

人事評価制度の基本に立ち返り、「自社ならではの基準」とは何かを明確にできるようになりましょう。

「人事評価に”自社の基準”はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える」

人事評価に”自社の基準”はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える

  • 株式会社キャスター取締役CRO

    株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。

自社の人事考課の課題を自覚する

人事考課者研修のふたつめの目的は、自社の人事考課の課題を自覚することにあります。人事考課者研修では、人事評価の適切な方法と正しい知識を得られます。研修終了後には、自社が設定した評価の付け方と、従来の自分の評価のずれを自覚できるようになり、評価制度の重要性に気付くことができます。 正しい評価制度を理解することで、人事考課へのモチベーションも上げられるはずです。

自社に最適な人事考課の方法を学ぶ

人事考課者研修を行う3つ目の目的は、自社に最適な人事考課の方法を学習できることにあります。人事考課では評価項目の設定は必須となりますが、それも会社によって違いがあります。
例えば、若手社員が多い企業と中堅が多い企業では、人材育成の目標設定も変わるでしょう。それも人事考課者研修で目的や評価設定の方法を理解できれば、自社への応用を考えられます。適切な評価基準を周知徹底することが、後の人材育成にもつながるでしょう。

考課者同士で評価基準を擦り合わせる

人事考課者研修の4つ目の目的は、考課者同士で評価基準を擦り合わせることです。考課者であっても人間である以上、先入観や感情に振り回されて、偏った視点になることがあります。それも研修で評価基準を習得し、参加している考課者同士で共有することができれば、誤った認識を是正でき、正しい評価の設定が可能です。研修では意見交換の場を設けることによって、考課者としてのスキルと課題を見直せます。


 

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05考課者研修を実施する際の注意点

考課者研修を行う際の注意点を確認しておくことも重要です。考課者研修の注意点を確認しておくことで、質の高い研修を開催でき、考課者のスキルアップを実現できます。以下の4つのポイントには注意してください。

社内研修よりも外部業者に依頼する

考課者研修は自社の従業員による社内研修よりも、外部業者への依頼がおすすめです。社内研修では社内の基準によって誤った方法で指導してしまうことがあります。また研修準備に時間を取らなければならず、社員の負担が増すことも課題です。しかし、専門業者であれば正しいカリキュラムに則った指導を期待できるため、ノウハウを吸収できます。研修予算に余裕があれば、外部委託すると良いでしょう。

オンライン研修よりも対面でロールプレイングを行う

考課者研修はオンラインよりも、対面のロールプレイング研修が適しています。座学のみのオンライン研修であると、知識は習得できても、現場で役に立つ実践力は身に付きません。 また、オンライン研修は集中力を持続しにくいものですが、対面式のロールプレイングであれば模擬形式での実践練習が可能で、よりノウハウを習得できます。受講者のスケジュールが合うようであれば、オフライン研修を計画しましょう。

従業員のモチベーションアップ策を考える

考課者研修では、受講者のモチベーション維持についても考えましょう。講義を聞いているだけでは集中力が落ちてしまい、モチベーションも下がりがちです。 研修の間にテストを盛り込む、模擬形式の実践を挟む、グループに分かれて意見交換を行うなど、工夫して取り組む必要があります。研修のカリキュラムを練りこむことでモチベーションを維持しながら、意欲的に研修に取り組めるでしょう。

従業員へのフィードバックを必ず行う

考課者研修後は従業員のフィードバックを行うようにしてください。フィードバックを行うことで、受講者は自分自身の改善点を理解できます。考課者の中には自分を客観的に見ることができず、知らず知らずに間違った評価を下している可能性があります。 そのため、考課者研修時には監査を置くようにして、受講者へのフィードバックを行えるようにしてください。受講者のためになるフィードバックをすることで、研修後の考課者の活躍を期待できます。


 

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06まとめ

考課者研修の目的や実施方法を紹介してきました。考課者研修を行うことで、適切な人事評価を行えるようになり、社内の人材育成を成功に導きます。考課者の育成成功が従業員の士気向上につながり、ひいては会社の業績も向上していくかもしれません。ぜひ考課者研修の開催を前向きに検討してみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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