法務研修とは?実施の目的やプログラム例を解説

法務研修は、ビジネスに関連する法律知識や法的考え方を学ぶ研修です。 本記事では、法務研修の目的や対象となる従業員について解説しています。また、法務研修のプログラム例も紹介しているため、人事担当の方はぜひ参考にしてください。
- 01.法務研修とは?
- 02.法務研修の対象となる従業員
- 03.法務研修の主な目的とは
- 04.法務研修で扱う法律とは
- 05.法務研修のプログラム例
- 06.法務研修をするならSchoo
- 07.まとめ
01法務研修とは?
昨今のビジネスシーンにおいては、企業コンプライアンスの重要性が高まっています。コンプライアンス違反を防ぐためには、従業員に法令を正しく理解させる教育が欠かせません。特に人権問題については、法務省から「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」ガイドラインが出されているように注目が集まっています。こうした状況下において、従業員の法令遵守意識を高める手段のひとつが、法務研修です。
リスクマネジメントのために必要不可欠
コンプライアンス違反は、行政からの処分や損害賠償につながるだけではなく、社会的な信用を失墜させかねません。その結果、企業は事業を継続できなくなり、窮地に追い込まれるおそれもあります。 法務研修は、こうした多大なリスクを回避するために必要不可欠です。
企業イメージの向上につながる可能性がある
社会環境の変化によって、企業コンプライアンスに対する消費者の目は厳しくなっています。反対に、企業がコンプライアンスに真剣に取り組んでいれば、消費者に好印象を与えられるはずです。 そのため、法務研修の成果が上がると、企業イメージが向上する可能性があります。
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02法務研修の対象となる従業員
法務研修の対象者は、業務で法律を扱う部門だけではなく、さまざまな従業員が想定されます。企業全体のコンプライアンスを強化するため、幅広い従業員の参加が必要です。 ここでは、法務研修の対象となる従業員についてみていきます。
新入社員
新入社員は社会人経験に乏しく、社会人としてのルールを把握しきれていません。 そのため、法務研修でコンプライアンスの基礎を学ぶ必要があります。 新入社員向けの研修では、コンプライアンス違反につながる行為や想定されるリスクを学習します。そのうえで、業務上の何気ない行動も企業に多大な影響を与えかねないことを理解させることが目的です。
法務・総務部門
法務・総務部門は日常業務で法令を扱っているため、法務研修は必要ないという考えもあります。しかし、法令は毎年改正が行われていて、定期的に最新の法規を学ぶ場は必要です。 法務・総務部門向けの法務研修では、最近の法改正や判例を学習するとともに、業務で想定されるケーススタディを扱います。
営業部門
営業部門では、取引先や顧客との契約行為が必ず発生するものです。そのため、営業部門は契約書や契約実務に関する法的知識を学ぶ必要があります。 営業部門を対象とした法務研修では、業務上起こり得るケースでの対処法を学習し、より実践的なスキルの体得を狙います。
管理職・マネージャー
管理職・マネージャーは、部下の行為について責任を取る立場にあるうえに、経営に関する法的知識が必要です。 そのため、研修での学習対象は、情報管理から内部統制まで幅広い分野に及びます。また、コンプライアンス違反発生時の対処法を学び、有事に対応する能力を強化します。
03法務研修の主な目的とは
法務研修は、コンプライアンス違反の防止や顧客対応の改善など、さまざまな目的で計画されます。それでは、法務研修の実施には具体的にどのような狙いがあるのでしょうか。 ここからは、法務研修の主な目的を解説していきます。
法令を把握してコンプライアンス違反を防ぐ
業界や企業の業務内容に関わる法令を把握して、コンプライアンス違反を未然に防ぐことが目的のひとつです。 こうした法令を振り返る場面がなければ、現場で独自のルールが横行して、正しいルールが守られなくなってしまいます。そのため、法務研修を通して、現場と社会のルールが乖離していないかを見直すことが重要です。
規律意識や責任感のある顧客対応を行う
顧客対応においては、嘘をつかないなど誠実な対応が求められるとともに、サービス過剰によるルール違反にも注意が必要です。 法務研修では、顧客対応を行う従業員の規律意識や責任感を育成します。その結果、顧客満足度が向上すれば、企業の利益拡大にもつながるはずです。
社内のルールや職場環境を守る
社内のルールには、就業規則や社内規定、コンプライアンスマニュアルがあります。こうしたルールを従業員が守らずにいると法律違反にあたり、会社全体を巻き込む大きなトラブルに発展しかねません。それも研修で法令の大切さを認識・共有することで、従業員の意識が向上します。結果として気持ちよく仕事に取り組めるようになり、風通しの良い職場環境が保たれるはずです。 また、研修では周知しているはずの法令や社内ルールが本当に浸透しているかどうかを確認する必要もあります。
法務上のトラブル発生時の対応を学ぶ
顧客からのクレームや情報漏洩事故など法務上のトラブルは、企業活動において避けられない課題です。コンプライアンス意識が高い企業であっても、残念ながら問題が起きてしまうこともあります。 また、こうしたトラブル発生時には、担当者による事実の隠ぺいなど、平時では考えられない事態が起こるおそれがあります。 このような事態を防ぐためには、法務研修でトラブル発生時の対応を学ぶことが重要です。
04法務研修で扱う法律とは
法務研修で扱う法律は、業種や職種によってさまざまです。ここでは、そのなかでも扱われることが多い法律をみていきます。 またそれぞれの法律について、どのような場合に扱うべきかも触れているため、ぜひ参考にしてください。
民法や商法など契約に関する法律
企業活動において契約行為は必ず発生するものであるため、契約に関する法律を正しく理解する必要があります。その代表例が、民法および商法です。 民法・商法のなかで重要な項目には、契約書の定義や契約の成立要件、印紙の取り扱いが挙げられます。 法務研修では、こうした法律の条文や業務上の事例を扱って、営業活動時の規律意識を高めます。 業務上、取引先と契約を交わすことが多い営業部門の従業員は、必ず研修で契約行為を学ぶようにしてください。
金融商品取引法
インサイダー取引とは、内部情報を知りうる立場にある人間が、会社の内部情報を利用して自社の株式などを売買する行為です。 インサイダー取引を禁止するのが金融商品取引法で、懲罰や罰金などの重い制裁が用意されています。 この法律を研修で扱うべき企業には、上場企業・証券会社・コンサルティングファームが挙げられます。これら企業の共通点は、株価を左右する情報を多く取り扱うことです。 研修では、金融商品取引法の概要や禁止される行為の事例を取り上げてください。
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資産運用としての株式売買など、資本市場に参加する人には必ず守るべき法律があります。
規制範囲や違反事例を知り、「フェアでない」と感じたら一旦立ち止まる視点を身につけましょう。
業種や職種、あるいは所属企業の上場/未上場を問わず受講いただける内容となっていますので、組織の不正予防のため、ご自身のリスク管理のために活用してください。
「インサイダー取引の理解と事例 - 投資の注意点 - 全ビジネスパーソン向け」
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馬場・澤田法律事務所 弁護士
外資系金融機関の資本市場部のフロントで長期にわたり働いたあと、社会のためになる仕事もしたいと弁護士になる。金融機関で培った迅速な対応を心がけ、馬場・澤田法律事務所では、企業法務に加え、民事・家事と幅広い業務を取り扱っている。
不正競争防止法
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を促す法律です。この法律では、不正競争行為に当たるとして「営業秘密の漏洩」を禁止しています。 営業秘密の漏洩は、企業の経営を左右する重大なリスクです。そのため法務研修では、従業員による情報漏洩を防ぐために、不正競争防止法を扱う必要があります。 研修では、何が営業秘密に当たるのか、具体的にどのような行為が禁止されるのかなどを、実際のケースを交えて解説してください。
個人情報保護法
個人情報保護法には、個人情報を扱う事業者の義務や情報保管時などのルールが定められています。 顧客情報の漏洩が起きてしまうと、行政処分だけではなく、社会的信用度の低下といった事態につながります。そのため、顧客情報を扱う従業員が、個人情報保護法を理解しておくことが必要です。 また法務研修では、社内での個人情報の適切な管理方法も確認するのがおすすめです。
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【関連記事】個人情報保護研修とは?実施のメリットや研修形式を解説
05法務研修のプログラム例
一般的に、法務研修では法律知識の他、コンプライアンスや企業のリスクも学びます。法務研修のプログラムは、参加する従業員や研修の目的に応じて変化するものです。 ここで紹介するプログラム例をぜひ参考にして、自社の研修計画に適した内容を選んでください。
ビジネス法務研修
ビジネス法務研修では、営業活動に関連する法律を体系的に学び、従業員の法的知識を強化します。営業部門の従業員が主な対象ですが、社会人としての常識を身に付ける目的で新入社員に参加させることもあります。 このプログラムを通して、業務における規律意識や責任感を醸成することも狙いのひとつです。業務上想定されるケースを用意して、グループワークなどで演習を行うようにしてください。
コンプライアンス研修
コンプライアンス研修では、コンプライアンスの本質やコンプライアンス遵守に必要な行動を学びます。実際の事例や、コンプライアンス違反が起こった際の対処法も研修に取り入れるのがおすすめです。 また、管理職・マネージャー対象のコンプライアンス研修では、不祥事を起こさない企業風土作りなど内部統制にも触れるようにしてください。
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ハラスメント研修
ハラスメント研修では、職場で起こり得るハラスメントの基礎的知識をはじめ、起こさないためのポイントなどを学びます。 管理職・マネージャーには、ハラスメントの相談を部下から受けた際の対処法も把握してもらうようにしてください。
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【関連記事】ハラスメント防止研修とは?内容やポイントを解説
リスクマネジメント研修
リスクマネジメント研修では、企業を取り巻くリスクを洗い出して、戦略を立てられるスキルを育みます。主な参加対象は、管理職・マネージャーや経営層です。 リスクマネジメントスキルは、知識よりも実践が重要であるため、研修は演習を中心としたプログラムにしてください。
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06法務研修をするならSchoo
Schooビジネスプランは、階層別・職種別・テーマ別の研修を行うこともできる、社員研修・人材育成向けの定額制オンライン学習サービスです。生放送を毎日実施しており、最新のスキルや情報を動画で楽しみながら学ぶことができることが特徴です。法務に関する授業も多数ご用意しており、ここではおすすめの授業を紹介します。
「個人情報保護法改正への対応と今後の展望 - 法務担当者向け」
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中央大学 教授
一橋大学大学院法学研究科博士課程修了、内閣府国民生活局個人情報保護推進室政策企画専門職、ハーバード大学ロースクール客員研究員・ゲッティンゲン大学法学部客員研究員等を経て、現職。主著として『プライバシーという権利:個人情報はなぜ守られるべきか』(岩波書店・2021)。
「ハラスメントの対処法 - 管理職向け」
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株式会社Niesul(ニースル)代表取締役/社会保険労務士
大学卒業後、機械メーカー、コンサルティング会社を経て2010年にニースル社労士事務所を立ち上げ。以来、200社を超える社内制度づくり・働き方改善に関わる。 本音を言える場づくりを大切に、経営者・社員と「ともに」社内制度を作る参加型プロジェクト「みんなでつくる就業規則づくり」、ハラスメント防止のための研修など多数実施。 著書に『「社会人になるのが怖い」と思ったら読む 会社の超基本』がある。YOUTUBE「世界一わかりやすい就業規則」チャンネルを発信中。
「労務管理のための労働法 - 管理職向け」
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弁護士・弁理士・YouTuber
灘高校、東京大学工学部、東京大学法科大学院卒業後、都内の法律事務所での勤務を経て、米国法科大学院へ留学(Berkeley Law、USC Gould)。サンフランシスコの法律事務所での勤務を経て、現在は日比谷パーク所属のパートナー弁護士・弁理士。元数学講師の経験を活かして、法律をわかりやすく解説する。YouTubeチャンネル「弁護士井上拓のフロンティアCH」も公開中(https://www.youtube.com/inotaku_law)。
「著作権・肖像権コンプライアンス - 全ビジネスパーソン向け」
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グローウィル国際法律事務所 代表弁護士
グローウィル国際法律事務所 代表弁護士 グローウィル社会保険労務士事務所 代表社労士 みらいチャレンジ株式会社 代表取締役 SAMURAI INNOVATIONPTE.Ltd(シンガポール法人) CEO 早稲田大学政治経済学部を卒業。大学時代、システム開発・ウェブサービス事業を起業するも、取引先との契約上のトラブルが原因で事業を閉じることに。そこから一念発起し、弁護士を目指し司法試験を受験。司法試験に合格し、自身のIT企業経営者としての経験を活かし、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動。特に、AI・IOT・Fintechなどの最先端法務については、専門的に対応できる日本有数の法律事務所となっている。
「リスクの時代に備える 事業継続計画(BCP)の作り方」
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MS&ADインターリスク総研株式会社
MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第四部 事業継続マネジメント第一グループ所属。 2012年慶應義塾大学卒業後、大手建築設備会社を経て、2017年より現職。 BCP/BCM専門コンサルタントとして、東証一部上場企業から中小企業に至るまで幅広い規模・業種のBCP/BCMコンサルティング業務に従事する他、各種執筆活動、内閣府・内閣官房・中小企業庁・商工団体・自治体などの関連事業やセミナー講演などにも多数従事。 【保有資格】 ・ CBCP(国際的な災害復旧啓発団体「DRI」認定事業継続専門家) ・ BCAO(事業継続推進機構)認定事業継続管理者
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・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

07まとめ
法務研修は従業員の規律意識を高める効果があり、コンプライアンス遵守に欠かせない存在です。 しかし、法務研修の講師を担当できる人材が社内にいないケースもあります。また、法令は毎年改正されているため、最先端の法律を熟知した専門家に講師を依頼するのがおすすめです。 リスクマネジメントや企業イメージの向上のため、法務研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。
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