マイクロアグレッションとは?自覚なき差別の具体例と対策をわかりやすく解説

マイクロアグレッションとは、特定の集団に対する無意識の偏見やステレオタイプに基づいた、何気ない言動や態度のことです。発した本人に悪意がないことがほとんどですが、受け手は不快感や傷つきを感じ、それが積み重なると精神的な負担となります。この記事では、身近な具体例から個人や組織への影響、そして明日から実践できる対策までをわかりやすく解説します。
01マイクロアグレッションとは?
マイクロアグレッションとは、ありふれた日常の中にあるちょっとした言動や状況で、意図の有無に関わらず、特定の人や集団を軽視したり侮辱したりする、否定的な表現を指します。
マイクロアグレッションは、相手に侮蔑的な表現を投げかけるなどの故意的なものから、本人にとっては褒め言葉のつもりで発言する言葉まで、幅があります。無意識の偏見や思い込みによって取られることも多く、言動の本人に自覚がないことも少なくありません。一方、受けた側は相手に悪意がないと感じると指摘しにくく、精神的なダメージが蓄積される問題があります。
▶︎出典:中川典子「マイクロアグレッション:加害者と被害者の視点ー日本人大学生を対象にした質問紙調査の結果からー」(流通科学大学 センター刊行物、2025年)
マイクロアグレッションが起きる原因
マイクロアグレッションが起きる背景の一つに、無意識の偏見や思い込みである「アンコンシャス・バイアス」があります。これは、本人が自覚しないまま認知や判断に影響を及ぼすもので、自分と異なる属性の人を無意識に分類したり、自分が属する集団をより好意的に捉えたりする傾向と結びつくことがあります。こうした無意識の決めつけが、意図せず相手を傷つける言動につながるのです。
このような思い込みは、環境によっても強化され得ます。例えば多様な人種や文化を持つ人々との交流機会が少ないと、自分たちの文化が「当たり前」と認識されやすく、異なる背景を持つ人への理解が深まりにくくなることがあります。
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02日常生活におけるマイクロアグレッションの具体例
マイクロアグレッションは、自身の思い込みやステレオタイプによって自覚なく相手を傷つけるという形で、日常生活でも起こりやすいものです。以下に、具体例を紹介します。
- ・外国籍に見える人への「日本語がお上手ですね」という声かけ
この言葉の裏には、「見た目が外国風の人は日本人ではなく、日本語が不得意なはずだ」という思い込みがあります。日本で生まれ育った日本国籍の人である可能性を考慮していません。 - ・障がいのある人への「障がいがあるのに頑張っていてすごい」という称賛
ほめ言葉のつもりでも、「障がいのある人は能力が低い、あるいは何かを成し遂げるのが難しいはずだ」という前提がにじみ、対等な存在として見ていないメッセージになることがあります。 - ・年齢が下の人への「若いのに難しいことを知っているんですね」という称賛
相手をほめているつもりでも、「若い人は知識や理解が浅いはずだ」といった年齢ベースの思い込みが含まれており、本人によっては対等に評価されていないと受け取られることがあります。
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03企業で起きるマイクロアグレッションの例
マイクロアグレッションは日常生活だけでなく、職場でも発生し得ます。企業で起きるマイクロアグレッションの例は、主に以下の3つがあります。
- ・年齢や世代に関するマイクロアグレッション
- ・ジェンダー等に関するマイクロアグレッション
- ・国籍やルーツに関するマイクロアグレッション
ここでは、それぞれの具体例について詳しく紹介します。
年齢や世代に関するマイクロアグレッション
企業における年齢やキャリアに関するマイクロアグレッションは、年齢や経験に関する無意識の思い込みや固定観念を背景に、日常のやりとりの中で表れやすい言動です。多くは配慮や気遣いを装うため、指摘しにくいのが特徴です。
具体例として、以下のような事象や発言が挙げられます。
- ・転職経験者への「今度は長く続けてくれるかな?」
- ・「このツールはベテランには難しいから、若手に任せよう」
- ・「デジタル系の業務は若い人のほうが得意ですよね」
- ・「こういう雑務は若手の仕事でしょ」
これらの言動は、相手の意欲や自己肯定感を削ぎ、信頼関係を損なう可能性があります。
ジェンダー等に関するマイクロアグレッション
企業におけるジェンダーに関するマイクロアグレッションは、「男は仕事、女は家庭」といった固定的役割分担の意識や、「男/女らしさ」という無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)から生じます。発言者に悪意がない場合が多いため見過ごされがちですが、受けた側を傷つけ、職場の心理的安全性を損なう可能性があります。
具体例としては、以下のような事象や発言が挙げられます。
- ・子どものいる女性社員に対して「今は責任ある仕事は難しいでしょ?」
- ・「女性でも頑張れば正当に評価される」
- ・会議のお茶出しや議事録作成を無意識に女性社員に頼む
- ・男性社員に「男のくせに細かいな」と言う
▶︎関連記事:ジェンダーハラスメントとは?具体例や企業が負うリスク、対策を解説
国籍やルーツに関するマイクロアグレッション
企業におけるルーツや国籍に関するマイクロアグレッションは、日常の何気ない言動に潜む無意識の偏見から生じ、社員に疎外感や不信感を与えます。
具体例として、以下のような事象や発言が挙げられます。
- ・「あの人は◯◯人だから⋯」と、特性や性格を国籍に由来したものとして語る
- ・海外ルーツの日本人社員に対して「日本語問題ないんだね」
- ・外国籍の社員に対して「顧客対応は日本語面が心配かもしれないから、別の人に任せよう」と決めつける
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04マイクロアグレッションが及ぼす悪影響
マイクロアグレッションは、個人を傷つけるだけでなく、組織にも悪影響を及ぼす可能性があります。たとえ悪意のない発言であったとしても、積み重なることで雰囲気の悪化や不信感が生まれ、チーム全体の生産性低下を招くことも考えられます。ここでは、マイクロアグレッションが及ぼす悪影響について詳しく紹介します。
個人へ及ぼす影響
マイクロアグレッションは、日常の些細な言動を通じて、個人に心理的な負担を蓄積させることがあります。これは、従業員の不安や葛藤、ストレスの増加につながる可能性があります。職場では、こうした経験がモチベーションやエンゲージメントの低下を招き、同僚や上司との信頼関係を損なう要因にもなり得ます。結果として、離職意向の高まりにつながるおそれもあるでしょう。
職場全体へ及ぼす影響
マイクロアグレッションは、当事者だけでなく、それを見聞きした周囲の従業員にも影響を及ぼし、職場全体の雰囲気を悪化させる可能性があります。また、従業員間の相互不信や人間関係の悪化を招き、チームワークを阻害するリスクも高まります。このような状態が続くと、組織全体の生産性やエンゲージメントの低下にもつながり得るのです。
05マイクロアグレッションを防ぐには?対策と考え方
マイクロアグレッションは、誰もが行う可能性があるものです。そのため、まずは全員が「自分が加害者になるかもしれない」と自覚して、アンテナを高く張っておく必要があります。マイクロアグレッションを防ぐ対策には、主に以下の4つがあります。
- ・企業としての方針を打ち出す
- ・心理的安全性の醸成
- ・研修など学習機会の提供
- ・公正な評価制度の設計と運用
ここでは、それぞれの対策について詳しく紹介します。
企業としての方針を打ち出す
企業が多様性や個性の尊重を方針として打ち出すことは、マイクロアグレッションを許容しないという企業の明確な姿勢を社内外に示す上で有効です。経営層がメッセージを発信することで、従業員に取組の重要性が伝わり、組織全体の機運が高まります。これにより、従業員一人ひとりに「何が問題か」という共通認識が生まれ、無意識の言動を見直すきっかけとなり得ます。
またSchoo for Businessの授業『アンコンシャス・バイアス - 無意識の偏見』に登壇するパク スックチャ先生は、企業がアンコンシャス・バイアスの対策に取り組むことは、「誰もが尊重され、お互いの違いが生かされ、能力をフルに発揮できる組織の構築」につながると解説しています。誰もが安心して働ける組織文化の構築は、従業員の多様な能力の発揮を助け、組織のパフォーマンスアップにもつながる可能性があります。
心理的安全性の醸成
心理的安全性とは、他者からの過度な批判や罰への懸念なく、自分の思いを率直に発信できるチームの状態を指します。このような従業員が安心して声を上げられる環境を整備することは、組織のマイクロアグレッションを防ぐ上でも重要です。
マイクロアグレッションは無自覚な言動が多く、受けた側や周囲が指摘しにくいという問題があります。心理的安全性が確保された職場では、従業員が懸念を表明しやすくなり、たとえ相手が上司であっても建設的な対話や指摘がしやすくなるのです。また、マイクロアグレッションの目撃者が当事者に寄り添う「支援者」となりやすくなることも期待できます。
研修など学習機会の提供
マイクロアグレッションは、発言者に悪意がないことも多く、行為が自覚されにくいことによって対応が難しくなるという課題があります。研修などを通じた正しい知識の習得は、こうした無自覚な偏見に気づくための有効な手段です。
研修を通じて、バイアスの存在や当事者の困難といった基礎知識を体系的に学ぶことができます。ジェンダーや国籍などに関するちょっとした一言がマイクロアグレッションになるかもしれないと気づくことで、問題を自分ごととして捉え、具体的な対処法も習得しやすくなります。
公正な評価制度の設計と運用
公正で納得感の高い評価制度の設計と運用は、従業員が企業を信頼するためにとても大切な要素です。バイアスは誰にでも生じ得るものですが、評価者が自身の偏りに気づかず、それを評価に反映させてしまうことは大きな問題です。従業員の不信感を招くだけでなく、最適な人事配置ができなくなるなど、企業パフォーマンスにも影響を与え得ます。評価基準を明確に示し、その運用を管理職に深く浸透させることは、評価に偏見が入り込む余地を減らします。
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・自己啓発への活用方法 など

06組織内コミュニケーションを改善するSchooのオンライン研修
オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。
| 受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
| アーカイブ本数 | 9,000本 (新規講座も随時公開中) |
| 研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
| 費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
| 契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
コミュニケーション改善におすすめの講座
ここでは、オンライン研修サービスSchooの講座から、コミュニケーション改善におすすめの講座を紹介します。
アンコンシャス・バイアス - 無意識の偏見
この授業では、「アンコンシャス・バイアス=無意識の偏見」について、その正体と対応策について学ぶことができます。組織がアンコンシャス・バイアスへの対応に取り組む目的や、バイアスの形成のされ方などについて、解説いただいています。
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株式会社アパショナータ 代表&コンサルタント
日本生まれ、韓国籍。米国ペンシルバニア大学経済学部BA(学士)、シカゴ大学MBA(経営学修士)取得。米国と日本で米国系企業に勤務後、2000年に日本で最初にワークライフバランスを推進するコンサルタントとして独立。多様化が進む人材マネジメントと受容的環境構築(インクルージョン)へのコンサルティング、講演、研修等に携わる。著書:「アンコンシャス・バイアス---無意識の偏見---とは何か」(ICE新書)など。
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感じがいい人の言い方の秘密
伝えるべきことがあっても、相手の反応を気にして上手く伝えられなかった、または伝え方によって相手を傷つけてしまったという経験はないでしょうか。この授業では、「凄いことはアッサリ起きる」-夢-実現プロデューサーの山﨑拓巳先生をお招きし、自分も他者も気持ちの良いコミュニケーション術について学んでいきます。
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凄いことはアッサリ起きる!-夢-実現プロデューサー
作家、セミナー講師。現在までに60冊超、累計200万部のベストセラー作家。日本のみならずアメリカ、香港、台湾、韓国、中国ほか、海外でも広く翻訳出版されている。講演活動は、メンタルマネジメント、コミュニケーション術、リーダーシップ論など多ジャンルにわたり行っている。
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ダイバーシティマネジメントの考え方
この授業では、職場における多様な属性をもつメンバーの個々の力を活かしながら、組織力を高めるためのアプローチ手法、「ダイバーシティマネジメント」について学びます。組織を束ねるマネージャーやリーダーたちが多様性について理解を深め、マネジメントをする上での留意点や効果的な関わり方を把握し、ダイバーシティマネジメントを実践できるようになることを授業のゴールとしています。
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(株)クオリア代表/プロフェッショナルファシリテーター
都市計画コンサルタント会社、NPO法人理事、会社経営等を経て、株式会社クオリアを設立。長年女性の能力開発、キャリア開発、組織活性化などのコンサルティングを実践。1996年、米国訪問時にダイバーシティのコンセプトと出会い、以降、組織のダイバーシティ&インクルージョン推進を支援している。国際ファシリテーターズ協会認定プロフェッショナルファシリテーター(CPF)、ダイバーシティスペシャリスト。
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いまさら聞けない 心理的安全性のつくりかた
この授業は、組織やチームのコミュニケーションにおいて注目されている「心理的安全性」について学ぶ授業です。これからの企業に必須となる心理的安全性は誰がどうやって作ればいいのか、また心理的安全性があることでどんなメリットがあるのか、本授業で基礎から学ぶことができます。
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株式会社ガイアックス 管理本部長
山口県出身。立教大学経営学部2017年卒業。株式会社ガイアックス新卒入社後、同社で採用担当から危機管理、セキュリティ、労務等、投資先対応など徐々に管掌範囲を広げ、2021年に人事総務部長に、2023年に管理本部長に就任。現在はスタートアップ企業やNPOなど複数社で、アドバイザーや監査役等を務める。
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外国人の同僚と楽しく働くコツ
本授業では、外国籍人材が活躍する組織づくりを支援する品川先生をお招きし、多様性のある組織でチームワークを強めるコツを学びます。異文化理解のフレームワークである「カルチャーマップ」を解説していただきながら、多文化チームでお互いが活躍できる具体的な方法についてもお伺いします。
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株式会社An-Nahal 代表
2019年高度外国人材を切り口に企業のダイバーシティ&インクルージョン推進を人材・組織開発の面から支援する株式会社An-Nahalを設立。創業前はグローバル人材育成分野における制度・研修の設計、新規事業開発などに従事。世界経済フォーラム(ダボス会議)任命のGlobal Shaperとして横浜を拠点に、多文化共生、教育など幅広いテーマでプロジェクトに取り組む。
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07まとめ
マイクロアグレッションとは、無意識の偏見から生まれる、意図せず相手を傷つける言動です。年齢や性別、国籍などに関する日常の些細な言動が、個人にはストレスやエンゲージメントの低下を、組織には生産性低下といった悪影響を及ぼします。この問題を防ぐには、企業が多様性を尊重する方針を明確に示し、誰もが安心して発言できる心理的安全性を醸成することが不可欠です。さらに、研修による知識習得や公正な評価制度の運用も有効な対策となります。




