Will Can Mustのフレームワークとは?目標設定方法や具体例を詳しく解説

不確実性が高く先の見通しが立てづらいと言われる現代社会において、自ら自律的にキャリアを構築する「キャリア自律」の考え方が重要になっています。Will Can Mustとは、自己分析やキャリア設計に活用できるフレームワークです。本記事では、そのメリットや具体的な見つけ方、活用タイミングまでを詳しく解説します。
01Will Can Mustとは?
Will Can Mustとは、個人のキャリアプランや目標を設定する際に用いられるフレームワークです。「やりたいこと(Will)」、「できること(Can)」、「すべきこと・役割(Must)」という3つの視点で現状を整理することで、本人の希望と強み、組織の期待をすり合わせながら、納得感のある目標設定やキャリア設計につなげやすくなります。
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■資料内容抜粋
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・自己啓発への活用方法 など

1:Will(やりたいこと)の定義
「Will」とは、個人的な興味関心、ビジョン、内的な欲求から、今後やりたいことやありたい姿を指す言葉です。Schoo for Businessの授業『人事課題探究』の第1回授業に登壇する大川陽介先生(株式会社ローンディール WILL-ACTION Lab.所長)は、Willを足元や手元の起点や基準・基盤になるもの、と解説します。夢や志といった大きなものだけでなく、何が好きか、心が動くかといった根源的な気持ちも含まれます。
Willを明確にすることは、納得感のあるキャリアを築くための出発点となります。また、目標達成に失敗したときや困難に直面したときに立ち返ることができる精神的な「足場」にもなるのです。
2:Can(できること)の定義
「Can」とは、現在の自分が発揮できるスキルや知識、経験を指します。これは、自分が得意だと感じていることや自信のあることだけに限りません。これまで担ってきた業務や、継続してきた役割のなかで培われた力も、Canに含まれます。
Canを見極める際には、どのような経験を積んできたか、その力を一定の再現性をもって発揮できるかを振り返ることが重要です。キャリアデザインにおいて、Canは今後の選択肢を広げる土台になります。
3:Must(すべきこと)の定義
「Must」は、組織から与えられる目標や業務、期待役割といった「やるべきこと」を意味します。キャリアデザインにおいては、自身の強み(Can)ややりたいこと(Will)が重視される傾向にありますが、Mustを把握することもとても重要です。MustはCanを増やし、将来のWill実現に繋げるための重要なプロセスでもあります。
02Will Can Mustを活用するメリットとは
Will Can Mustは個人と組織、双方にとって好影響をもたらし得るフレームワークです。ここでは、Will Can Mustを活用するメリットを個人・組織の両面から紹介します。
個人にとってのメリット
Will Can Mustのフレームワークを活用すると、自身の強みや出来ること、好きなことなどを多角的に振り返ることになり、自己理解を深めるきっかけになります。このような深い自己理解は、キャリアを主体的に捉え、自ら設計することに役立つでしょう。
Willを明確にすることは、自身のキャリア構築の方向性を明確にするだけでなく、業務の意義付けを助ける可能性もあります。例えば自身のWillが「人の笑顔を増やすこと」であれば、目の前の営業は「物を売る仕事」ではなく、「良い提案で相手を喜ばせること」に変容するかもしれません。また、Canを把握することは、自身のキャリア形成上の特徴や強みを知ることにつながります。
組織にとってのメリット
Will Can Mustフレームワークの活用は、最終的に組織の生産性やパフォーマンスの向上にも貢献する可能性があります。従業員それぞれのWillを知ることは、業務の意義付けを共に行い、エンゲージメント向上の土台づくりに役立ちます。さらに、従業員一人ひとりの「やりたいこと」や「できること」を把握することで、意欲や強みを活かした適材適所の人員配置や、効果的な育成計画の策定が可能になります。加えて、Mustを通じて期待役割を明確にすることは、本人と組織の認識のズレを減らし、評価や育成に関する対話を進めやすくなる点でも有効です。
03Will Can Mustの見つけ方・目標設定方法
ここからは、具体的にWill Can Mustのフレームを用いた整理の仕方について解説します。
Will(やりたいこと)の見つけ方
Schoo for Businessの授業『人事課題探究』の第1回授業に登壇する大川陽介先生は、Willを見つける時に、問いかけの方法が大切だと解説しています。特に、上司が部下に対して、「あなたは何がしたいのか」といった直球の問いを投げかけ続けるのは、部下にとってかえって心理的負担になることも指摘されています。
「どんな生き方をしてきたか」「どんな時に変化したのか」「何が好きなのか」「なぜ好きなのか」といったように、問いの角度を変えながら、過去の経験や感情の要素を分解して発掘します。また、「何となくモヤモヤする」という感情は、自分の価値観に何かが触れているサインです。その感情がなぜ動いたのかを観察することで、Willの手がかりを発見できる可能性があります。
Can(できること)の見つけ方
Can(できること)を見つける時、「特に自分は今の仕事が得意でもなく、思いつかない」と感じる方もいるかもしれません。そんな時は、Schoo for Businessの授業『最強の武器は「自分の見える化」』内で寺澤伸洋先生が紹介する棚卸し手法が効果的でしょう。
具体的には、ノートにまず、過去自分がやってきた仕事を横並びに書き出します。例えば、経理・営業・販売促進・経営企画、といった形です。続いて、それぞれの仕事でどんな業務を行ったのかを、縦に書き加えていきます。具体的には「飛び込み営業」「提案書作成」「エクセル分析」などです。このように、あくまで経験ベースで過去の仕事を整理していくと、洗い出しがしやすくなるでしょう。
Must(すべきこと)の見つけ方
Must(すべきこと)は、主に組織の中で担うべきミッションや業務目標、期待される役割から定まります。そのため、Mustは内省だけで整理するのではなく、組織や上司との対話を通じて、何が期待されているのかを具体的に言語化しながら明確にしていくことが重要です。その際に大切なのは、Mustにあたる業務の意義や背景もあわせてすり合わせることです。
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04Will Can Mustを考える最適なタイミング
Will Can Mustを考える最適なタイミングとしては、「キャリアの大きな転機や節目」・「定期的な見直しのタイミング」などがあります。
キャリアの大きな転機や節目
転職や新たな役職への就任といったキャリアの転機は、Will Can Mustを見直す好機です。新しい環境では、業務内容や組織から期待される成果(Must)が大きく変わることが多く、また環境変化に伴ってWillを見直すきっかけになることもあるためです。
新たな役職に就いたとき
等級や役職が変わると、職務内容や求められるスキル、組織から期待される役割や成果(Must)が大きく変わることが一般的です。Mustが変化することで、現状のCanでは不足する部分も見えやすくなります。新しいMustの達成を目指し、Canを広げながら、自身のWillと重ね合わせられる状態を目指すのが望ましいでしょう。
職種転換や部署異動を検討するとき
職種転換や部署異動は、自身のキャリアの方向性を再考する機会です。このタイミングでWill Can Mustのフレームワークを用いて思考を整理することで、次のステップに進むための基準を明確にしやすくなります。
新たなプロジェクトや挑戦を始める前
新たなプロジェクトや挑戦を始める前も、Will Can Mustで思考を整理するのに適したタイミングです。Willを踏まえてプロジェクトに「どう関わりたいか」を考え、自身のスキルや経験(Can)をどの部分で活かせるかを把握することで、具体的な貢献の仕方が見えてきます。同時に、チームから期待される役割(Must)を理解すれば、自分の行動がチームの成功にどう繋がるかを意識できるようになります。
定期的な見直しのタイミング
Will Can Mustのフレームワークを用いて定期的にキャリアを見直すことは、環境変化や自分自身の変化を捉え、納得感の高いキャリア構築をするうえで大切です。
1on1など、上司との対話のタイミング
1on1など上司との対話のタイミングは、キャリアの方向性を共有する良い機会です。ここでWill Can Mustのフレームワークを用いることで、対話のテーマが明確になり、認識を合わせやすくなります。例えば上司がWillについて深く把握していると、プロジェクトへのアサインや業務配置をする上での参考情報になり得ます。また、Mustの認識を合わせることで、期待される役割や優先順位のズレを減らし、業務を進めるうえでの対話も行いやすくなります。
自身のキャリアを振り返る節目
人生100年時代と言われる現代において、長期的視点でのキャリア設計が求められています。Will Can Mustは、キャリアを考えるうえでの重要な観点を整理しやすいフレームワークです。定期的に同じ切り口で振り返ることで、自身や環境の変化を捉えやすくなり、今後の方向性や次の目標も確認しやすくなります。
05Will Can Mustの社内での活用方法
Will Can Mustの社内での活用方法は、主に以下の3つがあります。
- ・目標設定や評価制度と連携させる
- ・キャリアデザイン支援
- ・上司との対話に活用
目標設定や評価制度と連携させる
Will Can Mustを目標設定や評価制度に連携させることで、従業員の納得感と主体性を引き出し、組織の成長に繋げることが期待できます。期初の目標設定面談において、上司と部下がWill(やりたいこと)、Can(できること)、Must(組織の期待役割)を共有し、すり合わせます。たとえWillとMustが直結しなくても、まず目の前の仕事(Must)を突き詰めることで能力(Can)が向上し、それが将来のやりがい(Will)に繋がり得るという視点から、仕事の意味づけを支援することが重要です。
キャリアデザイン支援
Will Can Mustをキャリアデザイン支援に活用することで、従業員の自律的なキャリア形成を促すことができます。特に「やりたいこと(Will)」がまだ明確でない従業員に対しては、理想を問うだけでなく、まずは現在の仕事や組織から期待されている役割(Must)に向き合い、その中でどのような経験や能力が得られるのかを整理していくアプローチも有効です。
上司との対話に活用
上司は、部下の業績評価や育成、日々のマネジメントに関わる立場にあります。Will Can Mustの3項目は、こうした部下の人材マネジメントを行ううえで重要な観点であり、上司との対話に活用することで、育成や配置、役割認識のすり合わせに役立つ可能性があります。例えばWillの把握は、部下に任せている仕事を部下目線で意義付けする際に役立ちます。またCanを把握することは、スキルの過不足を判断し、相互に目線を合わせながら育成計画を進行することにつながるでしょう。
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06Will Can Mustに関するQ&A
Q.Will Can Mustとはどういう意味ですか?
Will Can Mustとは、キャリア設計や目標設定などに用いられるフレームワークです。Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(やるべきこと・やらなければならないこと)、という3つの要素を整理し、それぞれの関係性を把握することで、納得感のあるキャリア設計が行いやすくなります。
Q.Will Can Mustの発祥は何ですか?
「Will Can Must」の明確な起源については、定説があるとは言い切れません。関連する考え方としては、ドラッカーの「なすべきこと」を重視するマネジメント思想や、エドガー・シャインのキャリアに関する理論などが挙げられます。また、リクルートが独自の目標管理ツールとして活用していることでも知られています。
▶︎参考:田澤実. キャリアプランニングの視点"Will, Can, Must\"は何を根拠にしたものか. 生涯学習とキャリアデザイン. 2018, vol. 15, no. 2, p. 33-38.
Q.Will Can Mustの具体例を教えてください。
Will Can Mustは、様々な職種で具体的に考えることができます。例えば営業職の場合、以下のような形で整理できます。
- ・Will(やりたいこと): 顧客の真のニーズを解決する商品を提供したい
- ・Can(できること): 説明力、顧客との関係構築力、新規開拓力
- ・Must(すべきこと): 営業目標を達成し、チームの売上に貢献する
07キャリア形成に役立つSchoo for Business
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| 受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
| アーカイブ本数 | 9,000本 (新規講座も随時公開中) |
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この章では、オンライン研修サービスSchooの講座から、キャリア形成の知識習得におすすめの講座を紹介します。
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法政大学キャリアデザイン学部教授。文学博士、臨床心理士、公認心理師、キャリアカウンセラー。ベネッセコーポレーション、大正大学臨床心理学科教授を経て現職。産業領域のメンタルヘルス、心理的援助全般、近年は中高年支援をテーマに研究。著書に「失業のキャリアカウンセリング 再就職支援の現場から」(金剛出版)、「これで解決!シゴトとココロの問題」(労働新聞社)など。
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株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。著書は「一流の学び方」など現在18冊を出版。東洋経済オンライン、プレジデントオンラインなど連載多数。
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4designs株式会社代表取締役社長
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ワンキャリア 経営企画部 Evangelist
1988年兵庫県生まれ。京都大学工学部卒業。就職活動中にリーマンショックを経験。メガバンクで企業再生やM&A関連の業務に従事したあと、IT広告、組織人事のコンサルティングなどの経験を経てワンキャリアに入社。現在は仕事選びの透明化と採用のDXを推進。専門はパブリック・リレーションズ。
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08まとめ
Will Can Mustは、「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「すべきこと(Must)」の3つの視点で現状を整理するフレームワークです。個人にとっては自己理解を深めモチベーションを高める効果が、組織にとっては適材適所の人員配置やエンゲージメント向上といったメリットがあります。キャリアの棚卸しなどで各要素を具体化し、転職などのキャリアの転機や上司との対話のタイミングで見直すことが効果的です。目標設定や評価制度と連携させることで、個人のキャリア自律と組織の成長を両立させることが可能になります。




